2022.10.05

LTV(Life Time Value)とは

LTV(Life Time Value)とは顧客生涯価値のことです。自社と顧客が取引を開始し、終了するまでの期間にもたらす利益を表します。

サブスクリプションが台頭し、定着しつつある昨今において、多くの企業が注目しています。市場の飽和により、既存顧客との関係性を重視する企業が増えているのも注目される理由です。

LTVの向上は、利益の安定や拡大につながります。LTVをより効果的に活用するために、CACやユニットエコノミクス、チャーンレートについて理解しておくことも重要です。

LTV(Life Time Value)とは

LTV(Life Time Value)とは、顧客との契約期間中に発生する利益を表す指標のことです。1990年台のダイレクトマーケティング期に生まれた考え方であり、元々は関連製品の購入や継続購入を図るための指標でした。

サブスクリプションが注目される昨今のビジネスシーンにおいては、取引が開始されてから終了するまでの間に発生する利益のことを指します。LTVを指標として算出した数字は、事業の効率化に役立てられるのが特徴です。

また、営業施策やマーケティングの選択肢拡大にも役立てられます。LTVが向上していることは、安定した売上を確保し続けていられることと同義です。そのため、より確実な利益につながる施策にコストを割けるようになります。

LTVを向上させる方法

LTVは売上金額や継続期間、粗利率の観点を意識することで向上させられます。主に、以下の手法で高めることが可能です。

  1. 売上金額
  2. 継続期間
  3. 粗利率

LTVは、ビジネスをスタートさせてすぐは顧客数も解約率も安定していないため機能しません。ビジネスがある程度軌道に乗り、売上や解約率などが数値化し始めた段階で指標として活用してください。

売上金額

  • 商品単価アップ
  • アップセルクロスセルの実施
  • オプションメニューの設定
  • 対象をエンタープライズ企業にする

継続期間

  • 商品単価アップ
  • アップセルクロスセルの実施
  • オプションメニューの設定
  • 対象をエンタープライズ企業にする

粗利率

  • 解約率を下げる
  • 解約率の低いセグメントに特化する
  • オンボーディングに注視する

LTVが重要視される理由

LTVは、昨今の市場が飽和状態にあることで注目されています。さまざまなサービスが台頭し、企業間の差別化を実施しづらいなかで、新規顧客の獲得もむずかしくなっているのが現状です。人口減少も伴い、新規顧客の獲得よりも既存顧客からの売上確保に注視する企業が増加傾向にあります。既存顧客との関係性をより強化し、コストをかけずに利益を確保するためにLTVが注目されています。

既存顧客に合わせた施策を実行する、One to Oneマーケティング(顧客の趣味嗜好や価値観、購買傾向に合わせた最適なマーケティングを実行すること)に活用できるのも、LTVが注目される理由です。LTVを活用しながら顧客目線での施策を実行していくことで、One to Oneマーケティングの成功につながります。

昨今注目されているサブスクリプションも、LTVとの関係性が深いビジネスです。サブスクリプションは、継続した売上を確保しやすいことから多くの企業がビジネスモデルとして取り入れています。また、利用料や解約率、継続率も把握しやすいのが特徴です。サブスクリプションビジネスを活性化させるには、結果を数値化してLTVとし、より高品質のサービスにすることが大切です。

LTVの計算方法

LTVの一般的な計算方法は、以下の通りです。

顧客単価(平均) × 収益率 × 購買頻度 × 継続期間

例えば、以下の数値をこの計算式に当てはめてみます。

平均顧客単価 30万円
収益率 50%
購買頻度 月1回(1年で12回)
継続期間 3年

上記を計算式に当てはめてみると、以下の結果が出ます。

30万円 × 0.5 × 12 × 3 = 540万円

ただし、上記の計算式には顧客の獲得や維持に必要とされるコストが反映されていません。顧客獲得と維持にかかるコストを反映する場合は、以下の計算式を用いてください。

顧客単価(平均) × 収益率 × 購買頻度 × 継続期間 − (顧客獲得コスト + 顧客維持コスト)

顧客獲得コストを200万円、維持コストを100万円として先ほど挙げた例に当てはめると、以下の結果が出ます。

30万円 × 0.5 × 12 × 3 − (200万円 + 100万円) = 240万円

また、以下のような計算式でLTVを求める場合もあります。

(売上高 − 原価) ÷ 購入者数

LTVと関連する施策

LTVについてより理解し、確実な指標として活用するうえでは、以下の関連施策について覚えておくことも大切です。

  1. CAC(Customer Acquisition Cost、顧客獲得コスト)
  2. Unit Economics(ユニットエコノミクス)
  3. Churn Rate(チャーンレート)

CAC(Customer Acquisition Cost、顧客獲得コスト)

CAC(Customer Acquisition Cost、顧客獲得コスト)とは、新規顧客の獲得にかかるコストを表すものです。LTVをトータルで算出する場合は新規顧客にかかわるコストも必要です。CACを算出する場合は、以下の計算式を活用してください。

新規顧客獲得に使用したコスト ÷ 新規顧客の獲得数

新規顧客獲得に使用したコストには、営業費や広告費、マーケティング費などが該当します。

Unit Economics(ユニットエコノミクス)

Unit Economics(ユニットエコノミクス)とは、ビジネスにおける健全性や採算性を図るための、もっとも重要なKPIとして活用される指標です。ユニットエコノミクスの一般的な目標値は3とされており、3より低い場合は収益性の悪化が考えられます。

反対に3よりも高い場合は、新規顧客にかけるコストが活かされておらず、新規顧客を逃していると判断できます。ユニットエコノミクスを算出する際は、以下の計算式を活用してください。

LTV ÷ CAC

Churn Rate(チャーンレート)

Churn Rate(チャーンレート)とは、解約率のことです。自社のサービスから離れてしまった顧客を数値化したものです。チャーンレートを下げることは、LTVをより向上させるために必要な観点といえます。顧客数をベースにしたカスタマーチャーンレートと、収益をベースにしたレベニューチャーンレートで計算するのが一般的です。

まとめ

LTVとは、契約開始から終了までの間に発生する利益を表す指標のことです。サブスクリプションが台頭する昨今のビジネスシーンにおいて、多くの企業が注目しています。また、市場が飽和する昨今において、新規顧客よりも既存顧客との関係性を重視する傾向にあることも、LTVが注目される理由のひとつです。

LTVを向上させれば、安定した利益の確保や将来的な売上の拡大にも役立ちます。先行投資や営業施策の拡大にも活用できます。ただし、あくまでビジネスをスタートさせて、ある程度軌道に乗ったタイミングで活用してください。

またLTVについて理解し、より実践的な指標として活用するには、CACやユニットエコノミクス、チャーンレートなどの関連施策も把握しておくことが大切です。

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