営業 組織開発

セールスイネーブルメント:営業の型化戦略で持続的な成果を生み出す秘訣とは

セールスイネーブルメントとは

セールスイネーブルメントとは、営業プロセスの作成や人材育成を通して営業チームがより効果的に動くことを目的に営業組織強化のための取り組みです。営業活動において顧客との関係を築き、適切な商品やサービスを提供するためにセールスイネーブルメントによって組織を整え、「営業の型化」を実施していくことが重要となります。





組織における営業担当者の教育や成功した営業活動の手法をもとにしたセールスコンテンツの制作営業プロセスの改善などの施策を実施し、それを営業チーム全体で共有することで、効果的な営業手法やアプローチを明確にすることができます。

セールスイネーブルメントは「営業の型化」を通じて効率的な営業プロセスを確立することで、売上という成果を最大化するビジネスにおける重要な役割を担っています。

それでは、なぜ昨今セールスイネーブルメントが注目されているのかについてお伝えします。

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購買行動の変化による営業組織改善の必要性

昨今、顧客の購買行動の変化が顕著になってきています。従来は営業担当者が情報提供し、顧客がそれを受け入れる一方通行の関係が主流でした。

しかし、現在では顧客の購買行動が多様化、複雑化しており、顧客は自ら情報を収集し、独自の意思決定プロセスを経て購入を決定します。そのため、営業組織は顧客のニーズに柔軟かつ効果的に対応できなければなりません。



それにもかかわらず、現在多くの企業は営業手法を個人の経験やノウハウに頼っており、営業活動は個人に大きく依存している状況です。セールスイネーブルメントによる営業プロセスの整備人材育成プログラムの作成などによって個人の営業力強化はもちろん、組織全体の能力向上を図ることが必要不可欠となってきました

 

海外でのセールスイネーブルメント事例

セールスイネーブルメントの重要性は日本のみならず海外でも議論されており、すでに海外では多くの事例があります。

営業チームのパフォーマンス向上を目指しているSalesforce社では、セールスイネーブルメントの取り組みにより、営業プロセスの改善と成果向上が実現しました。営業担当者のトレーニングや顧客データの活用を重視し、営業効率が向上したことによって新規契約獲得数が前年比の30%増加しました。

同様に、欧米ではHubSpot社が、セールスイネーブルメントに基づいて営業コンテンツの改善に取り組んだことで顧客への情報提供や資料の充実化がなされ、商談成立率が20%向上し、顧客からのリピート率も15%増加しました。

さらに、LinkedIn社においてもセールスイネーブルメントを導入し、営業スキル向上に向けたプログラムの実施によってトレーニングを受けた営業担当者の成約率が平均で25%向上し、売上も約40%増加しました。



こうした海外の事例からもわかるように、セールスイネーブルメントは世界中で注目され、導入が進んでいます。企業が競争力を維持し、成長するためには、セールスイネーブルメントを活用して営業チームの能力を強化することが不可欠なのです。

 

市場規模の拡大

セールスイネーブルメントが注目されている影響は、市場規模の拡大にも表れています。2020年のセールスイネーブルメントの市場規模は22億ドルでしたが、2030年までには119億ドルにまで成長すると予想されています。


その背景の一つとしてマーケティングの市場成長も起因しています。近年、マーケティング技術やデータ分析の進歩により、企業はより効果的にリードを獲得し、その質と量を向上させることが可能になりました。これにより企業はより効果的なセールスプロセスを実現する必要性が増してきたのです。

セールスイネーブルメントは、マーケティングと営業の連携を強化し、リードの質を向上させるための重要な手段となっています。市場規模の拡大は、セールスイネーブメントの重要性がますます高まっていることを示しており、企業が顧客との関係を強化し、競争力を維持するためには、セールスイネーブメントの活用が不可欠です。

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セールスイネーブルメント導入の効果

ここまでセールスイネーブルメントの重要性についてお伝えしましたが、実際に導入後どのような効果を得られるのかを「個人の営業活動の強化」と「営業組織全体の強化」の2視点から論じていこうかと思います。

 

