2024.05.01

生成AIのガイドライン

生成AIを導入する企業や組織が増えていますが、同時に生成AIガイドラインを発表しています。生成AIガイドラインには生成AIの使い方や活用時の注意点などを詳しく説明したものです。社内向けのガイドラインを設定することで、社内や組織内でリスクを減らした状態でより効率的にAIの活用が可能になります。

また、一般に情報を公開することで、透明性を高め、他の企業や組織が同様のガイドラインを策定する際の参考にもなります。ガイドラインは生成AI技術の進展に伴い、倫理的な側面や法的な規制にも配慮した形で提供されていることが一般的です。

生成AIのガイドラインとは

生成AIのガイドラインには、企業や組織が社内もしくは社外に向けてAIの活用方法や注意点などをまとめたものです。生成AIはコンテンツや画像、動画、プログラミングコードなどさまざまなものを作成できます。そのため、生成AIを応用することで、業務にあった活用が可能であり業務効率化や生産性の向上を期待することが可能です。

しかし、情報漏洩や著作権侵害のリスクなどAIの利用には課題点が残り、対応が必要になります。ガイドラインはこれらの課題に焦点を当て、ユーザーに対して安全で効果的なAIの活用方法を提供することで、企業や組織が生成AIを有効に導入するためのサポートをすることが目的です。

文部科学省

文部科学省では、多くの企業で生産性向上のために活用されている生成AIの仕組みを学生が学ぶことは重要としています。生成AIは新しい技術であり、理解することで将来の職業において有利になる可能性があります。しかし、同省は個人情報の流出や著作権侵害のリスク、学習意欲への影響などに対する懸念も指摘しており教育現場では子供の発達段階を十分に考慮しつつ適切な指導が求められています。

教育現場では、生成AIを導入する際には子供たちが安全かつ健全な環境で学べるよう、情報セキュリティや倫理に関する教育が不可欠です。また、AIが生成した情報を参考にして自分で考えることが重要であり、単なる情報の受け入れではなくクリティカルな思考力や問題解決能力を養うための指導も重視されています。

教育利⽤に当たっては、利⽤規約の遵守はもとより、事前に⽣成AIの性質やメリット・デメリット、AIには⾃我や⼈格がないこと、⽣成AIに全てを委ねるのではなく⾃⼰の判断や考えが重要であることを⼗分に理解させることや、発達の段階や⼦供の実態を踏まえ、そうした教育活動が可能であるかどうかの⾒極めが重要と考えられる。
引用:初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン(文部科学省)

デジタル庁

デジタル庁では、業務にChatGPTを導入するための手引きである「ChatGPTを業務に組み込むためのハンズオン」を一般に公開しています。このハンズオンは、ChatGPTを使った業務プロセスの改善や効率化に向けたステップバイステップのガイドラインを提供していることが特徴です。

具体的な業務へのChatGPTの導入方法や最適な活用法について、豊富な事例や実践的な手順が解説されています。この手引きを通じて、企業や他の組織がChatGPTを実際の業務に組み込む際の課題やポイントを理解し効果的な活用を図ることが可能です。

参考:ChatGPTを業務に組み込むためのハンズオン(デジタル庁)

総務省

総務省ではAI利活用ガイドラインを発表し、AIの定義や対象範囲を詳しく解説しています。このガイドラインは、官公庁や企業がAIを活用する際に適切な方針や基準を提供し、安心して導入できるようにするためのものです。

ガイドラインでは、AIに関連する基本的な用語や概念の説明からAIの適用範囲や利用に際しての注意点に至るまで包括的な情報が提供されています。特に、倫理的な側面や社会的影響、透明性、説明責任などに焦点を当て公正かつ安全なAIの利活用を促進するためのガイドが具体的に示されていることが特徴です。

参考:AI利活用ガイドライン(総務省)

企業が設定した生成AIガイドライン

近年ではさまざまな企業が生成AIガイドラインを設定しています。技術の進化と普及に伴い、生成AIの活用が急速に広がっていることを反映しています。これらのガイドラインは、企業が生成AIを利用する際に倫理的な観点や社会的な責任を考慮し、透明性や安全性を確保するための重要な手段となっています。

