SOLUTION
新規事業において、プロダクトのプロトタイプを作り、既存の取引先の数社とトライアル運用を行い、いよいよ販売活動を本格的に始めて事業をグロースさせていこう、という際にいくつかの壁が出現します。そのひとつが、2ndユーザーの獲得です。
関係性の深い取引先への営業活動を一通り終えると、やや頭打ちのような状態となり、顧客数の拡大に伸び悩む、という形で壁にぶつかります。これは、営業組織がクロスセル営業や新規開拓営業の機能を十分に発揮できていないことが原因となっているケースもありますが、多くの場合、PMFができていないことが真因です。
本支援では、商材の本来の強みを最大限活かしながら2ndユーザーのニーズとの乖離を解消し、より強固なPMFを作り出して、事業拡大のスピードを引き上げます。
サービスについてもっと詳しく知りたい、より多くの導入事例を見たいなど、興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。
PMF(プロダクト・マーケット・フィット)とは、提供している商材(プロダクト)が、顧客(マーケット)のニーズに合致し、受け入れられている状態を意味します。シンプルにいえば、その商材が「顧客に喜ばれるもの」、さらには「顧客に選ばれるもの」になっていることです。これを満たすと、無理な宣伝や営業をしなくても、顧客の紹介が広がり、問合せが殺到し、提供が追いつかないほどに売れていきます。
逆に、よく新規事業において下記のような言葉を聞くことがありますが、これらに当てはまる場合は基本的に、PMFできていません。
PMFするには、顧客のニーズを満たす(満足させる)だけでなく、その顧客にとっての選択肢の束(競合)と比較して、明確な優位性を持つことが求められます。そのため後述するとおり、一人ひとりの顧客を深く知り、競合を正しく洗い出し、競合のプロダクトや販売活動を観察し、自社の独自性を見出して、それをターゲット(Who)、商材(What)、売り方(How)にまで反映していく必要があります。
PMFという概念の前提として、PSF(プロブレム・ソリューション・フィット)という言葉もよく語られます。PSFとは、顧客の課題(プロブレム)に対し、自社の商材によって提供される解決策(ソリューション)が合致している状態を意味します。PSFとの対比の中でPMFが語られるときには、PSFによって「顧客の満足」が、PMFによって「顧客に選ばれる理由」が獲得される、という意味で扱われることもあります。
似た文脈で、CPF(カスタマー・プロブレム・フィット)、SPF(ソリューション・プロダクト・フィット)、GMF(ゴー・トゥ・マーケット・フィット)なども語られることがありますが、PSFやPMFも含めて要約すると、キーワードは「一貫性」です。
上記の一連の問いに、一貫した答えを持っていることが重要です。それらの答えが明確に見つかり、市場に受け入れられたときが、PMFの完了です。
上記の1〜5は、ステップとして順に固めていくものではなく、ときに立ち返ったり、逆流的に考えたりするものです。
例えば、1を大企業の営業部門だと考えて2,3,4も順に固めたものの、なかなか営業部門からは大きな単価で受注できないことが分かったとき、1を営業部門から企画部門やDX部門に変更してみたら受注単価が跳ね上がった、という例はよく見られます。
また、技術力ドリブンの場合は無理に1から始めず、4を起点に考え、それがどのような課題に対する解決策となりうるのか(2,3)、その課題を最も強く感じている顧客は誰か(1)、という順に検討する方がスムーズです。あるいは、プロダクトにも落ちていないが何か強烈な特徴を持つ企業の場合、それを「強み」として5に組み込めるような1〜4のセットを探しにいくことになります。
このような形で、上記の各問いのどこかに軸足を置きながら、全体が一貫するようにチューニングを行っていくのです。
上記の通り順番は問いませんが、1〜5の答えを出していくにあたり、気をつけるべきポイントは下記のとおり明確に存在します。
特に3において、正しく競合を洗い出すのは簡単ではありません。「〇〇業界」というカテゴリに惑わされず、顧客の自前リソース、子会社、フリーランス、BPO、SaaS、フリーツールなど、幅広い選択肢を認識することが重要です。