個人の営業活動の強化

前述してきた通り顧客の購買行動が多様化、複雑化している状況下において、顧客のニーズを的確に読み取り、顧客に対して価値提供を行うためには、営業を体系化し個人の営業力を強化することが大切です。そんな中、日本の多くの企業は営業活動が属人化していたり、営業に再現性がなく仕組化されていなかったりという課題を抱えています。

セールスイネーブルメントは現状の営業タスクと営業行動を可視化し、営業のプロセスを設計することで属人化からの脱却再現性の確保を実現することが可能であり、多くの企業が抱える悩みをダイレクトに解決できる手法といえるでしょう。

具体的なプロセスとして初めに営業タスクを可視化することでタスクの優先順位を明確化したり、情報共有を簡略化したりすることで営業担当者がどのタスクに重点を置くべきかを把握します。これにより効率的に営業活動に動くことができ、顧客との効果的なコミュニケーションを増やすことが可能です

次に営業行動の可視化によって成功した営業活動のパターンやベストプラクティスを共有し、営業を型化することで、営業の属人性からの脱却を図ります。また型化した営業行動を個人のアプローチに取り入れることで、効果的に業績を向上させる方法に再現性が生まれます。

営業タスクと営業活動の可視化によって営業の型が設計され、再現性の高い個人営業のボトムアップが可能となり、営業機関としてのバリューアップにつながることでしょう。

 

組織の営業力向上

セールスイネーブルメントは個人の営業力を強化し属人性からの脱却と再現性を確保するのみならず、組織全体の営業力の強化にも有効です。
特に営業活動における他部署との連携や営業人材の育成においては高い効果が期待されます。

顧客ニーズの多様化でマーケティング価値が増加している昨今、マーケティング部と営業部の連携を課題としている企業も多くみられます。

セールスイネーブルメントを導入することで、営業部とマーケティング部の連携が強化され、顧客関係の構築における適切なタイミングでのアプローチが可能となります。
具体的には、個人営業力の向上によりマーケティング部が獲得したリードを、営業部が効果的かつ迅速に活用できるようになります。このような円滑な連携の流れが確立されることで、顧客へのサービス提供やニーズへの対応が迅速化し、効果的な顧客関係の構築が可能になるのです。

また、セールスイネーブルメントは人材育成の側面においても高い効果を発揮します。設計された営業プロセスをトレーニングプログラムに落とし込むことで、営業担当者は成功した営業活動のパターンやベストプラクティスを学び、実践することができます。組織全体で共通の営業プロセスが定義されることで、新たな営業担当者がスムーズに業務を進めることができ、継続的な組織の営業力向上が可能となるのです。

個人営業力を強化しそのプロセスを再現性をもって落とし込むことで、営業組織全体の強化につながり、企業としての営業活動全体のボトムアップを促進することがセールスイネーブルメントが評価されている一番の要因となっています。

 

セールスイネーブルメントの実践方法

続いてセールスイネーブルメントを導入する方法についても解説します。

効果的なセールスイネーブルメントを行うためには大きく3つのステップを段階を実行していくことが重要です。

 

ステップ1: 定量データ・定性情報の収集と分析

データの収集と分析は、営業戦略の根幹をなす要素です。顧客の行動やニーズを把握するために不可欠なだけでなく、自社内にある営業の成功モデルを収集することも重要な要素といえます。
過去の成功事例や優れた営業手法をKGIやKPI指標などの定量的なデータを持って可視化し分析することで、そのベストプラクティスの活用が可能となり、営業チームの成功につながる戦略をより明確に作り出し、効果的なアプローチを見出すことにつながります。

また定量的なデータのみならず定性的なスキルも可視化することが、セールスイネーブルメントの効果をより高めることにつながります。営業担当者の行動や能力を評価し、定性情報として個々のスキルを把握することが必要不可欠であり、具体的にはセールストークや顧客からの評価を把握するために、実際の商談を記録しパターン分けを行うなど、個々の営業担当者のパフォーマンスを確認します。
また、営業活動の中でみえる顧客心理などの定性情報も可視化が重要であり、顧客との関係性を深めるための貴重な情報源となります。

 

