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【LiB Mobility経営 vol.13】
顧客対応の一元化、自動化、
可視化でコミュニケーションを深化させる

EXECUTIVE SUMMARY

株式会社シンカが開発・提供している「カイクラ」は、会話をクラウドで面白くすることをコンセプトとするCTIツール※。着電時に相手の情報が画面上にポップアップ表示されるほか、電話やSMSなどの発着信履歴や会話の内容、要点などを自動で蓄積することができる。
導入効果としては電話対応を通じたトラブル防止と顧客満足度の向上に結び付き、地域の顧客やオーナーとの関係性強化を見据えてカーディーラー業界でも導入例が増えている。会話に注目する価値と、顧客対応の改善によって見えてくる将来の勝ち筋について話を伺った。

※Computer Telephony Integration。顧客のデータベースと連動させることで通話相手の情報や過去の応対履歴などを表示させるシステム。

会話の質を高めてCS向上に結びつける

LiB 「カイクラ」は、すでに100社超のカーディーラーで導入実績があります。開発の背景を教えてください。


株式会社シンカ
代表取締役社長 江尻 高宏 氏

今から約10年前、前職で中小企業の業務実態を見たことがきっかけでした。私は小学生の頃からプログラミングなどに携わってきたこともあり、また、学生の時はWindows95が発売され、さらにはインターネットが急速に普及したことで、ITによって世の中が変わるだろうと思っていました。ところが、日本の99%以上を占める中小企業の現場を見ると、IT活用とは程遠い実態がありました。日本は先進国の中で最も生産性が低いといわれますが、アナログ業務1つ1つが非効率で、社員がみんな忙しくしています。この状況を変えない限り中小企業の生産性は上がらず、働いている人たちも幸せになれないと思ったのです。

LiB どんな点が非効率だと感じたのでしょうか。

例えば、取引先とファックスでやり取りしている会社があります。紙ですから記入ミスや読みづらい文字がありますし、ファックスから出てきた注文書を社長の机の上に置くため、風で紙が飛んだら注文が分からなくなります。電話でのやり取りも会話の記録がありませんので、仕事が属人的になっていましたし、「言った、言わない」のトラブルも起きていました。

LiB そのような実態を見てITでの支援を考えたわけですね。

はい。当初は電話やファックスのやり取りを代替する受発注システムを構想しました。ただ、もう少し深く現場を見てみると、電話でのやり取りが実は重要な役割を果たしていることに気づきます。電話で注文を出したり受けたりする前後の会話で、「次の会合は行きますか?」とか「来月ゴルフに行きましょう」といった会話があり、そういうやり取りが地域の顧客との絆を深めていると分かったのです。そこで、電話で会話があることを前提として、「言った、言わない」のようなトラブルを防ぐシステムを作ろうと考えました。そこでできたのが「おもてなし電話」というサービスで、後にコミュニケーションの一元管理ツールである「カイクラ」に進化していったのです。

LiB おもてなし電話はどのような機能のサービスだったのですか。

電話がかかってきた時に相手の情報が画面にポップアップ表示されるCTIを使うサービスです。CTIは、それまではコールセンターを中心を導入される高額のシステムだったのですが、クラウドが普及し始めたことによって安く提供できるようになりました。着電時に相手が分かると「あの件かな?」「こんな用事かな?」などとあらかじめ予想しやすくなります。また、従来は電話を取ってからお客様の情報を探していました。カーディーラーで言えば、まずはお客様の氏名を聞き、その情報を基にして車の情報を検索し、その上で、オイル交換や車検といった具体的な話に入るという流れです。相手の情報を探すための時間は1分くらいかもしれませんが、お客様によってはかなり長く待たされていると感じる人もいます。CTIで顧客情報があらかじめ分かれば、待ち時間が減り、用件もスムーズに伝わるようになり、顧客満足度(CS)が向上するだろうと考えました。

LiB 当初と比べて現在の「カイクラ」はあらゆる機能が拡充されています。

コミュニケーションの一元化、自動化、可視化の3つのコンセプトとして機能を増やしていきました。電話の発着信の履歴は自動で蓄積され、着電時のポップアップで顧客情報が可視化できます。営業担当者などが持つスマートフォンにも対応させ、SMSでのやり取りも自動で残せるようになっています。一元管理という点では、ビデオ電話、メール、LINEとも連携させ、DMの送付といったアナログなコミュニケーションも含めて管理しています。

非連続なコミュニケーションを改善できる

LiB さまざまな業種がある中でカーディーラー業界に支持されている理由はどんな点ですか。

非連続だった顧客とのコミュニケーションを改善できる点が大きな理由だと思っています。車は高単価で購買頻度が低い商品ですから、買うまでコミュニケーションが多く、買った後も入庫などを通じてコミュニケーションが続きます。この関係性を維持していくためには、本来、コミュニケーションは継続的でなければなりません。しかし、実態はどうかというと、定期点検の直前まで連絡を取らないケースが多くあります。つまり、切れてはいけないはずのコミュニケーションが切れているため、その点を改善できることが「カイクラ」の支持に繋がっていると思います。高単価で購買頻度が低い商品を扱っているという点は不動産も同じで、カーディーラー業界と不動産業界が、今の我々の主なターゲットとなっています。また、この2つの業界は、今の我々の主なターゲットとなっています。また、この2つの業界は、経営層も社員も「お客様対応をよくしよう」という意識が強く、そのために必要なものに投資する感覚があります。そのため、他の業界と比べて購入意欲が大きく、サービスの解約率が低いという特徴があります。

