2023.02.16

ファイブフォース分析とは

ファイブフォース分析とは業界内における収益性と構造を明らかにする取り組みであり、マーケティング戦略を考案する際に役立つものです。5つの脅威が要素となっており、それぞれの脅威を細かく分析することで、企業の認知拡大や売上アップが可能です。

また、より精度の高い戦略の立案が可能となるため、マーケティング活動をより効果的な内容に改善できます。ファイブフォース分析の活用をはじめる前に、まずは概要や目的などの知識を身に付けることが大切です。

ファイブフォース分析とは

ファイブフォース分析とは業界における収益性と構造を明らかにするマーケティングのフレームワークです。自社の脅威となる5つの要素を分析し、収益を上げるために何が必要かを見極めるために重要な枠組みです。

業績の伸びに悩みを感じた場合は周りの動向や脅威を見誤っている可能性があるため、ファイブフォース分析を活用して現状の外部環境を把握し、取り組みを改善します。分析で得た結果を活かした戦略を立て、マーケティング活動に落とし込んで売上や利益の向上を目指します。

ファイブフォース分析の目的

ファイブフォース分析を活用する目的は次のとおりです。

  1. 自社の特徴を明確にするため
  2. 売上を向上させるため
  3. 新規参入や撤退の判断材料にするため

自社の特徴を明確にするため

ファイブフォース分析をおこなうと自社の強みや弱みが明確となり、今後の課題を明らかにできます。また、業界全体の収益性と構造を把握でき、自社の競争優位性を探ることで現状の事業の見直しにも役立ちます。

売上を向上させるため

ファイブフォース分析を活用する目的は自社の売上向上につなげることです。外部環境の変化や力関係を把握しないまま事業を展開しても、収益を上げるための効果的な戦略を立案できません。自社が売上を上げるうえで脅威となる外部環境を分析し、課題をクリアできるマーケティング活動に落とし込むためにもファイブフォース分析は重要です。

企業動向の判断材料にするため

ファイブフォース分析は新規参入での収益性を見込めるか、事業継続のリスクはどれほどであるのかを見極める判断材料です。事業を展開するか撤退するかの経営判断の際、経営陣を含めたチームでファイブフォース分析に取り組むことで、今後の方針を決定できます。

ファイブフォース分析の5つの要素

企業を取り巻く5つの脅威は次のとおりです。

  1. 売り手
  2. 買い手
  3. 新規参入
  4. 競合他社
  5. 代替品

売り手

売り手とは自社に商品やサービスを提供する側の会社や個人であり、製造会社であれば原材料の仕入れ先、販売会社であれば卸売先が売り手に該当します。ファイブフォース分析では市場規模や売り手の数などから売り手と自社との間に存在する力関係を分析します。

価格競争が激しい場合は仕入れ先の選択肢が多いため自社の力が強くなりますが、競争が弱いと売り手の力が強くなるため注意が必要です。売り手の数が少ない場合は仕入れコストが高くなり、自社の収益性が低下してしまうため売り手の存在は重要です。

買い手

買い手とは自社の商品やサービスを購入する消費者や顧客です。売り手の分析と同様、価格競争が激しければ買い手市場となり自社の収益性は悪化しますが、競争が弱ければ自社の力が強くなります。

売り手と買い手のバランスは適切か、無理な値引きをしていないかなどをファイブフォース分析によって検証することが重要です。分析ポイントとして市場規模や競合他社の状況、自社の値下げ幅などが挙げられます。

新規参入

新たな企業が参入すると競合他社が増えるため、競争が激化するリスクがあります。新たな企業の参入としては、海外企業の参入や他業界の企業が競合他社を買収して参入してくるケースが挙げられます。そのため、新規参入という脅威の分析は、自社が新規事業や新商品開発へ乗り出す際、参入しやすいかどうかの検証に有効的です。

