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世界的にスタンダードなエネルギー施策V2X

EXECUTIVE SUMMARY

V2Xとは、EV等の電動車と「何か」をつなげることで価値を生み出すことであり、一般的にはV2G、V2H、等があります。基本的には太陽光などの再生可能エネルギーにおける余剰電力の蓄電であったり、電力が不足した際には放電してもらう、という需給調整弁としての考え方がメインです。とはいえ、現在、V2H は特にユーザーのコスト負担が大きいため、使用メリットを感じるサービスとしての提案、価値を感じやすいユーザーの特定がポイントになります。

V2Xの意味と価値

V2Xとは、「Vehicle to 〇〇」 という意味 で、EVなどの電動車と何かをつなげること で生まれる価値だと考えてください。「〇〇」にグリッド(電力網)が入ればV2Gになり、 ホームが入ればV2Hになるといった具合です。

V2Gとは

V2Gの考え方は、ほとんどVPPと同じモデルと考えられます。充放電器を通じて、EVを電力系統に接続しEVの蓄電池を相互利用するモデルなので、供給が不安定な再エネにおいて、過剰供給時にはEVに充電し、夜間など太陽光が発電できない時間帯にはEVから放電してもらい電力供給の安定化を図る、という仕組みになります。

V2Hとは

V2Hは、V2Hシステムを介してEVと住宅で電気を融通し合える、というものです。例えば、太陽光発電システムで発電した電気を自家消費し、余剰分をV2Hシステムに接続しているEVへ充電し、夜間など太陽光が発電できない時間帯はEVから住宅へ電力を放電して使用、足りない分を系統から補うことになります。一般的な4人家庭が1日に消費する電力使用量はおよそ15キロアットアワーといわれているので、60 キロワットアワーのバッテリーを積んだEVであれば、約4日間EVの電気だけで暮らせる計算になります。

V2Xの事業機会

事業機会という点でいうと、V2Gのプレイヤーはかなり限定されるでしょう。マネタイズまで考慮した場合、アグリゲートするバッテリー容量を大規模に獲得でき、かつ電力小売りや調整力の取引もできるという両方のケイパビリティを持てないと採算をとるのが難しいからです。そうなると、電力会社や新電力が候補に上がります。もちろん、設備を開発・販売するポジションであれば、メーカーや設置会社にも十分ビジネスチャンスはあります。

V2Hの場合は、費用の高さが導入のネックになっており、機器代だけで50万円ほどかかるだけでなく、機器の設置工事費、電気工事費なども上乗せされてきます。ただし、近年では国や自治体からの補助金を活用し、リーズナブルに導入できるケースも出てきました。また、機器メーカーであれば、V2Hによって電気代が削減できるメリットと合わせて、機能面を追求してユーザビリティを高めるといった付加価値を追求するのもいいでしょう。例えば、V2Hシステムがなくても家庭のコンセントからEVに充電することはできます。しかし、基本的に家の電力消費の大小に関係なく充電され、同時に電力消費の大きい家電を使うとブレーカーが落ちてしまうことがあります。しかし、V2Hシステムであれば、家の電力消費に合わせて充電量を調整してくれるので、ブレーカーが落ちるような事態にはなりません。

このように、ユーザーのライフスタイルやEVの利用状況から活用、使用のイメージを膨らませてシステム開発に反映し、提案をしていくのがポイントになってくるはずです。
販売のみをビジネスとするなら、日中、EVを使う時間が長い場合、V2Hの恩恵を受けにくいため、平日はほぼ駐車しているとか、2台持ち世帯など、どこをターゲットとするのかといった工夫が求められます。

V2Hシステムイメージ

UPDATE
2023.06.02
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