オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社

EXECUTIVE SUMMARY
1.オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社は、太陽光発電の余剰電力を蓄電池で時間シフトして活用する新規事業を立ち上げており、特に九州エリアの出力制御課題を起点に市場開拓を進めている。
2.リブ・コンサルティングは、営業戦略・インサイドセールス・フィールドセールス・KPI管理を支援し、週次で改善を重ねることで、営業活動の質とスピードを高めた。
3.成果として、当初目標を上回る形で着地し、初年度から大きな市場機会が見込める手応えを得た。大企業の新規事業において、外部パートナー活用が立ち上げスピードを高める有効な手段となった。
注:本プロジェクトはリブ・コンサルティングと関連会社の株式会社プルーセルが連携して支援しております。写真は取材同席メンバーのもので、弊社支援担当者は諸事情により非掲載となっております。
蓄電池を活用した新規サービスで、再生可能エネルギーの有効活用に挑む
リブ
まず、御社の事業概要と、今回のサービスを考えた背景について教えてください。また、類家様ご自身がどのようなお立場でこの事業に関わっているのか教えてください。
オムロンソーシアルソリューションズ 類家 様(以下 類家)
オムロン ソーシアルソリューションズの中で、私たちはエネルギー事業を担っています。オムロンというと、体温計や工場向けのスイッチ、電源のようなものをイメージされる方が多いかもしれませんが、実は約25年前から太陽光発電向けのパワーコンディショナー事業を展開しています。
太陽光パネルから出た電気を変換するパワーコンディショナーは、かなり昔から取り組んできた領域です。住宅向けの太陽光設備や、産業用発電所向けにも展開してきました。
その後、10年ほど前から蓄電池事業にも取り組んでいます。太陽光発電は、発電した電気をその場で使い切れないと余ってしまいます。そこで、余った電気を蓄電池にためて夜間に使う、自家消費を進めるための製品を展開してきました。
私は、太陽光や蓄電池を開発・販売するチームとは少し違う立場で、作られた蓄電池を活用しながら新しいサービスを生み出す事業部の責任者をしています。
例えば、ご自宅に太陽光や蓄電池を導入されているお客様の蓄電池を私たちが制御させていただき、その対価をお渡しするようなサービスがあります。また、屋根の上に太陽光を設置し、発電された電気を電気代として利用いただくリース型のサービスもあります。いわゆるPPA(第三者所有モデル)のようなサービスも含め、再生可能エネルギーをより有効に活用するための新しいサービスをつくっている部署です。

オムロンソーシアルソリューションズ 類家 様
リブ
家庭向けの太陽光・蓄電池活用から、発電所向けの蓄電池活用まで、蓄電池を起点に再生可能エネルギーの価値を高めるサービスを展開されているということですね。
類家
そうですね。同じような課題は、より大きな発電所でも起きています。特に九州電力エリアでは、昼間に太陽光発電が非常に多く発電する一方で、電気が余ってしまう状況があります。
今回の事業では、そうした電力の出力制御課題を解消しながら新たなサービスをつくるため、九州の発電所に蓄電池を設置し、電力を時間シフトして収益化するモデルを始めようと考えました。
外部活用は想定していなかった。決め手は「営業の解像度」の高さ
リブ
今回リブとご一緒した背景についても伺いたいです。当時の状況や、外部を活用しようと思ったきっかけはありましたか。
類家
実は、もともと外部の会社を使うことはあまり考えていませんでした。協業しているNTTスマイルエナジーとオムロンで進めようとしており、外部にお願いするとしてもコールセンターのような機能を一部お願いする程度だと思っていました。
実を言うと、リブ・コンサルティングのことも、最初は全く知りませんでした。紹介をきっかけに、まずは会ってみないとわからないという気持ちでお会いしました。
実際に話してみると、一般的なコンサルティング会社とは違う勢いを感じました。営業の進め方に対する解像度が深く、さまざまな業界で勝ち筋を見てきている方々なのだろうと感じました。
例えば、最終的な受注に至るまでにどのようなプロセスがあるのか、どのKPIを見るべきなのかといった話が、私たちにとっても非常に納得感のあるものでした。初めて取り組む領域だったので、そうした営業プロセスの知見に信頼感を持ちました。
こちらから、専門性の高い事業テーマを相談した際も、すぐに持ち帰って検討し、「こういうことができます」と提案してもらえました。それが非常に面白く、ぜひ一緒にやってみようと思いました。
