2023.09.30

2年間で10名から200名まで成長させた組織づくり。伴走×ミッションドリブンなコンサルティングでベンチャー企業の組織をアップデートしていく。――株式会社みんなの銀行

株式会社みんなの銀行

福岡地域の地銀グループ、ふくおかフィナンシャルグループ傘下として、「国内初のデジタルバンク」をうたい2021年5月に開業。これからの日本の中核を担うデジタルネイティブ世代のを主なターゲットにした「デジタル起点で発想し、ゼロベースで設計された次世代の銀行」
話を伺った方

代表取締役会長 横田 浩二様(写真左1)
代表取締役頭取 永吉 健一様(写真左2)
エンプロイーサクセスグループ グループリーダー 花谷禎昭様

EXECUTIVE SUMMARY

1.「株式会社みんなの銀行(以下みんなの銀行)」は、ふくおかフィナンシャルグループ(以下FFG)から誕生した新たな形態のモバイル専業銀行。多様な人材がフラットでオープンなカルチャーのもとチャレンジできる環境をつくり、事業と組織の双方の成長を実現していく​ための組織人事制度を短期間で作りたいと考えていた。

2.銀行設立に向けて、急速な人員増が想定される中、多様な人材に対して、みんなの銀行の事業やカルチャーにマッチした形の評価や報酬を提供できる仕組みを作るためにベンチャー・スタートアップ企業の豊富な実績をもつリブ・コンサルティング(以下リブ)を活用。圧倒的なスピード感と現場に入り込み伴走して組織作りを共創していくコンサルティング会社を見つけたことが人員増加のスピード感に即した新しい人事制度の策定実現につながった。

パーパスを組織に移植できるパートナー

-リブ  みんなの銀行が手掛けている事業について教えていただけますか?

―永吉 みんなの銀行は、2021年5月にサービス提供を開始した「国内初のデジタルバンク」として、これからの日本の中核を担うデジタルネイティブ世代の人たちを主なターゲットにした「デジタル起点で発想し、ゼロベースで設計された次世代の銀行」です。

-リブ  改めて、リアル店舗を有する一般の銀行や他のネット銀行との違いは何でしょうか?

―永吉 リアル店舗を有する銀行とネット銀行は、銀行が持つ特徴としてはほぼ同じものになります。ネット銀行はリアル店舗を持たないのでコスト構造上の利点があり、金利や手数料の面でリアル店舗を有する銀行に比べて優位性もあるのですが、業務やシステム等に関してはリアル店舗を有する銀行のシステムと同じであることが多く、商品・サービス面ではあまり相違がありません。

その上で、「デジタルバンク」はデジタルネイティブ世代が銀行に望むものを追求し、ゼロから商品やシステム、業務のプロセスを設計しています。デジタル起点、デジタル完結を前提にしているので、例えば、通帳やキャッシュカードなどの物理的なものはなく、それ故に郵送物もないので、すべてがスマホ上で完結する徹底的にフリクション(煩わしさ)を排除したサービスが特徴です。

-リブ  みんなの銀行さんが、当社にご依頼いただいた背景について教えていただけますでしょうか。

―横田 もともとリブ・コンサルティングさんとはみんなの銀行を設立する以前から、FFGでの様々なプロジェクトを通じたご相談や支援を頂いていましたが、当行の設立にあたり人事制度の設計をご相談しました。

様々なコンサルティングファームがある中で、ご依頼の決め手は大きく2点あります。ひとつはベンチャー企業のコンサルティングに長けているということ。親会社のFFGのような大企業とは異なり、みんなの銀行はベンチャー企業の位置づけで、様々なバックグラウンドの方々が集まり、急成長していきます。リブ・コンサルティングさんはベンチャー企業の人事制度設計の経験が豊富だったことや、実務に即して現場に入り、クライアントと一緒に手を動かしながらサポートしていただけることが特徴でしたので、最初の相談時に、これまで我々がやったことのない未知の領域をサポートしていただくのには最適なパートナーだと感じました。

もう一つは、当行の想いに共感していただけたということ。我々の組織はいわゆる銀行員だけでなく、エンジニアやデザイナー、マーケターなど、既存の銀行にはいなかった人たちが寄り集まった組織のため、“カオスな状態だけど、自分たちのパッションや流儀を貫く”、そんなカルチャーを創り上げたいという想いがありました。ただ単に人事組織の設計に長けているのではなく、ミッションドリブンであるリブ・コンサルティングさんのスタイルがマッチすると思いましたね。

”あるべき姿”ではなく”ありたい姿”を徹底的に議論し、共創していく

-リブ  実際にプロジェクトを依頼して、いかがでしたか?