例えば、顧客データの取り扱いやプライバシー保護、アルゴリズムの透明性、バイアスの排除など、生成AIが関与するさまざまなプロセスにおいて、企業はガイドラインを通じて適切な基準を設定し、これらの課題に対処しています。

日本ディープラーニング協会

日本ディープラーニング協会では、生成AIの普及と適切な利用を促進するため、利用ガイドラインのひな形を一般に公開しています。このひな形は、生成AIの利用目的に合わせて柔軟に適用でき、ユーザーが必要に応じて追加や修正をおこないながら使用することが可能です。主な目的は、生成AIの利活用を透明かつ効果的におこない、社会において安全性と信頼性を確保することです。

このガイドラインは、ユーザーが倫理的な観点や法的な枠組みに配慮しつつ生成AIを有効に活用するための手引きです。具体的なAIの活用方法に焦点を当て、個々の事例に応じて適切な対応をおこなうための基本的な指針を提供しています。

参考:JDLAが、『生成AIの利用ガイドライン』を公開(日本ディープラーニング協会)

東京都デジタルサービス局

東京都デジタルサービス局では、文章生成AIの活用を目的としたガイドラインを設定しました。生成AIの特性やリスクなどを明確にすることで、AIを正しく使うことが目的です。ガイドラインを有効活用することで都職員の業務を効率化できます。

また、AIが生成した情報の正確性やセキュリティに関する知識が身につきます。AIを使ってコンテンツを生成する場合におけるリスク回避ができるため、安全かつ適切な形でAIを活用することが可能です。

参考:文章生成AI利活用ガイドライン(東京都デジタルサービス局)

大学が設定した生成AIガイドライン

企業や各団体以外に大学でも生成AIを活用しています。これに伴い、多くの大学が専用の生成AIガイドラインを策定しています。これらのガイドラインは、研究や教育における生成AIの倫理的かつ効果的な使用を確保するために重要な役割を果たしていることが特徴です。大学では、学術的な透明性と倫理的な配慮を重視し、生成AIの開発や利用において社会的な責任を果たすために、ガイドラインを積極的に導入しています。

上智大学

上智大学では教育における生成AIの使い方について、技術的進展や社会的動向とともに変化が早いことから常に新しい情報を記載したガイドラインを提供しています。ガイドラインには、教育目的における生成AIの有効活用法や、潜在的なリスクを回避するための具体的な手順が含まれていることが特徴です。

また、法的規制や倫理的な観点にも焦点を当て、教育プロセスにおける透明性や公正性を確保するための指針も提供されています。上智大学の取り組みは、新しい教育環境に適応し学内コミュニティが安全かつ効果的に生成AIを導入できるようなサポートが主な目的です。
参考:教育における生成 AI 利用に関するガイドライン(上智大学)

武蔵野大学

武蔵野大学は、教職員が誤ったAIの使い方をしないようにガイドラインを導入しています。対話型生成AI以外にも、画像生成AIや動画生成AI、音楽生成AIについてもガイドラインに含まれていることが特徴です。

ガイドラインは、データ入力および生成物の利用に関する慎重な注意事項が中心となっています。具体的には、著作権侵害や登録商標、著作者の顔写真や氏名などについても詳細に触れており、これらの法的なポイントを遵守するよう教職員に呼びかけています。
参考:武蔵野大学教職員向け生成AIの利用ガイドライン(武蔵野大学)

まとめ

生成AIガイドラインは、企業や組織などが生成AIの使い方や注意点などをまとめたものです。社内向けのものもあれば一般公開しているものもあります。生成AIは業務効率化や生産性向上につながるような活用ができ、導入されるケースは増えています。しかし、情報漏洩や著作権侵害などのリスクが伴うことから対策が必要です。生成AIガイドラインは、ユーザーが安全、かつ効果的にAIを活用できるように作られています。

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