2022.07.26

ソリューションビジネスにおける死の谷

製品やサービスをただ紹介するだけでは、なかなか売上につなげることができない時代です。インターネットやスマートフォンが普及したことにより、誰でも必要な情報を得ることができます。競合他社に勝つにはクライアントの課題の解決のために、共に取り組んでいくビジネスパートナーであるといえます。

このようなクライアントの課題を解決することが目的のビジネススタイルをソリューションビジネスといいます。例えば、自社の製品を販売することにより課題が解決したとしても、また新たな課題に対して取り組んでいくなど、長期的なビジネスパートナーになることが重要です。

しかし、ソリューションビジネスを進めているとほとんどの企業は壁にぶつかります。この壁のことをソリューションビジネスにおける死の谷とよびます。

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ソリューションビジネスとは

ソリューションビジネスとはクライアントが抱えている課題に対して、ビジネスパートナーとして解決をしていくビジネススタイルのことをいいます。商品やサービスを販売するビジネススタイルとは違い、売ることが一番の目的ではなくクライアントの課題内容によっては自社製品を売らない時もあります。

さらに、クライアントと信頼関係を作って課題をヒアリングして解決していくため長期間においての取引となることが一般的です。1つ課題を解決しても、まだ次の課題を解決することもあるなどビジネスパートナーになることが重要です。

死の谷とは

新規事業における死の谷とは、製品が出来上がってから事業に至るまでに、費用面や担当者のモチベーション、その他さまざまな理由により結果が出ずに頓挫することを意味します。

製品を開発するよりも、製品を開発してから事業にするほうがはるかに費用がかかります。さらに、優秀が人財が揃わない、製品の認知が上がらないなど死の谷といわれる理由はさまざまです。

死の谷を越えられない理由

死の谷を越えられない理由は次の点が挙げられます。

  • 予算不足
  • 消費者ニーズとの不一致
  • モチベーションの低下

予算不足

新商品がいきなり売れるとは限らず、結果的に予算が足りなくなり運営を継続できないことがあります。予算の面においては、経営トップと新規事業を担当している人との間でしっかりとしたコミュニケーションがないと、経営トップが的確な投資判断をできない場合があります。

消費者ニーズとの不一致

それほど自信のある製品やサービスを開発していても、消費者のニーズと合っていなければなかなか売れることはありません。開発に時間をかけすぎて、消費者のニーズが変わっている場合や、競合他社がさらによい製品を開発している場合もあります。開発までスムーズに来ながら事業化のフェーズで壁にあたるのは、このケースが多くあてはまります。

モチベーションの低下

長期間成果が見えてこないと、新規事業担当者がモチベーションを保つのはむずかしくなります。この状態で新たに問題が発生すると対抗できない可能性があります。

死の谷を越える方法

死の谷を越えるには次に方法があります。

  • 小規模で事業にする
  • 消費者のニーズを分析する
  • 経営トップと意思疎通をする

小規模で事業にする

事業化するのは、商品を開発するよりも費用がかかります。そのため、小規模から事業化することが重要です。テストマーケティングを何度も繰り返しながら、だんだんと事業運営を安定させることにより死の谷を越えるきっかけとなります。

消費者のニーズを分析する

自信のある商品であっても、消費者のニーズにあわなければなかなか売れません。そこで、競合の動向や競合の商品に対する消費者のコメント、さらには試作品を作ってアンケートを取るなど消費者の声を集めて分析をすることが重要です。

さらに、消費者のニーズは定期的に変わるため分析も定期的におこなうことが大切です。

経営トップと意思疎通をする

経営トップと新規事業担当者で意思疎通ができていないと、死の谷を越えるのはむずかしくなります。特に、予算設定を的確におこなうことができずに予算面で新規事業が続かなくなりがちです。

ソリューションビジネスにおける死の谷とは

ソリューションビジネスは、メインのビジネスの付加価値であることが一般的です。ソリューションビジネスのニーズが高く、ソリューションビジネスをメインにしようとしたときに、死の谷が発生する傾向にあります。

運営開始時点

ソリューションビジネスは、もともと自社の製品を売るためにサービスとして始めることが一般的です。このため運営開始時点では売上に影響することは基本的にありません。ソリューションビジネスとしての業務が大きくなると、サービスではなく独立したビジネスになります。しかし、あくまでメインのビジネスがほかにあるためサブビジネスといった立ち位置になるケースになります。

ソリューションビジネスがメインビジネスへ

ソリューションビジネスの規模が大きくなるにつれて、ソリューションサービスがメインビジネスとなってさらに規模を拡大していきたいところです。しかし、ここで初めてソリューションビジネスにおける死の谷が登場します。ソリューションビジネスが大人気であったとしても、もともとメインのビジネスであったものと入れ替わることはほとんどありません。

ソリューションビジネスの谷とは

ソリューションビジネスをメインビジネスに押し立てようとしても、元々のビジネスから軸足を移すことは容易ではありません。結果的にこれまでとビジネスのやり方が変わらないケースが多く、この状況をソリューションビジネスの谷とよびます。

ソリューションビジネスにおいて死の谷が起こる原因

ソリューションビジネスにおける死の谷が起こる原因ですが、商品やサービスを販売するビジネスとソリューションビジネスでは根本的に違うタイプのビジネスです。販売することが目的のビジネスに対して、ソリューションビジネスはクライアントの課題を解決することが一番の目的です。

ソリューションビジネスにおいて死の谷を越える方法

ソリューションビジネスにおける死の谷とは、これまでの販売がメインのビジネスとソリューションビジネスがまったく違うビジネススタイルであることから起きます。そのため、これまでの販売メインのビジネスとは全く別のものであり、ソリューションビジネスとして1から成長させていくよりほかありません。

まとめ

ソリューションビジネスは一般的に、メインビジネスとして商品を売るときに付加価値として無料でのサービスをつけるところから始まります。付加価値のサービスの需要が高まったところで独立したビジネスとなります。ある程度の顧客を抱えたときに、メインのビジネスソリューションビジネスに変えようとした時に死の谷が起こることが多いです。

販売をメインとしたビジネスとソリューションビジネスでは、営業方法から営業目的まですべてが異なります。そのため、切り替えるのがうまくいかず壁となってしまい死の谷が発生します。死の谷を乗り越えるためには、メインビジネスからの切替ではなくソリューションビジネスとして1から立ち上げて行くよりほかありません。

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