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営業手法の仮説検証にコンサルティングと営業支援を活用し相乗効果を発揮―― ユニファ株式会社様
- #ベンチャー・スタートアップ
2013年設立。IoTやAIを活用した保育支援システム「ルクミー」の開発およびサービスを提供する“Childcare-Tech”領域のスタートアップ。「家族の幸せを生み出すあたらしい社会インフラを世界中で創り出す」というパーパス(存在意義)に基づいた事業は高い評価を受け「スマート保育園」は、2021 年グッドデザイン・ベスト100 および特別賞であるグッドフォーカス賞〈新ビジネスデザイン〉を受賞した他、「ルクミー」は社会にとって有益なクラウドサービスに贈られる「ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2021」の社会業界特化系ASP/SaaS部門において先進技術賞を受賞。また、「ユニファ」は、J-Startupにも選出されている。
代表取締役 土岐泰之 様
EXECUTIVE SUMMARY
- ユニファ株式会社は、保育施設の運営におけるさまざまな課題を解決すべくAIなどの最新テクノロジーを活用したICTサービスや「スマート保育園・幼稚園・こども園」を展開している。展開するサービスの増加に伴い、従業員の増加による社内制度の整備、さらに新サービスをどのように営業展開するかについて課題を抱えていた。
- リブ・コンサルティングは、当初人事制度構築で依頼を受けたが、別法人での事例をもとに営業支援についても相談を受け、直販部隊の創設に携わり成果を上げた。次段階として、新たな経営課題、さらにはカスタマーサクセスを目指して再び手を取り合う。社会性のある「正しいグロース」を目指して新たな挑戦が始まる。
他社事例がキッカケとなり、始まった営業支援
-LiB ユニファ株式会社さんが手掛けている事業について教えていただけますか?
土岐 当社は、保育現場の課題解決と保育施設の社会インフラ化を推進しています。保育業界はアナログな仕事がとても多く、保育者の方達の大きな負担になっていました。例えば「遠足の写真を配布する」という業務ひとつとっても、撮影、PCへのデータ移し替え、写真のプリント・展示・注文の取りまとめと受け渡し、保護者さんからの集金や問い合わせ対応……など、相当な時間と手間がかかります。こうした業務の積み重ねで、保育の質を高めたくてもリソースが追い付かないのが現状です。
手作業でやる煩雑な業務をICT化することで、業務を効率化し、保育者さんたちにゆとりが生まれます。そうすれば「子どもと向き合う」という本来の業務に注力していただけるのではないかと考えました。
-LiB ユニファさんが、リブ・コンサルティングにご依頼いただいた背景やきっかけについて教えていただけますでしょうか。
土岐 リブ・コンサルティングさんとご縁をいただいたのは2018年でした。その当時は、会社を設立して5年経ち、いわゆる従業員の「100名の壁」を感じ始めていたころです。翌年にはシリーズCの資金調達を控え、事業を加速させたいタイミングでしたが、人事組織が整わないままだと、大きなグロースは難しいのでは……という不安や懸念がありました。
そこで、リブ・コンサルティングさんに人事制度作りの支援をお願いし、スタートアップ特有のストックオプションや、人事評価制度などの組織作りを進めることにしたのです。
-LiB 2019年9月には、シリーズCの資金調達を果たし、リクルートマーケティングパートナーズ(現 リクルート)さんの保育園向けITサービス「キッズリー」を買収されるなど、事業を拡大されていますね。
土岐 それまでの写真事業とヘルスケアIoTに新たな事業が加わり、全部で3つの事業を抱えることになると、直販部隊の必要性を感じ、立ち上げを模索するようになりました。
保育業界において、当社の商品・サービスを売り込める商戦期間はとても短いです。インサイドセールスは初めての挑戦で、試したいことがいろいろありましたが、時間が全く足りませんでした。そんな時、リブ・コンサルティングが手掛けた営業による事業グロースの事例を拝見したのです。人事評価制度の構築でお世話になった実績もありますし、事業コンサルティングと営業支援についても相談してみようと考えました。
営業施策をトーナメント形式で試し「チャンピオン施策」を見出す
-LiBリブのどのような点が、営業支援のご依頼の決め手になりましたか?
