2023.09.22

デザイン思考(デザインシンキング)とは

デザイン思考とは、デザイナーが実際に活用している思考プロセスを使い、課題解決につなげる思考法です。ユーザーの共感や顧客満足を目的としており、アイデアを創出することで取り組みをブラッシュアップしていきます。固定観念を持たず、前例にとらわれないことが特徴です。

デザイン思考は、ユーザーエクスペリエンスの向上、新製品やサービスの開発、組織内のイノベーションに広く適用されており、柔軟性と創造性を重視しています。デザイン思考を採用することで、問題解決にアプローチし、革新的なアイデアを生み出すのに役立ちます。

デザイン思考(デザインシンキング)とは

デザイン思考(デザインシンキング)とは、デザイナーがプロセスを体系化したものです。ユーザーの立場に立ってサービスのニーズや課題などを発見することだったのですが、ビジネスにおける課題解決につながる考え方として注目されています。

デザイン思考のアプローチは、多くの分野で価値を提供しています。このアプローチは製品開発においても特に重要です。製品デザインにおいて、ユーザビリティやエルゴノミクスを考慮することで、製品の使いやすさや快適さを向上させることができます。

デザイン思考の需要が高まった理由として、市場構造が変化したことが挙げられます。従来は仮説を設定、検証したうえで製品を開発する仮説検証型が主流でした。しかし、近年では技術革新が進み、社会構造が大きく変化していることが挙げられます。

デザイン思考はファーストなアプローチを強調し、ユーザーのニーズや要求を中心に据えて製品やサービスを開発します。これは、市場がより競争激化し、消費者が個別化されたサービスや体験を求めるようになった結果です。企業はユーザーの期待に応えるために、デザイン思考の手法を用いて製品のデザインやサービスの改善をおこなっています。

このように、デザイン思考は市場の要求に応じたアプローチとして注目されており、従来の仮説検証型開発に代わる新たな方法論として位置づけられています。企業や組織はデザイン思考を導入することで、より効果的な製品やサービスの提供を実現し、競争力を維持・向上させることが期待されています。

アート思考との違い

アート思考とは、個人の発想や感性を基準として作品を作り出すための思考法です。アート思考とデザイン思考はいずれもアイデアを創り出すための思考ですが、ユーザー思考はユーザーニーズ、アート思考は自身の発想が基準となっている点が大きく異なります。

要するに、アート思考は芸術的な表現に重点を置き、自己表現や感性を追求する思考法であり、デザイン思考はビジネスやプロダクトデザインにおいて実用性やユーザーの視点を優先するアプローチです。

ロジカル思考との違い

ロジカル思考とは、物事を体系立てて整理し、課題解決をするための思考法です。デザイン思考と目的は同じですが、デザイン思考がユーザーのニーズを基準としてクリエイティブな発想を活用するのに対して、ロジカル思考は課題を基準として論理的に考えます。

デザイン思考とロジカル思考は、どちらも問題解決に役立つ優れた思考法ですが、アプローチが異なるため、状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。デザイン思考は創造的なアイデアを求める際に有用であり、ロジカル思考は論理的な分析と解決策の導出に優れています。

デザイン思考を導入するメリット

デザイン思考を導入することで、アイデアを提案することを習慣化することが可能です。デザイン思考ではまずアイデアを出し試してみるといったスタンスであり、アイデアを出す環境作りができます。

また、デザイン思考はユーザー中心設計であるため従来の市場中心型のアプローチとは違ったアイデアを生み出す可能性がある点が特徴です。デザイン思考を導入することで、次のようなメリットがあります。

  1. 顧客満足度を高める
  2. 組織力を強化できる

顧客満足度を高める

デザイン思考を導入することでユーザーのニーズを検証するため、顧客満足度を高めることにつながります。デザイン思考は製品やサービスの開発プロセスにおいて、ユーザーの視点を重視しニーズや期待を理解するための方法論です。また、デザイン思考では、アイデアを素早くプロトタイプに落とし込み、ユーザーからのフィードバックを取り入れるプロセスが重要です。

