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【LiB Mobility経営 vol.11】
実行力を高め、成果を出せる組織づくりとは

EXECUTIVE SUMMARY

2021年11月、リブ•コンサルティングは「実行力を高め、成果を出せる組織づくり」と冠した1Dayセミナーをオンライン開催しました。エンゲージメント向上をテーマとしたこのセミナーでは、カーディーラーが抱える人づくりと組織づくりの課題を踏まえて、効果的な取り組み方を紹介。
この記事では、エンゲージメント獲得に向けた仕組みについて解説します

エンゲージメントと満足度は別のもの

企業が成長していくための戦略オプションには、営業戦略、商品戦略、組織戦略、財務戦略の4つがあります。ただし、カーディーラーの場合、この中で成長につながる差別化要素となりうるのは組織戦略しかありません。というのも、営業戦略という点では、カーディーラーは事業エリアと営業手法が限定されていますし、商品戦略も、扱える車種やサービスが制限されます。財務面では、収益性が他社とほぼ同じ構造となっているため、人の能力と組織力を高めることが、競争優位性を高める重要な戦略となるのです。
では、組織戦略はどのように考えていけばよいのでしょうか。
そこで注目したいのが、エンゲージメントの強化。つまり、従業員と会社の絆を強くすることです。エンゲージメントは、簡単に言えば、会社に対する愛着や思い入れのことです。会社を好きになってもらえば、信頼と安心感を持って仕事に取り組んでもらえるようになります。仕事のやりがいが実感しやすくなり、会社への貢献意欲も強くなり、優秀な社員の定着率も高くなり、それらが結果として業績向上に結びついていきます。
その際に1つ注意したいのは、エンゲージメントと従業員満足度は、似ているけれども異なるものだということです。エンゲージメントは、前述の通り会社への愛着などを意味しますが、満足度は、職場の居心地の良さや働きやすさに重点を置くものです。例えば、労働環境が良い、上司と部下の関係性が良い、福利厚生が充実しているといったことは満足度向上につながる要因で、それも大事ではありますが、満足度が高いからといって、従業員の仕事のやりがいや貢献意欲が高まるとは限らないのです。満足度が高くても、エンゲージメントが低ければパフォーマンスは向上しません。まずはこの2つをきちんと分けて認識することが大事です。

サーベイによるエンゲージメントの定点観測が重要

次に、エンゲージメント向上の仕組みについて考えてみます。
まずは現状把握が大事ですので、エンゲージメント獲得の取り組みはサーベイからスタートするのが良いでしょう。そのための手段としては、従業員に向けたアンケートの実施や、解答結果の分析などがあり、ここでも満足度とエンゲージメントを分けて調査することが重要です。
このような調査からエンゲージメント獲得を妨げている要因が見えてきたら、人事組織戦略の視点で解決できるものと、研修や学習によって解決できるものに分けて考えます。
人事組織戦略での解決は、例えば、採用、配置、教育の見直しや、評価制度の見直しなどが考えられます。
一方の研修や学習による解決は、マネジメントの原理原則を勉強したり、学んだことを全社や店舗で実践しながら、改善策を考えることができるでしょう。エンゲージメントが低い原因は、上司と部下のコミュニケーションに原因があるかもしれません。会議が報告中心で、従業員の意見や主体性を発揮できないことが原因の場合もあります。このような原因を踏まえながら、エンゲージメントを高める仕組みを考えていきます。
このような取り組みを並行して行いながら、定期的なサーベイで変化を把握します。
サーベイについては、社員1人1人が何を大事にして働いているかを踏まえた上で、当人の価値基準と満足度のズレを抽出することが大事です。例えば、ある人は給料を重視しているかもしれませんし、ある人はお客様や仲間との関係性構築を重視しているかもしれません。これが現状と合致した時、つまり、自分が大事にしている価値基準が満たされていると感じた時にエンゲージメントが向上します。そのため、ズレを分析することが重要で、ズレを修正していくための施策も重要になるのです。
例えば、EISサーベイはそのズレを可視化するもので、どんな価値基準を持った人が、どれくらい満足しているかがわかります。

店長任せではなく会社としての仕組みづくりが求められている

エンゲージメント獲得の具体的な取り組みでは、仕事の成果が、マインド(役割認識)、スキルセット(自己管理と実務遂行)、モチベーション(動機付け)の3つの要素によって生み出されることを踏まえておく必要があります。例えば、前月の業績を振り返り、試乗、査定、見積りの件数が少ないと分かった場合、その原因は、試乗、査定、見積りを獲得する役割をきちんと認識できていない場合もありますし、業務の優先順位をつけたり時間を管理するスキルに問題があるケースもあります。モチベーションが低下しているようであれば、やる気を高めるフォローや、心理的に支える働きかけなどが欠けているのかもしれません。このような点を踏まえずに「今月はしっかり頑張れ」と言っても、成果は出ないでしょうし、エンゲージメントも低下しやすくなります。

職場では、このような働きかけをするのは店長の役割ですが、店長1人の育成責任とするのではなく、会社としてエンゲージメントを獲得しやすくする仕組みづくりが求められます。社員がやりがいを持って働ける職場を作ること、会社と個人がお互いに成長していける社風を醸成することなども含めて、エンゲージメント獲得の取り組みを会社として考え、実践していくことが重要なのです。

▼エンゲージメントサーベイ▼
UPDATE
2022.03.02
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