株式会社リブ・コンサルティング モビリティコンサルティング

COLUMN

コラム
COLUMN THEME

【LiB Mobility経営 vol.5】
デジタル活用で環境適応する次代の自動車ディーラー経営

EXECUTIVE SUMMARY

株式会社ホンダ泉州販売は、積極的にデジタル化に取り組ディーラーの1つ。最近ではグループ16店舗の受注や入庫状況を一覧できるダッシュボードを導入し、会社に関する情報を全社で共有できる環境を構築した。
また、営業活動ではLINEを活用。公式アカウントの登録者数は1万2,000人を超え、サービス入庫もLINEからの予約が増えているという。
ニューノーマルの次代では、デジタル活用を前提とした新しい経営スタイルが求められる。今回は、代表取締役の大塚雅仁さんを迎えて、デジタル化推進の狙い、効果、そして大変革の時代を生き抜くためのポイントを聞いた。

会社の情報をリアルタイムで全社共有する

LiB 株式会社ホンダ泉州販売様は、社内での情報共有や情報の利活用などを目的としてデジタル化を進めています。どのような変化がありますか。

業界面で大きく変わったのはダッシュボードの導入です。これは社内の情報や従業員が獲得した成果などをジャストタイムで全社共有するもので、受注状況、車検の実施状況、保険契約の獲得情報などを幅広く確認できます。また、営業領域以外の情報として、グループ店舗の残業状況なども把握できます。
ダッシュボードは、情報共有によって会社や会社の動きを把握しやすくする狙いがあります。例えば、自分の店舗の残業時間が他店より多ければ、その原因を考えることが出来ます。また、残業時間が少なく、成果が出ている店舗があると知ることで、どのような運営をしているのか知るきっかけができます。
LiB 従業員の意識はどのように変わりましたか。
成績や成果の共有が営業部門の切磋琢磨の材料になっています。とくに成績が良い人ほど効果が大きく「もっと上を目指そう」という意欲につながっていると感じます。
受注の成果などを得た営業スタッフは、その事を早く周知して欲しいと思います。グラフにシールを貼って管理するなら、受注後すぐに貼ってほしいと思いますし、成果が周りに評価されることが励みになります。ダッシュボードは即時性があり、受注情報がシステムを通じて自動で反映されますので、その点で営業スタッフのモチベーション向上につながります。
その効果をさらに高めるために、現在は受注情報などを目立たせる改良も検討しています。受注したら画面上に花が咲いたり「おめでとうございます」と音が出るような仕掛けにして、成果を全員で喜べるようにしたいと思っています。
LiB 営業活動ではLINEの活用も推進しています。背景と効果を教えてください。
従来型の営業はDMや訪問が中心です。ただ、DMはポストで止まり、お客様の手元に届かないことがあります。せっかく送っても読んで貰えなければコストと紙の無駄です。その点、LINEはお客様のスマホに届きます。時間が空いた時に読んでもらえますし、訪問営業と比べると、我々としても時間に縛られることなく効率よく訴求できます。
成果の面では、当社の公式LINEの登録者数が1万2,000人以上になり、入庫やメンテナンスはLINE経由で予約をするお客様が増えています。ウェブからの予約率でみると全国のホンダディーラーの中で、当社はトップ5に入っています。割合としては3台に1台がウェブ予約ですが、LINEを経由した予約が多いことが当社の特徴の一つになっています。また、LINEから簡単に予約できるため、お客様の待ち時間が減ります。お客様の貴重な時間を無駄にしないという点もLINE活用の大きな効果です。
コスト面の効果も大きいといえます。LINEで月に4~5万通の通知を発信する費用は1万5,000円です。当社のLINE登録者は約1万2,000人ですので、全員向けて3回情報発信できます。同じことをDMでやろうとすればハガキ代だけでも数百万円かかります。つまり、情報発信のデジタル化によって数百万円の節約ができるという事です。

顧客接点の作り方が変わった

LiB 営業のデジタル化により営業方法は変わりましたか。
変わりました。大きな変化だと感じるのは、営業スタッフ個々の力量や経験に頼らずとも、お客様への情報発信が同じレベルで行えるようになったことです。
従来型の営業は、「もう1軒」「もう1本」「もう1押し」ができるかどうかのせめぎ合いがあり、それが成果の差を生んでいたところがあります。しかし、お客様のデータと情報発信のツールがあれば、簡単に情報を発信できます。
また、コロナ禍では時短営業を行いましたが、サービスやメンテナンス入庫はコロナ以前と変わりませんでした。つまり、デジタル化を進めてきたことによって営業の濃度が濃くなり、時間当たりの生産性が上がったという事です。
僕が現役のときはアポなしでお客様を訪問し、それで仕事をしたことになっていました。成果を比べると、あの頃とは歴然とした違いがあります。また、コロナの影響もありますが、訪問営業が難しい状況ですので、訪問ではなくLINEなどで情報発信し、来店を促すスタイルになったことは大きな変化です。
LiB お客様との接点の作り方が全体的に変わっているのですね。
そう思います。CSの面では、何度も来店してくれているVIPのお客様や、これからそうなってくれるお客様を見分けることがこれからますます重要になっていくでしょう。しかし現状を見ると、車検や1年毎の法定検査で毎回利用してくれているお客様が、店舗では名前も顔も覚えられていないという実態があります。そういう接し方では生き残れない時代だと思っていますし、この分野こそ、デジタル化や顧客データが生きると思います。

