2022.10.05

LTVの向上につながるポイント

LTV(Life Time Value)とは顧客と自社のやりとりが開始され、終了するまでの間に発生する利益を算出する指標のことです。新規顧客の獲得がむずかしくなったことやサブスクリプションビジネスの台頭により近年注目されています。

LTVの向上には、値上げや原価、契約期間に目を向ける必要があります。アップセルやクロスセルなど、近年注目されている手法に着目することも大切です。LTVを向上できるMAやCRM、botなど、各種ツールも活用することでより確実にLTVを向上させられます。

LTVの向上につながるポイント

LTVの向上は、以下に挙げる7つのポイントを意識することで実現できます。

  • 製品の値上げ
  • アップセル
  • クロスセル
  • 原価抑制
  • 契約期間延長
  • 購買頻度の引き上げ
  • 維持コスト低下

1.製品の値上げ

もっとも一般的、かつ、確実にLTVを向上させる方法として、製品の値上げが挙げられます。単純な購買単価をアップできるため、結果が出やすい手法のひとつです。

しかし、安さを重視する顧客が離れてしまうリスクがあるため、値上げする場合は顧客が値上げすることに対し納得できるような魅力のアピールやストーリー作りが大切です。製品を値上げする場合は、せっかく根付いた顧客が離れてしまうリスクも加味しておかなければなりません。

2.アップセル

購入単価を上げるための手段として挙げられるのがアップセルとクロスセルです。アップセルとは、すでに自社のサービスに触れている顧客に対し、よりグレードの高いものをセールスする手法を指します。既存サービスと比較しつつ、さらに価値のあるものを提案する手法であるため、購入されやすい点がアップセルの特徴でありメリットです。

​​3.クロスセル

クロスセルとは、サービスに関連する製品をセットで販売する手法のことです。アップセルとクロスセルは、組み合わせてひとつの手法にすることも可能です。グレードの高い製品とのセット販売を提案することで、ヘビーユーザーに対する新たなアプローチを実現できます。

4.原価抑制

顧客の購入単価だけでなく、サービスそのものの価格帯に目を向けることも大切です。仕入れや制作にかかる原価コストを抑えることで、サービスの価格を変えることなく利益を向上させられます。

場合によっては、人件費を削ることでLTVの向上につながる場合もあります。まずは原価に目を向けながら、カットできるコストについて客観的に分析することが大切です。

5.契約期間延長

すでにサービスを利用している顧客に目を向け、継続的な利用を促すこともLTV向上の手法です。継続契約を促すためには、サービスそのものの質やアピールが重要です。特に、昨今のサブスクリプション型ビジネスにおいて重要な施策といえます。

6.購買頻度の引き上げ

顧客へのアプローチ手法を見直し、購買頻度を引き上げるのもLTVを向上させられる手段のひとつであり、メルマガやDM、LINEを活用したメッセージ配信などが代表的な方法です。

また、クーポンの配布やポイント制度の設定なども活用されます。顧客に自社のサービスをアピールする機会が増えれば、購買意欲をかき立てることが可能です。

7.維持コスト低下

獲得した顧客を維持するのにもコストがかかります。たとえ売上を確保できていても、顧客の維持コストが膨大になっているままでは、LTVは向上しません。費用対効果を意識しながら、顧客の維持コストを削減する手法も考えてください。

LTVを向上させるメリット

LTVの向上は、以下3つのメリットにつながります。

  1. 既存顧客との関係性強化
  2. 自社ブランドの価値向上
  3. 収益構造の見直しと改善

営業コストの抑制や利益の安定化につながるのも、LTVを向上させるメリットです。また、顧客が優良かどうかを判断する指標にもなります。コストの削減や安定した顧客の獲得を通じてLTVを向上させれば、健全な経営をしている企業と判断されるのも特徴です。

LTVの向上は、さまざまな効果が期待できる重要な観点です。自社のサービスにおける利益に課題を感じている企業は、必ず押さえておくべきと判断できます。

LTV向上に役立つツール

LTVの向上には、以下のツールを活用するのもおすすめです。

  1. MA(Marketing Automation)
  2. CRM(Customer Relationship Management)
  3. bot

MA(Marketing Automation)

MA(Marketing Automation)とは、マーケティングの自動化や効果測定につながるツールを指します。顧客情報をベースにし、顧客一人ひとりに適したマーケティング施策を自動で実施できるのが特徴です。

MAは、顧客との関係性を重視して利益をアップさせる点で、LTVの向上と共通しています。そのため、MAについて理解し、適切に活用することはLTVの向上にもつながるといえます。

CRM(Customer Relationship Management)

CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客情報を管理し、効率的に分析できるツールのことです。CRMを効果的に活用することで、顧客の傾向を分析したうえでのアプローチが可能です。

顧客情報の可視化も可能であるため、顧客にとってのベストタイミングでサポートを提供できます。LTVにも顧客の分析が必要であるため、親和性のあるツールといえます。

bot

botとは、顧客との会話をロボットが代替するツールのことです。チャット形式で顧客と会話する、チャットボットが主な例です。顧客とのコミュニケーションをスムーズにすることで、よりスピーディーな対応が実現します。

顧客にとっても、疑問や不安がすぐに返ってくるbotの導入は、サービスに対するストレスを抑制できる点がメリットです。botにより対応がスムーズになることで顧客満足度が向上するため、LTVの向上にもつながります。

LTVを向上させた企業の事例

サブスクリプションによる配送を実施した事例

ビールを製造、販売するとある企業では、ビールを自宅に配送するサブスクリプションを提供しました。工場で生産されたビールが、月に2回届く仕組みです。定期的に顧客と関わる機会が増えたため、サービスに対する不満などを聞き出しやすくなりました。顧客のリアルな意見を取り入れることは、製品やサービスの課題を明確にし、対策をとることにつながります。

クロスセルを実施した事例

ある会社では、売れ筋の製品とあわせて別の製品を提供するクロスセルを実施しています。クロスセルの実施により、伸び悩んでいた売上の向上に成功しました。また、売れ筋製品とあわせて購入することのメリットが伝わるよう、Webサイトの設計も見直しています。

オフラインに特化した販促を実施した事例

近年注目されているオンラインでの販路をあえて避け、主力の販路であるオフラインを強化した企業もあります。自社の適性を活かした販路を確保することで、解約率の低下を抑制しました。また、CRMの導入により、コールセンターでの販促もあわせて強化しています。オンラインでの強化を取り入れず、自社ならではの販路を確保することが重要であるとわかります。

まとめ

顧客とのやりとりが開始され、終了するまでの利益を算出するために重要なのがLTVの特徴です。LTVについて理解したうえで、適切な手法を取り入れながら向上させることが大切です。

LTVを向上させるためには、製品の値上げや原価の抑制、契約期間の延長といった手法を取ります。また、近年注目されているアップセルやクロスセルもLTV向上に有効な手法です。MAやCRM、botなどのツールも活用しつつ、LTVを向上させるメリットについて理解したうえでの施策を実施してください。

一覧に戻る

関連コラム