2023.03.14

Minimum Viable Productとは

Minimum Viable Productとは実用可能な最小限の製品を意味し、製品やサービスの仮説検証をおこなう際に用いられます。ユーザーが価値を感じる最小限の状態で製品やサービスを提供し、ユーザーからのフィードバックを得ながら改善を繰り返すマネジメント手法です。

MVP(Minimum Viable Product)開発におけるメリットは大きく、成功させるためには最適なフレームワークであるMVPキャンパスを活用し、目的を明確にしたうえでしっかり順序立てた取り組みが重要です。

Minimum Viable Productとは

MVP(Minimum Viable Product)とはユーザーに実用最小限の価値を提供する製品やサービスです。完成形ではなく必要となる最小限の機能を実装したものを、実際にユーザーに使用してもらい、製品やサービスの仮説検証をおこないます。

使用してもらったユーザーからのフィードバックをもとにプロダクトの改善を繰り返し、より満足度の高いものを開発するという手法です。MVPを活用した製品やサービスの開発はMVP開発と呼ばれ、新規事業や新商品開発などをおこなう際に適しており、無駄な時間やコストをおさえつつプロジェクト達成を目指します。

DXにおけるMVPの重要性

現代における変化の激しい市場では、新たな技術やアイディアをいち早くビジネスモデルとして取り入れることが成功の鍵となり、重要視されてきました。MVP開発はユーザーのニーズに柔軟に対応しながら製品やサービスを素早く開発、提供することが可能です。

そのため、早期の収益化や継続的な利益につながるとして多くの企業に注目されています。ユーザーの声をもとにして今後本格的に開発すべきかの判断基準にもなるため、MVP開発はDXを推進するうえで必要な手法です。

MVP(Minimum Viable Product)開発によるメリット

MVP開発によるメリットは次のとおりです。

  1. コストをおさえられる
  2. ユーザーのニーズを把握できる
  3. 市場での優位性を築ける

コストをおさえられる

MVPを用いた開発では最小限の機能のみで市場に出すためコストをおさえつつユーザーの反応を確かめることが可能です。従来のように完成形の製品やサービスをリリースしたのちに、ユーザーの反応を確かめる方法では多額のコストがかかっていました。一方で、MVPでは多額のコストをかけて製品を完成させるのではなく、必要最小限の製品やサービスの改善点のみにコストをかけるため、時間やコストの大幅な削減につながります。

ユーザーのニーズを把握できる

必要最小限の製品やサービスをフィードバックを得ながら改善するため、常にユーザーのニーズを把握することができます。ユーザーのニーズを把握できれば、理想から大きく外れた製品を完成させてしまうリスクはありません。また、現代の製品やサービスの開発においては、ユーザーのニーズに十分応えられるかが成功のポイントとなるため、ニーズを把握できる点は大きなメリットといえます。

市場での優位性を築ける

新規の製品やサービスをいち早く市場に投下することで他社との競争的優位を得ることが可能です。市場への製品やサービス投下が長期化してしまうと、競合他社に先を越されてしまうリスクがあります。しかし、MVPの活用により最短ルートでの開発が実現し、他社との差をつけて早期の収益化へとつなげることができます。

MVP(Minimum Viable Product)キャンパスとは

MVPキャンパスとは仮説検証の内容や手順を明確にするためのフレームワークであり、要素は次のとおりです。

  1. 仮説
  2. 目的
  3. 方法
  4. データや条件
  5. 制作
  6. コスト
  7. 時間
  8. リスク
  9. 結果
  10. 学び

仮説

ユーザーの課題やニーズについての情報を集め、製品やサービス開発についての仮説を立てます。ここでは需要がありそうな製品やサービスを最小の労力で必要最小限の機能を設定し、着手する順序までを明確にしておくことが重要です。

目的

無駄な仮説検証を避けるためにも検証をする目的や理由を明確に設定し、製品やサービスによって解決したい問題やゴールまでをしっかり設定します。的確なユーザーのフィードバックを得るための目的を設定することが重要です。

方法

仮説検証するための方法を具体的に記載し、目標を達成するために必要最小限な機能を絞り込んでいきます。また、方法を設定していく過程で複数の方法が出た場合には、それぞれのキャンパスを作成し、比較して検討する作業も必要です。

データや条件

検証に必要なデータや条件を設定して具体的な数値目標を立て、なぜその数値を目標にするのかの根拠まで明確にしておきます。

制作

ここまでプロセスの内容をもとに制作に入り、ユーザーが実際に使用できるレベルまでの製品やサービスの制作にあたります。制作にはある程度の時間やコストはかかりますが、できる限り最小限の労力とコストにおさえなければMVPの意味がありません。

コスト

材料費や人材費など、開発にかかわったすべてのコストを見積もります。部分的に業務を外部委託した際は委託費用も含めた全体のコストの見積もりです。

時間

開発にどれほどの時間を要したかを記載します。今後MVP開発における部分的な時間短縮が改善できないかを探るため、工数ごとの時間配分を記載することが大切です。

リスク

MVP開発を実施するうえで発生が予想されるリスクやリスクを回避する方法を記載します。また、目的よりもユーザーの声を優先し過ぎて脱線するリスクについても注意が必要です。

結果

検証で得られた結果から製品やサービスに必要な部分や足りない部分を見極めていきます。ユーザーからの的確なフィードバックが得られているかの確認も重要です。

学び

結果から課題を見つけ、改善と解決策を検討します。以降は追加機能の開発や実装、再び改善の繰り返しです。より満足度の高い製品やサービスに仕上がるよう、今後のアクションもまとめて記載しておく必要があります。

MVP(Minimum Viable Product)開発を成功させるためのポイント

MVP開発を成功させるためのポイントは次のとおりです。

  1. ユーザーのニーズを理解する
  2. 的確なフィードバックを得る

ユーザーのニーズを理解する

ユーザーの意見や要望を取り入れたものの、完璧を目指し過ぎて本来の目的から外れてしまわないよう、ユーザーのニーズをしっかり理解することが重要です。ユーザーはそこまでの機能を求めていなかったり、無駄に機能が多過ぎて使い勝手が悪くなったりしては意味がありません。

機能にこだわり、逆にコストがかかり過ぎて手軽に購入できなくなってしまう可能性も考えられます。問題を起こさないためにもユーザーが本当に求めている機能に絞り込んで検証することが大切です。

的確なフィードバックを得る

ユーザーから的確なフィードバックを得るためには、ユーザーに対して具体的な質問や選択肢を与える必要があります。漠然とした質問では回答にブレが生じ、方向性を見失ってしまう恐れがあるためです。MVP開発の最大の目的はユーザーからの有益なフィードバックを得ることであるため、ユーザー検証がしやすい質問や選択肢をしっかり練っておく必要があります。

まとめ

MVP(Minimum Viable Product)とは実用最小限の機能を備えた製品やサービスを意味し、ユーザーへ提供することで仮説検証が可能です。MVP活用によりコスト削減やユーザーのニーズ把握、市場での競争的優位を築けるなどのメリットがあり、従来よりも早期の開発や収益化が期待できます。

MVPで成果を上げるためには適したフレームワークであるMVPキャンパスを活用し、順序立てて取り組むことが重要です。MVP開発はユーザーのニーズや市場の変化にも柔軟に対応し、効率的な製品やサービスの開発が可能であるため、新規事業や新商品開発の際に適しています。

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