2022.01.06

新規事業の立ち上げが必要な理由

世界では毎年多くの新規事業が生まれ、終わっています。どんなに成功した事業でもいつかは必ず衰退します。しかし必ず衰退するからこそ、新規事業の立ち上げが重要なのです。

なぜなら、新規事業を立ち上げることで企業の衰退を防げるためです。具体的には、新たな収益の軸を作る、将来の経営者候補を育てるという2つの理由があります。

この記事では、新規事業が必要な理由と立ち上げのプロセスについて解説します。

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新規事業が必要な2つの理由

現在の事業とは別の収益を得るため

新規事業が必要な理由は、別の収益を得て将来的に会社を残すためです。なぜなら、一部の定番商品を除き、どのような商品やサービスでも必ず衰退期が訪れるためです。

商品やサービスには「プロダクト・ライフスタイル」というものがあります。プロダクト・ライフスタイルとは、商品やサービスの成長周期です。導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つの段階があり、段階に応じた戦略を行うことで利益を高められます。

特に近年では消費者のニーズが非常に速く移り変わることから、プロダクト・ライフサイクルは従来に比べて短くなっています。もしプロダクト・ライフスタイルが衰退期に入っても生き残れるようにするには、別の収益の軸が必要です。

また、事業が複数あれば、経済市場の縮小にも対応できます。総務省統計局が発表している人口推計によると、2021年10月1日時点の総人口は1億2512万人です。2010年は1億2800万人以上いた人口は減少し続けており、今後も減っていくと予想されています。

人口が減れば、経済市場も縮小します。別の事業の軸を持っていれば、現在の自社の市場が縮小しても別の事業で生き残れます。今の経済状況だけでなく、5年、10年先を見据えた経営が重要です。

将来の経営者候補を育てるため

新規事業は、将来の経営者を育て、自社を成長させていくためにも必要です。コンサルティング会社や社員と協力しながら新規事業を立ち上げる経験によって、経営者としての思考や判断力が身に付きます。

会社を残したいと考えるなら、自身の後継者を育て、自身の後を継いでもらうのが妥当です。しかし東京商工リサーチ(中小企業庁委託)の「企業経営の継続に関するアンケート調査」(2016年11月)によると、50歳~59歳の経営者の半数近くが「後継者が決まっていない」と答えています。

多くの経営者が後継者選びに迷うのは、経営者としての能力を育てることが難しいためです。先述したアンケートでは、半数程度の人が後継者決定に至らない理由を「候補者の能力がまだ不十分」と答えています。新規事業の立ち上げによって後継者のスキルが育てば、この問題は解決します。

もし将来の経営者候補を育成するのなら、可能な限り候補者に権限を与えてください。会社の屋台骨が揺らぐ損失にならない限りは、口を出さず自由にやらせることです。経営は、失敗から学ぶこともあります。

新規事業立ち上げのプロセス

ここからは、新規事業を立ち上げる際の具体的な工程について解説します。新規事業立ち上げのプロセスは、6つの段階に分けられます。

1.事業のアイデアを出す

まずは、事業のアイデアを出し合います。この際、事業のことは考えず、日常で使用してよかったものや不満に思った商品やサービス、改善してほしい点などを挙げてください。アイデアを出す段階では、質よりも量が重要です。多くのアイデアを出し合い、その後に質を高めていきます。

アイデアを出すことが困難な場合には「マトリックス法」があります。マトリックス法とは、縦と横に複数の項目を作り、縦横の項目を組み合わせて浮かび上がったものを記載していく方法です。新規事業に限らず、新商品開発の際によく使われます。

十分にアイデアが出たら課題を導き出し、課題が解決されたときの価値を考え、実現可能なものに絞ります。

2.事業の領域を決める

次に、事業の領域を決めます。事業の領域とは、提供する人や提供方法のことで「事業ドメイン」と呼ばれます。事業ドメインを決める際に重要なのは、物理的な部分と機能的な部分を考えることです。例えば、事業のアイデアで「本」が出たとします。この場合、事業ドメインは「本屋を作る」という物理的な部分と「本好きが滞在して楽しい場所にする」という機能的な部分を考えてください。

ただし、事業ドメインを限定しすぎると、市場に出た際にすぐに行き詰まります。かといって広すぎても無駄なコストをかけることになりかねません。事業の領域は広すぎず狭すぎない適度な範囲にする必要があります。

3.理念・コンセプトを決める

事業の領域が決まったら、企業理念やコンセプトを決めます。企業理念とは、事業が社会に与える最終的な意義です。

例えば、全国でコンビニエンスストアを運営するセブンイレブンの企業理念は「私たちは、いかなる時代にもお店と共にあまねく地域社会の利便性を追求し続け、毎日の豊かな暮らしを実現する」です。これは「近くて便利」というテレビコマーシャルの文言にも表れています。社員の共感を得られ、かつ一体感が生まれるものにする必要があります。

一方、コンセプトはお客様の利用シーンの定義です。コンセプトを決める際には5W1H(誰が・いつ・どこで・なぜ・何を・どのように・どのくらいの値段で)を考えてください。

4.事業の内容を検討する

理念とコンセプトを決めたら、一旦ここで事業の内容を検討します。ニーズの有無、アイデアのオリジナリティ、法的な問題など、冷静になって考えてください。情熱だけで事業を進めると、実際に市場に出たときに上手くいかず、すぐに撤退という事態になりかねません。

事業内容を検討する際には、フレームワークを利用すると効率的です。フレームワークとは一定の法則を活用して、問題点や解決方法を分析するツールです。事業内容をフレームワークに当てはめて考えると、論理的に判断ができます。

5.事業に必要なリソースを考える

事業内容に問題がなければ、必要なリソースを考えます。事業資金や人的資源、使用するものなどを挙げて、必要な場所や記事、必要な数を洗い出してください。事業の不足が分かり、調達すべきもの、調達すべき数が明確になります。

同時に、調達するものの購入方法や補充方法も検討してください。資金が不足しているなら、補助金の申請や銀行からの融資、人が不足しているなら新規雇用やアウトソーシングなどの手段があります。

6.事業計画を立てて実行

必要なリソースを考えたら、事業計画を立てて実行します。事業計画を立てる際には実行する人、実行の内容、実行する期限を明確にします。事業の開始までに必要なタスクを書き出し、細かくスケジューリングしていくのがコツです。資金を銀行などから借り入れている場合には、返済も含めて計画を立てなければなりません。

なお、近年の新規事業では、最小限のコストで事業を行い改善を繰り返す「リーン・スタートアップ」という手法が取られることが多いです。移り変わりが速く、未来予測もしにくい現代に適した手法といえます。

ただし、リーン・スタートアップはあくまで手段のひとつに過ぎません。事業内容によっては腰を据えて進めた方が良いものもあります。事業に合ったやり方を見つけるべきです。

まとめ

時代の激しい移り変わりや後継者問題など、企業のこれからに悩む経営者にとって、新規事業の立ち上げは課題の解決につながります。企業を今後も存続させたいと願うなら、専門家や社員の協力のもと、新規事業の立ち上げを検討してください。

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