株式会社リブ・コンサルティング モビリティインダストリーグループ

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成果実績

ブランド力向上プロジェクトで子育て女性の獲得を目指す

~山形トヨタ自動車株式会社~
山形トヨタ自動車株式会社
代表取締役社長 鈴木吉徳氏

山形トヨタ自動車は、県内13店舗にてトヨタ車(新車およびU-car)の販売を手がける自動車ディーラーです。2016年からリブ・コンサルティングとともに自社ブランド向上を目指すプロジェクトに取り組んでいます。プロジェクトに着手した背景と現時点での成果について話を伺いました。

手間と時間をかけても、他社には真似されないブランドづくりを

リブ・コンサルティング(以下リブ): 山形トヨタは全13店舗をあげてブランド力向上に取り組んでいます。スタートした理由を教えてください。

鈴木吉徳社長(以下敬称略):安定的に経営していくためにはお客様の数が重要です。また、少子高齢化と人口減少が進む社会では、自社の既存のお客様を維持するとともに、他社の車のユーザーを獲得することが重要です。2025年にはトヨタ系チャネルでは全車種併売となるため、他チャネルとも差別化をしていく必要があります。そのような背景から、来店者数を増やす施策を考えるようになりました。ただし、安さやお得感をキーワードにすると価格競争になります。そこで、子育て中の女性をターゲットと位置づけ、彼女たちに評価されるためのブランディングをしていこうと考えたのです。当社はトヨタチャネルの中では高価格帯のラインナップを扱っているため、正直若いお客様は現在多くありません。そのため、若いお客様にももっと当社を利用していただきたいという思いもありました。

リブ:ブランドづくりは他社との差別化要因になるという大きなメリットがある反面、ブランド構築までに時間と手間がかかり、営業改善の施策などと比べて収益面での即効性が弱いというデメリットもあります。その点についてはどのように考えたのですか?

鈴木:我々の考え方を変える必要があると思いました。集客施策や営業改善などは収益に結びつきやすいのですが、手間と時間がかからないため、他社にも真似ができます。つまり、手軽に実行できる施策はいくらやってもキャッチアップされてしまいます。そのため、一時的に収益化できても、やがて元に戻ってしまう可能性があるのです。その点、ブランディングは手間と時間がかかる地道な作業であるため、キャッチアップされにくいといえます。目先の収益にはすぐに結びつかなくても、地に足をつけてお客様の支持を獲得していけば将来的に収益に結びつくという信念を持って取り組みました。

リブ:社内で理解や協力を得て、プロジェクトを進めていくためにどんなことをしたのでしょうか?

大場部長(以下敬称略):まず、社内の理解を高めるという点では、店長会議や社長が参加する全社大会などの場でブランディングの重要性について繰り返しアナウンスするようにしました。まだ道半ばですが、3年間続けてきたことにより、当初と比べて理解度が深まり、協力も得やすくなったと感じています。全員でブランディングに取り組むと成果も出てきます。例えば、これまで他社を使っていたお客様が当社で車検を受けられたり、併有車をご紹介下さったりといった事例も少しずつですが増えています。せっかく買うのであれば、子育てを応援してくれるこういうお店がいい、とおっしゃってくださったお客様もいらっしゃいました、まさに我々が目指していることが現実になった瞬間でした。次に、運営は本部で行いました。ブランディングと関わる各種取り組みを店舗任せにしてしまうと、プロジェクトが回らなくなってしまう可能性を心配しました。店舗には通常業務がありますので、そちらを優先する結果、ブランディングは誰かがやるだろうと後回しになるかもしれないと思ったのです。そのため、本部に事務局を置き、その事務局が中心となってハンドリングし、各店舗での活動を引っ張っていくようにしました。ブランディングは大事な施策であると声を上げるとともに、具体的な施策に落とし込む作業や、LINEによる情報配信、ターゲット向けウェブサイトの構築から更新、備品を本部から各店舗に送る作業なども事務局で行うようにしました。

リブ:意識や目的の共有以外の面で、プロジェクトの運営で苦労したのはどのようなことですか?

大場:やはりマンパワーですね。店舗側から見ると、もともと少人数で切り盛りしている中で、ブランディング関連のイベントやその他取組に人員を出すことになります。また、今回は子育て世代の女性をターゲットとしたため、各店舗の女性が担当となることが多く、女性の負荷が大きくなりました。もちろん、女性も少ないですし、多くの店舗は女性が1人しかいません。彼女たちが1日がかりでイベント担当となることで、もともと担当していた経理処理などの仕事をどうするかという問題が出てしまうのです。事務局側も似たような状況で、女性の負荷が大きくなりました。通常業務として経理、システム管理、総務といった仕事をしつつ、時間作りながらウェブサイトの管理などを行い、さらにイベント支援で各店舗に行くといった状況だったのです。

