2023.03.22

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは

RPAとは、企業における定型業務を自動化し、業務効率化や生産性向上を実現するものです。RPAは従来のような業務自動化に伴う既存システムの変更や、VBAのようなプログラミングの知識が必要ないため、小規模の企業でも比較的導入しやすいツールとなっています。また、AIとの組み合わせにより適用業務も拡大したため、民間企業だけでなく多くの自治体での導入も進められるようになっています。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とはPC上でおこなっていた定型業務などをロボットにより自動化するものです。これまで人間のみが対応可能であるとされていた業務を、PCやサーバ上で動くRPAによって自動化し、業務自体の削減をすることが可能となりました。

RPAは人間がおこなうよりもはるかに高速で業務をこなし、導入によって予想以上の時間短縮が期待できるため、導入したその日から効果を実感することができます。ただし、RPAは基本的に設定されたプロセスをそのままの順番で設定どおりにすることしかできないため、毎回手順の違う業務には適していません。

RPAが注目される背景

RPAが注目される背景には、業務効率化や働き方改革への取り組みの本格化に加え、国内の労働人口減少という問題が大きくかかわっています。働き方改革では少ない労働力で生産性を向上させる、または維持することを目的のひとつとしていますが、現在は業務をロボットに代替することで実現することが可能となりました。また、システムが多様化したことで導入におけるプロセス設定が容易になった点や、AIを兼ね備えたRPAツールなどが登場し、適用業務の領域が拡大した点もRPAが注目される背景にあります。

VBAとの違い

VBA(Visual Basic for Applications)とはExcelなどのオフィス業務のソフト内における処理を自動化するものです。RPAとの大きな違いは、ソフト内のみの処理しかできないVBAに対して、RPAはPC上での業務であれば広い範囲に適応しています。

ただし、RPAはVBAがExcel上でおこなう統計加工処理ほどの能力はありません。また、VBAはプログラミングを必要としますが、RPAでは簡単なものであればプログラミングの必要がない点も大きな違いです。

AIとの違い

AI(人工知能)との違いはロボットが自己判断ができるかどうかの違いです。RPAはあらかじめルールの決まっている業務をそのまま自動化するのに対し、AIは与えられた膨大なデータを自ら分析することができます。

AIでは人間の知能や思考など、人間をそのまま人工的に再現することを目的としているため、命令された作業しかできないRPAよりも多様な面での活用が可能です。しかし、現在はRPAとAIを組み合わせることによって高度な自動化処理が実現する研究が進められており、RPAによる非定型業務への自動化の展開も期待されています。

RPAの種類

デスクトップ型

デスクトップ型はPC内にソフトウェアをインストールして利用するため、PCごとの作業単位で自動化が可能です。安価な製品も多く選択肢の幅も広いため、小規模な企業でも手軽に導入しやすい傾向にあります。各PCの範囲内であれば対象となる複数の作業を連携させることも可能ですが、ほかのPCと連携する機会が少ないため、他部署への展開は困難とされています。

サーバ型

サーバ型はサーバ内にRPAを構築するため、複数のPCでの利用や業務をまたいで一括管理することが可能です。デスクトップ型と比較すると高額になる製品が多い反面、大規模なデータの処理が可能であるため企業の大規模な展開にも対応できます。多数のロボットを同時に稼働して他部署への展開もしやすいうえに、全ロボットの稼働状況を把握できる点もサーバ型の魅力です。

RPAを導入するメリット

RPA導入によるメリットは次のとおりです。

  1. 業務効率化が期待できる
  2. 人材不足の解消につながる
  3. 人為的ミスによる損失を防げる

業務効率化が期待できる

ロボットであるRPAに代替できる業務を削減することで事務作業の効率化が期待できます。AIとの組み合わせで活用できる部門を広げ、広範囲の自動化が実現できると、さらなる業務効率化を生み、生産性の向上へつなげることが可能です。また、RPA導入を検討する際は事前に業務内容の見直しがおこなわれるため、社内に業務効率化への意識を高める効果もあります。

人材不足の解消につながる

RPA導入により人手不足が解消される点は大きなメリットです。手作業でおこなっていた入力や転記作業などをRPAで代替できるため、これまでのような人材の確保は必要ありません。繁忙期に増員する必要もなくなり、人材の確保が必要でなければ人件費の削減にもつながります。

人為的ミスによる損失を防げる

RPAによるロボットの作業は人為的ミスによる損失を防ぐことができます。人間による手入力では、入力欄の間違いや金額の打ち間違いなどのミスが発生する可能性がありますが、正確な作業をこなせるロボットでは打ち間違いのようなミスはありません。RPA導入によりミスのない正確な事務作業を実現できます。

RPAに適した業務内容

RPAに適した業務は次のとおりです。

  1. 定型業務の自動化
  2. 大量データの処理
  3. 問い合わせ対応

定型業務の自動化

RPAはすべての工程が決められている定型化された業務を自動化するのが得意です。決められたルールに従って作業をおこなうため、人の判断を伴わない単純作業や、同一の作業を繰り返しおこなう作業が適しており、人間がおこなうよりも高速かつ正確に完了することができます。

大量データの処理

RPAは大量データの処理にも適しています。人間がおこなうには人手や時間もかかる大量なデータの処理もRPAによって高速処理が可能です。また、深夜などの営業時間外であっても継続して作業を続けられるという点からも、時間のかかる大量データの処理はRPAに適した業務といえます。

問い合わせ対応

問い合わせ対応もRPAに適した業務です。顧客からの問い合わせに対して、RPAであらかじめ返答を設定しておき、自動的に返答を送信することができます。また、時間に制限されず24時間対応が可能です。

RPA導入における課題

RPA導入における課題は次のとおりです。

  1. 導入体制の構築が必要となる
  2. 導入コストがかかる

導入体制の構築が必要となる

RPA導入にはシステム部門のノウハウが不可欠であり、体制構築が必要です。RPAの設定やチューニングができなければ継続的な運用ができないため、修正などの作業ができる人材やチームが必要になります。

適切な修正ができなければロボットの誤作動が発生し、業務全体に支障をきたす恐れもあるため、メンテナンスや修正は必要不可欠です。導入後のしっかりした運用によって、精度の高いRPAへ進化させていかなければ十分な導入効果は得られません。

導入コストがかかる

RPA導入には相応のコストがかかるため、コストに見合った効果を得られるように費用対効果を十分に精査する必要があります。サーバ型などの高額な製品を利用しているのにもかかわらず、RPAに任せている業務が少ないようでは導入の意味がありません。また、高度な製品を導入しても使いこなせていないケースはあるため、導入の際は社内の人材にも使いやすいツールを選定する必要があります。

まとめ

RPAとは、これまで人間が手作業でおこなっていた定型業務をロボットに代替し、業務の自動化を可能にするものです。RPA導入により、業務効率化などのさまざまなメリットがありますが、導入後にはメンテナンスや修正などが不可欠であるため、RPAを管理する人材やチームの体制が必要であるという点が課題となっています。RPAの種類はデスクトップ型とサーバ型の2つあり、いずれも導入コストがかかるため、対象の業務や運用方法から適した製品を選ぶことが重要です。

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