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BtoBセールスバイブル「隠れたキーマンを探せ!」から読み解くエンプラ開拓の必勝法

ベンチャー企業が売上を安定成長させるにあたり「エンタープライズ=大企業開拓」は必要不可欠です。

ネクストユニコーン企業として急成長を遂げているSaaS企業「SmartHR」の創業者である宮田社長は、2019年のブログで書きのように語られています。

SmartHRの急激な成長も「エンプラ開拓」に舵を切ったことに支えられていることが理解できます。

2017年夏に「1,000名以上のエンタープライズ向けにも対応できるよう機能強化しよう」と意思決定をします。

それから約2年。いま、どうなっているかといますと、
売上の1/3は1,000名以上の会社さんから
・一番大きな導入企業は社員数12万名
・エンタープライズの商談数もこの1年で2〜3倍に増えている
引用元 宮田昇始のブログ 日本のエンタープライズにSaaSを普及させる

SmartHRの成長率をみると、エンプラ開拓の意味とパワーを理解することができます。

目次

エンプラ開拓のヒントが詰まったセールスバイブル

エンプラ開拓については、さまざまな実践事例が語られていますが、調査・理論背景をもとに整理されているコンテンツは少ないと感じています。

組織でエンプラに戦略を移行する際に、何か共通言語となるものはないか…とご相談頂くことが増えてきています。

スタートアップの第一線で活躍されている方にご紹介頂いているバイブルがあります…

そんな「エンプラ開拓の教科書」を探している方に読んで頂きたい書籍が「隠れたキーマンを探せ!」です。

何度かnoteでもご紹介頂いています(ありがとうございます!)

 

「隠れたキーマンを探せ!」の図解要約をまとめました!

「隠れたキーマンを探せ!」は海外のセールス・バイブルを翻訳した書籍です。
日本のスタートアップ界隈でも紹介して頂くことは多く、書籍の名前は聞いたことがある…という方はいらっしゃるかもしれません。

しかし、理論・事例ともに海外のものであるため、理解しにくいい…というお声も聞きます。

そこで!
「隠れたキーマンを探せ!」を図解要約と事例解説をまとめてみました!

書籍も読んで頂きたいですが、この図解要約で10分でポイントは掴めるはずです。

キーマンを探せをヒントに「エンプラ開拓」を成功させるヒントを組織内で共有、実践して頂けましたら幸いです!

①BtoB購買の意思決定に関わる人数は平均5.4人

最初に理解したいのは、BtoB商品の購買プロセスについてです。

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隠れたキーマンを探せ!を図解
💡B2B購買の意思決定に関わる人数は平均5.4人と理解する
BtoBのセールスでは、5.4人の購買意思決定に関わる人々との合意形成が鍵となります。エンプラ(大企業)となると、さらに購買意思決定者が増えてくる

上記のBtoB(とくにエンプラ特有)の購買プロセスを理解した上でどうすれば、顧客にうまく買ってもらえるのかを考えるヒントが「コマーシャルインサイト」です。

②コマーシャルインサイトをつくる

コマーシャルインサイトとは?
自社だけを想起させる商談直結型の知見・メッセージ

顧客に「自分たちは間違っていた」と思わせる型破りなメッセージであり、その変革のための行動を支援できる唯一の存在として顧客に想起させるメッセージのこと

質の高い取引は、
1. コマーシャルインサイトを用いる
2. 意思決定基準の違いを超えて組織の共通ビジョンに5.4人の関係者を合意させる
この2つが揃うことで生まれます。

下記の図解は、コマーシャルインサイトのつくり方を解説しています。

最初に顧客のメンタルモデル=認識を理解した上で、下記4つの問いに答えてメッセージを作成します。

1. 自分たちの独自の持続可能な強みは何か?
2. 独自の強みで顧客に認識されていないものは?
3. 顧客が自身のビジネスで理解していない点は?
4. 何を伝えればメンタルモデルを転換できるか?

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隠れたキーマンを探せ!を図解
💡コマーシャルインサイトをつくる
コマーシャルインサイトは見つけるものではなく、つくりだすものであり、つくりだすためには顧客のこと、特に顧客のメンタルモデルを理解する必要がある。
顧客が自らのビジネスについて「(よくわかっているべきなのに)わかっていない点は何か?」を見つけ、有力な証拠を用いて、顧客のメンタルモデルを変えていく。

この後にコマーシャルインサイトを用いて「誰がキーパーソンか?」を見極めていきます。
BtoBの複雑な購買プロセスの中で、誰からアプローチしていくべきかは重要かつ難しいところです。

③モビライザーを見極める、トーカーとの時間を使わない

BtoBの購買プロセスに登場する人物を7タイプに分けることができます。

1. やり手
2. 教育者
3. 懐疑派
4. 案内役
5. 友だち
6. 上昇思考
7. 阻害者

自分たちがコミュニケーションをとっている目の前の人は、トーカーなのか、モビライザーなのかを見極めましょう。

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隠れたキーマンを探せ!を図解
💡モビライザーが誰かを見極める
顧客組織を変えていくには、組織内の各種リソースを動員して行動を喚起し、コンセンサスを築き、変革を後押しするモビライザーの存在が不可欠である。
一般的なサプライヤーは、話し好きのトーカーとの関係を築きがちである。
トーカーは行動することがなく、変革への影響力が小さい。顧客にコマーシャルインサイトをぶつけ、その反応から具体的な行動を起こせるか、組織への影響力があるかを見極める必要がある。

