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【LiB Mobility経営 vol.16】
学びや出会いの幅を広げて経験値を増やせる環境を提供する

EXECUTIVE SUMMARY

全2回でお届けする、トヨタカローラ香川様への第2回目のインタビュー。

トヨタカローラ香川は、観光地での小型モビリティの提供や整備の出張サービスなど新しい事業に取り組んでいる。その背景にあるのは、中長期ビジョン「フライトプラン」を通じて従来型のカーディーラー事業モデルを進化させる戦略だ。新規事業を推進していくためには社員を巻き込み、一枚岩となって挑戦していくことが重要 。15号ではビジョン策定の背景と狙いについて、今号16号では9拠点、200名超の社員を束ねる組織の作り方について話を伺った。

視座を高める機会と環境を提供


トヨタカローラ香川株式会社
<中央>代表取締役社長 向井 良太郎 氏
<左>EV・エネルギー事業室室長 特販事業部 リース課
マネージャー 坂西 哲郎 氏
<右>総合営業推進部 (フロア・サービス担当 兼
輸入車事業担当) 副部長 因藤 明央 氏

LiB トヨタカローラ香川様は、中長期ビジョン「フライトプラン」を掲げ、カーディーラー事業の変革に取り組んでいます。新しい取り組みや新規事業は、社内での共感が得られずに難航するケースがありますが、貴社では組織づくりの点でどのような点を重視しているのでしょうか。

向井良太郎氏(以下、敬称略) 店長の視座を高くすることが大事だと思っています。会社は新しいことに次々と挑戦していきたいと考えますが、実行する店長にその度量がなければ実現できませんし、パンクしてしまうでしょう。視座の高さは、その人の能力を決めると思います。当社では店長が店舗と本部を3年くらいのペースでローテーションする制度を作り、店舗では経験できない領域、出会い、考え方を学べる機会を作っています。

LiB フライトプランでは、観光地での小型モビリティの提供や出張整備といった新しい取り組みを推進しています。そのような挑戦も現場を任されている人たちが成長することによって実行しやすくなるわけですね。新規事業に携わっている因藤副部長、坂西店長は、どのように感じていますか。

因藤明央氏(以下、敬称略) 私は性格的にいろいろなことをやりたいタイプですので、新規事業に携わる立場を与えてもらっていることを嬉しく感じています。また、店舗では免許返納や廃車の依頼を受けることがあり、そこでお客さまとのお付き合いが終わることを寂しく感じていました。ご高齢になったお客さまとも引き続き関わっていきたいという思いは以前からあり、その解決策を打ち出せるのも新規事業に関わる楽しさにつながっています。

坂西哲郎氏(以下、敬称略) 新しい取り組みは成功するか失敗するかわかりません。挑戦している最中は、「これでいいのだろうか」「違う方法が良いのではないか」と考えますが、そのプロセスには必ず新たな発見があり、経験が増えます。社内でのローテーションも含めて、視座を高くするための経験は大事だと感じています。

向井 2人は元々、新しいことに取り組むことを好むタイプだったと言えます。そういった素養を伸ばすために、経験を積める機会を作ることが大事ですし、フライトプランを実行していく過程では、LiBさんとのやり取りも視座を高めるという点で影響していると感じています。

LiB 外部組織との接点や協業も重要ということですね。

向井 そう思います。コンサルティング会社の活用は、外部の人たちと大きいプロジェクトを動かしていく経験を通じて、学ぶことができ、社内ではできない経験ができるのが特徴です。その経験とチャンスを与えることが私の仕事だと思っています。本部はLiBさんなど外部の人とのやり取りを通じて視座を高めやすい環境にありますが、現場にはそのような接点がありません。その状態で「視座を高めよう」と言っても難しいため、我々にない知見や考え方などを実体験として浴びることができる環境を設定する必要があります。店長は店舗のトップであるため、店長の幅が店舗の幅になってしまいますので、LiBさんのような外部脳を使わせてもらい、発想や仕事の進め方を間近で見て、経験してもらうことが大事なのです。

これからのマネジメントは発信力が重要

LiB 現場である店舗スタッフにとって、ローテーションによって店長が変わることでどんな影響がありますか。

向井 上司が変わると業務のやり方が変わることがあります。
やり方を固定化する必要はありませんし、いろいろな店長が来て変化をもたらすことが、結果的に現場の成長に結びついたり、業務の効率化につながったりします。また、本部にとっても店長経験者がいることが大事です。ずっと本部にいると現場のことがわからなくなりますので、現場感覚を持つ人が本部に入ることは大事ですし価値があることだと思います。

LiB 社内では向井社長が積極的に方針や考え方を発信しています。本部との距離が近くなると方針などもさらに深く理解しやすくなりますね。

向井 そうですね。社長が発信する内容はわかりやすく納得できます。それは、発信する内容に一貫性があるからで、1本筋を通した上で、やり方は我々に任せるという点も現場としては大きな価値を感じています。

