営業戦略

2020.04.10 追い風も通過点。常に複数のシナリオを持ち、目標を上げ続ける

株式会社エイチ 様

2013年設立。”循環型社会を創ることを通じて人々を幸せにすること”をミッションに、循環という仕組みをテクノロジーを使って実現し、人類の生活の根本基盤として利用されるような、人々の生活や資源獲得に関しての適正化を実現するマッチングプラットフォームを創生を目指す。現在の事業は、各種レンタル事業、スペースレンタルコンシェルジュ事業を行い、積み上げてきたレンタルスペースの情報(データベース)を活用し、会議室などの検索・予約ができる法人向けサービス「スペースコンシェルジュ」を展開。

  • 1.株式会社エイチは、法人向けに会議室などの検索・予約サービスを提供する会社。潜在的なニーズが大きい分野にてスピーディかつ効果的な事業展開を実現していくためには営業組織の立ち上げや営業方法の確立が必要だが、ベンチャー企業特有の課題として、そのための社内リソースが不足していた。
  • 2.事業拡大に向けた施策などを検証するためにコンサルティング会社(リブ・コンサルティング)に依頼。外部の力を活用することによってリソース不足の課題を解消。短期で成果を出すことに重点を置いた検証を繰り返すことにより、見込んだ通りに事業を成長させた。

お話を伺った方

株式会社エイチ|代表取締役 伏見 匡矩 様

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。2006年、P&G Japan マーケティング本部へ入社し、シンガポールアジア本社で1年ほど出向。2011年、リクルートから10億円の出資を受けエモーチオを設立、取締役就任。2013年、ベビー用品レンタルショップのココロイロを設立、代表取締役社長に就任。2015年、エイチを設立し空きスペースのレンタルプラットフォーム事業に乗り出す。

事業内容と会社設立の背景について

甲浦 エイチの事業について教えてください。

伏見 当社は主に法人や政府・公共機関を対象として会議室やレンタルスペースの検索サービスを提供する会社です。「スペースコンシェルジュ」と名付けたこのサービスが当社の主軸事業で、2013年の会社設立以来、全国で1.5万件の利用実績があります。サービスの特徴としては、当社に約1.2万件の会議室などのデータベースがあり、顧客の利用ニーズに合わせた検索サービスを無料で検索し、予約していただくことができます。

甲浦 シェアリングエコノミーが普及し、個人や小規模な団体に向けたレンタルスペースの検索サービスが増えました。法人利用にはどのような特徴があるのですか。

伏見 個人の利用と比べて、法人利用は細かな条件が求められます。例えば、採用面接ひとつをとっても、グループディスカッションで使用する場合はテーブルは可動式の方が良いでしょう。個人または集団面接などで利用する場合は、待機する人の椅子を廊下に準備する必要がありますが、消防法によって廊下に椅子が置けない会場もあります。

甲浦 たしかに、人事担当の「採用面接」という一部だけでも様々な利用形態がありますね。それを把握して比較する必要があるんですね。

伏見 はい、従来、企業の人事担当者などは、このような希望・制約条件を満たしているかどうかを確認するために、レンタルスペースの運営会社に個別で電話をかけていました。でも、希望条件は理解していても、制約条件を知らない方も多く、会場側もそこまで細部の情報は、利用者から聞かれない限り自ら説明することはほとんどありません。双方で事前に確認できていなかったから思うように会場を使えなかった…という声も実は多いです。

それに、年に何十回ものイベントを行っている企業では、担当者がその都度場所探しをしなければなりません。細かな条件を指定して検索できるサービスがなく、そもそも個人向けと比べてセミナーなどに適した大きな会議室などは数が少ないため、イベントが多い会社の担当者にとって場所探しは大きな負担になっていたのです。

甲浦 条件が細かくなるほどマッチングも難しくなりますね。

伏見 そうですね。条件に合わなければニーズは満たせませんので、検索サイトではできるだけ細かな条件が設定できるようにしています。日付と条件、用途などを入力すると、当社のデータベース上から候補となる部屋を提示しますし、より適切な部屋を提案するために、当社の担当者が相談に乗りながら場所を探すこともできます。サイトや人を通じて細かな条件を引き出すのは、法人利用の潜在的なニーズを顕在化させる役目もあります。この作業はAIには難しく、人が得意としている分野だと思います。サービス名にコンシェルジュとつけているのも、そこに人だから実現できるという特徴があると考えているためです。

甲浦 では、「スペースコンシェルジュ」の事業立ち上げのきっかけを教えてください。

伏見 世の中にはレンタルできるものがたくさんあり、例えば、キャンプ用品やスキーの道具は昔からレンタルできますし、車のレンタルもあります。私も以前はベビー用品のレンタル事業(ココロイロ)を手掛けていました。その視点から見たときに、イベントで使うためのモノはある、移動手段もある、あとは場所かなと思いました。もともと私はモノなどを大量に作り、消費する事業よりも、循環させる事業に興味を持っていました。あらゆるものの循環が価値を生み出すと思っていたため、場所を提供することによってモノ、スペース、ヒト、時間の循環型社会を作り出したいと思ったのです。