また、選択肢の束に入るものであっても、自社のプロダクトと補完関係にある場合には、競合ではなく協業先になりうるため、そこの見極めも紙一重の難しさがあります。これらを、現在の市場はもちろん、将来の市場も見越して、中長期的に収益性を保持できそうか確認しておくことが重要です。
リブ・コンサルティングの支援における「PMF検証」は、PSFも含めて「事業性のある形で、上記の1~5に一貫性のある答えを獲得すること」と、その証左として「拡大性・予測可能性がある形で、実際に売れている状態を作ること」を目的としています。
すなわち、リサーチや検証に振り切るのではなく、同時に獲得成果を追い、さらにはその営業活動に再現性をもたせる仕組み作りまで行うところに特徴があります。また、プロジェクトを通じて営業生産性も精度高く観測できるため、メンバー育成にかかる期間などを考慮して、売上・工数・必要人員数などを整理した事業計画も策定します。
PMFとは、「顧客の満足」と「顧客に選ばれる理由」を確立することでした。逆に言えば、PMFしていない状態においては、「顧客の不満」と「顧客に選ばれない理由」が存在するということです。その定性的な情報は、Webマーケティングで定量的なデータを追っているだけではなかなか見えてくるものではなく、顧客へのインタビューやアンケート、テレアポ、商談などにおける勝敗因分析によって、鮮明に見えるようになります。
特に、アウトバウンドコールを行うと、1日80件架電するメンバーが3人いれば、1ヶ月(20営業日)で4800件の架電が行われ、例えば通電率20%、アポ率2%であれば、96件のアポと、864件のアポNG理由が手に入ります。前者のアポは商談機会や獲得成果に繋がるとともに、後者のNG理由を正しくヒアリングし、プルダウン形式で記録するなどして集計可能な状態にしておくと、売れない理由が主にターゲット(Who)にあるのか、商材(What)にあるのか、あるいは売り方(How)にあるのかが明らかになります。アウトバウンドコールによって得られるこの情報は、マーケティング示唆として非常に高い精度と量を兼ね備えているため、PMF検証のかなり初期段階から導入します。
その他、市場規模や感度の相対比較のために薄く広くアンケートを取ったり、逆に無料トライアルの導入企業に狭く深くデプスインタビューを行ったりして、必要な範囲・深さ・量の情報を最速で獲得していきます。また、そのようなリサーチ活動の中で得た接点を、案件化や紹介獲得、クライアントボイス記事化などに繋げ、複合的な成果を創出します。
「顧客に選ばれない理由」がわかったとき、その乗り越え方の大きなヒントになるのは、競合のセールスポイントや売り方の工夫です。通常であれば、特にBtoBビジネスにおいて競合の営業を観察するなどというのは至難の業ですが、外部の立場を活用することで、競合のミステリーショッピングリサーチが可能になります。
競合の営業のしかたを観察することで、ターゲット(実績をアピールしている領域)をどこに設定し、そのターゲットのニーズをどう理解しているのか、その競合がどこを競争相手と見ているのか、そこを競争相手とみたときにどのようなアピールを行うのかなど、戦略的な観点でさまざまな示唆を得ることができます。さらには、1人で対応しきるのか、商談が本格化した際にスペシャリストが別途登場するのかなど、セールスステップや営業組織体制の工夫ついても垣間見ることができます。
このような形で、競合から得たヒントをもとにターゲット・商材・売り方をチューニングし、営業などの形で顧客に当ててみて、検証・ブラッシュアップを繰り返します。
まず、事業として何億円規模まで伸ばしたいのかなど、自社における本事業への期待を確認します。特に、中期経営計画において重要な位置づけで組み込まれている場合、今後の資金調達に大きく影響する場合などには、検証だけでなく予実を合わせにいく必要が出てくるため、目標設定の背景まで深く理解します。
また、ほかの事業とのシナジーを期待されている場合には、その関連事業と本事業の顧客像を近いものにしておく必要があるため、想定ターゲットやLTV最大化ストーリーを確認しておきます。これにより、スピード感や方向性などを外すことなく、検証・獲得活動を推進できるようになります。