ポイントは、モビライザーの見極めです。
モビライザーを見極めできていない中で、練られたメッセージを伝えても組織は動きません。

先ほどに紹介したコマーシャルインサイトは、モビライザーを見極め、動かすためのメッセージとして活用していきます。

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隠れたキーマンを探せ!を図解
💡 モビライザーへの「指導」はコマーシャルインサイトを用いて行う
「自分たちは間違っていた」、「変わる必要がある」と思わせる

④モビライザーを起点に組織の意思決定を支援する

モビライザーを見つけたら、モビライザーを「指導」し、モビライザーのタイプに「適応」し、購買プロセスを「支配」できるよう導いていくことがBtoBセールスにおけるポイントです。

モビライザーを起点に、顧客の意思決定プロセスを支援していきます。

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隠れたキーマンを探せ!を図解
💡購買に関するスタイルの違いからモビライザーのタイプを見極め「適応」する
モビライザータイプによってアプローチ方法を変え、サポート方法を変えることで、ベストな合意形成に導くことができる。
詳細を知りたがる「やり手」には全体像を伝え、変革の効果を強調する
話を大きくしたがる「教育者」とは、両者にとって実現可能なレベルにビジョンをすり合わせる。「懐疑派」に対しては、質問を促すことで同意を得る。

最後に、合意形成に向けたアプローチとして「コマーシャルコーチング」「コレクティブラーニング」をモビライザーに対して行います。

モビライザーに対して、意思決定をするために必要な情報を伝え、ともに問題を解決し、関係者のコミットメントを確保していきます。

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隠れたキーマンを探せ!を図解
💡モビライザーに購買のコーチ(コマーシャルコーチング)を行うことで、購買プロセスを「支配」する。
重要データや関係者別の重点ポイントなど、モビライザーに武器を与える。そして、モビライザーとともに購買集団に対するコレクティブラーニング(集団的学習)を行い、購買集団を機能的集団に変えていく。購買集団が機能的集団に変わると、取引の質が向上し、高額な取引の成功確率や顧客の将来的な支出意向を高めることができる。

キーマンを探せ!図解要約のまとめ

ここまでお伝えしてきた要点をまとめていきいます。

1. BtoB購買の意思決定に関わる人数は平均5.4人と理解する
2. 自社だけを想起させる商談直結型の知見・メッセージ
=コマーシャルインサイトをつくる
3. 変革のために行動するモビライザーを早期に見極める
4. モビライザーにコマーシャルインサイトを伝える
5. モビライザーのタイプを見極めて適応する
6. モビライザーにコマーシャルコーチングを行う
7.  クロージング→取引の質向上

ここまで、隠れたキーマンを探せ!の書籍のポイントを要約してきました。
最後に、イメージを深めるために実践事例をご紹介して締め括ります、

隠れたキーマンを探せ!の実践事例

今回は、独自の営業メソッドをもち大企業に対しERPパッケージを提供するワークスアプリケーションズで働いていたスタッフのインタビューした内容をご紹介します。
「キーマンを探せ!」の内容を照らし合わせながら、エンプラ開拓に成功した経験をもつ企業・セールスパーソンの行動を読み解いていきます。

エンプラ開拓の必須ツール「バイヤー相関図」

隠れたキーマンを探せ!の図解要約では、モビライザーの特定が重要であることをお伝えしました。
意思決定者の複雑な関係性を理解し、各所と信頼関係を築くためのツールとして「バイヤー相関図」と呼ばれる手法があります。

大企業に対してERPパッケージを提供するワークスアプリケーションズでは、バイヤー相関図をつくることが必須となっていたようです。

社内に「バイヤー相関」というフレームワークがあります。これは、お客様の社内の人間関係を俯瞰的に捉え、人と人との関係性を考えながら、誰にアプローチするのか、どう口説くのか、どう進めるのかを組み立てていくというものです。このような、戦略を立てるために培われてきたフレームワークやツールが多数あり、それらを用いて足(=行動量)ではなく頭(=戦略)で営業をしていきます。
競争激しい市場でNo.1を掴む“戦略的”プロダクト&営業とは

こちらは元ワークスアプリケーションズの営業でご活躍されていた方々のツイートです。

リブ・コンサルティング内で活用しているバイヤー相関図をイメージとしてご紹介します。

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コマーシャルインサイトの作成

隠れたキーマンを探せ!では、コマーシャルインサイト=自社だけを想起させる商談直結型の知見・メッセージを作成する意味を解説しました。

ワークスアプリケーションズでも、このコマーシャルインサイトの作成と伝達は大切にされていたようです

具体的には、ERPパッケージの営業をする際に、機能ではなく、ノーカスタマイズ、無償アップグレードのコンセプトで売ることを徹底していたようです。

このコンセプトは、ワークスアプリケーションズのERPパッケージの中核思想として存在しており、ノーカスタマイズ、無償アップグレードを伝えることは徹底されていたと話がありました。

具体的には、
・簡単に機能画面を見せたら、機能説明をしないこと
・デモ実施も希望されても、コンセプト説明を必ず先に行うこと
などが現場で徹底されていたとのことです。

ここまでの話から、ワークスアプリケーションズでも隠れたキーマンを探せ!で語られている、
1. モビライザーを特定して、モビライザーとコミュニケーションをとる
2. コマーシャルインサイトをつくる、伝える

ことが徹底されていたことが、大企業向けのERPパッケージ販売で業績をつくれた要因だと理解できました。

最後に

上記にご紹介した図解データは下記からダウンロード可能となってます。

https://bit.ly/3Q8J60D

こちらのダウンロードをした上で、チームで書籍を読んで頂くことで、より理解を深め、戦略的なエンプラ開拓が可能になるのではと考えています。

ぜひご活用ください!

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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