リブ
エネルギー領域の理解と、営業プロセスの理解。その両方があったことが、信頼につながったということですね。
類家
そうですね。
標準化されていない新規事業だからこそ、信頼できるパートナーが必要だった
リブ
提案を受けて、どのようなケイパビリティを外部から得ようと考えたのでしょうか。
類家
最初から明確に整理していたわけではありません。ただ、新しいことを始めるときは、たくさん仲間を集めて、みんなで分け合っていくことが大事だと思っています。
今回のような事業は、まだ標準化されていない、こなれていない仕事です。だからこそ、信頼できるパートナーが多い方がいい。自社だけで抱え込むのではなく、外部の力も借りながら、Win-Winのスキームをつくっていくことが重要だと考えていました。
私自身、以前はエネルギー領域のベンチャーで新規事業づくりに関わっていました。そこでは、自社が総取りするような仕組みはなかなか受け入れられません。関係するプレイヤーがそれぞれ価値を出し、お金を稼げる仕組みをつくり、分配していく。そのような仕事の進め方が多かったのです。
今回も閉じた形ではなく、オープンに仲間を広げながら事業を立ち上げていく必要があると感じていました。
リブ
新規事業において、信頼できるパートナーを増やしながら進めることが重要だったということですね。
KPIを見ながら、毎週プランを見直す。苦手としていた営業推進力を獲得
リブ
ここからは、実際にリブ・コンサルティングを活用してみた感想を伺いたいです。率直に、弊社のご支援はいかがでしたか。
類家
毎週の定例会がとても楽しかったです!こちらの事情をよく理解したうえで、踏み込むべき論点にきちんと踏み込んでくれる、良い意味で背中を押してくれる印象がありました。
リブ
支援内容としては、インサイドセールスのアポイント獲得、フィールドセールスでの契約獲得支援、さらに営業プロセスにおけるツールやプロセス構築の3つがあったと理解しています。わくわくした、楽しかったと感じたのは、それらが着実に進んでいたからでしょうか。
類家
そうですね。新規事業チームにおいては、
KPIを継続的に追い、月次で改善し続ける営業推進は簡単ではないと感じています。目標を立てることはできますが、それを毎月の数字に落とし込み、結果を出していくことは簡単ではありません。リブさんは、その部分を高い水準でリードしてくれました。
リブ
行動の質やスピード、そしてKPIを設定しながら改善していく点が大きかったということですね。
類家
大きかったですね。KPIが達成できなかったときも、その理由を言い訳にするのではなく、ファクトとして受け止めたうえで、次にどう改善するかを一緒に考えてくれました。例えば、「この資料を活用した方がいい」「NTTスマイルエナジーが持っている書類を引っ張り出した方がいい」といった具体的な提案をしてくれました。
リブ
KPIが悪かったこと自体をファクトとして受け止めて、どう改善するかに向き合っている。そこが成果に向けた大きなポイントになっているのですね。
類家
まさにそうです。私たちも、このプロジェクトを1回限りで終わらせるのではなく、2回、3回と続けていきたいと考えています。そのためには、悪い部分もきちんと洗い出し、すぐにピボットすることが重要です。それができたのは非常によかったと思っています。
営業を外部化したことで、企画・運用設計に集中できた
リブ
実際に取り組んでみて、他にはどのような感想がありますか。
類家
営業活動、つまりフロントでお客様と向き合う仕事が始まると、企画や運用設計、購入いただいた後に困らないための体制づくりに向き合う時間が取りづらくなります。
1件1件の対応が非常に重要で、時間もかかりますし、精神的な負荷もあります。今回はそうした負担がほとんどなく、企画や、その後の工事を進めるための体制づくりにきちんと人員を向けられたことが本当によかったです。
リブ
営業活動の重要な部分を外部パートナーに担ってもらうことで、御社は事業設計や受注後の体制づくりに集中できたということですね。
初年度から大きな市場機会が見込める成果に

プルーセル 友野
リブ
コンサルティングの実施後、成果はいかがでしたか。
類家
定量的には、目標としていた指標を上回る形で、余裕を持って着地できました。
現在は、契約意向を確認できている案件もあり、それらを確実に契約・収益につなげていくフェーズにあります。ここから先は私たち側の課題もありますが、立ち上げとしては非常に大きな成果だったと思います。
リブ
今回立ち上げたサービスは1年目だと思いますが、着地の規模感についても伺えますか。
類家
