株式会社リブ・コンサルティング モビリティコンサルティング

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プロジェクト事例・実績
COLUMN THEME

株式会社東芝

EXECUTIVE SUMMARY

1. 東芝が開発したV2X(マルチパワーコンディショナ)は、太陽光発電エネルギーを高効率にEVへの充電が可能という先進的な技術である一方、EV市場が未成熟な中で製品単体での価値訴求に難しさを抱えていた。同社は従来の販売戦略(モノ売り)からの転換を図ったものの、そのための事業開発やセールスの具体的な方法論が確立されていなかった。

2.リブ・コンサルティングとのV2Xの拡販戦略構築プロジェクトを通じて、顧客の購買心理に基づいたセールスプロセスを体系化し、再現性のある仕組みへと昇華させた。プロジェクトで学んだセールスプロセス全体がチームの学びとなり、自律的な事業開発に必要な視点を獲得することができた。

「ものづくり視点」で生まれた製品の販売で直面した壁

株式会社東芝 堺 様、金親 様

リブ大熊​​ 今回のプロジェクトの起点となったV2X(マルチパワーコンディショナ)は、どのような経緯で開発されたのでしょうか?

​​東芝 堺 様(以下 堺) もともと当社には、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた公共・産業用のリチウムイオン蓄電システム「IPCS」がありました。そして2019年頃からEVの増加が予想される中、「EVも災害拠点の蓄電池たり得る」という発想へ至ります。 

EVをIPCSに接続できれば、災害拠点の電源はさらに強化される。そうした「ものづくり視点」で、V2Xは開発されました。

私たちは2020年頃、この製品を世に出すタイミングで販売に関わり始めました。この時は「モノ(製品)を売る」という発想で、自治体や事業者のお客様に製品を売り込みに回ったのですが、思うように売れませんでした。 

リブ大熊 なぜ思うような拡販につながらなかったのでしょうか?

堺 一番の理由は、この製品がEVとつながって初めて真価を発揮する点にあったと思います。当時、EVは予想ほど普及していませんでした。そのため、お客様に製品をアピールしても「あればいいけれど、EVがないからね」と断られてしまうケースが多かったんです。 

この時、私たちは従来の「モノ売り」的な販売戦略に限界を感じました。EVは確実にこれから増えていきますが、その波が来るまでV2Xを広めることはできないのかと悩みました。そこで思い至ったのが、ただ波を待つのではなく人々の行動変容や社会の仕組みに働きかけて、自分たちでEVが求められる流れを生み出すという方法です。 

私は個人的に、この方法を「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス戦法」と呼んでいます(笑)。うまく市場や世の中にEVの需要を引き起こせれば、再エネ活用や災害時の電源として利用できるV2Xの拡販につながる。 

リブ大熊 モノを売るというスタイルから、「社会課題の解決を目指した仕組みづくり」への挑戦をしようと決断されたのですね。

専門領域への理解力とビジネスへの共感に対する信頼

リブ・コンサルティング 大熊

リブ大熊 今回の挑戦は、貴社の従来のビジネスモデルとは一線を画す取り組みだったと思います。その中で、私たちのような外部のパートナーを活用しようと思われたのはなぜですか?

堺 新しいことをやろうとすると、やはり「自前主義」をどう乗り越えるかという壁にぶつかりますもちろん自分たちの技術や強みを活かすことは大前提ですが、それだけでは足りません。特に今回は、市場を創造するというまったく未知の領域に挑戦しなくてはなりませんでした 

だからこそ、私たちが持っていない知見を一から蓄積するよりも、コストをかけてでも外部から取り入れるべきだと考えました。自分たちでゼロから調べるコストや時間を考えれば、すでにその領域に飛び込んでいるプロフェッショナルと一緒にやる方が費用対効果は高いと。 

ちょうどその頃、ある方から「エネルギーとモビリティに特化した強みを持つコンサルティング会社があるよ」と紹介されたのが、リブ・コンサルティングでした。 

リブ大熊 ご紹介がきっかけだったのですね。ちなみに皆様は、コンサルティングファームとプロジェクトを共にする経験はあったのでしょうか?

