2023.03.31

カーボンプライシングとは

カーボンプライシングとは、二酸化炭素の排出量に応じて家庭や企業に金銭的な負担をしてもらう仕組みです。カーボンプライシングを導入すれば人々が環境保全に取り組むきっかけとなるため、CO2の排出削減効果が得られます。

また、カーボンプライシングの種類として排出された炭素量に応じて1トン当たりの価格付けをする明示的カーボンプライシングや間接的に温室効果ガスの排出を促す暗示的カーボンプライシングがあります。

カーボンプライシングとは

カーボンプライシングとは、二酸化炭素の排出量を価格付けすることで排出を抑制する仕組みです。カーボンプライシングでは、二酸化炭素の排出量が増えることで費用負担が増加するため、利用者の行動が変化してCO2の排出削減効果が見込めます。

また、世界銀行の報告書であるState and Trends Of Carbon Pricing 2022では、カーボンプライシングを導入している国は合計68か国と報告されています。2012年時点ではカーボンプライシングの導入が23か国のみだったため、10年間で導入国が3倍近くに増えたといえます。

カーボンプライシングを導入している国数の推移出典:State and Trends Of Carbon Pricing 2022(WORLD BANK GROUP)

カーボンプライシングに関する取り組みは、2015年にパリ協定が採択されてから一層活発化しています。パリ協定とは、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な取り組みのことです。パリ協定では、世界共通の長期目標として以下の2つを掲げています。

  1. 世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2度低く保つ
  2. 21世紀後半には温室効果ガス排出量と森林による吸収量のバランスをとる

参考:いまさら聞けない「パリ協定」~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~(経済産業省 資源エネルギー庁)

上記の2つの長期目標を達成するために多くの国が、カーボンプライシングを導入しています。日本では2020年10月に次のように宣言しています。

我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします
引用:「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?(経済産業省 資源エネルギー庁)

カーボンプライシングは、脱炭素社会を日本が目指すうえで欠かせない仕組みの1つです。

カーボンプライシングの種類

カーボンプライシングの種類として、以下の2つがあります。

  1. 明示的カーボンプライシング
  2. 暗示的カーボンプライシング

明示的カーボンプライシング

明示カーボンプライシングとは、排出された炭素量に対して1トンあたりの価格付けをおこなう仕組みです。明示カーポンプライシングの種類としては、以下の2つが挙げられます。

  1. 排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード制度)
  2. 炭素税

排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード制度)

排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード制度)とは、企業ごとにCO2排出量の上限を決めて上限を超過した企業と下回る企業の間で排出量を売買する制度です。

排出量取引制度を導入した場合は、それぞれの企業がCO2排出量を削減するように努力する必要があるので利用者の行動が変化し、高いCO2削減効果が見込めます。また、排出量取引制度のCO2排出量の価格は省エネ対策や景気変動によって企業の需要と供給によって決めらるので景気によって排出枠の設定を厳しく設定した場合は多くの企業が排出枠よりCO2排出量が上回る傾向にあるため、企業への負担が大きくなる恐れがあります。

しかし、CO2排出枠を緩く設定した場合は簡単に削減目標を達成できるので、高いCO2削減効果は得られなくなります。排出量取引制度を導入する際は、適切なCO2排出枠を設定する必要があります。

炭素税

炭素税とは、二酸化炭素の排出量に比例して課税する制度です。炭素税を導入する場合、政府が1トンの値段を決めて、その決められた分の金額が税金として課されます。そのため、企業からしてみればかかる税金の見通しが立てやすい傾向にあります。

一方で国は、排出量をどれほど削減できるのかが予測できないため、最初から効果の大きさをなかなか予測できません。炭素税を導入すれば企業はコストの見通しが立てやすくなりますが、国は効果の大きさを予測しにくい特徴があります。

暗示的カーボンプライシング

暗示的カーボンプライシングとは、企業や家庭に対して間接的に温室効果ガスの排出を促す制度です。暗示的カーボンプライシングの例として、以下が挙げられます。

  1. エネルギー諸説
  2. 規則順序のためのコスト
  3. 固定価格買い取り制度(FIT)
  4. 補助金、税制優遇

エネルギー諸説

エネルギー諸説とは、ガソリン税や石油ガス税など世の中のエネルギーに対して課される税金のことです。エネルギー諸説を導入することで、社会全体のエネルギーの消費傾向に対して大きな影響を与えます。

規則遵守のためのコスト

規則遵守のためのコストとは、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)や温暖化対策推進法など温室効果ガスの排出を促すことを目的に法律を制定するためにかかるコストです。

固定価格買い取り制度(FIT)

固定価格買い取り制度(FIT)とは、太陽光やバイオマスなどで発電した電気を電力会社が一定期間、かつ、一定価格で買い取る制度です。

補助金、税制優遇

補助金や税制優遇は、再生エネルギー補助金を中心としたCO2排出削減に経済的なメリットを与える措置です。補助金や税制優遇の対象となる設備や導入が促進されると、環境保全につながります。

カーボンプライシングの取り組み事例

明治ホールディングス株式会社

明治ホールディングスでは、省エネ設備を対象としてカーボンプライシングを導入しています。

明治では、対象の設備投資計画に伴うCO2排出量に対して社内炭素価格の適用によって費用換算したものを投資判断の材料にしているようです。明治ホールディングスでは、1トンのCO2あたり5,000円のカーボンプライシングを設定しています。

参考:インターナルカーボンプライシング制度を導入(明治ホールディングス)

日立グローバルライフソリューションズ株式会社

日本の電機メーカーである日立グローバルライフソリューションズではカーボンプライシングの取り組みとして、省エネ性能の向上や製品の環境性能の向上、IoTソリューションの普及の普及に取り組んでいます。

また、カーボンプライシングの評価対象は冷蔵庫や洗濯機などの使用時のCO2排出量抑制の貢献度が高い商品と空調IoTソリューションとしており、商品の開発にあたって機能向上と環境負荷の軽減を両立させるため、機能が同等な機種を評価しています。

その結果、日立グローバルライフソリューションズでは、2010年度と比較して78.8%を目標に活動してきて、76.1%のCO2排出量まで軽減させています。

参考:脱炭素社会をめざす取り組み(日立グローバルライフソリューションズ)

まとめ

カーボンプライシングとは、二酸化炭素の排出量に応じて課税することで排出量を減らす仕組みです。カーボンプライシングを導入すればCO2排出削減効果が得られて、環境保全につながります。

明治や日立グローバルライフソリューションズ株式会社など企業が実際にカーボンプライシングを導入することで、高いCO2削減効果が得られています。カーボンプライシングは、多くの人々が環境保全に取り組むきっかけを作っています。

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