2023.06.02

SaaS企業の営業の型化+2.2億の資金調達に貢献――株式会社シービーティー

株式会社シービーティー

2020年3月に設立されたシービーティーは、「プロカン」「プロキャス」「プロキャス警備」を提供している。いずれも、制作会社や広告代理店、人材派遣業界などプロジェクト単位で仕事をすることが多い業界の、各種管理業務を支援する。見やすさ・使いやすさが高く評価され、リリースから1年で導入企業は100社を突破した。

代表取締役 若村和明様(画像左より2番目)
アカウントコンサルティング部 本部長 平野隆之様(画像左)

EXECUTIVE SUMMARY

  1. 少数精鋭の営業チームによる「プロカン」の販売は好調な一方、チーム内のナレッジの共有やターゲットとなる市場選定に課題を抱えていた。外部のコンサルティング会社を通じて、市場調査や見込み顧客獲得~契約までの型化を通じて、営業活動の地盤を強化しようと考えた。
  2. リブ・コンサルティングが、調査やアポイント代行などを実施。攻めるべき市場を明確にしつつ、営業活動全体の「勝ちパターン構築」に貢献した。また、5月に実施されたシリーズAラウンドにおける資金調達も支援。約2.2億の資金調達を実現した。

成長に向けた営業体制の見直し

-LiB大島(ベンチャーコンサルティング事業部マネージャー) シービーティー社の事業の概要について、改めてご紹介いただけますか。

若村 弊社では「プロカン」「プロキャス」という2つのシステムを販売・運営しています。
「プロカン」は使いやすさを意識したクラウドERP(基幹業務システム)で、プロジェクトごとの収支管理をスムーズにし、各種データを会計システムと連動できます。

また、「プロカン」ではプロジェクトにおける工数を、収支管理に盛り込める設計になっています。
日報ベースではなく、GoogleカレンダーやOutlookのスケジュールからの情報を抽出して、工数を計算し請求書を作成することも可能です。

「プロキャス」は、短期派遣のスタッフ管理を支援する、キャスティングシステムです。

私は制作業界で20年間働いてきました。制作業界はプロジェクトごとに制作業務の収支管理をするのですが、それに対応したシステムがないという問題を長年抱えていました。私の知る限り、既存のシステムは「膨大なイニシャルコスト・ランニングコストがかかる」か、「使いにくい」というものしかなかったのです。

弊社もエクセルで収支管理をしていましたが、従業員が増えるのに合わせて自分たちでシステム開発することとしました。
そして、2020年に「プロカン」「プロキャス」を開発し、多くの企業様に導入いただいております。

現在は、顧客拡大に向けてさらにスピードアップしようという段階で、
今年5月にはシリーズAラウンドにて約2.2億円の資金調達を実施しました。

 

-LiB大島 事業をさらに加速させるというタイミングで、外部のコンサルティング会社をなぜ利用しようと思ったのでしょうか。

若村 外部のコンサルティング会社に依頼しようと思ったのは、営業活動の整理と強化が主な理由です。これまで「プロカン」「プロキャス」は順調に販売実績を重ねてきましたが、今後さらに契約数を増やすには、まだまだパワー不足だと感じたのです。

またコロナ禍によって、それまでの市場調査や見込み顧客の獲得、顧客との関係構築、アポイント獲得といった一連の流れにも、テコ入れが必要だと考えました。実際にコンサルティング会社とタッグを組んでこれらを改善したら、弊社はどう変わるだろうかという情報収集も兼ねて、いくつかの会社に声をかけさせていただきました。

―LiB大島 当時はどのような会社に声をかけていたんですか?

若村 BtoB、特にSaaSに強い会社という条件で3社に声を掛けました。

平野 リブ・コンサルティングさん以外の2社からは、「アポイント獲得数の純増」を提案されました。しかし、弊社は営業チームの強化という「土壌づくり」も含めて、伴走してくれる会社と組みたかったのです。その点、リブ・コンサルティングさんの提案は魅力的でした。

若村 リブ・コンサルティングさんは、「アポイント数だけを追いかけてはダメだ」と明言していました。弊社も、アポイントを含む顧客獲得に関するコンサルティングを依頼したかったので、印象的な言葉として覚えています。

実際の提案内容も、どのような情報を集めていくのかや、コンサルティングの目的・成果が明示されていたので、ぜひお願いしようと決断しました。

営業活動の型化を達成

-LiB笹川(ベンチャーコンサルティング事業部 コンサルタント)実際のコンサルティング内容はいかがでしたか?

若村 「プロカンをどう販売すべきか」を考える第一段階として、どの市場に可能性があるのかを調査して、アポイントを獲得していきました。弊社でも事前に情報収集していて、どのデータも照らし合わせつつ、ターゲットの市場を深掘りしていったのです。1ヶ月目は調査と試行錯誤を進め、2ヶ月目以降からその内容を深掘りしつつ、書面にまとめていきました。

完成した資料は、非常に美しくまとめられていました。この資料によって、各市場の可能性や顧客ごとの市況を分析表にまとめつつ、クロージングまでの流れが型化できたのです。

私たちは少数精鋭のチームなので、ナレッジを深めたり共有したりすることが非常に重要です。しかし、売上実績を伸ばすという行動と同時並行で、ナレッジを共有するための資料を作る時間的余裕はありませんでした。それがわずか数ヶ月で、新人研修にも利用できるような資料が完成したというのは、大きな成果だと思います。リブ・コンサルティングさんによって、長年取り組めていなかった営業活動の型化を大きく進めることができました。