堺 以前にも他社様とご一緒した経験はあったのですが、当時はまだ私たちのチーム内で「何をどこまで依頼すべきか」という共通認識が固まりきっていない状態でした。 

だからこそ、リブ・コンサルティングと最初に打ち合わせをする際は、自分たちが抱えている課題や目指すゴールをかなり明確に言語化して準備しました。「こういう課題を解決し、こういう世界を実現したい。そのために、この部分を手伝ってほしい」と。この準備は、コンサルティングファームとの仕事に慣れない私たちにとっては非常に大変でしたが、結果的にプロジェクトを円滑に進めることにつながったと思っています。 

リブ大熊 過去の経験を踏まえて打ち合わせに臨まれたのですね。今回のプロジェクトはV2Xの拡販戦略の構築が主な目的でしたが、外部パートナーとしてどのような存在をもとめていましたか?

堺 V2Xにかける私たちの想いに共感し、「このプロジェクトを絶対に成功させたい」と思ってくれる会社と、一緒に仕事をしたいと思っていましたそれくらいの気持ちがなければ、この挑戦は成功しないと感じていたからです。 

その点、リブ・コンサルティングはエネルギーとモビリティの専門領域に造詣が深く、私たちの話にも深く共感してくれました。「この人たちとなら一緒にプロジェクトを考えていける」という信頼感は、初回から感じられました。

金親 担当者レベルでも、皆さんとはフィーリングが合いました。以前の取り組みでは、我々が感じている課題感や悩みを伝え、それに対してフィードバックやアドバイスをうけるというやり取りが基本でした。

リブ・コンサルティングの場合、さまざまな角度から「こういう方法はどうですか?」と提案を投げかけてくれたのを覚えています。私たちからのアイデアをもとに一緒に方向性を検討して頂けた事で、頭の中を整理しながらアイデアを深堀りしていく事が出来ました。コミュニケーションに壁がなく、伴走してくれるスタイルは、とても頼りになりました。

チームの血肉となった再現性のあるノウハウの蓄積

リブ大熊 プロジェクトでは主に、V2X拡販に向けた共感を生むための価値の言語化と、セールスストーリーの構築を主な目的としました。そして、構築したセールスストーリーをもとにした実際の検証とシナリオのブラッシュアップを繰り返し、拡販戦略の構築と検証プロセスの確立を目指しました。

プロジェクト全体を通じて、印象に残っていることはありますか?

堺 リブ・コンサルティングとのプロジェクトを通じて、「セールスを科学する」という視点を得られたのが大きな収穫だと考えています。「モノ売り」から「仕組みづくり」へと舵を切ることで、従来の手法がまったく通用しないことを痛感させられました。

例えば「モノ売り」の場合、東芝という看板の信用があることでお客様に話を聞いてもらえるシーンが多々ありました。しかし、大半の方々がまだ認識の浅いV2Xにまつわる市場や仕組みについて話そうとすると、看板だけでは意味をなさないことが多かったんです。 

話を聞いて貰えることで、我々の取組みに共感を持って貰えると勘違いしていました。本来であれば、自分達をまずは信頼して貰うというステップを踏む必要があったんですね。既存事業・従来から続く営業活動(必要としているものを売りに行く)しか経験のなかった我々にとっては、ここに気付くのに少し時間がかかってしまいました。今必要なのか分からないものを顧客に検討してもらうには、まず自分達自身が話を聞いて貰える存在、「この人となら検討してもいいかな」という状態にならないと難しいんだなと。複数回客先へ足を運び、信頼関係を築くといったアプローチが必要でした。ちなみに、この考え方は『踊る大捜査線』のあるシーンを見て気付かされました、自分たちは間違っていたなと(笑)。 

ですが、当社のメンバーで実践できたのはここまででした。今までより時間をかけてお客様からの信頼を勝ち取っていこうというスタンスを、感覚的にしか説明できなかったんです。 

それに対して、リブ・コンサルティングは「セールスを科学する」、つまり蓋然性の高いセールス活動をする方法を教えてくれました。

リブ大熊 プロジェクトでは、「購買心理のステップ」など、顧客の意思決定プロセスを分解し、体系的にアプローチする方法論についてお伝えさせていただきました。

堺 そうしたフレームワークや言葉によって、我々が感覚的にやっていたことが一気に言語化されていきました。顧客の価値をどう見える化し、どのタイミングで何を伝えれば響くのかが腹落ちした。こうした手法を、再現性のある型として学べたことは、チームにとって非常に大きな財産です。

