経営戦略

中期経営計画と戦略策定支援で成長の意思決定と実行を伴走

株式会社小松電業所

EXECUTIVE SUMMARY

    1. グローバルな建設機械部品の需要増加に伴い、成長を続けてきた小松電業所。カーボンニュートラル等による環境変化と需要縮小リスクを見越した、中期経営計画の作成を進めていた。


    2. 2021年3月~2022年10月にかけて、リブ・コンサルティングが中期経営計画の策定・推進プロジェクトに参画。自社だけでは難しかった情報収集や戦略立案がスムーズに行えたほか、教育プログラムも並行しながら、次世代リーダーを中心とした戦略策定を実施できた。

コマツサプライヤーとしてではなく、自社としての中期経営計画策定のパートナーを模索

―リブ小川 弊社に依頼前の貴社の状況について教えていただけますか?

 

塚林 小松電業所は、お客様から提案いただいた部品を製造する、金属系の部品メーカーです。2000年代に入ってからは、世界的な需要増に伴い事業を拡大させていきました。加工・溶接・塗装と、お客様のご要望をある程度カバーできる技術を持っています。いわば、“立ち技も寝技もできる総合格闘家”のような会社と言えるでしょう。

 

―リブ小川 今回、弊社は中期経営計画の立案からプロジェクトに参加しました。今回のプロジェクトを依頼いただくにあたり、社内ではどのような課題があったのでしょうか?

 

塚林 弊社では2017年頃に一度、中期経営計画を策定した経緯があります。主要取引企業である小松製作所の力をお借りして、弊社のできること・できないこと・やるべきことを整理するとてもよい機会になりました。

 

そこから年月が経ち、2021年頃から新たな中長期の計画を立てる時期にさしかかりました。

 

前回との違いは、自社だけの力で計画を立てなければならないという点です。また、2017年頃の市況は私たちにとって追い風の状態でした。弊社が参入できる空白地帯も多く、「どうそこに参入するか」を考えれば、まだまだ多くの伸びしろがあったのです。

 

2021年頃の市況は、「このままの路線で弊社は成長できるのか」ということから考える必要がありました。次のステージへ成長するのに、どのようなリスクが潜んでいるかを探らなくてはならなかったのです。

しかし、私たちだけでは、業界の市況やお客様の状況などを情報収集する能力が不十分だと感じました。自力で計画を立てても、求めるようなクオリティにはならないという予感がありました。自分たちに不足している能力を、補完する何かが必要だったのです。

 

田島 実は当時、私はMBAスクールに通い、その中で「経営計画を作成する」という授業があったのです。スクールの優秀なメンバーと一緒に作成したにも関わらず、満足できるものを作成するには非常に困難を極めました。

 

自社の中期経営計画を、まして私が中心になってまとめるのかと考えた時、自信を持つことができませんでした。そこで、塚林に「今回はコンサルティング会社を入れた方がいい」と伝えたのです。

 

塚林 そんな折、リブ・コンサルティングから連絡をいただきました。内容も、「中期経営計画の策定をお手伝いしたい」というものでした。正直、DMが半年遅れて届いていたら、スルーしていたかもしれません(笑)。それほど絶妙なタイミングでした。

 

―リブ小川 そうだったのですね。プロジェクトパートナーとして、弊社を選んでくださった理由を教えていただけますか?

 

田島  コンサルティング会社に求める要素として、重視していたのが「洗練されたノウハウを持っていて、会社規模的にも組織の力を活かしやすい会社」という点です。

 

リブ・コンサルティングはこの条件に当てはまるだけでなく、ご提案いただいたコンテンツも非常に納得感がありました。最初の打ち合わせで同席されたご担当者の人となりにも好感を覚え、ぜひお願いしたいと思ったのです。

中期経営計画の策定・分科会の発足・メンバー教育の成果

―リブ小川 そして、いよいよプロジェクトが始まるわけですね。今回のプロジェクトは、「中期経営計画策定」と「中期経営計画推進のための次世代リーダー教育」という2つのフェーズがありました。それぞれのフェーズについて、お話を伺えればと思います。

 

塚林 「中期経営計画」は、リブ・コンサルティングにフレームをしっかりと決めていただいたため、非常に作りやすかったというのが主な感想です。オーダースーツを作るように、採寸してもらい着心地の違和感を伝えて修正を加えるような感覚で、計画を作成できました。

 

中期経営計画を作る上で、将来的な脅威やチャンスを整理しつつ、どこに投資すべきかをまとめていきました。そこで、私たちが不安視していた情報収集や調査を、念入りに行っていただきました。

 

―リブ小川 プロジェクトの開始段階で、小松電業所様からは「ありとあらゆるリスクを全部洗い出してくれ」というオーダーがありました。

 

田島 その要望に応えるように、リブ・コンサルティングは社内外のコネクションを活用して、弊社取引先の上層部の方にもインタビューをしてくださいましたね。インタビューには私たちも同席させていただき、お客様からの「こうしてほしい」という本音を聞くことができました。

 

外部環境や内部環境も調べていただき、投資など次のステップを考えるヒントも得られました。調査のおかげで、私たちも分かっていなかった経営上のリスクやチャンスを、客観的に見つめ直すことができました。