未来の顧客はデジタルが当たり前の世代

LiB デジタル化の面で現在力を入れているのはどんなことですか。
本社ではウェブ販売に特化したチームやデジタルツールの活用促進をテーマとする部署を立ち上げようとしています。これらの部署では若手を責任者にアサインしてスタートしたいと思っています。
一方で、すでにスタートしている取り組みとして、スタッフがブログを書いています。これがお客様に好評で、ホームページの閲覧数が伸びています。
LiB どんな方が、どんなことを書いているブログなのですか。

書き手は、半分が営業スタッフ、半分がサービススタッフと事務スタッフで、その中には女性スタッフもいます。書く内容はスタッフに任せていますが、8割が店舗での取り組みで、新商品紹介や、オイル交換作業の現場レポートなどがあります。記事を読んでいると、自分たちの仕事をお客様に伝えたいというスタッフの強い気持ちを感じます。スタート時は、60歳を過ぎたおじさんでもできることを見せるという意味で僕が何本か書きました。ただ、スタッフにバトンタッチすると面白い記事が続々と出てきて、すぐに凌駕されました(笑)。
LiB スタッフの方々が熱意をもって書いているのにはどんな理由があるのでしょうか。
熱意を持って取り組んでくれているのは、真面目なスタッフが多いことが理由の1つです。また、ブログをスタートするにあたって、広告のコストを伝えました。例えば、タイヤのセール情報のチラシを刷ると、20万部で300万円くらいのコストがかかります。一方ブログにかかるコストは1拠点1カ月あたり3,000円くらいです。「今月はタイヤがお買い得です」というメッセージを、それだけのコストで世界中に向けて発信できます。そこに価値を感じてくれていることが、期待以上に取り組んでくれている理由かもしれません。
LiB デジタル化の取り組みで見えた成功のポイントを教えてください。
投資の意識が大事だと思っています。システム構築は、初期費用で500万円くらいかかることが珍しくありません。その際「500万円か・・・・・・」と思っていては先に進めなくなるでしょう。コスト意識をもって必要な機能を見極めることが大事ですが、デジタル化のための積極的に投資する経営判断が求められると思います。
実際にデジタル化を進めていくと、前述したようにスタッフがさらに上を目指して取り組んでくれるようになります。5台が10台になり、3件が5件に増えるといった効果が十分に見込めますので、初期投資には驚くでしょうけれど、運用を始めれば回収できるだろうと思います。

変化に柔軟に対応する姿勢が求められる

LiB これからの時代を生き抜くディーラーに必要だと考えていることを教えてください。

変化が大きく、早い時代です。私自身の経験を踏まえると、かつては売上高日本一と言われた百貨店に勤めていましたが、今は他社に経営権が移動しています。
業界を問わず、未来永劫はありません。業界再編や合従連衝が当たり前の時代では、自動車ディーラーもメーカーにおんぶに抱っこするだけでは事業が成り立たないでしょう。環境変化に敏感になり、白が黒になっても対応できる柔軟性が求められますし、「白は白だ」と抵抗していると置いていかれるだろうと思っています。
LiB 「100年に一度の大変革」とも言われる自動車業界では今後も大きな変化が予測されます。
そうですね。EVや自動運転などが一例ですが、高齢化や人口減少も避けられない変化であり、とくに地方は人口動態が変わることによって多くの課題を抱えるでしょう。ディーラーは地域密着型の事業ですので、地域と深く関わり、手伝えることがあると思っています。例えば、地域MaaSはメーカーや国が主体となって取り組んでいますが、我々ディーラーとしても、車の提供、運用、メンテナンスなどさまざまなアプローチから参画できる分野があるでしょう。
事業を通じて地域に貢献できれば、仕事をする従業員のモチベ―ションも上がります。デジタル化は必須ですが、地域と深くつながっていく人間的な部分もうまく組み合わせていくことが重要だと考えています。
LiB 貴重なお話、ありがとうございました。

UPDATE
2021.08.05
  • Twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

CONTACT

お問い合わせ
TEL.03-5220-2688 / FAX.03-5220-2689
平日 9:30~18:00(土日祝除く)