参入ハードルが低いとほかの競争相手が集まる可能性が高く、収益性の見込みも下がります。一方で、参入ハードルが高ければ競合相手も少なく、一定の収益性を確保できる可能性があるため、狙い目の業界と判断できます。

競合他社

競合他社も企業を取り巻く脅威であるため商品や知名度、資金力などあらゆる面で自社と競合会社を比較し、勝算を立てる必要があります。競合会社が増えれば増えるほど競争が激しくなり、自社の収益性が低下するようであれば、知名度やブランド力など他社との差別化や新商品開発は重要な取り組みです。

代替品

代替品とは自社の商品やサービスに代わる価値を持つものです。他業界だとしても自社製品との代替が効くものであれば競争関係は成り立つため、他業界からやってくる代替品の脅威も分析が必要です。たとえば書籍の代替品として電子書籍、家庭用ゲーム機の代替品としてスマホのゲームアプリなどが具体例に挙げられます。

代替品となりそうな商品が開発された際、検証と改善によりデザインや機能性で他社との差別化をはかる必要があるのか検討が必要です。品質の違いやコストの違いなどを基準に差別化を考えると、代替品の脅威へ対策を取るとることができます。

ファイブフォース分析の活用方法

ファイブフォース単体でも企業の分析はできますが、ほかのフレームワークを併用することで、より深く事業の分析ができます。たとえばSWOT分析のフレームワークを併用することで、より細かい分析を可能にします。

SWOT分析とは以下4つの言葉の頭文字からなる造語です。

  1. Strength(強み)
  2. Weakness(弱み)
  3. Opportunity(機会)
  4. Threat(脅威)

自社の内部環境を強みと弱みに分け、外部環境を機会と脅威に分けて分析するフレームワークです。SWOT分析により社内と社外のプラス要素とマイナス要素を明らかにできます。そのため、自社の特徴を明確化するファイブフォース分析の結果を、企業を取り巻く環境を詳しく把握ができるSWOT分析に反映させると、より精度の高いマーケティング戦略の考案が可能です。

ファイブフォース分析の企業事例

UNIQLO

UNIQLOの競合他社はネット通販会社です。インターネットが普及する現代では、消費者が服を購入する際、UNIQLO以外の選択肢も多いため、事業は買い手市場となっています。

しかし、UNIQLOのブランド力と他社との差別化は高く評価されており、低価格で高品質という点がUNIQLOの根強い人気の理由です。ファイブフォース分析により自社の強みに特化し、競合他社に負けないブランドの確立を成功させました。

TOYOTA

TOYOTAの競合他社は多く、値引き交渉や他社のブランド力を考えると買い手市場といえます。しかし、売り手の数は海外も含めて数多く存在し、TOYOTA側にも選択肢が多いため競合は大きな脅威とはいえません。

近年、もっとも脅威とされる要素は新規参入であるカーシェアやレンタカーなどの新たな移動手段です。一方で、TOYOTAは AIや自動運転などに力を入れ始め、優位性を確保できるよう動き出しています。

スターバックス

スターバックスはチェーン店などの競合他社や新規参入が多く、競争が激しい業界の店舗として知られています。しかし、スターバックスは多くの人を魅了し、競合が増えても人気が衰えません。

値段を下げなくてもリピーターが多い傾向にあるのは、業界内での優位性を活かしたマーケティング戦略をおこなっているためです。スターバックスで過ごす時間に多くの方が価値を見出しています。

まとめ

ファイブフォース分析とは自社を取り巻く5つの脅威を分析するフレームワークであり、売上向上にはファイブフォース分析による効果的なマーケティング施策の立案が必要です。自社の課題を明確にし、業界内での収益性を探ることを主な目的として活用できます。

脅威を恐れるのではなく、弱みを把握したうえで冷静に対策へ結びつけることが事業の取り組みで重要です。業績が伸び悩んでいる企業は、ファイブフォース分析を活用することで、売上向上や今後の方針を明確にできます。

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