土岐 お話しいただいた中で心を惹かれたのは「施策のトーナメント制」でした。短期間で様々な施策を試し、有効だったものを残す。最終的にもっとも有効な「チャンピオン施策」を見出せるというものです。
コアとなる仮説を、短期間で具体化できるこの方式は、時間もリソースも限られている当社にはぴったりだと思いました。実際にやってみると、当社のケースでは「既存の保育施設から地域の保育施設をご紹介いただくアプローチを強化する」という道筋も見出すことができ、本当に挑戦してよかったと思っています
-LiB 実際にリブに任せてみて、いかがでしたか?
土岐 「やってみたい」と思っていた施策の仮説検証がとてもスムーズにできました。たくさんの施策を試すことができたのがありがたかったですね。
例えば、最初は有効だと考えていた「お友達紹介」などの紹介営業が、意外に効果が低く、当社の場合は、オンラインセミナー後のインサイドセールスが効果的だとわかったのは大きな収穫でした。悪かったことを明確にし、次の仮説に繋げることで、より早く有効な施策を見出す流れを創り出せました。これをやりきるのは、社内リソースだけでは限界があったと思います。
-LiB ユニファさんは、考えた施策の仮説検証プロセスを最短化されるために、コンサルティング会社を活用されるという、新しいタイプのクライアント様でもあったと感じています。
土岐 保育施設の園長先生は、とてもご多忙で時間が限られています。また、年間における商戦期間も限られているという点で、保育業界の営業マーケティングは、資金の問題以上に時間のハードルが高いです。
少しでも早く「勝ちパターン」を見出すためには、一つずつ仮説を立てて「そうじゃないパターン」を潰していくことが必要だと考えました。カオスな状態からマーケティング施策を考え、実行し、有効な施策かどうか検証していくという作業は、スポット的な営業支援サービスでは難しかったでしょう。
柔軟に現場に対応してくださるリブさんだったから、様々な施策を試しながら考え、大きな流れを作り出し、さらに結果を出すところまでたどり着けたのだと思います。
さらに、いろいろな試みをする中で、多くの発見と改善もありました。
例えば、お客様からの声をいただいたことで、個々のプロダクトの統合やデータ連携が進み、カスタマーサクセス部設立へのトリガーを見つけることもできました。
エモーショナルとサイエンスのバランスが取れた「共感」を生む営業の型をつくる
-LiB ありがとうございます。リブでは実際にユニファさんに常駐させていただきましたが、その時はどのように感じていらっしゃいましたか?
土岐 当時は、ワンフロアのオフィスだったこともあり、当社のスタッフとリブさんが一体となって施策に取り組んでいただいたのはよく覚えています。数をこなしていくのはもちろんですが、その中でもチーム作りに力を注いでいたのが印象的でしたね。お客様に対して効果的なスクリプト、KPIが可視化されていくのは新鮮な驚きでした。
興味深かったのは、話す内容だけでなく、受注率の高い営業のキャラクターもわかったことです。当社の場合は、滔々と解説するよりも、まず「どんな保育施設を作りたいですか?」と、園長先生に対して共感を示す方が効果的だとわかりました。
しかし、話す内容は可視化できても、声のトーンやスピードといったノンバーバルコミュニケーションは明文化が難しいです。そこで、その方がお話しする横で、メンバーが会話を聞かせてもらいました。効果的な話法をリアルに学ぶことで、より高い効果につながったと思います。
当社の理想の保育施設のビジョンを共有し、電話の向こうの園長先生たちとも、共感しあえるチームができあがっていく様を見ることができました。
-LiB ユニファさんから見て、リブと一緒にやっていて嬉しかったことを教えていただけますか?
土岐 プロジェクトを通じて本当に成長したと思います。目先の商談に追われ続けているのではなく、一旦立ち止まってデータを見て、施策を深く検討する時間を持つようになりました。当社の事業はそもそも「思い」が大事。エモーショナルな部分が大きいです。しかし、「共感」をかたちにする営業はサイエンスの部分があります。つまり、両方分かる人じゃないと難しい。
リブさんは、当社がこれから「社会の公器」になる事業を作り上げるにあたって、そうした観点が重要と気づかせてくれました。
-LiB 土岐様はこれまで、多くのコンサルティング会社をご覧になってきたと思います。リブ・コンサルティングが他社と異なる点はどのようなところだと思われますか?
