2019.12.10

教育の中身に目を向けて 人と社会を豊かにするコンテンツを作る

株式会社トモノカイ

1992年、東大生有志による教育サークルとして発足。2000年、株式会社東大家庭教師友の会設立。発足当初から手がけてきた家庭教師や塾講師の紹介事業を軸に、人材派遣や教育機関向けの支援を行う。

1.トモノカイは「人財×教育」の事業を中心に、家庭教師の紹介から、塾講師の紹介、学生向けのメディア運営などへと事業を広げている。新たな領域への挑戦では、外部の知が役立つことも多い。様々な外部との連携を模索した結果、同社はコンサルティング会社を活用しようと決めた。

 

2.同社は「次の時代を作る人財育成」をミッションとし、そのジャーニーに向かっていくためには、教育の中身を改善することが重要と考えている。コンサルタントとは課題の深掘りから協業し、より広い層に向けた新規事業のコンテンツの開発とマーケティング強化に取り組んでいる。

お話を伺った方

 

 

株式会社トモノカイ
代表取締役
徳岡 臣紀 様

事業内容について

傅(ふう) トモノカイについて教えてください。

徳岡 当社は東大生の教育サークルとして発足し、家庭教師の紹介を行っていました。その後、教える能力が高い人を集めながら、彼らに向けた研修を行うようになり、現在は教育という大きな枠組みの中で、キャリア教育、学生向けの情報サイト運営、塾講師の採用と育成の支援などを行っています。事業領域は年々広がっていますが、中核としているのは「人財」です。例えば、人財×家庭の掛け合わせで家庭教師、人財と×学校で放課後支援を考えるなど、教育を通じ、人を豊かにすることにより、次世代で活躍する人財を育てていくことが当社のミッションです。

傅 トモノカイを創業したのはなぜですか。

徳岡 理由は2点あります。まず、私自身の原体験ですね。小学校のころは運動ができず、身体も弱かったこともあり、勉強に力を注ぎました。勉強ができるようになり、私自身の可能性のシェアを広げることが出来たのです。したがって、私にとって勉強は負のイメージがなかったのですが、周りを見るとどうも違います。学びというものは多くの人にとって苦しいものという印象でした。それはなぜだろう…?と考えた結果「学ぶ本質」とはなにか?という課題に行きついたのです。
もう一点は、21世紀の教育の大衆化をおこないたいと考えていたためです。今の日本では、一般の家庭と、裕福な家庭では教育のレベルが違っていたり、その後の活躍の幅が違ってくるのではないかと考えています。私は「普通の人が活躍できる」そんな世界をを作りたかったのです。

傅 家庭教師から塾講師の分野に広げたのはなぜですか。

徳岡 起業した当初は他にないビジネスモデルだったこともあり、順調に売上が伸びました。子どもの成績が良くなり、保護者の方々にも満足してもらえましたし、先生の登録者数も増えました。しかし、課題もありました。それは、家庭教師と生徒が1対1となるため、どうしてもミスマッチが生まれることがあるのです。そこで目を向けたのが塾講師です。教師と生徒をつなぐために、優秀な家庭教師を紹介するだけでなく、優秀な塾講師を紹介し、増やしていく方法もあると考えたのです。

傅 より良い教育環境を作っていくために、塾という新たな分野に目を向けたわけですね。

徳岡 はい。学力向上という面から見ると塾講師が子供に与える影響は大きく、お世話になった先生として学校の先生ではなく塾講師をあげる人も増えています。そのような社会背景も踏まえながら、優秀な塾講師を紹介する仕組みを作りました。それが結果的に競合との差別化につながり、情報提供サイトなどのメディア運営に発展するきっかけにもなります。事業面でも、家庭教師と塾講師は競合する関係に見えますが、いずれも人材を軸にした事業であるため、優秀な人材を確保し、紹介するという点では同じで、ノウハウが共通する部分も多いのです。

 先生側も生徒側も、起業当初より多くの人が関わるようになりました。大勢を巻き込むことも事業発展の戦略ですか?

徳岡 学ぶ人と教える人という観点から見ると、対象となるのは家庭教師や学生だけに限りません。教育と関わるすべての人と一緒に教育環境を再設計していきたいという思いがあります。また、教育環境は、人、中身、場で考えることができます。この3つで見ると、例えば、人は先生の紹介などで我々の事業が貢献していますが、中身の部分でも、不足している部分を補っていけると思っています。

傅 教える内容を再設計するということですか?

