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めざましコラム 第59号 時間がないの呪縛

「すみません、カタログいただけますか?」
車種名の復唱があり、丁寧にお辞儀。
さっとカタログ取り出して、封筒に入れて手渡される。
―ありがとうございます。是非ともご検討くださいませ。
にっこり笑顔と深々お辞儀に見送られ、私はお店をあとにする。

 

余った時間で、もう一店舗。気になるもう一車種のカタログを。
車を降りると営業の方が駆け寄ってくる。
「すみません、カタログをいただきたいのですが…」
―ちょうど試乗車もございます。後ほどご試乗もいかがですか?
「いえ、ちょっと。あまり時間がないので…」
くもる笑顔と、下がるトーン。
―かしこまりました…ではお持ちしますので、お待ちください。
駐車場の青空の下で待ち惚け。

 

今度はなんだか、がっかりさせてしまったみたいだな…
本当は、ちょっと展示車とか見たかったんだけどな…

 

当たり前が難しい

 

カタログのみのお客様、時間のないお客様
確かに時々、いらっしゃる。
しっかり応対したいのだけれど、じっくりお話したいのだけれど、
要望だから仕方がない。
まずはしっかり受け止めて、お客様のご要望に応えることが何より大事。

 

カタログだけで良いと言うのだから
時間がないと言うのだから

 

しっかりカタログをお渡ししよう。
お家でじっくり検討いただこう。
それが未来の種だから。きっと帰ってきてくれるから。

 

え!?本当は展示車も見たかった?
そんなの言ってくれなきゃ、わからないですよ!
時間がないと言ったのは、カタログくださいと言ったのは、お客様本人ですよ!!

お客様は言いました。
―あまり時間がないのです。

 

全然時間がないとは言いませんでした。

 

ここに大きな勘違い。
本当に時間のないお客様は来店されないのです。
5分も時間がないと捉えて、追い返すように見送ってしまうのは、
お客様の期待に反するのです。

 

時間がないと言うのは、次の約束や予定があるということ。
その約束までに5分しかゆとりがないのであれば、
寄り道せずに5分前到着を選びます。
寄り道を選択できる時間のゆとり。
少なくとも20分から30分の時間はあるのです。

 

それではどうして「時間がない」と言うのでしょう。その答えもシンプルです。
じっくり商談や試乗をする「時間がない」のです。
初回の商談、少なく見積もっても1時間から1時間半は掛かります。
それだけの時間がなければ、お客様の言葉は「時間がない」なのです。

 

「時間がない」の呪縛を断ち切ろう。
次の予定がある中で、わざわざ来店してくださった
お客様の気持ちに応えよう。
限られた時間いっぱいまで、お店を楽しんでいただこう。

 

魔法の言葉で呪縛を断ち切ろう。配慮の魔法を身につけよう。

 

最初はしっかり御礼の言葉。
―お忙しいところ、ご来店ありがとうございます。
時間がないのに、うちのお店を選んで来てくれた!
それをしっかり感謝しよう。がっかり顔などもってのほか。

 

つなぎは貴重な時間の使い方
―せっかくですので、お時間の許す限り、展示車を
ご覧になっていってください。
カタログは自宅でも確認できる。
お店でなければできないことに時間を使っていただこう。

 

但し、制限時間は設けよう。お客様の安心のために
―5分お時間よろしいですか?
このお車のオススメポイントをお伝えさせていただければと。
見てるだけでは、お客様の期待は満たせない。
時間を区切って、コミュニケーションの機会を持とう。

 

締めはしっかり配慮の着座誘導で
―お持ち帰りいただけますので、諸費用込みのお見積を
お作りいたしましょうか。
お持ち帰りが魔法となる。
時間がないことをちゃんと覚えての最大の配慮として、
お客様の心に残る。

 

時間がないの呪縛を断ち切ろう。配慮の魔法で断ち切ろう。

 

「いやぁ、つい長居しちゃったね。ありがとう、次は試乗もお願いするね」

WRITER

TOHRU.Mコンサルタント
コンサルティング業務全般に従事し、特に組織活性化支援、マネジメント教育、セールス部隊生産性向上に取組む。カーディーラー拠点の営業生産性向上は、延べ100拠点を越え、机上論ではない『現場で活用できるノウハウ』と『本気の支援』に定評がある。
UPDATE
2014.11.07
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