2022.10.03

プロダクトレッドグロース(PLG)とは

プロダクトレッドグロースとはプロダクトの魅力を向上させることで、製品の売上を伸ばす戦略のことです。マーケティングから営業まですべての工程をプロダクトに組み込む戦略であるため、成功すれば営業をかけずとも商品を販売可能できます。

認知の拡大に期待でき、検証と改善を繰り返すと、商品のマーケティングに大きく役立ちます。実際にプロダクトレッドグロースの仕組みで大きく売上を上げたサービスは複数存在しており、多くの企業でも取り組みが進められています。

プロダクトレッドグロース(PLG)とは

プロダクトレッドグロース(Product-Let Growth、PLG)とは、生産物の質や魅力を高めることで、製品の売上を向上させるようにする戦略を意味します。マーケティングやサポートなど、営業に関するすべてのものをプロダクトの中でおこなえるよう仕組みを作り、プロダクトがほかのプロダクトを売るという連鎖をプロダクトレッドグロースと呼びます。

プロダクトレッドグロースは有用性や効果性などが認められ、多くの有名企業に採用されており、近年急速に注目を集めています。プロダクトレッドグロースに対応させることで、顧客の育成や認知度の向上などをスムーズにおこなうことができ、製品の開発と改善により、企業のマーケティング活動を効率化させるきっかけになります。

セールスレッドプロダクト(SLG)との違い

セールスレッドプロダクト(Sales-Led Growth、SLG)とは、プロダクトレッドグロースとは大きな違いがあるため、対比して語られるケースが多いです。セールスレッドプロダクトでは、企業やセールスから製品の特徴を伝える形であり、プロダクトを販売するのはセールスです。

営業がプロダクトの魅力を伝えるため、営業担当者によって成果が左右される場合があります。また、チームで情報共有をしながらマーケティングを行う場合がほとんどのため、情報が共有されるのを待っている場合、営業活動に遅れが生じてしまう可能性もあります。一方で、プロダクトレッドグロースでは、プロダクトを通して顧客に売るための仕組みを作るため、セールスレッドプロダクトのような営業活動が不要となり、効率的にプロダクトを売ることが可能です。

プロダクトレッドグロース(PLG)のメリット

プロダクトレッドグロースを活用すると、プロダクトの認知から体験までをスムーズにおこなえるため、さまざまなメリットがあります。具体的なメリットとしては画像や動画によるセールスよりも魅力を伝えることができる、購入前の不安を早い段階で解消し、実際に購入してもらいやすいことなどが挙げられます。

また、営業活動や広告活動などセールスレッドプロダクトで発生していた営業コストが不要となるため、多くのコストが削減可能です。顧客の能動的な行動に合わせた対応により、顧客から高い信頼を得ることができ、成約につながる可能性もあります。

プロダクトレッドグロース(PLG)のフレームワーク

プロダクトレッドグロース(PLG)に活用できるフレームワークはMOATであり、構成要素は次のとおりです。

  1. Market strategy(市場戦略)
  2. Ocean conditions(オーシャン状況)
  3. Audience(意思決定者)
  4. Time-to-value(価格提供にかかる時間)

Market strategy(市場戦略)

市場戦略ではドミナント戦略とディスラプティブ戦略がプロダクトレッドグロースに適しています。ドミナント戦略とは既に市場にあるプロダクトよりも、安価で使い方が理解しやすいうえ、優れた機能を持つプロダクトを売り出す戦略です。

一方で、ディスラプティブ戦略とは既存商品よりも機能は劣っているが、低価格なプロダクトがとるべき戦略です。どちらの戦略も機能がシンプルで理解しやすく、プロダクトの価格が安価であるという点がプロダクトレッドグロースに適しています。

Ocean conditions(オーシャン状況)

オーシャン状況はブルーオーシャンとレッドオーシャンの2つに分けられます。ブルーオーシャンとは成長余地があり、顧客へ丁寧に価値を説明する必要性があるなど、プロダクトがどういったものであるかを理解させなければならない状況です。