冨樫係長(以下敬称略):当時を振り返ると、事務局として行う作業よりも、各店舗にてブランディングの重要性を理解してもらうことのほうが大変だったと感じます。ただ、時間とともに店舗の意識は変わっていきました。3年目に入ってからのことだったと思いますが、講師の先生から、店舗に行ったらスタッフ全員で率先して片付けしていたと聞いたことがありました。以前は女性スタッフだけで準備や片付けを行っている店舗が多かったので、そういう声を聞くと意識や姿勢の変化を感じます。

大場部長:事務局からのイベント補助人員支援も、当初は2人でしたが、1人になりましたよね。店舗側がイベントの準備や運営に慣れたこともありますが、そのような変化も、女性任せの状況から全員野球の体制に変わった結果だと思います。 

自分の意見が会社施策にすぐに反映されることにやりがい
-女性社員への新しい活躍の場とやりがいの創出-

リブ:これまでに感じた手ごたえや成果について教えてください。

鈴木:女性スタッフが積極的に会社施策に参画できるプロジェクトになったという点が大きな成果だと思っていす。大場さんがいう通り、現場では女性の負担が大きくなったという側面があります。ただ、今回のプロジェクトは当社として初となる女性中心のプロジェクトで、女性が責任を持って進めてきました。結果、各自が全社的視点やお客様の視点を持つことになり、成長につながったのではないかと思っています。人材育成は会社にとっての将来的な利益にもなると思います。

冨樫:そう思います。今までの仕事とは違う経験ができ、勉強になりました。現状は、通常業務とプロジェクトの掛け持ちですが、プロジェクトだけに専念できるなら、他にもやってみたいことがたくさん浮かびます。例えば、新たなイベントを試してみたいとも思いますし、店舗側の声も深く聞きたいと思っています。

大場:活躍できる場があると社員のモチベーションが高まりますよね。冨樫さんがその好例と言えますが、プロジェクトに参加してもらった他の女性からも、プライドややりがいを感じたという声を聞きます。また、プロジェクトの進め方という点ではリブ・コンサルティングに依頼したことが良かったと思います。例えば、コンサルタントが取り仕切る会議は非常にフランクで、女性が自由闊達に意見を言うことができました。率先して意見を言える機会が増え、自分の意見が反映されると実感できたのは大きな価値だと感じますし、自分で考え、発言し、自発的に行動できるという点でも、このプロジェクトは良いプロジェクトだと思います。

鈴木:そうですね。そもそもブランディングのプロジェクトを提案いただいたのもリブ・コンサルティングでしたし、コンサルティングのアプローチも、こちらが一方的に何かを教わるのではなく、社員とコンサルタントが双方向でコミュニケーションをとりながら進めていくことができました。結果、ブランディングの重要性を店舗に浸透でき、社員の納得度を高めることができたのだと思います。また、社員とコンサルタントが良い関係性を作れたことも、長期的にプロジェクトを続けられた要因になっていると思います。

来店客の若返りそしてその輪の拡大にむけ新たな挑戦を

リブ:今回のプロジェクトでは、女性が気軽に立ち寄れる店舗環境を作り、女性向けウェブサイト(ちょっとよりみち山形トヨタ)内で女性に特化した情報発信を行いました。来店客の面ではどのような変化がありますか?

鈴木:プロジェクトをスタートした3年前と比べると、来店される女性のお客様はとても増えたと思います。以前は男性ばかりが正直目立っていただのですが、平日に店舗に行ってみても女性のお客様が来店されていることが多くありました。理由としては、シエンタやルーミーなどエントリー層向けのコンパクトカーを取り扱うことになったこともあるのですが、ブランディングの取り組みも来店客層の変化に結びついていると思います。また、店舗で行うイベントの参加者も、スタート当初は自社の既存のお客様が中心でしたが、今は半分くらいが他社の車のユーザーです。これはプロジェクトに取り掛かる前は想像できなかったことです。最終的にはイベントに来られた新規のお客様全員が車の購入に至ることが成果ですが、女性の他社客が半分も来店してくれているのはとても大きな成果であり、手応えを感じます。

リブ:ブランディングのプロジェクトはまだ続きます。最後に、今後の意気込みを教えてください。

鈴木:まずはプロジェクト完結まで愚直に取り組み、売上という成果につなげたいと思っています。子育て世代の女性から評価されるようになったら、新たなターゲットに向けて、2本目、3本目の柱を立てることにも挑戦したいと思っています。

大場:取り組みが形骸化しないようにすることも大事です。事務局としては引き続き魅力あるコンテンツを作っていきたいですし、イベントに関しても反省と改善を重ねながら、新しいことに挑戦したいと思っています。お客様や社員が「面白そう」と感じることを発信したいですし、リブ・コンサルティングにも、大胆な切り口の提案を期待しています。

 

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UPDATE
2019.10.11
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