ステップ2: 営業プロセスの作成による型化

続いて収集した定量、定性のデータをもとに、営業プロセスの標準化営業戦略の設計を行います。
営業担当者の行動や能力に関するベストプラクティスを抽出したうえで、営業活動におけるステップを定義します。そのうえで各ステップや行動をマニュアルなどに言語化することで営業の型をつくります。作成した営業の型を組織全体で共有し、効果的な営業活動を実現するための基本指針とします。

 

ステップ3:営業の型の落とし込み

営業の型を組織全体に浸透させるためには、トレーニングプログラムの実施セールスコンテンツの作成が必要です。営業担当者が営業の型を理解し、実践するためのトレーニングを受けることで、セールスコンテンツの効果的な活用や営業プロセスの適切な遂行が可能となります。また、トレーニングプログラムの成果を定期的に検証し、必要に応じて修正や改善を行うことで、組織全体の営業力の向上を図ることが可能です。

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セールスイネーブルメント導入にむけた課題

実際にセールスイネーブルメントを導入していくにあたって、多くの企業はナレッジ不足リソース不足の2つの課題に直面すると予想されます。

前述してきた通りセールスイネーブルメントは導入方法が構造化されており、全ステップにおけるそれぞれの重要度が高く、各ステップ毎に下記の3点を初めとする大きな課題にぶつかることになるでしょう。

・正確なデータの収集方法がわからない
・ベストプラクティスから営業の型を構築できない
・作成した型の適切な教育と落とし込みに苦戦する


上記課題が解決できない中セールスイネーブルを進めても最終的な標準化や再現性の確保につながらず本質的な課題解決につながらない可能性があります。

また、セールスイネーブルメントの導入には時間と労力が必要であり、上記課題を乗り越え実行するためには人的リソースの確保は不可欠です。

これらの課題に対処するためには、リーダーシップの強化や適切なトレーニングプログラムの実施とともに外部の専門家やコンサルタントの活用が有効です。
もちろん計画的な人材確保やリソースの適切な配置も重要となり、複数の施策を実行しながら、十分な対策を講じることが成功の鍵となります。

 

外部コンサルを活用したセールスイネーブルメントの導入事例

上記のステップを実行し実際にセールスイネーブルメントによる営業組織全体のボトムアップに成功した事例から、セールスイネーブルメントの重要性を確認していきます。
外部のリソース補助を受けつつ最終的には内制化まで実現した下記の事例は多くの企業が現在直面している課題感にマッチしているかと思います。

Sales Marker社の事例

Sales Markerさんは既存メンバーの実力は十分に高く導入前も一定以上の営業成果も残していました。一方でさらなる成長を実現するためには、属人化している営業活動から脱却し、新規メンバーの追加など営業組織拡大をスムーズに進めるための営業の「型化」を成し遂げたいと考えていました。

そこでセールスイネーブルメントの手順に則り、営業成績などの定量データと商談や行動などの定性データを収集、分析し、営業のプロセスを設計していきました

セールスイネーブルメントの導入により顧客情報のデータから顧客の解像度を高め、それをもとにした商談モデルを作成することで多様化している顧客ニーズに的確にアプローチすることに成功しました。
また商談プロセスなどの営業の型化を実行したことで、経営層に依存していた管理を営業部門が独立して行えるようになり、マネジメントの質が向上したことも組織全体のボトムアップにつながっています。

さらに顧客データをもとにお客様のパターン分けや分類を実行したことで顧客ターゲティングも明確となり、セールス部門の情報をマーケティングサイドにフィードバックするという部署間での連携も強化することができました。

実際にSales Markerさんがどのように営業の型化を行っていったのかに関しては、下記のページにて詳細記載されておりますのでぜひご一読ください。

まとめ

さて、今回はセールスイネーブルメントの重要性について解説していきました。
私たちリブコンサルティングではSales Maker社の事例を初めとする、セールスイネーブルメントの核になる「営業の型化」についての支援を実施しております。

「営業の型化を実施したいけどリソースやナレッジが足りない」という企業様の悩みを解決することはもちろんのこと、その後の事業成長や会社の未来をともに作っていくパートナーとしてありたい、日本にインパクトある企業を生み出していくための支援がしたいという思いをもって活動しております。

その第一歩としてセールスイネーブルメントの導入にお困りの企業様はぜひリブコンサルティングにお問い合わせください。

 

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