2022.11.17

オンデマンド交通の事例

オンデマンド交通とは、ユーザーのニーズにあわせてルートや運行時刻を設定し、複数で乗車する公共交通のことです。予約をして初めて運行されるのが特徴です。過疎化やドライバー不足により公共交通機関が減った地域において、高齢者を中心に日常生活をしやすいようにするのが目的です。そのほかにも、さまざまな課題を解決するために、各自治体においてオンデマンド交通が導入されています。

オンデマンド交通とは

オンデマンド交通とはバスのように複数の人数を運ぶことができ、さらにタクシーのように乗降地点や利用時間はユーザーのニーズに合わせて運航しています。そのため、地域やユーザーの生活環境に合わせて、さまざまなサービスを提供することが可能です。オンデマンド交通は、タクシーのように柔軟性を持って利用することができるほか複数の人数で利用できることからタクシーよりも安いことが大きな魅力です。

オンデマンド交通は、運行会社にもメリットがあります。ユーザーがいない場合は運行する必要がなく、ドライバー不足にも対応可能です。

オンデマンド交通のメリット

オンデマンド交通には次のようなメリットが挙げられます。

  1. ニーズによって本数を増やせる
  2. 利便性が高い
  3. 効率的な運行ができる

ニーズによって本数を増やせる

イベントや時期によって利用者が増える場合があります。オンデマンド交通では、臨機応変に本数を増やせる場合があります。

利便性が高い

好きなタイミングで、決められた範囲であれば目的地を選ぶことができるため一般のバスよりも利便性が高くなるのが一般的です。

効率的な運行ができる

オンデマンド交通はドライバーやー運行会社にとってもメリットがあります。予約があってはじめて運行するため、ユーザーがいない場合は運行をする必要がありません。そのため、バスドライバー不足に対応することも可能です。

オンデマンド交通の事例

岡山県玉野市
岡山県玉野市では、タクシー車両を使ったオンデマンドバスを運行しています。玉野市では別に路線型のコミュニティバスを自治体が運営しており、交通網が発達しています。オンデマンドバスは地元のタクシー会社3社が運用しており、予約をしてから乗車が可能になります。距離に関係なく1回300円で乗ることができ、まさに市民の足として1日200〜300人の利用者がいるほどです。

参考:IoTを活用したオンデマンドバスの運用で高齢者の外出を助け、高齢化社会の課題解決へ(SORACOM)

福井県越前市

北陸新幹線が延伸したことにより、現在のJR武生駅(たけふえき)から新設される駅まで周辺の観光地までの交通手段がないことが課題となっていました。そこで、オンデマンド配車システムを導入することにより観光客や地域住民にとっての利便性を高めることに成功しました。

参考:導入事例(MONET)

茨城県笠間市

笠間市は2006年に視聴合併をしたことがきっかけでデマンドタクシーかさまの運用を開始しました。現在では、NTT東日本が運用しているBizひかりクラウド お出かけデマンドが活用されています。

参考:高齢化する地域を支えるデマンド交通システム 10年以上の取り組み実績からスマートシティ構想への進展(NTT東日本)

京都府相楽郡南山城村での過疎地型

京都府相楽郡南山城村では、過疎地化型MaaSとしてのAIオンデマンド交通を導入しています。近隣の住民が徒歩で行くには困難な近距離移動に使うことができ、決まったエリアであれば思い通りの時間や場所へ移動するのも可能です。さらに、定額料金で利用できることから金銭面でも大きな負担になりません。

AIオンデマンド交通を導入することで、移動手段を持たない人が積極的に外出したり、商業施設などへの来客が増えることから活性化されたりするなど地域の経済活性につながっています。

参考:過疎地型MaaS AIとしてのオンデマンド交通の導入事例(WILLER)

三重県桑名市

三重県桑名市において令和4年から1月31日〜3月4日の間にAI活用型オンデマンドバスの有償実証運行がおこなわれました。ニーズが高かったことから、令和4年12月1日~令和5年3月7日までの間に第2回が開催されます。運転免許証返納者の増加やコミュニティバスの本数が少ない、乗車時間が高いといった市民の声に応えるためにAI活用型オンデマンドバスが運用されています。

参考:桑名市において、第二弾実証運行を有償にて実施(NEXT MOBILITY)

埼玉県北本市

埼玉県北本市では、あらかじめ登録しておくことで市民なら誰でも1回300円(150円になる場合あり)で利用できるデマンドバスを運用しています。当日1時間前から1週間前まで予約が可能であり、徒歩が困難である高齢者をはじめとして活用されています。

「運用を開始して約3年になりますが、現在、約6600名の登録者にご利用いただいています。車両は3台で、1日平均で約60名の利用者がいます。
本サービスを提供して実感するのは、近くのバス停までも歩くことが困難な高齢者が非常に多いことです。こうした高齢者の中には、デマンドバスに合わせて生活されている方も少なくありません。また、学童保育の施設から塾に通う子供達にも利用されるなど、共働きの家庭にとってもなくてはならない交通手段として活用されています」
引用:TOUGHPAD導入事例(Panasonic CONNECT)

広島県大崎上島町

広島県大崎上島町では、ドライバーの高齢化や利用者の減少が進んでいることにより、公共交通機関の維持がむずかしくなっています。多くの人が自家用車を利用していますが、高齢化が進み安全の面において新たな移動手段を必要としていました。そこで、国土交通省が問題解決のために公募したスマートアイランド推進実証調査に広島県大崎上島町が応募し選定されました。

2020年12月17日〜12月20日の4日間、オンデマンド交通サービスの実証実験が実施され今後の技能実装に向けて検討に入っています。

参考:広島県大崎上島町で、デジタル技術による離島の新たな交通・物流手段の確立を目指す実証実験を実施(富士通)

福島県伊達市

福島県伊達市では、地域住民助け合いを目的とした乗合送迎サービスの実証実験を実施しておりました。登録している運転手による送迎可能な時間や現在運転している位置や、利用者の希望目的地をマッチングし効率的かつ安全な乗り入れ送迎サービスを提供していました。

参考:伊達市と富士通、遊休車両を有効活用した乗合送迎サービスの実証実験を開始(富士通)

まとめ

オンデマンド交通とは、ユーザーが予約をして運行する公共交通機関であり、運行時刻や目的地などはユーザーが決められることが一般的です。さらに、複数での乗り合いのためバスよりも利便性があり、タクシーよりも値段が安いのが特徴です。地方によって、過疎化が進んだり、ドライバー不足が進んだりしているなど、それぞれの課題を解決するためにオンデマンド交通が導入されています。

ユーザーにとっては必要なタイミングで必要な場所まで行くことができ利便性が高いのが魅力です。さらに、運行会社にとってもユーザーがいない場合は運行する必要がないため効率的な運行が可能です。そのため、オンデマンド交通は、地域住民と地域の公共交通機関を運営する会社、双方にとってメリットがあります。

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