―永吉 プロジェクトがスタートした当時10名程度だった組織が今では約200名まで(2022年12月時点)、順調に拡大できた、その基盤となる人事制度の核を一緒に創っていただいたのは大きな成果だったと思います。当行は人事・組織領域だけでなく、経営、マーケティング、UI/UXなど様々なプロジェクトでコンサルティングファームと協業しています。今回の人事制度のコアな部分を作るというプロジェクトにおいては、大手のコンサルティングファームでは、当行のサイズ感やスピード感にフィットするのが難しいと感じていましたので、当行の人事責任者と一緒になって実際の現場を見ていただき、色々な仕組み作りを一緒に創っていきたいという想いを形にしていただきました。

この結果の裏側には、横田が申し上げた通りリブ・コンサルティングさんが様々なベンチャー企業の人事制度設計の支援実績が豊富にあることや、自社内で様々な人事制度を開発し、運用してきて、自分たちでやってきた経験を語れるのも、我々にとっては魅力的であり、信頼できるポイントになりましたね。

―花谷 私は今回のプロジェクトリーダーとして2年間このプロジェクトを推進させていただきましたが、期待以上のサポートをしていただいたと感じております。永吉が申し上げたように組織が急速に拡大していく上での、組織の在り方の型や、その前提となる我々のポリシーやカルチャーを形にしていかないといけない部分を一緒に創っていけたのは非常に心強かったです。

コンサルティングファームとしての一方的な提案ではなく、これまでのベンチャー企業の支援実績などを元に横田や永吉の想いを汲み、私たち人事部門とのディスカッションを通じて、当行がモヤモヤと抱えていたものを一緒にクリアにしていただき、具体的な形にしてくれた点はリブ・コンサルティングさんならではの提供価値だったと思います。

支援のフェーズとしてはいくつかありますが、最初の段階で前述した人事・組織戦略の型となるグランドデザインを構築し、その次の人事制度詳細設計の部分でのサポートも含め、ここまでのスピード感で新しい制度が形になるとは、当時は全く想像できませんでした。

詳細設計では人事の専門的な知見が必要になってくるため、リソースや知見不足になっている部分を巻き取っていただけた部分も多く、当社の体制が変わりゆく中でそれぞれのフェーズに合わせた支援を行っていただけたのも、現場と伴走いただける特長だと感じています。

―横田 人事制度の構築としてよくある短期的な目線で“あるべき姿”を追いかけるということであれば、一般的なベンチャー企業だと、ジョブ型雇用に近い制度があると思います。一方で3年、5年先の自分たちの“ありたい姿”を考えた際に、持続的に当行で活躍し、能力を発揮していただける人を評価できる人事制度を作りたいという出発点の議論を行えたのも非常に大きかったように思います。大企業とベンチャーのカルチャーが入り混じるハイブリッドな人事制度が構築できました。

―リブ そうですよね。当初、御社の事業を外側から見た段階では、例えばジョブ型雇用のような、より流動性の高い人材の集まりを前提とする制度も想定していました。将来的に目指していきたい世界観やカルチャーをお伺いしながら一緒にディスカッションした中で、何度も何度もお時間を頂き、一緒に創り上げた施策があり当社としても刺激になりました。

「形の設計」に留まらない、「現場への実践」まで伴走していく

―リブ 何度か「伴走」というキーワードが出てきておりますが、具体的にどのような業務になりますか?

花谷 我々にとっての伴走とは制度など「形の設計」を共創するだけでなく、「実践フェーズ」までフォローいただけたことを指しています。

この2年間のPJの中で、人事制度設計にとどまらず「採用支援」や、制度導入に向けた細かいフォローをいただけた点は現場としては非常に頼もしい存在でした。形を作ったのはいいけど、どのように導入していくのかという点では、予測はしていても常に想定外のことが起きるため、臨機応変にサポートいただけた点はまさに「伴走」いただけたと感じています。

―リブ 今回構築した人事制度が御社の成長の一助になれば幸いです。今後の期待や要望を教えていただけますか?

永吉―今回構築した人事制度の本格運用が2023年4月から始まっていきます。制度は運用して初めて、その企業にとっての良し悪しがわかるものだと考えているため、運用する中での改善点や見直しなどは定期健診していただきたいですし、そこで新たな視点をいただくことで、我々が目指す世界観にマッチした組織の在り方をまた一緒に議論する機会をいただけると嬉しいです。

―横田「みんなの銀行」はベンチャーマインドを注入した企業ですが、我々はやはり銀行員です。構築した人事制度は網羅的な内容も含まれており、ベンチャー企業としては複雑な面があるためシンプルにしていきたいですね。今回一緒に設計いただいた人事制度が見据えていた期間は、我々の目途として5年程度と考えていたのが、幸いなことにもっと早くそのタームが来る可能性が高まっています。人員拡張もそうですが、例えば、エンジニアに関しては全国的にタレント争奪戦になっている状況です。このタレント処遇の受け皿の対応は臨機応変に取り組んでいく必要があると思っています。

―花谷 引き続きスピードとスケールを重視しながら成長を目指していきたいです。先ほど申しあげたように、2年で10名から200名規模まで成長しました。今後も人員拡大は続いていきますが、組織の成長に伴う成長痛を感じつつも、その時の規模感にマッチした組織づくりを先回りして構築し、運用していきたいと考えておりますし、外部の視点から見えるアドバイスやサポートいただきたいですね。

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