土岐 コンサルティングと営業代行が一緒になっているところがまず違いますよね。施策を一緒に考えてくれて、かつそれをスピーディーに検証できるというのは、他ではないリブさんの強みだと思います。
営業代行だけの会社だと、エモーショナルを失わない施策そのものを当社が考えて決めなくてはいけません。コンサルティングだけの会社だと、仕組みを考えていると時間がたってしまいます。
リブさんは、そのバランスをクライアントに合わせられるのがとても大きなポイントだと思いました。他社さんでの実績や、横のつながりがしっかりしているので、安心して任せられます。スタートアップにとってはとても心強い存在です。
再びリブ・コンサルティングとタッグを組み「正しいグロース」を目指す
-LiB この度は、再びお声がけいただいて本当にありがとうございます。この時期に再び外部リソースを導入することになった経緯を教えてください。
土岐 前回は、新規のインサイドセールスでリブさんと取り組みました。現在では、オンラインセミナー後に園長先生のコミュニティを作ったことで、見込み客の方たちとの信頼関係を構築しつつあります。また、既存のお客様の数も増加してきた中で、アップセルをどうするかという新たな課題も生まれました。
次のステップとして目指すのは、お客様のカスタマーサクセスです。いま当社にある資源を使い、最終的にソリューションに整えていく必要があります。それは、単なる営業代行だけでは難しく、営業代行+コンサルティングが必要だと判断しました。当社のパーパスと課題を理解したうえで一緒に戦ってくれるところはリブさんしかいないと、もう一度オファーした次第です。
-LiB ユニファさんくらい仕組みができていたら、スタートアップとして営業代行に丸投げする企業も多いのではないかと思います。あえてコンサルティングが必要と考えた理由を教えていただけますか?
土岐 当社は、社会正義を全うしながら「正しいグロース」を実現したいと考えています。そのためには、社会性だけではなくビジネスとして勝たなくてはなりません。簡単ではないこの2つを高い次元で両立させていくための挑戦をしたいと考えています。
-LiB 「正しいプロセスを踏みながら広めていく」というベースがあり、それを営業手法として翻訳するために当社が入るという認識でしょうか。
土岐 そうですね。単に短期で利益を上げるのが目的で、そのためなら焼畑農業のようなことも構わないというスタンスだったら丸投げできるかもしれません。ですが、丁寧にパートナーシップを構築していこうと考えた場合、営業企画だけでなく会社のスタンス全体、事業企画や組織、経営戦略など、全ての点がつながるような大きなシナリオが必要です。
ルービックキューブを合わせていくように、検討しなければいけないことが山のようにあります。そして、それぞれの企画をやりきった上でしっかりスケールさせていくのは、社員だけでは困難です。
-LiB 営業マーケティングという事業の根幹に外部を入れることについてはどのように考えていらっしゃいますか?
土岐 「事を成す」ために最適なチームを組むためには、バリアは作らない方が良いと思います。もちろん、丸投げではなく知見を社内にためるための仕掛けは必要です。会社が成長するために社内のリソースだけで取り組むことが理想かもしれませんが、限界があります。「今これをしなければ」というタイミングで、社外パートナーと一緒にするという経営判断をオプションとして持っておくことが、より早い成長の近道だと考えました。
当社は社会インフラになることを目指す企業なので、どちらかというと社外の方の共感をどうやって集め、経営に活かすかを重視します。例えば、当社スタッフが保育施設に外部の人として入り、保育施設の在り方のガイドラインを作ったりもしています。もちろん、内部と外部の境界線はしっかりとグリップする必要があります。
-LiB 今回のリブに対する期待や要望を教えていただけますか。
土岐 当社の目標は、業務効率化だけではありません。ICTを提供するのは、未来を創る保育業界そのものの付加価値を高めたいと考えているからです。当社も以前と比べて格段に進歩しているという自負がありますが、スピーディーにやり切れない部分がまだまだ残っています。例えば、データ分析や可視化、それらに基づく型つくりなどです。
あれから多くの人材を採用したので、現在の営業手法がどのように確立されたかを知らない営業社員も増えてきました。ここで再びリブさんという外部の方が入ることによって、良い意味での緊張感が得られ、刺激になることも期待しています。
-LiB 今回、新しいステージに上がられたユニファさんに再度お声がけいただいたのは、本当に嬉しいことでした。われわれも今ならもっとやれる、成長の証をお見せしたいと、社内でも盛り上がりました。
土岐 これまでの軌跡をリブさんに理解いただいていることは、当社にとってかけがえのない資産です。リブさんにはぜひ、当社にとって足りないところ、一番重きを置くべきところ、深刻な課題を忌憚なくご指摘いただきたいですね。