ゼロから始めた市場で、初年度から想定を上回る規模の市場機会が見えてきています。実際に、数千件の見込み顧客を獲得し、受注にもつながり始めています。
リブ
業界の課題に着目し、自社のサービスを組み合わせて新しいサービスをつくったという点で、御社の強みが活きた取り組みだと感じます。営業外部化という観点では、リブ・コンサルティングが一緒に作っていくことの価値はどこにありましたか。
類家
事業やサービスによって違いはありますが、新規事業では「今アクセルを踏まなければならない」というタイミングがあります。
一方で、大企業の新規事業では、まず小さく始めて、結果が出たら徐々に大きくしていく形をとりがちです。しかし、本当は今やらなければならないのに、その体制が整うまでに時間を要するケースは多いと思います。
今回、私たちもそれでは時間切れになるとわかっていました。だからこそ、最初から一番大切な営業の部分だけでも、外部のプロを使ってしっかり進めようと決められたことがよかったと思っています。
リブ
内製だけで進めると、同じスピードや規模での立ち上げは難しかったということですね。営業を外部化することで、事業の良し悪しをスモールに検証しながら、市場を押さえていくことが重要だったのだと感じます。
類家
そうですね。私たちも十分な人員体制があるわけではない中で、今一番市場が伸びているところ、大きいところに営業を割かなければなりませんでした。一点集中型のものに、なかなか人を投資しづらい部分があります。そこを埋めていただけたのが非常によかったです。
「押し付け」ではなく、現場に入り込み、動かしながら改善する
リブ
他のコンサルティングファームとの違いという観点では、どのような点を感じられましたか。
類家
私は、良い意味で背中を押してくれるところがよかったです。常に介入しようとしてくれている様子がありました。
メンバーとのやり取りを見ていても、ただ定例会で話すだけではなく、必要なところには直接打ち合わせを入れ、重要な論点に入ってくれていました。こういうハンズオンができる状態を持っている組織は強いと思います。
リブ
私たちが大事にしているのは、単にきれいな戦略を描くことではなく、成果につながる形で現場が実行できる戦略に落とし込むことです。
もちろん、あるべき姿から逆算して100点の戦略を描くことも重要です。一方で、どれだけ完成度の高い戦略であっても、現場の方々が実行できなければ成果にはつながりません。だからこそ、事業フェーズや組織の状況を踏まえたうえで、あえて現場が動かせる80点の戦略を選択し、実行しながら改善していくことが重要だと考えています。
類家
そうですね。私も新規事業や新しいことを始めるときには、「今日60点を出せる人」と「1週間後に80点を持ってくる人」だったら、今日の60点の方がいいと思っています。
今日出した60点を、みんなで直していけばいい。持ち帰ってじっくり考えているだけでは、なかなか形になりません。そのスピード感が非常によかったです。
外部パートナーとの協働が、社内の変化も生んだ
リブ
外部パートナーが入ることで、社員の方々への刺激や変化はありましたか。
類家
最初は、外部の会社が自分たちの仕事の仕方を本当にわかるのか、という思いを持っていた人も多かったと思います。販売商流といっしょに事業を作ってきたという背景、自負もあります。
ただ、一緒に展示会や説明会に参加してもらい、現場で一緒に動く機会をつくったことで、徐々に雪解けのような変化がありました。
外部パートナーを活用することで、自分たちの仕事の仕方やスピード感にも刺激が生まれたと感じています。リブさんが結果にこだわりながら、必要な変化を一緒につくってくれたことが大きかったです。
今後は九州から全国へ。再エネ活用を広げる事業をともにつくる
リブ
最後に、今後のサービスや事業の展望について教えてください。
類家
取り組みたいことは大きく2つあります。
1つ目は、電力市場取引への参入です。蓄電池を活用した太陽光発電のタイムシフトにより、太陽光の導入量を増やし、再生可能エネルギーの利用率を高めることは、日本のエネルギー政策にも合致します。
2つ目は、太陽光発電設備や蓄電池設備の更新です。パワーコンディショナー事業を始めて25年、蓄電池事業も10年が経ち、設備の交換時期が来ています。
太陽光発電の設備は20年、最近では25年、30年と使われることもありますが、その途中で必ず交換が必要になるものがあります。安全性にも関わる領域です。しかし、壊れない限り交換が進まないことも多く、結果として古くなりすぎて故障したり、安全面で問題が生じたりするケースもゼロではありません。
メーカーとして、常に新しい設備で、生産性が高く安全な状態を維持していくことに責任があると考えています。
(本記事の情報は、2026年8月の取材当時のものです)