LiB カーディーラーが持つ課題や目指したい姿に対して「カイクラ」の提供価値が機能面でマッチしたわけですね。

そう感じます。ただ、現状のサービスで完成とは思っていません。社名のシンカとも関係しますが、システムはお客様の業務と共に変わり、進化していく必要がありますので、我々は月1回のペースでバージョンアップを行っています。また、ユーザーであるカーディーラーや不動産会社から「こんな機能が欲しい」「こんなふうにできたらいいのに」といった声をいただき、必要な機能を追加しているという点で「カイクラ」は現場の声によって進化する現場に寄り添ったシステムといえます。

LiB カーディーラーからの評価について教えてください。

成果面では、例えば、オイル交換や車検の案内をSMSで連絡することによって入庫率が10%上がった、といった反応をいただいています。また、納車日から何日後に無料点検の案内を自動で送るといったシナリオを作ることで、SMS送信を自動化でき、業務負担を減らすこともできます。もう1つ特徴的だと感じるのは、会社や店舗全体としてお客様のことを意識できるようになったという声が多いことです。例えば、お客様から電話がかかってきたときに顧客情報が自動的にポップアップ表示されます。これは業務の効率化という点でも重要なのですが、担当者以外のスタッフも誰からの電話か見ることができます。誰々さんから電話だ、あの車を買ったお客様だな、どんな用事だろう、オイル交換かな、など、それまでは気にならず、電話があったことも知ることができなかったお客様について、意識できるようになったということです。

1対nの関係性をn対1に変えていく

LiB 顧客情報が共有できれば、担当者不在でも対応でいるようになります。現状は、各担当が対応するのが当たり前で、むしろ担当者以外が対応するのは良くない、といった考えがありますので、そのような接客の姿勢も変わっていきそうですね。

そう思います。過去に誰がどんなコミュニケーションをとってきたかが分かれば「担当が不在なので分かりません」「後ほど担当者から折り返します」といった対応を、「オイル交換の件ですね」「担当と共有します」といった対応に変えていくことができます。これはお客様にとって良いことです。いつ電話しても自分の要件が共有されているわけですので、気持ち良い対応だと感じ、大切にされていると感じてくれると思います。

LiB 過去の会話を情報として共有することがCS向上につながるわけですね。

我々がよく言うのは、n対1の顧客対応を実現すると言うことです。現状の顧客対応は、1対nです。お客様から見ると車を買ったカーディーラーは1ですが、カーディーラーは複数のお客様に車を売っていますので、カーディーラーから見るとお客様はnです。まずは、この状態を1対1にする必要があります。お客様は自分をきちんと見て欲しいと思いますので、カーディーラー側もnの中の1人として見るのではなく、名前で認識し、1対1の顧客対応をする必要があります。ただ、実際問題として全てのお客様を記憶できる人はいません。だからこそ、CTIや顧客管理の仕組みなどを使って、1人1人を正しく認識することが大事です。その先にあるのがn対1、つまり、担当者以外でも適切な対応ができるようにして、店舗や会社の複数のスタッフがnとなり、お客様1人に対応する状態を実現するということです。

LiB それは大事な視点ですね。現状、手書きのノートを作って顧客情報を共有している店舗もありますが、検索性や手書きする手間などを考えると、その部分こそIT活用が重要だと感じます。

n対1の実現では手書きノートも良いと思いますが、コーヒーをこぼしたらどうしようもありません。データで蓄積する場合も、例えば、CRMのデータは情報を探しにいく必要があり、そこで手間と時間がかかります。その点で、情報が自動的にポップアップ表示されることが重要だと思います。また、情報が分かり、便利に感じると、現場の人たちもシステムの良さを実感しやすくなり、浸透しやすくなります。システム導入では、どうやって入力してもらうか、どうやって活用を推進するかといったことが課題になります。入力の抵抗感がなく、便利だから入力しようと思えるシステムであることが大事ですし、データが自然に活用され、システムによる支援が業務に溶け込んでいくようにすることがシステム活用のポイントだと思います。

LiB 地域密着で、オーナーを大事にするカーディーラーだからこそ、コミュニケーションの取り方は今一度見直して見ることが重要ですね。

そう思います。会話が面白くなければ世界が面白くなる、というのが我々の考えです。車を買う人は、移動手段として車そのものを買うのではなく、車がある生活を求めていると思いますし、そこにはカーディーラーとのやり取りも含まれると思っています。そのニーズを満たすためにも、属性的な顧客情報だけでなく、会話という資産を蓄積していくことが大事です。技術が進めば、会話のデータからお客様1人1人の趣味や嗜好などあらゆることが解析できるようになるでしょう。そのためにも、会話を情報として残していくことが大事ですし、その量と質が、勝てる企業になれるかどうかを決めると思っています。

LiB  ありがとうございました。

 

 

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UPDATE
2022.06.02
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