2023.02.16

経験曲線(エクスペリエンス・カーブ)とは

経験曲線とは、累積生産量が増加していくとともに全体へのコストの減少を表した経験則です。経験曲線を業務に取り入れれば、業務の部門化や業務方法のマニュアル化、ITツールの導入などに活用できるため、パフォーマンスの向上につながります。

また、経験曲線は同じ作業を繰り返すことで生産性を増加させる経験則です。そのため、経験曲線を活用する際は、業務方法を一度も変更せずに長期間にわたって繰り返す必要があります。

経験曲線とは

経験曲線(エクスペリエンス・カーブ)とは、製品の累積生産量が増加するとともに固定費と変動費が低減する経験則のことです。一般的に、経験曲線の累積生産量が2倍になると商品を製造するためにかかる費用が20〜30%減少するといわれています。

経験曲線は累積生産量を増加させるための経験則なので、同じものを繰り返し生産していれば工場が増加しても経験曲線の高い効果を受け継ぐことが可能です。一方で、別の製品を初めて製造するとなると、作り方の工程が異なっているので経験曲線の効果は得られません。

また、経験曲線はサービス業にも見られる経験則であり、労働者による経験則による影響が大きい曲線です。そのため、飲食業や小売業など人的業務が多く含まれる業界では、経験曲線は高い効果を発揮する傾向にあります。

経験曲線は業務方法のマニュアル化やITツールの導入などに活用すれば業務効率化につながるため、高いパフォーマンスを発揮したいときに利用するべき経験則です。

経験曲線と学習曲線の違い

経験曲線と学習曲線は、生産量を増加させることで得られる結果が時間の短縮かコストの軽減かの違いがあります。学習曲線とは、経験を積んで仕事の生産量を増加させることで、製造にかかる時間を軽減できる経験則です。経験曲線は時間や金銭を含めたコスト全体の減少を表しますが、学習曲線はあくまで製造などにかかる時間の削減を表しています。

経験曲線と規模の経済の違い

経験曲線と規模の経済は、生産量が高まる要因が経験値であるか否かの違いがあります。規模の経済とは、1つの商品を大量に製造して生産量や生産規模を増加させることで生産コストが軽減する経験則です。

例えば、製品を1つ製造した場合は、初期費用として7,000円かかり、原材料費として2,000円かかるとします。この製品を1枚製造した場合では、合計9,000円のコストがかかっています。

しかし、この製品を100枚製造をしたら、1枚あたりの製造コストは2,070円となり、大幅に製造コストが低下しています。このように規模の経済は、生産量に対する生産コストが下がる理論をいいます。

経験曲線を適切に活用するためのポイント

ここでは、経験曲線を適切に活用するためのポイントとして、以下の2つを解説します。

  1. 長期間にわたって経験を積む必要がある
  2. 過剰に生産をおこなってはいけない

長期間にわたって経験を積む必要がある

経験曲線を適切に活用するうえで大切なポイントは、長期間にわたって経験を積んでもらうことです。経験曲線は同じ作業を繰り返すことで生産性を増加させる経験則であるため、短期間だけ従業員に経験を積ませた経験曲線を活用すると、効果を発揮しにくくなります。

また、作業のやり方やアプローチの方法を途中で変更してしまうと、一から業務を覚え直さなければいけなくなり兼ねません。効率的に経験曲線を活用するためにも、長期間にわたって経験を積む必要があります。

過剰に生産をおこなってはいけない

経験曲線を適切に活用するためには、市場の変化や社員教育に時間を割きすぎるなど生産性が低下する原因になり兼ねないので、過剰な生産をおこなってはいけません。商品を生産する際は、製品の需要と供給を見越したバランスを取る必要があります。

生産性をより増加させるためには、現在のパフォーマンスを維持したうえで社員へ多くの経験値を積ませることが大切です。

経験曲線の活用方法

ここでは、経験曲線の活用方法として、以下の3つを解説します。

  1. 業務の部門化
  2. 業務方法のマニュアル化
  3. ITツールの導入

業務の部門化

経験曲線を業務へ活用すれば、業務の部門化につながるため、より生産性を高められます。業務の部門化とは、いくつかの段階に仕事を分類して各個人がそれぞれの段階に沿った業務を別々におこなうことです。

たとえば、製造業でいえば営業部門や商品開発部門、製造部門など、企業の売上を向上させるためにそれぞれの段階ごとに部門分けされている傾向が多く、企業の生産性を増加させるためには、同じ作業を繰り返しおこなう必要があります。

そのため、長期間にわたって社員が経験を積んだら、その分野に特化した部門別に社員の割り振りをおこない、生産性をより高められるように業務の部門化をする必要があります。

業務方法のマニュアル化

1つの商品の製造を繰り返すことで効率的に実施できる作業方法が徐々に理解できてくるため、業務方法のマニュアル化につながります。もし、業務するうえでマニュアルが作られていなければ、新入社員の教育に多大な時間を割かなければいけません。

しかし、業務方法のマニュアルを作れば、新入社員が入ってきた場合でも仕事を覚えやすくなります。それに加えて、先輩社員は事細かに社員へ仕事を教える必要がなくなるため、その分、ほかの業務に時間を割くことが可能です。

新入社員へ効率的に実施できる業務方法を伝えるためにも、経験曲線を活用して業務方法のマニュアル化を実施する必要があります。

ITツールの導入

経験曲線を活用してITツールの導入をおこなえば、生産性の向上につながります。たとえば、在庫管理を人間が手作業でおこなっていたら、莫大な時間がかかってしまいます。しかし、ITツールを導入することですべて自動化できるため、在庫管理をおこなっていた時間を他の業務へ割くことが可能です。

ITツールの導入直後であればツールの使い方を社員で共有する手間が生じますが、マニュアルをあらかじめ作っておけば社員が混乱することなく、自動ツールも使用できます。

また、ITツールの導入はリーズナブルな価格設定である場合が多いため、人件費を支払うよりも安くコストを抑えられます。社員がより重要な業務に多くの時間を割けるようにするためにも、人がやる必要のない業務はITツールを導入して業務効率を向上させる必要があります。

まとめ

経験曲線を業務に活用すれば、業務の部門化や業務方法のマニュアル作成、ITツールの導入などにつなげられるため、生産性を高められると同時にコストの削減にもつながります。

ただ、短期間だけ経験を積ませた従業員に経験曲線を活用したり、市場の変化や社員教育に時間を割きすぎたりすると適切に活用できなくなります。経験曲線を適切に活用するためには、現在の業務のパフォーマンスを維持させたうえで、社員へ多くの経験を積ませることが大切です。

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