目標とする状態を把握したうえで、前述の1〜5の一貫性やチェックポイントについて、状況を確認します。既に営業メンバーやカスタマーサクセス部隊、無料トライアルを含めた顧客などが存在する場合にはインタビューを行い、具体案件ベースで売れている理由と売れていない理由、喜ばれている理由と喜ばれていない理由を明らかにしていきます。それらが存在しない場合にも、業界の有識者や弊社の関係先企業様にインタビューを行うなどして、可能性のありそうな1〜5のセットを複数用意し、市場アンケートやアウトバウンドコールを行って感触を確かめます。
これにより、どのようなターゲットに、どのようなチャネルで、どのような訴求や提案を行っていくと、どれくらいの感触を得られそうなのか、およそ把握することができます。
また、PMFするためにより詳しく検証すべき点、解消すべき問題なども明らかになります。
解消すべき問題に対して暫定結論を準備したうえで、残論点を詳しく検証するためのプレセールス体制を構築します。
例えば、アプローチ対象が中小企業の場合や、大手であっても既に担当者レベルで予算が確保されているタイプのサービスであれば、アウトバウンドコールを主軸に置きます。大手企業、かつ、予算があまり部門に降りておらず役員〜部長レベルとの会話が必要になる場合など、アウトバウンドコールでアクセスが難しい場合には、顧問活用や既存関係先からの紹介獲得を主軸に置きます。
前者の場合には、自社の営業リソースを活用するほか、リブ・コンサルティングの子会社を含む営業代行会社と連携して推進していきます。なお、アウトバウンドコール部隊が記録すべき内容や記録方法を定めたり、架電の量・質確保と入力徹底のための仕掛けを行ったりするためには、さまざまな工夫が必要です。
これにより、ターゲットとする企業の業界・規模・エリアや担当者の部門・役職、予算枠まで、どこのアポが取りやすく、大きな受注に繋がりやすいのか、検証することができます。そのターゲットの獲得のために必要な商材改善のポイントや最適な販売チャネルも明確になります。また、当然ながら検証の根拠となるのは具体的なアポや受注等の成果であるため、同時並行で案件獲得にも繋げることができます。
ここまでの活動を通じ、営業メンバーが本事業にジョインしてからどれくらいの期間で、どれほどの営業成果を創出できるかがわかるので、それを事業計画に落とし込みます。営業の人員数に応じて受注数が増え、顧客が増え、カスタマーサクセスに必要な人員も増えるため、そこが連動した形で売上・顧客数・当社人員数を整理します。
この数字を出しておくことで、メンバーが確保されやすくなり、自社の人員数による天井を迎えることなく事業推進スピードを保つことができます。また、売上などの目標数値に到達しなかった際に、獲得企業数や受注単価、チャーンレートの想定値との比較を行うことにより、どこに原因がありそうか、改善すべきかを考えやすくなります。
ここまでの活動の中で出てきた営業メンバーの「個人差」に着目することで、成果の差を生んでいるアクションの差、すなわちキーアクションを明らかにすることができます。
このキーアクションが天才型やコネ型など、他のメンバーには真似できないものである場合には、キーアクション部分を実行可能なメンバーに集約できるような組織体制を検討します。ほかのメンバーでも再現可能なものである場合には、ツール制作などのサポートや、ナレッジ共有の仕組みづくり、研修・ロープレによる育成やその録画のEラーニング化など、「できる化」を行います。
また、成果を上げている営業メンバーのタイプに明確な傾向がみられる場合には、それを整理し、人材要件化します。この人材を採用して即戦力化するのか、ほかの部門からのメンバー異動が中心でリスキリング的な能力開発が必要なのかによって、育成ロードマップも異なるものになるため、最終的にはこの育成ロードマップを描いたうえで、研修等の体系化を行います。
これにより、事業計画で描いたように増員を行い、期待通りの事業成果をあげることができるようになります。
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