「残価強化プロジェクト」が生んだ 逆風下での収益性向上と組織風土の変化 山形トヨタ自動車

会社名
山形トヨタ自動車株式会社

営業 組織活性化

目次

代表取締役社長
鈴木 吉徳 氏

山形トヨタ自動車の 組織変革を生んだ 現場目線のプロジェクト

1946年創業の山形トヨタ自動車株式会社は、「社会性・経済性・人間性」の三つの企業理念を柱に、地域から求められる企業を目指し活動してきた。そんな同社は、中長期的な経営戦略として「Vision2030」を策定。「未来に向けて、収益力を高める」をコンセプトに本部と店舗の連携強化、人財の確保・育成などを基本方針に掲げている。リブ・コンサルティングは、収益力向上を目指す同社の抱える課題を解決するために「残価強化プロジェクト」の実施を提案。プロジェクトの結果、山形トヨタ自動車の残価率は大きく向上したほか、組織の意識改革も起こったという。代表取締役社長の鈴木吉徳氏に、プロジェクトの開始から現在にいたるまでの軌跡と、今後の展望について伺った。

残価率の低迷と新任部長育成という二つの課題

リブ・コンサルティング(以下リブ):今回の「残価強化プロジェクト」を実施するにあたり、どのような背景や課題があったのでしょうか?

鈴木吉徳氏(以下、敬称略):当社では「Vision2030」という長期ビジョンを掲げていますが、その実現には収益力の向上が不可欠です。その基盤となるのが、お客様の代替(乗り換え)サイクルを早める効果のある割賦販売ですが、プロジェクトを検討していた当時はその割賦販売で大きな課題を抱えていました。一時的には30%を超えていた割賦比率が、金利の上昇などもあって、この1年ほどで大きく下がってしまっていたのです。全国的に見ても低下傾向ではありましたが、当社の下げ幅は特に大きい状態でした。
さらに深刻だったのが、社内の格差です。高い比率を維持できている店舗がある一方で、大きく数字を落としている店舗もあり、その差は開くばかり。収益基盤を安定させるためには、この格差を是正し、会社全体として割賦販売をもう一度しっかりと展開していく必要がありました。

リブ:収益面での課題があったのですね。

鈴木:そしてもう一つ、当社は組織・人財面でも重要な局面を迎えていました。組織の世代交代を目的に、非常に優秀な店長として現場を牽引してくれていた2名を本部の部長に抜擢したのです。プレイヤーとしての彼らの能力に疑いはありませんでしたが、1つの店舗を見るのと会社全体をマネジメントするのとでは、求められる能力の質が全く異なります。
彼らがそれぞれ手探りでマネジメント手法を確立していくには、かなりの試行錯誤と時間が必要になることが予測されます。そこで、会社として2名が店舗との関わりを深め実績を出す機会をつくることで、新任部長としての信頼を早期に構築しようと考えました。収益面の課題解決と、次世代の経営幹部の育成。この2点が、プロジェクト実施を後押しした大きな理由でした。

残価率を大きく引き上げた最大要因は「現場との目線合わせ

リブ:実際にプロジェクトを進めてみて、どのような成果や変化がありましたか?

鈴木:定量的な成果として、プロジェクトの目標だった「残価率35%」を大きく上回る44%を達成できました。約8ヶ月間という期間で、確かな数字を残せたと言えます。特筆すべきは、金利上昇という販売現場にとって厳しい外部環境の中で達成できたということです。
そして、数字以上に大きな手応えを感じているのが組織の変化です。特に、これまで個人プレーに陥りがちで、なかなか成果を上げられなかった店舗の雰囲気が大きく変わりました。プロジェクトを通じて、店舗全体で目標を達成しようという一体感が生まれ、厳しい時にはお互いがサポートし合うような関係性が出てきたのです。実際に研修後、現場からは「店舗で話す時間が増えた」「コミュニケーションが取りやすくなった」という声が多く聞かれました。

リブ:一過性の研修で終わらず、店舗の風土変革のきっかけになったのですね。

鈴木:新任部長の二人にとっても、このプロジェクトは店舗との関係性を築く上で最高の機会になったと思います。「割賦強化」という明確なテーマがあったからこそ、迷いなく現場に入り込み、コミュニケーションを深めることができた。彼らがスムーズなスタートを切れたことも、会社にとって非常に大きなプラスでした。

リブ:この成功を支えた要因は何だったとお考えですか?

鈴木:最も大きな成功要因は、リブ・コンサルティングとの密な擦り合わせによる「目線合わせ」だったと感じています。新任の部長2人は、コンサルタントが介在するプロジェクトを始めるにあたり、「コンサルタントには現場のことを知ってほしい」という想いがありました。彼らは現場出身ですから、机上の空論で話が進むことを懸念していたのでしょう。特に割賦販売は、同じ手法でもお客様の特性が異なります。とりわけ、都市部と地方では営業手法として通用する部分としない部分が大きく違う。
当社で改善が必要だったのは、まさにその地方、つまりは「田舎の店舗」でした。大都市を本拠地とするコンサルタントの目線と、地方都市の当社本部、そして田舎の店舗。この三者の目線がずれてしまえば、どんなに立派なプログラムでも現場には響きません。

リブ:現場の実情に即していないと、「やらされ感」だけが残ってしまいますね。

鈴木:リブ・コンサルティングは、こうした現場のリアルな思いや懸念を、プロジェクト開始前の打ち合わせでとても熱心に聞いてくれました。部長たちとリブ・コンサルティングとの間では、非常に密度の濃いやり取りが毎回のように行われていたと報告を受けています。
一般的なコンサルティングでよくあるのは、決められたパッケージを順番にこなしていくスタイルだと思います。しかし今回は、都度こちらの意見を汲み取り、一緒に新しい形を創り上げていくという「共創」のプロセスを取ってくれました。だからこそ、完成したプログラムは「山形トヨタ独自の割賦強化プログラム」になりました。

「あの人だからできた」から「自分にもできる」へ

リブ:実際にプロジェクトが始まった当初、現場の皆さんの反応はいかがでしたか?

