2023.05.31

機能別組織とは

企業が成長するにつれ組織の規模が拡大しそれぞれの部署が専門性を持つようになってくると、機能別組織とよばれる形態が導入されることがあります。それぞれの部署が特定の業務を担当することで、効率的な業務遂行が可能です。ほかにも高い専門性に対応できたりノウハウを累積できたりするなどといった特徴があります。

一方、部署間のコミュニケーションやプロジェクト進行において課題が生じることもあります。充分にコミュニケーションをとり、組織をまたいだプロジェクトを進行することで課題を解決出来ることが一般的です。

機能別組織とは

機能別組織とは、生産や営業などといった経営機能ごとに編成している経営形態です。業務が細分化されることで、機能的に企業全体の課題への対応ができます。例えば、営業部門や人事部門、経理部門などがあります。それぞれの機能に特化した部署を作ることで、専門性を高め、より効率的に業務をおこなうことが可能です。

事業部制との違い

機能別組織の特徴は専門性と統制性の高さです。各部署で専門性を高めることで、より高度な業務をおこなうことができ、統制力のある組織運営により業務の効率性も高めることができます。さらに、経営陣が戦略的に意思決定をすることができるため、企業全体の利益につながります。

カンパニー制との違い

カンパニー制とは、複数の会社が合併しそれぞれの会社が自律的に業務をおこなう組織形態です。機能別組織との違いは、企業が複数の事業部門を抱え、それぞれが独立した会社として運営される点です。それぞれの会社は自律的に業務をおこない、自己責任で経営を担当します。一方、機能別組織は機能ごとに部署が分かれ機能ごとに専門性を高めることで、より効率的に業務をおこなうことが可能です。

機能別組織を導入するメリット

機能別組織を導入することにより次のようなメリットが挙げられます。

  1. 専門性が高まりやすい
  2. 効率よく業務を進められる
  3. 組織の統制をしやすい
  4. 経営資源が無駄にならない
  5. ノウハウを累積できる

専門性が高まりやすい

機能別組織は、業務ごとに担当部署を分けることで、各部署が専門性を深め、専門的な知識や技術を磨くことができます。また、その専門性を生かして業務に取り組むことができるため、品質やクオリティの向上につながるのです。さらに、社員のモチベーションも向上する傾向があるため、人材の定着や育成をしやすい環境にあります。

効率よく業務を進められる

各部署が自分たちの業務に特化しているため、業務がスムーズに進むことが可能です。また、各部署で専門性が高まることで情報共有が円滑におこなわれ、全体の業務効率が向上することが期待できます。このような効率性の向上は、企業の収益や生産性を高めることにもつながります。

組織の統制をしやすい

部署ごとに担当業務が明確になるため、誰が何に責任を持つかがわかりやすい点が特徴です。そのため、業務の進行状況や問題点などの情報を共有しやすくなるため、トラブルを未然に防ぐことができます。また、組織内のコミュニケーションも円滑になることが期待できます。

経営資源が無駄にならない

事業部制組織では事業ごとに部署があるため、それぞれの部署に機能が必要です。事業部間で機能が重複するため経営資源の無駄につながる可能性があります。しかし、機能別組織の場合は機能の重複が起きることはなくコスト削減につながります。

例えば、マーケティング部署と営業部署が分かれている場合、マーケティングのプロモーション費用はマーケティング部署が管理し、営業部署の予算からは削減されないため、無駄が生じません。

ノウハウを累積できる

機能別組織においては、専門分野に長けた人材が揃っていることから、機能ごとにノウハウの蓄積が可能です。さらに、部署ごとに必要な知識が集まっていることから人材教育が効果的になります。

例えば、開発部署が分かれている場合、同じプログラミング言語を使うメンバーが集まり、その言語の使い方や、より効率的なプログラミングの方法などを共有し、開発品質を向上させることが可能です。

機能別組織のデメリット

機能別組織におけるデメリットは次の点です。

  1. 経営者の負担が大きすぎる
  2. 人材が育ちにくい
  3. 責任の所在が明確にならない

経営者の負担が大きすぎる

機能別組織は、各部署が独立して運営されるため、各部署の管理や調整が必要になります。そのため、経営者の負担が大きくなる傾向があります。経営者は、各部署の目標や業績管理、意思決定など、多岐にわたる業務をおこなう必要があります。さらに、各部署の調整や問題解決にも関与することが必要です。

また、機能別組織は、各部署が独立して運営されるため、情報の共有やコミュニケーションが不十分になることがあります。これにより、経営者が各部署の状況を把握することが困難になり、課題の発見や解決に時間がかかる場合があります。

人材が育ちにくい

機能別組織は、各部署が独立して運営されるため、その部署で得られる経験やスキルは、その部署内に留まることが多く、ほかの部署には十分に伝わりません。そのため、全社的な視野を持った人材の育成がむずかしくなります。

さらに、機能別組織では、各部署が独立して運営されるため他の部署の業務や課題について深く理解する機会が少なくなります。これにより、他の部署との連携やコラボレーションが難しくなり、全社的な視野を持った人材の育成が困難になることがあるのです。

責任の所在が明確にならない

機能別組織は、専門的な知識やスキルを持った従業員が集まり各部門で業務を担当する組織形態です。このような構造になることで、各部門はより効率的に業務を遂行できます。しかし、一方で、業務が複雑化するにつれ責任の所在が明確にならないことがあります。

機能別組織を成功させるコツ

機能別組織を成功させるために次のようなコツが挙げられます。

  1. コミュニケーションを十分にとる
  2. 組織をまたいだプロジェクトを進める

コミュニケーションを十分にとる

機能別組織においては、部署間でのコミュニケーションが重要です。各部署が持つ専門性を活かし、全体最適を追求するためには、他部署の業務内容や進捗状況を共有し、協調して取り組むことが必要です。

そのため、部署間の定期的なミーティングや報告書の共有などを通じて情報共有をおこなうことが重要です。また、コミュニケーションを円滑にするためには、各部署の業務内容や目的意識を理解し、手に合わせたコミュニケーションを心がけることが大切です。

組織をまたいだプロジェクトを進める

機能別組織においては、1つのプロジェクトに複数の部署が関わることがあります。各部署が持つ専門性を活かしつつ、プロジェクト全体の目標達成に向けた進行管理が必要となります。組織をまたいだプロジェクトを進めるためには、プロジェクトチームの組成やプロジェクトマネージャーの設置、進捗管理システムの導入などが有効です。さらに、各部署の役割や目標意識を明確にすることで、プロジェクトの全体最適を追求できます。

まとめ

機能別組織は、専門性を高め統制力のある組織運営により、効率的な業務運営が可能な組織形態です。事業部制やカンパニー制と比較して機能ごとに専門性を高めることができ、また、情報共有がしやすいといったメリットがあります。

人材が育ちにくい、経営者の負担が大きくなりがちといったデメリットがありますが、組織をまたいだプロジェクトを進めたりコミュニケーションを十分にとったりすることで機能別組織の問題を解決できることがあります。

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