2023.05.31

オフバランスとは

投資やビジネスにおいて、バランスシートに載っていない資産や負債が存在することは珍しくありません。オフバランスとは、活用できていない資産や負債を売却することで企業の財務改善につなげる手法です。

例えば、活用できていない不動産を売却することにより、ROAの向上が期待できIR活動においても有効となります。近年では不動産以外に先物取引やオプションのデリバティブなどの進級商品を企業が利用するケースが増えています。オフバランスの管理が適切でない場合、企業にとって深刻な問題が生じる可能性があるので注意が必要です。

オフバランスとは

オフバランスとは必要な負債や資産でありながら、貸借対照表に記載されていないことです。見栄えの悪い勘定項目を消すことで、企業価値をよく見せることが目的です。オフバランスをすることで、ROA(Return On Assets、総資産利益率)の向上につながります。ROAによって企業が保有する資産に対する利益率を確認することが可能です。ROAが高くなれば、効率的に利益を生んでいることになるのです。

オフバランスを進める方法

オフバランスを進めるためには次の方法が挙げられます。

  1. 不動産売却
  2. オプション取引
  3. デリバティブ
  4. 先物外国為替
  5. 債務保証行為

不動産売却

オフバランスのリスクを軽減する方法の1つは、不動産を売却することです。不動産は企業にとって重要な資産であり、売却によって多額の資金調達が可能です。また、不動産を保有することによるリスクも軽減されます。ただし、不動産の売却には手数料や税金などのコストがかかるため慎重な検討が必要です。

オプション取引

オプション取引とは、将来の価格変動を予測し、その変動に応じた売買契約を結ぶ方法です。企業は、自社の資産や債務の価格変動に対するリスクを軽減するためにオプション取引を活用できます。例えば、為替リスクを回避するために、外貨建ての取引をおこなえます。

デリバティブ

デリバティブとは、金融商品をベースにしている商品であり将来の価格変動に応じた契約を結ぶ方法です。例えば、商品先物や金利スワップなどがデリバティブの一種です。企業は、自社のリスクヘッジのためにデリバティブを活用することができます。

先物外国為替

先物外国為替とは、将来のある時点での外国為替レートを決めたうえでその時点での為替レートに応じた決済をおこなう取引のことです。外貨を保有しておくことで外貨の変動リスクの回避、円高や円安の変動に対してのヘッジとして利用できます。

先物外国為替を活用することで、企業は外貨の変動リスクを抑えることができ安定的な経営をおこなうことができます。しかし、先物外国為替は市場の変動によって損失が発生する可能性があるため、適切なリスク管理をおこなうことが必要です。

債務保証行為

債務保証行為とは、第三者が債務者の債務を保証することで、債権者が債務不履行の際に債務保証人に対して債務を請求することができる制度です。企業が債務保証行為をおこなうことで、借入先からの融資を受けやすくなることがあります。

オフバランスのメリット

オフバランスには次のようなメリットが挙げられます。

  1. バランスシートのスリム化
  2. 資産保有リスクの軽減
  3. ROAの改善につながる
  4. 効率的な企業運営をできる

バランスシートのスリム化

オフバランスを活用することで、企業はバランスシートをスリム化することが可能です。具体的には、保有する資産や負債の一部をオフバランスに移すことでバランスシートの規模を縮小させることができます。これにより、企業の信用力を高めることができ、株主や投資家からの信頼を得ることができます。

資産保有リスクの軽減

オフバランスを利用することで、企業は自社の資産保有リスクを軽減することが可能です。例えば、機械設備をリース契約で借り入れている場合その機械設備はオフバランスに記載されるため、企業が所有する資産の総額が減少します。これにより、企業は自社が保有する資産に対するリスクを低減することが可能です。

ROAの改善につながる

オフバランスを進めることで、ROA(総資産利益率)の改善につながる可能性があります。ROAは、企業の総資産に対する利益率を表します。企業は、資産を増やすことで利益を増やすことができますが、増やすためには大きな投資が必要です。しかし、オフバランスをおこなうことで、企業は自己資本比率を高めることができます。自己資本比率が高くなることで、企業は財務リスクを軽減し信用力を高めることができます。この結果、企業はより低い金利で資金調達を行い、より高いROAにつながるのです。

効率的な企業運営をできる

オフバランスにより効率的な企業運営を実現することが可能です。企業が財務諸表に載せることができない取引は、主にリースバック取引や特定目的会社による資産の売却などが挙げられます。これらの取引をおこなうことで、企業は必要なキャッシュフローを確保し事業を拡大することが可能です。

オフバランスの注意点

オフバランスには次のような注意点が挙げられます。

  1. コストが高くなる可能性がある
  2. 粉飾決算として悪用される可能性がある

コストが高くなる可能性がある

オフバランス化することで企業は資産や負債をそのバランスシートから除外できますが、オフバランス項目の取引を処理するために必要な手続きやシステムが必要です。そのため、オフバランス化に伴うコストがかかる可能性があります。

例えば、オフバランス化されたリース契約の場合、それに関連する資産や負債の簿記処理をおこなう必要があります。また、リース契約の中でオプションが含まれている場合、そのオプションの価値を正確に算出することが必要です。これらの処理は手作業でおこなうことができますが、時間がかかるためオフバランス化に伴うコストが高くなる可能性があります。

さらに、オフバランス項目に関連する情報を追跡するためのシステムやプロセスを導入する必要がある場合があります。これらのシステムやプロセスを導入するには、専門的な知識や技能を持った従業員を雇用する必要があるためコストが高くつく可能性があるのです。

粉飾決算として悪用される可能性がある

オフバランス化によって、企業は特定の資産や負債をバランスシートから除外することができます。しかし、この方法を不正に利用して、企業が実際に持っているリスクを偽装することができるため、粉飾決算となる可能性があります。

例えば、ある企業がリース契約をオフバランス化した場合、そのリース契約に関連する資産や負債をバランスシートから除外することが可能です。そのため、企業の財務状況が実際よりも良く見えることがあります。また、オフバランス化された資産や負債の価値が過大または過小評価された場合、企業の財務状況に誤解を与えることがあります。

まとめ

オフバランスを活用することで、企業はバランスシートのスリム化や資産保有リスクの軽減などのメリットがあるのです。しかし、オフバランスを進める手法や企業の状況などによっては、企業の経営においてリスクにつながる可能性があります。企業が健全な経営を続けるためには、適切にオフバランスを進める方法を把握することが重要です。

オフバランスには、不動産売却やオプション取引、先物外国為替などさまざまな種類が挙げられます。不動産関連が従来から認識されていましたが、先物取引やスワップ等のデリバティブなど新金融商品を利用するケースが増えています。

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