 

―リブ小川 その後、次のステップでは次世代リーダーを巻き込みつつ、各工場での方針を明確にしていったのですよね。

 

塚林 ここでは、中長期経営計画を策定する段階でまとめた課題やテーマに対して、分科会を発足させました。まだまだ進行中のプロジェクトもあったり、外的要因で路線変更したプロジェクトもあったりはします。

 

それでも、リーダーやリーダー候補の人材が、プロジェクトを自走できるようになったというのが、大きな成果と言えるでしょう。

 

田島 リブ・コンサルティングのファシリテーション力を身につけて、プロジェクト内でリーダーシップを取れるタレントも出てきました。リブ・コンサルティングの皆さんとのコミュニケーションが、若い世代には大きな刺激になったと思います。

 

―リブ小川 弊社が関与せずとも、次世代がしっかり自走できるようになったのですね。

 

田島 こうした成長を促せたのは、分科会と並行して実施した教育プログラムの存在が大きいです。隔週3時間実施で課題も与えられ、毎週分科会を実施するという非常に高負荷なプログラムでした(笑)

 

しかも当時は、過去最高売上を達成する中での取り組みだったので、かなり業務負荷が高い状態でもありました。それでも、参加者のほぼ全員がプログラムを完走した結果、参加者は非常に機転が回るようになった気がします。

 

例えば、生産技術のメンバーは営業の重要性に気づき、営業領域に技術提案のアドバイスを積極的に支援するようになりました。部署を超えた横の連帯感が生まれたことは、大きな前進です。

 

特に、これまでほぼ交流がなかった本社と、栃木県小山市にある小山工場のメンバーが、プロジェクトを通じてコミュニケーションを取れたのはとてもよかったです。

 

―リブ小川 おそらく教育プログラムや分科会に参加した皆さんは、はじめのうちは「やらされている感」が強かったと思います。そこから、次第に責任感を持ってプロジェクトを牽引するようになったというのは、素晴らしい変化ですね。

 

田島 そうですね。プロジェクトメンバーのほぼ全員が、中期経営計画も分科会も「失敗できない」という意気込みで取り組んでいます。それだけ、今回の計画が経営上とても難易度が高く、かつ重要なものと理解しているのでしょう。

 

これまで、経営に関する議論は経営層のみで行っていました。分科会や教育プログラムを通じて、リーダーたちもオーナーシップが芽生えたと思います。

 

特に、当時入社1年目だったリブ・コンサルティング社員の方から、とても質の高いケーススタディの教育とフィードバックをいただき、自社の社員も刺激を受けました。

中期経営計画とともに、本質的な組織開発まで繋がった

―リブ小川 実際に、弊社がプロジェクトに参画してよかったと思う点は何ですか?

 

塚林 これまで、コンサルティング会社に依頼していたのは「現場の改善」でした。戦略を練るというフェーズで外部の会社に依頼したのは、今回が初のケースだったのです。

 

業績改善系のコンサルティングの場合、ある程度短期で結果を求めることとなります。そうすると、「会社の質を高める」「メンバーの成長を促す」といった、中長期的な取り組みは行えません。

 

リブ・コンサルティングへの依頼を通じて、これまでできなかった「時間をかけて取り組むべきこと」に取り組めたというのが、とてもよかった点です。

 

私自身も、弊社の事業や取るべき戦略を分かっていたつもりでしたが、それらを見つめ直す機会になりました。

 

田島 プロジェクトを通じて、経営目線を持った次世代のリーダーも見つけることができました。

 

塚林 目の前の納期や数字の達成に取り組むという点は、今も昔も変わりません。しかし今回のプロジェクトによって、将来的な目標に向けて、常に経営陣以外の次世代リーダーの誰かが活動している状況を社内に作り上げることができました。

 

まだまだメンバーは少ないですが、コツコツとプロジェクトに取り組んだり、プロジェクトにメンバーをアサインしたりすることが、許容される環境が作れたと思います。

DXによる生産性向上に、さらに挑戦していきたい

―リブ小川 今回のプロジェクトを振り返っての、感想をお聞かせください。また、今後の取り組みや抱負も教えていただけますか?

 

田島 中期経営計画の策定で、とてもいい影響を与えてくださいました。リブ・コンサルティングが入らなかった場合、弊社の動きはまったく違うものになっていたでしょう。

 

塚林 結果として、“売上1.5倍”という挑戦的な中期経営戦略を作ることができただけでなく、工場増設・新設の意思決定により、数十億円規模の設備投資に踏み切れました。

 

田島 これだけの投資をした以上、責任を持って目標を達成していきたいですね。ちなみに、現在は分科会の活動のひとつとして、社内のDXに取り組んでいます。

 

これからはデータサイエンティストの時代です。時代の変化を正確かつ素早く捉え、判断するというプロセスのインフラとして、DXは欠かせない存在だと思います。

 

塚林 技術的な課題もあり、その歩みは順調とは言えません。それでも、DXによる生産管理能力の向上には、積極的にチャレンジしていきたいです。今後とも引き続き、よろしくお願いします。

 

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