これにより、製品やサービスの改善が進み、ユーザーの要求に合致した最終的な成果物を生み出します。デザイン思考を導入することで、ユーザーの期待に合致した価値ある成果物を生み出し、競争力を高めることができます。ユーザーの満足度向上は、組織にとって長期的な成功につながります。

組織力を強化できる

デザイン思考を実践するためには、組織内のコミュニケーションが求められます。そのため、組織力の強化につなげることが可能です。デザイン思考はユーザーのニーズを優先し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることを目指します。組織内でのコミュニケーションを通じて、ユーザーに焦点を合わせ、共通の理解を深めることができます。

さらに、デザイン思考は異なる視点からのアイデアを収集し、統合する方法論です。そのため、組織内でアイデアを共有し多様な視点を取り入れることで創造的なソリューションが生まれやすくなります。

デザイン思考を組織内に浸透させるためには、オープンで効果的なコミュニケーションを奨励し、組織全体でユーザーへのアプローチ手法を共有することが大切です。これにより、組織力の向上と革新的なプロジェクトの実現につながります。

デザイン思考を導入するプロセス

デザイン思考を導入するためには、次のようなプロセスとなることが一般的です。

  1. 共感
  2. 定義
  3. 概念化
  4. 試作
  5. テスト

デザイン思考にまず必要なのは、ユーザーの共感を得ることです。ユーザーにインタビューをとったり、観察をしたりすることでユーザーニーズをつかむことから始まります。共感した内容を基準として、ユーザニーズを定義します。

ユーザー定義が固まったらアプローチ方法やアイデアなど概念化を進めることが一般的です。ユーザーニーズを満たすためのアイデアが決まったら、試作品を作ります。試作品を作るうえで重要なのが、スピーディーにおこなうことです。試作品ができたら、ユーザーテストを何度もおこなうことで改善していきます。

デザイン思考はユーザーに焦点を当て、柔軟で創造的な問題解決を実現するためのプロセスです。このアプローチは新しい製品やサービスの開発、ビジネスプロセスの最適化、ユーザーエクスペリエンスの向上など、幅広い分野で活用されています。スピードと反復が鍵となり、ユーザーとの連続的な対話を通じて革新的な成果を生み出すことが目指されます。

デザイン思考が必要なシーン

デザイン思考は次のようなシーンにおいて活用されています。

  1. サービスデザイン
  2. DX推進

サービスデザイン

サービスデザインとは、顧客体験だけでなく継続的に運用する仕組みであり、新たな価値を作り出す方法論です。サービスデザインには、ユーザー視点に沿った考え方が必要でサービスを作り上げることが重要です。つまり、サービスを提供する際には、顧客や利用者のニーズや要望を理解し、それに合ったサービスを提供する必要があります。

サービスデザインは、サービスの品質向上、競争力の獲得、ユーザーエクスペリエンスの向上に貢献します。ユーザー視点を重視し、顧客満足度を高めることで、長期的な成功につながります。サービスデザインは、さまざまな業界や分野で適用され、企業や組織に競争優位性をもたらす力を持っています。

DX推進

DX(Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション)推進は変化し続けるユーザーのニーズを把握することが重要です。そのため、企業や組織はユーザーを中心に据え、適切に対応することが成功の鍵となります。DX推進において、デザイン思考を取り入れることで、変化する環境に適応し、競争力を向上させることができます。

ユーザーを理解しそのニーズに敏感に対応する姿勢は、DXの成功に不可欠な要素です。デザイン思考を取り入れることで変化する環境に適応し、ユーザーに価値を提供する組織は、競争力を維持し、持続的な成長をしやすくなります。

まとめ

デザイン思考とは、ビジネス上でデザイナーがデザインを考える際のプロセスを活用して課題を解決する考え方です。ユーザー視線に立つことで、サービスや商品などの本質的な課題を把握して、課題を解決していきます。デザイン思考は、創造的でユーザーファーストなアプローチを通じて、イノベーションや改善を実現するのに役立ちます。

デザイン思考は、ビジネスやプロジェクトにおいてデザインのアプローチを活用し、問題解決や革新を促進する方法論です。このアプローチは、ユーザー中心の視点を強調し、ユーザーのニーズや期待に焦点を当てることで、より効果的なソリューションの開発に貢献します。

一覧に戻る

関連コラム