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【LiB Mobility経営 vol.10】
次世代のカーディーラーのあり方を定義する「Beyond-Car-Dealer」とは

EXECUTIVE SUMMARY

株式会社AMANEとリブ・コンサルティングは、次世代に必要とされ続けるカーディーラーの役割や機能を再定義する「Beyond-CarDealer」を発表しています。このBeyond-CarDealerに検討に至った背景や、これからのカーディーラーに求められる役割や具体的な取り組み方などについて対談を行いました。

地域課題を解決する役割が重要

LiB西口 カーディーラーを取り巻く外部環境が大きく変化し、60年続いてきた自動車販売業という事業モデルから、新たな業態へのシフトチェンジが求められています。カーディーラーの新たな役割・提供機能としては、AMANE様と当社で作った「Beyond-CarDealer」のブループリントにおいて、「モビリティ体験Base」「モビリティ・エネルギーハブ」「地域の移動と生活に係るコンシェルジュサービス」「地域のコミュニティ活性化」、これら活動によって得たデータを活用した「城内経済の活性サービス」などを挙げました。まずは「Beyond-CarDealer」の検討に取り組んだきっかけを教えてください。

株式会社AMANE 井上佳三氏(以下、敬称略) MaaS/CASEの進展によって業界全体に変化が起きる中で、カーディーラーでは、何をすればいいのか悩んでいるという声をよく耳にします。そこで、まずはカーディーラーとして自動車や移動に紐付いたサービスとしてどんなことができるかということをブループリントという指針で示しながら、ハードルを下げつつ、手法を可視化しようと考えました。灯台下暗しの状態だとすれば、足元を照らすことによって打ち手も見えやすくなるのではないかと考えたのが「Beyond-CarDealer」のきっかけです。

LiB酒井 成熟から衰退に向かっていた産業が、新たな取り組みによって変革期に入ってきていますよね。メーカー、カーディーラー、ユーザーへと流れていたバリューチェーンにサービスプロバイダーなどが入ってくれば、チェーンの中からカーディーラーが外される可能性があります。その中で、カーディーラーの役割を再定義する必要があると考えました。

井上 地域社会との関わり方もカーディーラーによって差がありますよね。地域の経済界では知られている存在でも、地域コミュニティとの関係性が薄い会社もありますが、その一方で、地域内の異業種や行政と連携してモビリティサービスを提供していたり、子供のための交通安全活動を地域コミュニティと一緒に行っている会社もあります。

西口 カーディーラー業界の中でも、自動車販売事業だけだった会社はステージを変えていく必要性が増していると感じています。将来的には、自動車販売業だけでは地域で成長し続けられないだろうという考えがあって、それが「Beyond-CarDealer」の基本的なコンセプトになっていると理解しました。

井上 カーディーラーだけに限らず、電力会社も鉄道会社もガソリンスタンドも地域に根差した事業ですし、商圏は変えられません。その一方で、地域の社会課題、移動課題は増えてきています。「Beyond」の観点から見ると、地域や社会の課題に対して役割を持って本気で取り組む会社と、課題には関わらず利益だけを追求していく会社では、どちらが応援されるかは明らかですし、実際のところ、地域の中での役割を無視し続けるのは難しいでしょう。

本業に近いところから新たな機能を探索

西口 ではその中で、カーディーラーは今後、どのような機能を持つと考えていますか。

井上 オンデマンド交通やマイクロモビリティといった新しい交通モードが出てきていますし、移動販売車をはじめとした新たなモビリティデバイスの活用方法も増えつつあります。カーディーラーは移動に係る事業を展開していますので、本業に一番近いところは取り組みやすく、新たな機能も作り出しやすいのではないかと思います。また、世界的な市場の変化としてEVが増えていますので、モビリティ・エネルギーハブの機能を持つための準備運動として、エネルギー市場の仕組みを理解したり、パートナー探しに着手していくと、将来的なカーディーラーが担うソリューションメニューとして企画しやすくなると思います。

酒井 私はモビリティ体験Baseの機能をカーディーラーに求めたいですね。我々の世代は車を所有する世代で、所有を通じて楽しませてもらいました。時代の流れの中で社会環境や生活環境は変化し、以前と比較して自動車を所有する事の価値が下がってきています。その一方で、テクノロジーの進化や新たなモビリティサービスが広がりを見せる中、モビリティが本来持つワクワク感やドキドキ感を、まずは体験できる機会を提供することが重要だと考えます。

井上 昔は近所に車好きの知り合いがいたりして、そこで1つのコミュニティが生まれていました。カーディーラーの作業場を貸してほしい、というニーズはあるかもしれません。エアロパーツを買ったので、ジャッキを借りて取り付けたいとか、そういう場を提供できればユーザーにとって便利ですし、カーディーラーが車好きが集まる場にもなります。

西口 以前、当社で地域の一般消費者へ移動や交通課題に関するアンケートをとったことがありまして、その時に多かった答えが「地域内に行きたい場所がない」という答えでした。それならカーディーラーの店舗を「行きたい場所」にしようということで、プロジェクトとして取り組んでいる例もあります。

酒井 カーディーラーが地域の人たちの目的地になるという点では、自動車販売以外の事業として生活サービスを提供していいと思いますし、M&Aやフランチャイズをしてみることもできます。内部留保があれば地域のベンチャー向けにファンドとして出資してもいいですよね。また、複数のカーディーラーが共同で、海外や都市圏にあるモビリティベンチャーへの投資を行うファンドを作ることも可能だと思います。

