2023.07.04

ERP(企業資源計画)とは

ERP(Entereprise Resource Planning、企業資源計画)とは企業の資源であるヒト、モノ、カネを一元管理するシステムです。近年は、IT技術の発展やグローバル化によって物ごとの変化スピードが速まっており、対応するためには素早い経営判断が求められています。

なかでも、基幹システムによって部門ごとに情報を集約するだけでなく、企業内に点在しているあらゆる情報を一元管理し、スムーズな業務間の連携やリアルタイムな経営分析が可能となるERPが大きく注目されています。現在のERPは、クラウド型の普及により導入コストが安価となったことや柔軟な対応が可能となってきたことから中小企業での導入も増加し、業務効率化や企業全体の最適化を目指すケースが増えています。

ERP(企業資源計画)とは

ERP(Enterepris Resource Planning、企業資源計画)とは、企業の資源であるヒト、モノ、カネを一元管理するシステムを意味します。これまで企業内のデータは人事や生産、販売、経理などの部門ごとに独立したシステムを利用し、処理されることが一般的でした。

しかし、ERPでは散らばっていたデータを統合的に管理し、共有できる点が特徴です。現代では、導入時にまとめて料金を支払うシステムから月額で支払う方式が多くなったため、従来よりも手軽に導入しやすくなっています。

ERPを導入する目的

ERPの目的は部門ごとに入力した情報をリアルタイムで全社的に把握し、経営分析や意思決定を迅速化することです。基幹システムを導入して部門ごとにデータを管理している企業も多く見受けられますが、部門間のシステム連携や、データの統合が困難である点が課題でした。

そこで、ひとつのシステムで複数の業務を進行できるERPを導入することで、データの連携や業務の効率化が可能となります。また、全社的に運用するため、データの入力ミスや受け渡しのミス、要件の見落としなどの防止にも有効です。ERPを導入する形態はオンプレミス型とクラウド型の2つあり、それぞれの特徴を理解したうえで自社に合ったものを選んでください。

ERPを導入するメリット

ERPを導入するメリットは次のとおりです。

  1. 業務効率化につながる
  2. 意思決定の迅速化ができる
  3. 顧客満足度が向上する

業務効率化につながる

ERPでデータを一元管理することによって他部門との横断的な情報共有が実現するため、業務効率化につながります。これまで部門ごとの縦割りで管理されていたデータの擦り合わせや修正作業などの手間が省け、業務の負担が軽減されることで企業内のリソースを有効活用できるため生産性の向上にもつながります。

意思決定の迅速化ができる

ERPを使うことでデータが統合されていることにより、情報が経営者のもとへ届くスピードも速まるため意思決定の迅速化が期待できます。営業や販売、在庫管理などの膨大なデータでも、分析やレポート提出までにかかる時間を削減可能です。他部門での更新データなどもリアルタイムで把握できます。

顧客満足度が向上する

ERPによって他部門とのデータ共有が実現することで、顧客からの緊急な発注や問い合わせにも迅速な対応が可能なため、顧客満足度の向上につながります。リアルタイムの対応が可能になるとビジネスチャンスを逃すこともなくなり、顧客に対して適切なサービスを提供できるのもERPの大きなメリットです。また、ERPでカスタマーサービスを強化することで、より迅速な対応やサービス提供が可能となり、さらに顧客満足度の向上に役立ちます。

ERPの機能

ERPの機能として、次の2つがあげられます。

  1. 業務における基本機能
  2. システム管理における基本機能

業務における基本機能

ERPに搭載される基本機能は人事や販売、流通、財務会計などの幅広い業務に対応する機能です。業務におけるERPの機能として、多くの製品では利用の可否を選択することが可能であり、企業に必要な機能だけを利用できます。パッケージとなっている製品もありますが、既存業務システムと連携できるよう、自社に合ったものを選ぶことが重要です。

システム管理における基本機能

システム管理における基本機能は、データのバックアップやセキュリティに関する機能です。バックアップ機能により、障害などによるERPの運用が停止するような事態となっても、データの早期回復が期待できます。

バックアップ機能と同様に、ERPを安全に運用するためにはセキュリティ機能も重要です。サイバー攻撃の対策として、暗号化や認証システムなど強固なセキュリティシステムを利用し、データを外部の攻撃から守ります。ERPでは企業の重要な情報を取り扱っているため、バックアップやセキュリティなどのシステム管理は必要不可欠な機能です。

ERPの導入形態

ERPの導入形態は次の2つです。

  1. クラウド型
  2. オンプレミス型

クラウド型

クラウド型はインターネットを経由して利用するタイプです。オンプレミス型と比べて導入コストが抑えられるため、中小企業での導入も増加しました。社内でのシステム構築に関する作業はほとんど不要である点もクラウド型のメリットであり、オンプレミスとの大きな違いです。

ただし、インターネットを経由して利用可能であることからオフラインでの利用はできません。また、初期費用は抑えられますが、月額料金のランニングコストがかかります。

オンプレミス型

オンプレミス型は従来から利用されているタイプであり、必要な機器を自社に取り付けるため導入時には取り付け作業が必要です。クラウド型よりもコストがかかることや、人的リソースの増加という課題から、大きな企業でなければ導入が困難であるといえます。しかし、自社の業務内容に合わせて自由にカスタマイズできる点は大きなメリットであるため、自社運用が可能であれば複雑な業務などに最適です。

ERPを導入する際のポイント

ERPを導入する際のポイントは次のとおりです。

  1. 自社との適合性を確認する
  2. 人材の教育が必要になる
  3. セキュリティを強化する

自社との適合性を確認する

ERPソフトによって特徴が異なるため、事前に自社との適合性を確認する必要があります。導入する際はどのような業務で利用し、どのような機能が必要なのかを十分に検討することが重要です。

既存業務システムがERPの新規導入をためらう要因となっている場合は、既存業務システムの最適化を目的とした連携可能なERPを選んでください。特定の業務だけに利用するのであれば比較的コストも抑えることが可能です。また、導入してからの企業規模の拡大も考慮し、事前に機能の拡張性や柔軟性の確認もしておく必要があります。

人材の教育が必要になる

ERPを導入しても効果を最大化するには運用できる人材が欠かせません。特にオンプレミス型を導入する場合は自社でのメンテナンスが不可欠であるため、専門知識のある人材の育成や採用を検討する必要があります。

また、クラウド型の場合はサポート体制が充実しているベンダーも多いため、適したベンダーを選ぶことが有効です。ある程度の時間はかかりますが、メンテナンスも含め、効果の高い運用をおこなうためには人材の教育、またはベンダーによるサポートが必要です。

セキュリティを強化する

ERPでは企業全体の情報が一元管理されているため、システムのセキュリティ強化は必須です。海外ではサイバー攻撃により壊滅的なダメージを受けたケースも報告されており、年々その手口も巧妙なものとなっています。予防対策だけではなく、実際にウイルス感染や不正侵入などの被害を受けた場合の対策も計画しておくことが重要です。

まとめ

ERPとは企業の資源を一元管理するシステムです。企業内のデータを統合し、全社的に把握できることで業務効率化や迅速な経営判断、顧客満足度向上などのメリットがあります。

ERP導入には、自社の目的や既存業務システムとの適合性を加味して選ぶことや効果の高い運用をおこなうための人材、またはベンダーによるサポートが重要です。現在のERPは短期間での導入や運用、コスト低減などの理由から多くの中小企業で活用されるようになり、ERPによって企業全体の最適化を目指す組織が増えています。

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