鈴木:正直に言うと、最初の1〜2回の研修段階では、まだ疑心暗鬼の雰囲気があったと思います。実は当社でも以前、割賦販売強化の取り組みをしたことがありました。現場のスタッフからすれば、「また同じような話を聞くのか?」という心理が働いていたはずです。マインド変革の重要性を説かれても、「それで本当に実績が変わるのか」と、どこか冷めた目で見ていた部分もあったでしょう。
潮目が変わったのは、それまでとは違う行動を起こし、実際に成果に結びつけたスタッフが現れ始めた頃です。しかも、それが今まであまり注目されてこなかった店舗のスタッフが結果を出し始めたというのが非常に大きかった。
「〇〇店の△△さんが、こんなやり方で成果を出しました」という報告が上がるようになると、すぐに「そういう事例こそ社内で共有すべきだ」という話になりました。そして、研修の3回目あたりから数名のスタッフに事例を発表してもらったのです。
それまで、一部の優秀な営業スタッフの成功事例を聞いても「あの人だからできたんだ」で終わってしまっていた。ところが今回は、決してスタープレイヤーではなかったはずの同僚が、自分たちでも真似できそうなやり方で、継続的に成果を出しているわけです。その事実を目の当たりにして、「自分にもできるんじゃないか」と、多くのスタッフの意識が変わりました。

リブ:「自分事化」が起こったのですね。

鈴木:事例発表会を機に、現場の空気は一気に良い方向へと動き出しました。成功事例を核にして、店舗内での情報共有が活発になり、スタッフ同士が協力する体制が生まれていきました。個人がバラバラに動くのではなく、「店舗の数字を残すために協力しよう」「誰かが厳しい時は他のメンバーでカバーしよう」という雰囲気が醸成されていったのです。
全営業スタッフを集めて研修を行ったことも、非常に効果的でした。当初は現場から反発を受けることも覚悟していましたが、中盤以降は「参加してよかった」という声に変わっていきました。あの場で生まれた一体感が、今の店舗のコミュニケーションの基盤になっています。

「Vision2030」次なる課題は店長層のマネジメント力強化

リブ:今回、山形トヨタ自動車様はパートナーとして弊社を選んでいただきました。プロジェクトを振り返って、どのような点に弊社の価値を感じていただけましたか?

鈴木:リブ・コンサルティングの強みは、確固たるノウハウと柔軟さの両方を持っている点にあると感じています。営業部門のコンサルティングに関して、リブ・コンサルティングはこれまで数多くの企業を支援されてきた実績がありますよね。だからこそ、まず基本となる成功の型、いわば「マスターピース」を持っています。
しかし、マスターピースだけではすべてのクライアントに対応できるわけではありません。そこで重要になるのが、クライアント一社一社の状況に合わせて方針や手法をカスタマイズできる柔軟性の高さです。
良いカスタマイズを実行するためには、密なコミュニケーションが不可欠です。今回のプロジェクトで言えば、新任部長たちの「現場を理解してほしい」という切実な思いを汲み取り、何度も議論を重ねてくれた。そのプロセスがあったからこそ、当社の実情に合った、本当に効果の出るプログラムへと進化させることができたのだと思います。
豊富な事例という引き出しの中から、「この会社には、あの会社のやり方が応用できるかもしれない」といった形で、最適な道筋をスピーディーに提案できる。これこそが、業界に特化して実績を積んできたリブ・コンサルティングならではのアドバンテージではないでしょうか。

リブ:そう言っていただけて光栄です。最後に、今回のプロジェクトを足がかりに山形トヨタ自動車様がどのような展望を描いているのかを教えてください。

鈴木:今回のプロジェクトを通じて、本部と現場が一体となって成果を出すという成功体験を積むことができ、新任の部長は非常に良いスタートを切れたと感じています。しかし、これはゴールではなく、あくまで「Vision2030」の実現に向けた一つのステップに過ぎません。
一つの課題が解決に向かうと、その下に隠れていた次の課題が見えてくるものです。今回、全社の営業スタッフのレベルが底上げされたことで浮き彫りになったのが、「店長のマネジメント力の差」でした。現場の意識やスキルが高まったとしても、それを継続させて文化として定着させる鍵を握っているのは、間違いなく各店舗の店長です。店長がしかるべきマネジメントの方向性を持っていなければ、1年もすれば元の黙阿弥になりかねません。
今回の取り組みを通じて、マネジメントの要諦を掴んだ店長もいる一方で、まだ掴みきれていない店長もいると感じています。この差をどう埋めていくか。これは店舗間の世代交代というテーマにも絡んでくる、当社の次なる大きな課題です。

リブ:成果を維持していくために、マネジメント層の強化を図っていくということですね。

鈴木:一つの壁を乗り越えたからこそ、その先にある新たな壁が見えてきた。これは、会社が「Vision2030」に向かって着実に前進している証拠なのだと捉えています。今後もこうして現れる課題一つひとつと真摯に向き合い、組織全体の力を高めていきたいと考えています。

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