井上 行きたいところが作れれば移動が生まれますし、地域活性化にもつながります。その目的地になる場所がカーディーラーであれば理想的ですよね。地域の人たちの生活や人物像がわかれば、そこで得たヒントは自分たちの事業に取り入れられます。カーディーラーだけで解決できない課題であれば、地域の会社と連携して取り組むことにより、新たな事業が作れますし、人を集めることもできると思います。

人が育ち、ノウハウが貯まり、より大きな価値が提供できる

西口 新しいチャレンジや事業開発という点で、カーディーラーとして、どのような事から考え始めるべきでしょうか。

井上 まず、目の前にいるお客さんと従業員に目を向けることが大事だと思います。お客さんも従業員も、ほとんどの人は地域に住んでいる人です。顕在化しているニーズも潜在的なニーズも、目の前にいる人から拾えることがあるでしょうし、そのために、まずは目の前の人たちの生活の課題、移動の課題などを整理して、月曜日から日曜日までのライフスタイルを振り返ってみると良いと思います。例えば、託児所がない、病院が少ない、子供の習い事の送り迎えが大変など、地域によってさまざまな課題があるでしょうし、課題が見えてくればターゲットも見えやすくなります。このようなニーズや課題は自動車販売だけで接していると見えづらいため、ちょっとしたイベントなどを開いて、ヒアリングの機会を作るといったことも有効だと思います。課題やプロジェクトが大きいほど自治体との連携や必要になります。具体的に何ができるかは一旦置いておいて、自治体と意見交換の場を持つなどして協力しあえる関係を気付いておくことが大事だと思います。

西口 カーディーラーが「Beyond-CarDealer」に取り組む事によって、どのような成果が期待できますか。

酒井 定性的な成果として、人財育成が大きいと思っています。失敗、成功どちらにしても、新しいことに取り組む経験は社員にとって大事だと思います。また、挑戦する姿勢は社内に伝幡していきますし、KPIができ、次の取り組みもしやすくなります。KPIを作って、戦う準備をして、そこから戦略作っていくのがいいと思います。

井上 地域への貢献とカーディーラーとしての提供価値も大きくできます。カーディーラーは法人としての提供価値も大きくできます。カーディーラーは法人のネットワークがあり、店舗などアセットもあります。これらを有効活用すれば地域への貢献度を高められますし、それはこれからのカーディーラーにとって氏名と言えるかもしれません。

酒井 人材が育つだけでなくノウハウも貯まります。新規事業を組み立てるノウハウができれば事業立案しやすくなり、地域の会社との事業連携もできるようになるでしょう。変わろうとしていることを周りに伝え、変化に対して積極的であることが伝われば、周りから「このカーディーラーはいろんなことにチャレンジしている」「面白い取り組みをしている」と思ってもらえます。周りの会社からも頼りにされますし、何か事業案があったときに、あのカーディーラーに話を聞いてもらおうと考える人も増えていきます。それは地域にファンを作っているのと同じ。地域のファン獲得も成果で、地域から声が掛かる会社になることが勝ち筋だと思っています。

井上 会社としての魅力が上がれば、採用も変わりますよね。あのカーディーラーで働きたいと思う人が増えて、優秀な人が集まりやすくなります。

まとめ

西口 最後に「Beyond-CarDealer」のコンセプトで取り組んでいこうと考えているカーディーラー経営者の皆様にメッセージをお願いします。

酒井 変化していく過程では外部パートナーの力が必要になる時が来るでしょうし、異業種と協業することも大事だと思っています。「Beyond-CarDealer」に取り組む際には、ぜひ我々に声をかけてもらいたいですし、声がけいただければサポートできることがあると思います。「Beyond-CarDealer」は塗り絵のようなもので、この中に示している打ち手は模範解答でしかないと思っています。どんな色付けをしていくかは地域ごとの特性や会社ごとの方針によって変わりますので、踏み込んだ議論をしながら個々のケース別にサポートしていきたいと考えています。

井上「Beyond-CarDealer」の基本的なコンセプトは、カーディーラーが地域社会と共創しながら「well-being」な移動体験や暮らしを提供する存在になることです。移動に関する負をどうやって解消するか、モビリティの楽しさをどうやって高めていくかといったアプローチで、カーディーラーは地域社会にとってなくてはならない存在に慣れると考えていますし、その役割は地域の移動を守ってきたカーディーラーにしかできないものだと思います。移動体験を素晴らしいものにして、価値ある体験を顧客に提供できるカーディーラーを一緒に作っていきたいと思っています。

酒井 最後にですが、我々は今回の「Beyond-CarDealerConceptBook」を元にカーディーラー業界の進化、発展のサポートを引き続き行ってまいります。自社オリジナルのBeyond-CarDealerの設計、必用となる追加機能の実装に向け、以下のサポ―トを通じて各社の進化に貢献して参ります。

<弊社サポート領域>

・自社版Beyond-CarDealerモデルの設計サポート
・国内外のユースケース、ベンチマーク事例の提供
・地域ユーザーの移動/生活に係るニーズ調査
・異業種を含めたアライアンス先の選定及び協業モデルの構築
・事業推進リーダーの選抜、育成

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UPDATE
2022.03.01
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