若村 弊社では、リブ・コンサルティングさんに依頼する前にタクシー広告を出して認知度の拡大を図っていました。おかげで問い合わせは増え、「制作業界だけでなく、不動産業界もターゲットにできるかもしれない」といったデータを集めることができたのです。

リブ・コンサルティングさんは、集めたデータに対する「かもしれない」という推論を、明確化してくださいました。新たな市場を開拓したというよりも、それぞれの市場の可能性を検証してくださったという言い方が正しいと思います。

平野 各業界の方々にユーザーインタビューを行い、「この市場には一定のニーズがあります」と明言してくださることで、営業活動に自信を持つことができました。それによって、制作業界の中でも印刷会社、映像制作会社という風に、業種をより絞ることができました。

―リブ笹川 1ヶ月目のユーザーインタビューで、さまざまな事実が分かりました。
一概に制作会社といっても、収支管理が「非常に大変」と答える会社もいれば、「まったく苦じゃない」と答える会社もいたので。こうした話を聞いて、「もっとフラットに調査しないとダメだ」と痛感しました。

具体的には、「プロカン」がターゲットとするプロジェクト型の業界の中で、課題の種類や大きさの違いがあることを仮定し、プロカンの提供価値が刺さる条件を設定しました。そして、業界毎に顧客へのコールドコールを実施し、直接インタビューを通じて業界毎の刺さる条件の有無を明らかにしていきましたよね。

それぞれの業界の検証結果とマーケットボリュームを掛け合わせ、業界の開拓優先度を評価していきました。結果、プロカンが最も刺さるであろう業界像が鮮明になり、その後の営業検証での成果につながったと思います。

若村 その過程で、リブ・コンサルティングさんは「この市場はターゲットにならないかもしれません」「この価格設定は安すぎるかもしれません」と、フラットな意見も投げかけてくれましたね。

フラットな姿勢で調査を進めることで、弊社の商材は「原価の高い業種に支持を得られやすい」といった傾向が見えてきました。そうした情報を、短期間で整理してくださいました。

平野 私が一番勉強になったのは、「プロカン」や「プロキャス」がバーティカルSaaSとホリゾンタルSaaSのどちらなのかを明確化してくれた点でした。こうした知識を教えていただきつつ、どんな売り方が「プロカン」にはベストかを一緒に考えてくれて、クリアにしてくれました。

若村 営業コンサルティングのプロジェクトでは、期間内で60アポイントを獲得してくださったのが大きな成果と言えます。他社にもアポイント代行をお願いしましたが、これだけの成果を上げた会社はありませんでした。他社の場合だと、平均5~10アポ程度だったと思います。

―LiB大島 営業活動の型化が進められたことで、チームの雰囲気に何か変化はありましたか。

平野 メンバー全員の案件獲得意識が向上したと思います。あるメンバーは、上期にあまり成績が出ていなかったのに、下期で大きく改善されたという成果も見られました。

若村 型化が進んだことで、管理体制も大きく改善されました。

平野 そうですね。他のメンバーの提案状況や抱えている案件を明確化して、シートで管理できるようになりました。

若村 数字が見えやすくなったことで、メンバー間で競争意識が芽生えてきているのも、いい傾向だと感じています。

シリーズAにて2.2億の資金調達を完了

―LiB大島 今回のプロジェクトでは、シリーズAにおける資金調達も支援させていただきました。

若村 そうですね。リブ・コンサルティングさんにはSaaSビジネスをより発展させるための、事業計画作成にも協力していただきました。
ここで2.2億の資金調達ができたというのが、なによりの成果です

私は制作業界に長年勤めており、さまざまな業務を経験してきましたが、BtoBのSaaSビジネスについては分からないことだらけでした。資金調達に伴う金融・証券に関する用語も、リブ・コンサルティングさんに1つずつ教わるという状態だったのです。

リブ・コンサルティングさんと勉強させていただいた結果、1ヶ月程度でVCの方々とまともにコミュニケーションができる状態になりました。そのおかげで、資金調達が難しいと言われていたこの時期に、調達を成功させることができました。

皆さんの支援が入ったことにより、約20年間の経営で培ってきた「信頼」をしっかり「強み」として変換し、発揮できたおかげだと思います。現在まで進めてきた2つのプロジェクトでは、どちらも完璧な成果が得られました。

600億のARRを誇るSaaS企業を目指して

―LiB笹川 貴社の今後の展望や目標などを聞かせてください。

若村 業界初の「工数管理を盛り込んだ収支管理システム」として、「プロカン」をさらに販売拡大していきたいと考えています。中期的な目標として、3年後に月商1億の突破を目指しています。市場規模としては約4,500億ある見込みなので、そのうち15%にあたる、約600億のARR(年間定期収益)のSaaS企業になれれば最高ですね。

弊社は「プロフェッショナルな業界の方々に、使いやすいシステムを提供していく」ということを信条としています。私たちにとって、「使いやすい」がもっとも嬉しいお褒めの言葉なのです。加えて、収支の見える化に貢献しつつ、それが売上アップにつながらなくてはダメだとも考えています。

今年行った調査では、ありがたいことに「プロカン」を導入したお客様の100%が、売上を伸ばしています。この状態を、今後も維持していきたいです。

平野 事業計画書を作成するにあたり、多くの中小企業が収支管理に莫大な予算を投じていたり、予算の都合でExcelによる管理をせざるを得なかったりという状況があると知りました。そうやって悩む企業に対して、「プロカン」が貢献できるということが、今回のプロジェクトでハッキリと分かりました。

提案先が明確になったことで、将来性をヒシヒシ感じています。「プロカン」を必要とするお客様にサービスをお届けし、若村が目指す「約600億のARR」という未来にどこまで近づけるのか、ワクワクしているところです。

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