コンサルティング活用を決めた理由

甲浦 事業拡大に向けてコンサルティング会社を使おうと考えた理由を教えてください。

伏見 リブ・コンサルティングはコンサルティング会社ですが、われわれの考えとしては、当初からコンサルタントを起用しようという気持ちはありませんでした。一般的にベンチャー企業は事業の組み立てからスケールの方法まで自分たちで考えますし、当社の場合も、私に起業に関する経験と知見があったからです。

ただ、会社として非連続的成長を実現していく中で、検証したいアプローチオプションがいくつかありました。そのためのリソースとして自社で補いきれないところを高い水準の外部リソースに担ってもらおうと考えていたのです。

甲浦 事業開発の実現性や施策の効果などを高い水準で検証する「誰か」が必要だったわけですね。

伏見 はい。検証目的で社内に組織を作ることもできますが、そのためには時間がかかります。優れた人財を採用できるかどうかという壁にもぶつかります。当社の事業モデル上、繁忙期は3月から4月に集中しますので、超短期的に検証しなければ実行に行かせるのは1年後になってしまうのです。その点、検証部分を外部リソースに任せれば、短期で精度が高い検証ができます。検証の過程においても、自社では採用が難しい能力や実行力がある人に任せることができます。

甲浦 当社に依頼いただいたきっかけは何だったのですか。

伏見 事業を成長させていくためには大企業向けの営業組織を作る必要があり、それが当社にとってはチャレンジでした。その解決策を考えていたときに、リブ・コンサルティングが開催していたOYO LIFEさんとのタイアップセミナーに参加をしました。OYO LIFEさんの支援実績や、プロジェクト内容をそこで知ったのです。当社とOYO LIFEさんはスペースと人をマッチングするという点で事業モデルに似た部分があります、この分野での支援成果があったことがリブ・コンサルティングに依頼した大きな理由の1つとなりました。

プロジェクトの内容と評価

甲浦 プロジェクトは、大企業の人事部門アカウントオープンの仕組化を与件としていました。その為、先ずはターゲットユーザーへの解像度を上げるところから着手しました。外部会議室の利用が想定されるユーザー属性を特定、そして彼らの購買構造(KBF・意思決定構造)の明確化。
いくつかの仮説をインタビューやアンケートを通して明らかにしていけたと捉えています。それらユーザー像を明らかにしていく過程と共に、アプローチオプションも併行して洗い出し、リブがその実行検証を担いました。クイックにフィードバックループを廻していきながら、実行検証によってもターゲット像を明らかにし、アプローチオプションの精度を向上させていきました。最終的には、有力な開拓施策を絞込み、コンテンツ・ツール、プロセス設計まで行い、エイチ様にて自走可能な仕組みまで構築出来たかと思います。

プロジェクトの当初与件はこれらイネーブルメントなモデルの設計・導入まででしたが、副次的には先の実行検証の中で、エイチ様の今後のグロースに大きく寄与し得る複数のエンタープライズ・クライアントも獲得できましたね。得られた成果をどのように感じていますか。

伏見 依頼して良かったと思っています。その理由の1つとしては、資産がないベンチャー企業にとっては早く結果を出すことが重要で、そのような背景を理解し、短期で具体的な成果が見えてきたことに非常に満足しています。営業方法を作り上げていく過程においても、すぐにターゲットとなる企業のリストが出来上がりましたし、営業の新しい方法も検証しながら立ち上げていくことができました。このような成果は自分たちのみの取り組みでは生まれなかっただろうと思います。なので、当社にとってのリブ・コンサルティングは、コンサルティング会社というよりもアプローチ検証を代行してくれるパートナー会社というイメージの方が強かったのだと思います。

甲浦 そうですね。当社でも、ベンチャーのクライアント様には特に、戦略だけではない実行まで行うパートナーを意識しています。

伏見 今回のような、短期的な支援の場合、施策を絞って検証の質を高めることがよいのではないか?と思うこともありましたが、コンサルタントの方々があらゆる可能性を考え、一生懸命検証してくれたのはうれしいことでした。

ベンチャーのコンサル活用の可能性と今後の展望

甲浦 ベンチャー企業がコンサルティング会社を活用する価値は何だと思いますか。

伏見 当社は前述の通り、リブ・コンサルティング=コンサルティング会社という感覚はあまり持っていないですが、若くて行動力があり優秀な人を味方にして事業の実現性やスケーラビリティを検証していくソリューションでは、コンサルティング会社の活用には大きな価値があり、その中でもリブ・コンサルティングがオンリーワンなのではないかと思います。

一般的に、ベンチャー企業にはそれぞれ自分たちのやり方があり、その方法を踏襲していきたいと考えがちです。しかし、外部から声をもらいながらボトムアップしていく方法も検討する意義があると感じています。

甲浦 最後に、エイチ様の今後の展望を教えてください。

伏見 「スペースコンシェルジュ」の強みは、コンシェルジュとAIです。この組み合わせを活用したサービスを日本と世界に向けて広げていきたいと考えています。会議室などの予約以外にも、企業ではさまざまな業務がアナログで行われています。庶務が行っている社員の出張手配や総務が担当する育休取得の手続きなどが一例です。このような分野の業務課題にコンシェルジュとデータベースを提供していきながら、世の中の働き方をより良い方向に変えていきたいと思っています。

(左からエイチ伏見様、担当コンサルタント甲浦)