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【LiB Mobility経営 vol.15】
市場拡大中のバッテリー分野で新たな事業機会を見つけ出す

EXECUTIVE SUMMARY

2022年6月、リブ・コンサルティングはE Vトランスフォーメーションをテーマとしたオンラインセミナー(「BaaS(バッテリー・アズ・ア・サービス)事業の今後の展望とEVベンチャー企業の最新取り組み事例紹介」)を開催。当社コンサルタントがバッテリー市場の動向と事業化に向けたポイントを提示するとともに、バッテリー関連事業で先行する2社の代表をゲストに迎え、BaaS事業化に向けたヒントを提供してもらった。今回はセミナーの内容を抜粋して紹介する。

バッテリーの利活用が新たな事業化のチャンス

BaaSは、Battery as a Serviceの略。EVを車と電池で分離し、車はユーザーが所有、バッテリーはBaaS事業者が保有し、サービスとして利用する事業モデルを展開する。
BaaSが生まれた背景を見ると、まず脱炭素社会の実現に向けてBEVと車載用バッテリーの市場規模が拡大し、バッテリーの効果的な利活用や、リユース、リサイクルの取り組みが活性化していることが挙げられる。ユーザー側は、BEVの車両とバッテリーを切り離し、バッテリーをサブスク型のような形で利用することによって車両購入の費用負担を抑えることが可能。一方の事業者側も、バッテリーをサービスとし提供する方法の探索や、BaaSの事業化に向けた取り組みが進んでいる。
市場動向を見ると、経済産業省の算出では、車載用と定置用バッテリーの需要は2019年から2050年にかけて47倍に膨らむと予想されている。今後もバッテリーの生産量が増えることは明らかで、同時に、バッテリーの寿命延長や使用済みバッテリーの利活用といった分野に新たな事業化のチャンスがあると考えられる。

ユーザーの課題と社会課題を解決

BaaSの特徴は、BEV購入時の課題と環境配慮を含む社会的な課題を両方解決できるところにある。BEV購入時の課題としては、まず現状のバッテリーは充電時間が長く、バッテリーそのもののコストが高く、電池の劣化リスクがある。また、社会的な課題としては、バッテリーの需要に対する供給不足、資源不足、そして使用済みバッテリーの廃棄に伴う環境への影響がある。
このような課題に対して、BaaSはバッテリーをシェアリングなどのサービスとして利用することが特徴であるため、BEV購入についてはコストの課題などを解決し、社会的な課題についても、BaaS事業者による使用済みバッテリーのリサイクルなどを通じ、環境保護に結びつけていくことが可能。バッテリーの交換ステーションで充電済みバッテリーと入れ替えながら、BEVの利用者、BaaS事業者、環境と社会のそれぞれに向けてメリットを生み出すことができる。

すでに始まっているBaaSの事例

バッテリーを交換しながらBEVを利用する例として、例えば、二輪車ではGachacoのバッテリーシェアリングサービスがある。
これは、ENEOSと国内バイクメーカー4社の取り組みで、メーカー共通仕様のバッテリーを使うことにより、バッテリー交換ステーションでのバッテリー交換を可能にし、充電時間が長いという課題をシェアリングによって解決する事業である。四輪車では、中国電力とAZAPAが完全自立型のEVシェアリングステーションの実証実験をスタートしている。これは太陽光発電のみで運用するEVステーションとカーシェアリングを組み合わせる施策で、再エネ発電、蓄電システム、バッテリーの充電と交換を一体化させることによってゼロカーボン・ドライブの実現を目指すものだ。

事業化に向けた2つの着眼点

BaaSはまだ新しい概念で、サービスの多様化や普及はこれから加速していくことが予測できる。そのチャンスをとらえるためには、バッテリーのバリューチェーン全体を俯瞰しながら、自社アセットを生かせる事業機会を見つけていくことが重要だ。
その際に押さえておきたいポイントは2つ。
1つは、一気通貫したエコシステムの構築。バッテリーは、規格や流通経路が様々であるため、規格統一や流通経路の整理などをカバーし、一気通貫したエコシステムを構築することが重要である。これは企業単体で取り組むのが難しいため、他社とのアライアンスを通じて実行していくことになる。エコシステムを構築できれば、バッテリーの需要と供給の全体像を最適化することができ、それがBaaS事業者としての競争力向上に結びついていくだろう。
2つ目のポイントは、バッテリーサイズに合わせた二次利用だ。バッテリーは、車載向けに提供するだけでなく、回収後の利活用も事業化の機会になる。例えば、小型バッテリーは持ち運びができる点を活かして、モバイルバッテリーとして活用できるかもしれない。中型なら家庭や事業所向けの定置用蓄電池として活用でき、大型バッテリーは発電所や工場といった大規模事業者向けの定置用蓄電池として活用でき、BCP対策に結びつけることができる。
重要なのは、事業機会を探索し続けること、そして、戦略の構築から事業化に至るまでの取り組みをスピード感を持って実行していくことだ。モビリティにおけるBEVの注目度と期待が高まっている今こそ、BaaSに目を向けることが既存事業を大きく変革させるきっかけになるはずだ。

『事業機会の探索や事業化に向けた実践的な支援として、リブ・コンサルティングによる外部支援の活用もご検討ください。リブ・コンサルティングは、「モビリティ業界をリードする」をモビリティ・インダストリーグループのミッションに掲げ、戦略構築と事業化に向けた支援を実行。豊富な支援実績と、業界最先端の一次情報ネットワークを生かす鮮度の高い情報提供により、企業単体では獲得が難しい多様な知見を提供します。新たな価値を模索し続ける企業様と共に、モビリティ社会への転換を促進していきます。』

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UPDATE
2022.08.09
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