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【LiB Mobility経営 vol.3】
『地域から選ばれるカーディーラーの次代の魅力とは』~新たな時代のブランドづくり~

EXECUTIVE SUMMARY

茨城トヨペット株式会社は、社内外に選ばれる企業を目指し、いち早く自社独自ブランドの確立を進める優良自動車販売会社である。社名ロゴから店舗空間、社員、全ての接点において、一貫性のあるブランドコンセプトの浸透が徹底されており、非常に注目を集める企業である。
商品差別化が難しくなる中、次代のカーディーラーは何で魅力を創るのか、どのように自社の魅力を社内・社外に浸透させているのか、今後の展望について伺った。

カーディーラーの新たなブランドづくりに取り組む背景

LiB 茨城トヨペット様の店舗に入った瞬間、メーカーのチャネルブランドとは異なるブランドを感じました。どのような背景、想いでこの自社独自のブランドづくりを始められたのでしょうか。

背景として最も大きいのは併売化です。全チャネルで同じ車を取り扱えるようになるため、車という商品の魅力だけで我々を選び続けてもらうのは難しくなります。カーディーラーの次代の魅力は、体験の中に創る必要があります。「我々は、お客様一人ひとりの時間と空間を豊かにする感動体験を届け、地域に選び続けてもらえる会社を目指しています。そこで、ブランドコンセプトとして『五感に響く感動体験』を掲げています。
以前から農業体験のイベントやサッカー教室など、車とは直接的には関連しないイベントでお客様が楽しめる体験は提供していました。しかし、その当時は点のイベントを色々と開催している状態で、プロモーションも殆ど行っていませんでした。点の施策を線にして戦略的に打ち出さなければ我々の魅力は伝わらず、伝わっていなければやっていないのと一緒です。
そこで、2018年10月にブランドプロモーション室を立ち上げ、我々をより多くの人に選んでもらうために、今後、カーディーラーとしてどのような魅力を高めていく必要があるのか、どうやって伝えていくべきかを考えてきました。まずはお客様のペルソナを30代から40代の主婦層に設定し、お客様へのインタビューを重ねました。アンテナが高い彼女たちがどんなことに興味を持ち、どんな施策や仕掛けに興味があるかを考え、ブランドコンセプトの「五感に響く体験」を打ち出しました。
LiB 目指す姿として考えていることを、社内外に対して「五感に響く体験」というブランドコンセプトとして打ち出したのですね。

ブランドの浸透 ~戦略・組織/店舗・人財の一貫性~

LiB ブランドの社内外への浸透には苦労も多かったと思いますが、どのような工夫をされたのでしょうか。
まずは、店舗のリニューアル等のハード面の整備に取りかかりました。ブランドコンセプトの設定前から、お客様が来店し易く快適な空間づくりを目指した店舗リニューアルは進めていましたが、ブランドコンセプトを打ち出してからは『五感に響く体験』をベースに快適な空間、美味しいカフェ、アロマの香り、心地よい音楽、体感する、の5つを実現する店舗づくりに取り組んでいます。お客様向けのラウンジスペースは非常に好評だったため、数年かけて各店舗に広げ、今は全店舗にラウンジが存在しています。
ソフト面(人財育成)からテコ入れを開始する企業も多いと思いますが、店舗というハードを変えずに、ソフト面のおもてなしだけを変えるのは難しいと考えています。ファストフードの看板を掲げて、今日から立て膝ついておもてなしをしましょうと言ってもできません。店舗のリニューアルによって、社員も「自分たちは感動体験を提供する役割なのだ」と意識し易くなりました。
女性スタッフの制服や社章も同じです。男性スタッフのスーツも揃えました。これはブランドプロモーション室から生まれた案で、「日本代表っぽくてかっこいいのではないか」という話が発端でした。重要なのはハード(店舗)とソフト(人財)の両面にコンセプトを反映させることで、店全体が統一したコンセプトを持つことです。浸透スピードを高める上で、ハードから整備していくことは重要なポイントでした。

続いて、前述しましたがブランドプロモーション室という組織を創りました。本部が企画するお客様向けのアウトプットと比べると、新たなコンセプトを社員1人1人の行動に落とし込むことの方が圧倒的に難しく、社員向けのブランディング(ソフト面の人財育成)にほぼ時間を費やしてきました。本部の狙いが最初から伝わることはありませんので、例えば、社長や私が動画メッセージに出演し、クレドや理念を繰り返し社内ポータルに発信しています。「五感に響く感動体験」をテーマに、お客様目線で我々がどう見られているのかを体感いただけるようなワークショップも半年に1回行っています。
ブランドコンセプトを明確にして、店舗や本部の組織を整備し、人財育成を行うことで、戦略・組織・人財の一貫性を確保でき、お客様を喜ばすことを楽しむ社員が増えていきました。「お客様の奥様の誕生日にサプライズで花束を用意した」「奥様が感動して涙を流し、スタッフももらい泣きしてしまった」など、そういうエピソードも徐々に増えてきています。
もちろん、会社の取り組みを社員全員がいいねというわけではありません。理念を踏まえ、コンセプトを固め、何のためのリニューアルか、新たなブランドづくりによって何を伝えたいか、我々のブランドコンセプトはどういうものかといったことを、現場の店長やスタッフに今も伝え続けています。兎に角続けることが大事です。

今後の展望

LiB 地域向けにコインランドリーも展開されています。どのような狙いがあったのでしょうか。
コインランドリーと洗濯代行は、新たな事業というよりも地域に向けたサービスと位置付けています。東京では珍しくないサービスですが地域にはありませんでしたので、「あったら喜んでもらえるだろう」と考えて始めました。地域のコミュニティとなるようにコインランドリーで、フラワーアレンジメント教室やECサイトへの出品教室等も行っており、お客様とのコミュニケーション接点をつくれるように有人で運営しています。お客様一人ひとりの時間と空間を豊かにする感動体験を届け、地域に選び続けてもらえるようにという狙いは変わりません。
LiB 今後の展望について教えてください。

茨城トヨペットの魅力をもっと多くの人に伝えていきたいと考えています。そのためには我々だけのブランディングではパワー不足な面がありますので、異業種の企業と一緒にコラボレーションをしたり、ブランディングが得意な企業と組んでブランド強化にも取り組んでいます。地域と繋がることでより強固な感動体験をつくり、地域に選び続けてもらえる企業を目指していきたいと考えています。
社内の大きな取り組みとしては、来年までにNPS(Net Promoter Score(顧客ロイヤルティを測る指標))の日本一を目指したいと思っています。五感に響くおもてなしでNPS日本一を取り、茨城トヨペットとして新たな誇りとなるものを作り出していきたいと考えています。
次代のカーディーラーの魅力が見えてきますね。ありがとうございました。

 

UPDATE
2021.06.09
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