一方で、レッドオーシャンとは市場が成長しきっており、競争率が高く既存のプロダクトに対しての不満や改善点が明確になっているため、顧客自身がニーズを自覚している状況を意味します。プロダクトレッドグロースに適しているのはレッドオーシャンです。

Audience(意思決定者)

プロダクトの体験者と導入を判断する意思決定者が同じであれば、プロダクトレッドグロースの効果が高い傾向にあるため、実際の体験を通してプロダクトの価値を感じてもらうことが大切です。

一方で、プロダクトの体験者と意思決定者が異なる場合、別のアプローチをおこなう必要があるため、プロダクトレッドグロース戦略は厳しくなります。特に会社全体の課題解決に関するプロダクトは、利用者1人の判断で導入を決定することはむずかしいため、別の施策が必要です。

Time-to-value(価格提供にかかる時間)

顧客はプロダクトの価値を体験するまでに時間がかかると体験前に離脱してしまうため、ユーザーがプロダクトの価値に気付くまでの時間が短いほうがプロダクトレッドグロースには適しています。たとえば、初期設定が複雑だったり、サインアップのためのフローが長すぎたりすると、実際に利用するまで多くの時間が必要になるため、短縮したほうが効果的です。また、プロダクトが顧客にとってわかりやすく、使いやすいようになっているかを調べたなかで、プロダクトレッドグロース戦略に取り組むべきか判断することが大切です。

プロダクトレッドグロース(PLG)の活用事例

プロダクトレッドグロースにおける活用事例は次のとおりです。

  1. ZOOM
  2. Slack
  3. Dropbox

ZOOM

オンライン会議やチャットなどのサービスを提供しているZOOMは、創業時からプロダクトレッドグロースを採用し、急成長を遂げたサービスです。特にコロナ禍の影響により、多くの人がZOOMを使うようになりました。

ZOOMは無料版の利用時間を40分と設定し、時間制限を解除したいのであれば、有料プランにしなければならないといったプロダクトレッドグロースモデルです。ビジネスでZOOMを利用する機会が多いことや無料プランでZOOMの利便性を感じ、有料プランへ移行することなど、理想のプロダクトレッドグロースとも呼べる成功事例です。

Slack

Slackはオンライン上でコミュニケーションできるビジネスチャットツールです。Slackでは基本的な機能を無料で利用でき、メッセージ履歴の表示件数やセキュリティ機能の違いなどの高度な機能を使う場合は、有料プランに移行する仕組みです。

仕事でさまざまな人とつながり、取引先との連絡手段としてSlackは利用されていることから、企業間で必要不可欠なものとなるため、より高度な機能が使える有料プランへ移行するケースが見受けられます。Slackに営業担当者はおらず、有料プランへの移行はユーザー自身に委ねられているため、プロダクトそのものが有料プランへの移行を実現させています。

Dropbox

オンラインストレージサービスであるDropboxでは、ZOOMやSlackと同様にプロダクトレッドグロースを採用し、成功したサービスです。Dropboxは、無料プランのユーザーがより高度な機能を求めて有料プランへ移行する仕組みをつくりました。多くの会社では事業を運営するうえでDropboxが必要不可欠となり、ストレージが足りなくなることで有料プランへ移行するなどのケースが数多く見受けられます。

まとめ

プロダクトレッドグロースとは生産物の質や魅力を上げることで、製品の売上を伸ばす戦略のことです。プロダクトレッドグロースではマーケティングから営業までのすべてがプロダクトのなかに詰め込まれており、従業員が他社や消費者へ営業をかけずとも、商品が売れ続ける仕組みともいえます。プロダクトレッドグロースには認知の拡大や商品の魅力を伝えやすいなどのメリットがあり、検証と改善を繰り返すことでより洗練されたスキルアップを目指せます。

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