金親 私や堺だけでなく、メンバーもリブ・コンサルティングとのディスカッションやワークショップを通じて得たノウハウを、早速日々の提案活動に活かしています。例えば、顧客の購買心理を意識しながら提案に臨む、といった具体的な変化が生まれています。これまで頭の中で漠然と考えていたことを、明文化・見える化して整理する癖もつきました。本当にすぐに使える実践的なスキルを教えていただけたので、現場としては非常にありがたいです。

堺 チームの会話の視点が変わりましたね。以前はバラバラだった視点が、今は同じフレームワークや言語で議論できるようになった。これは大きな進歩です。よりチームのベクトルが合うことになった一つの要因だと思います。私はこのリブ・コンサルティングとのプロジェクト開始時、販売戦略構築といったアウトプット以上の結果を残したいと考えていました。それは具体的にいうと、新規事業に対しチームが・各々が自律する体制の構築です 

実際、チームメンバーには「リブ・コンサルティングのノウハウをどんどん盗んでほしい」と伝えていました。「ここで教わった考え方やセールスを、自分たちだけで実践できるようになれば、とてつもない投資効果を生むのでは?」と。チーム全員が事業開発のスキルを身につけることが重要だと考えたです。 

リブ大熊 メンバーの皆さんのスキルアップも、大きな目的だったのですね。

堺 その点で、今回のプロジェクトは期待以上でした。

モノからコトへ。製造業としての大きな変革が描く未来

リブ大熊 プロジェクトを経た今、事業の今後の展望についてどのようにお考えですか?

金親 もともとこのチームは、カーボンニュートラルに貢献する新規事業を創出するために発足されました。V2Xは、防災やレジリエンス強化という観点で一定の受注につながっています。 

今後はそれに加え、地域の経済循環や活性化に貢献する仕組みとして、より多くの自治体さんにV2Xを導入していただきたいと考えていますこのプロジェクトでは、自治体と連携した実証事業を通じて、V2Xシステムを土台として地元企業と地域の方々をつなぐ電気の地産地消スキームを構築しました。 

このスキームをさらに多くの地域に広げ、実績を積み重ね事業部の柱の一つと呼べる規模にまで育てていきたいです。 

堺 最近このV2Xプロジェクトを通じて、多くのステークホルダーの方々と話す中で感じるのは、自社の課題だけを見ていても、本当の社会課題解決にはつながらないのでは?ということです社会には無数の課題が広がっており、それらと向き合いながら自社の事業を成長させていく視点が不可欠だと痛感しています。一つの例が『人』の問題です。自社の売り上げ規模拡大のためだけに今後何人もの採用をすると企業が張り切っても、人が取り合いになって、そのバリューチェーンに空白ができ、その企業が届けられるはずだった価値が、実は届けられなかったりする。そんな事も起こり得るのではいかと思います。結局売り上げ規模拡大にはつながらず。。。本末転倒ですよね。売上規模を上げることが正しいのか、そうであれば人を増やすだけが策なのか?など、市場と同調して施策を講じていく必要があると思いますし、そのためには、あらゆる課題を理解・認識する必要があると考えます。 

このV2X事業は、自治体や中小企業といったお客様の課題に直接触れ、共に解決策を探る取り組みです。事業を通じて社会との接点を持ち、世の中が今どうなっていて、自分たちは何を求められているのかなどを学ぶことができます。会社のコア事業を成長させつつ、こうした新たな領域で社会課題の本質を吸収し、自社の視野を広げていく。そんな両利きの経営を体現するような事業にできればと思っています。 

リブ大熊 皆様のチームの取り組みは、製造業が「モノ売りからコト売りへ、そして社会課題を解決する企業へ」と移行する一つのショーケースになりうると考えています。東芝の変革を象徴するモデルケースとなることを期待していますし、これからもぜひお手伝いさせてください。

(本記事の情報は、2025年10月の取材当時のものです)

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