坂西 私を含め、社員1人1人について良いところと悪いところを理解し、話も聞いてもらえる点も大きいと感じています。私自身は、新車、中古車、用品併売、法人店舗、リースなどいろいろなタイプの店舗をひと通り任せてもらいました。チャンスを与えてもらっているからこそ期待に応えないといけないという気持ちが強くなります。

向井 発信力は重要です。例えば、店長は店舗では店長という立場があるため簡単に発信できますが、本部では波及力が落ちるかもしれません。本部も同様、店舗全体に方針を伝え、浸透させるためには、自分たちの考えを整理し、言い方や表現方法を工夫することが求められます。今後は発信力のないマネジメントは厳しくなるでしょう。我々は目的と目的に到達するためのストーリーを語れる発信力ある店長を増やしたいと思っています。視座を高め、自分の考えを持ち、発信するステップを積み重ねていく仕組みが大事だと思います。

「なぜ」の理解と納得が不可欠

LiB 店舗や店長に向けたメッセージの発信では、売上向上や販売台数を伸ばすといったことを前面に出しているカーディーラーもあります。業績についてはどう捉え、どのようなことを伝えているのですか。

向井 全店舗に向けて伝えているのは、本部方針についての理解度と納得度がない状態で「本部の方針だから」という姿勢で取り組む仕事は無駄、ということです。本部方針は理解してほしいのですが、それは1回脇に置いて、自分たちが本当にやりたいことは何なのかを考えてもらいたいと思っています。店舗や店長が現場で必要だと思うこと、やりたいと思うことをベースとして本部の施策を組み合わせることが重要だと思っています。

LiB トップダウンの指示だけでは限界があるということですね。

向井 はい。割賦や紹介獲得も同じだと思っています。なぜ我々が割賦を扱い、紹介獲得に力を入れるのか、その「なぜ」を理解することが大事ですし、社員向けにも「なぜ」について話す機会が多くあります。また、全国的には珍しいのですが、当社は営業部門の個人インセンティブがなく、インセンティブのない営業を20年間続けてきました。お金で売り上げは引っ張れませんし、お金で引っ張りたいとも思っていないからです。

LiB 「なぜ」の答えはインセンティブとは別のところにあるわけですね。

向井 例えば、4台売ることが目標なら、なぜ4台かを伝えないと意味がありません。なぜ4台か、どういう4台か、その結果、収益がどうなり、それが社員に何をもたらすのか。そこのストーリーがなければ現場は納得できませんし、店舗は台数を追いかけるだけになってしまいます。評価や反省で「たまたま売れた」「売れて良かった」の積み上げでは、短期的には売上向上につながるかもしれませんが、中長期的には会社の力にならず、何も残らないのです。

アライアンスでお互いの強みを掛け合わせる

LiB 本部の方針や考えなどはどのように伝えるのですか。

向井 年度方針は全店長と面談を実施し、毎年伝えています。店長には、店舗内で同席させたいスタッフを選んでもらい、リーダーのみの場合もあればスタッフ全員が参加する場合もありますが、同席した人たち全員に向けて方針、目的、考え方などを伝えています。

LiB 拠点数、社員数が多い中で、月1回のペースは大変ですね。

向井 時間の確保が難しく、同じように悩んでいる経営者やリーダー層も多いかもしれません。私の場合は先に面談の時間を設定するようにしました。方針などを伝えることは重要ですので、優先順位を変えて、他の業務よりも先に面談の時間を設定しています。また、面談の効果は大きく、手応えも感じていますので、今期中には全社員と1on1の面談を行うつもりです。現場と本部は、1対1で話す機会を作らないと遠い存在になってしまいますし、1度でも話したことがあれば相談も報告もしやすくなると思います。コミュニケーションは積み上げが重要ですので、話せる場、話を聞ける場を仕組みとして作っていきたいと思っています。

LiB 変革を推進、実現していくために大事なことは何だとお考えですか。

向井 大事なポイントは2つあると思っています。1つは人材育成です。人材育成は時代の変化に関係なく重要ですし、時代が目まぐるしく変わるからこそ、どのような環境にも対応でき、対応しようとする人材を増やしていくことが重要です。2つ目はアライアンスです。カーディーラー1社にできることは限界がありますので、モビリティの世界全体を見ながら、地元の企業や行政とアライアンスを組みながら、お互いの強みの掛け合わせをしていくことが大事だと思っています。

LiB カーディーラーは地域に根ざした存在ですので周囲との協業は重要ですね。

向井 そう思います。我々の強みや我々が提供できるソリューションを整理して、この相手と掛け合わせたらどうなるかを想像し、新たな価値が生み出せそうな相手には我々からアプローチしていくことが大事だと思います。地域内で連携し、我々がその中心的存在になって事業を設計する役目を果たしていかなければ、我々も地域も厳しい時代になるでしょう。自分たちだけが儲けて終わりではなく、先陣を切って地域のために動く姿を見せることがアライアンスを組むきっかけになりますし、地域、地元の組織から選ばれることによってサステナブルな経営に結びついていくと思います。

LiB  ありがとうございました。

 

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UPDATE
2022.11.07
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