徳岡 もっと本質的なところで、学ぶことの重要性や必要性を感じてほしいと思っています。教育は重要ですが、さらに重要なのは、勉強して自分や社会が豊かになることです。しかし、現状は勉強そのものが目的になっているところがあり、そのせいで勉強がつまらなく感じたり、教育の重要性が見失われてしまっています。そのような実態に目を向けながら、教育の質を高めていくためのコンテンツを強化したいと思っています。先生の登録者数や紹介実績といった量のみで測るのではなく、教育の内容や教え方といった質の部分を高めていきたいと思っています。

コンサルティング活用の経緯とリブのコンサルティングについて

 そのような思いを原動力にしながら、トモノカイは現在も事業領域の拡大や新規事業への挑戦に積極的に取り組んでいます。その際にコンサルティング会社を使おうと考えた理由を教えてください。

徳岡 当社はこれまで実験的な視点も含めながら事業領域を拡大し、世の中にもインパクトを与えてきたと思っています。ただし、その成功体験にとらわれるのはリスクです。景気が良いときは成功体験が自然と積み上がりますが、状況が変わると、無意識のうちに「現状のままで良い」と考えるようになり、新しいことに挑戦できなくなります。そのような考えから、外部の人の力を借り、従来とは違う「勝ち筋」を見つけていこうと考えたのです。しかし、私たちのような中小企業にとって、クラシカルなコンサルティングは費用が高く依頼できないと考えていました。したがって、実行は自分たちで行うようなアドバイザリーや、スポットコンサルティングなど、様々な形を模索していました。

 そのような中で私たちと出会ったのですね。

徳岡 はい。アドバイザリーや、スポットコンサルティングだとアドバイスを受けるだけで、自社に全く消化させることが出来ないことに気づきました。そんななかで、マーケティング戦略から実行支援まで依頼できるリブ・コンサルティングを見つけ出しました。

 われわれと行ったプロジェクトでは、まさに貴社の今後の成長戦略の柱となる戦略事業の立ち上げ・事業推進に取り組みました。

徳岡 そうですね。今回は、まさに当社の成長戦略である事業を立ち上げ・拡大していくフェーズでコンサルティングの依頼をしました。もちろん、当社の中で新規事業担当メンバーがおり、これまでも立ち上げを行い、前進はしていました。しかし、想定していた以上に市場の動きが早く、「今のままの事業開発のスピード・質では、市場成長の波に乗り切れないのではないか?」というような懸念を持っていました。事業開発のスピードを加速し、事業の早期スケールに向けた動きを強化したいと思ったのです。結果として、事業開発スピードが加速し、早期スケールに向けた勝ち筋構築において、リブ・コンサルティングは、大きな役割・価値を発揮してくれたと思います。

 リブ・コンサルティングに対する評価を教えてください。

徳岡 成果創出に向けた実行支援がとても価値が高かったと思います。プロジェクト発足当初は、調査分析や戦略検討などのフェーズから開始をしたので、すぐ目に見えるような成果が出るような支援ではなく、多少の心配も正直なところあったのですが、調査分析フェーズを経てからの実行支援においては、とてもスピーディーに事業開発を進めてくれました。事業知見、マーケティング・セールス開発スピード・質、成果へコミットする姿勢などは、他のコンサルティング会社とは全く違うと思いました。

戦略なき実行も、実行なき戦略も意味がありませんが、その意味で、リブ・コンサルティングは戦略から実行まで一貫した支援をしてくれ、もちろんまだまだこれからが勝負ですが、事業の構築と成果創出につなげてくれたのです。

例えば、これまで当社がメインの営業チャネルとしていた施策を見直して、新しいチャネルを構築したり、この業界では珍しく、自分たちでも気づいていなかったような、業界の盲点を突くような手法を提案してもらいました。自分たちではやらなかった、やれなかった、やりきれなかったところを、私達の近くで一緒になって取り組んでくれたと感じています。新規事業を作っていく過程においては、真の課題を突き詰めるところから一緒に取り組んできたため、コンサルティング会社というよりは、事業を作る同志のような感覚を持っています。

今後の展望について

 最後に今後の展望について教えてください。

徳岡 重点を置いて取り組みたいのは、前述した学びの中身の部分です。デジタルとグローバルをキーワードにしながら、スピード感を持って取り組んできたいと思っています。例えば、教師の育成や評価方法などを変えていきたいですし、受験の仕組みも変えていきたいと思っています。1つ1つの取り組みが、陳腐化していく世界を変えることにつながるといいですね。また、ターゲット層に関しては、現在は子供へのアプローチに取り組み、今後は社会人の学びという観点で、マインドセットややる気を刺激するための取り組みにも挑戦していきたいと思っています。教育は幅広い年齢層を対象としています。国境もありません。きれいごとで終わらず、あらゆる人に向けたマッチングを仕掛けながら、より多くの人たちを教育面から支援する会社を目指します。

 

(左からトモノカイ徳岡様、担当コンサルタント傅(ふう))

関連事例