2022.09.21

デジタルイノベーションとは

デジタルイノベーション(digital innovation)とはデジタル技術を使った社会変革のことをいいます。イノベーションとは新結合により社会的な価値を作り上げることであり、新しい技術やアイデアを取り入れることによって新しい価値を開発して社会に変革をもたらす概念です。DX(Digital Transformation、デジタルトランスメーション)もデジタル技術を導入することで変革につなげる点はデジタルイノベーションと同じですが、DXの目的は企業を変革して競合他社に対して優位性を持つことである点で異なります。

従来ある金融、農業、製造業などの産業においてデジタル技術を加えることによって生産性を高めたり担当者の負担を減らしたりするなど、さまざまな目的においてデジタルイノベーションが導入されています。

イノベーションとは

イノベーション(innovation)とは、従来、あるビジネスモデルやサービスなどにこれまでないような技術や思考を取り入れることで、新たな価値やサービスを作り上げることで社会に新たな革新や変革をもたらすことです。イノベーションとは技術革新を指すことがありますが、技術以外にも新たな考え方やサービスなどさまざまな概念があります。

イノベーションには次の2種類が挙げられます。

  1. 持続的イノベーション
  2. 破壊的イノベーション

持続的イノベーション

持続的イノベーションとは既に展開をしている商品やサービスなどを従来の方向へ伸ばしていくことです。現在の商品やサービスにデジタル技術を加えてより良いサービスをユーザーに提供する特徴があります。持続的イノベーションのわかりやすい例としてiPhoneが挙げられます。iPhoneは常に新しい技術やサービスなどを取り入れ、長期間にわたり多くのユーザーにヒットしています。

持続的イノベーションは、次の2種類に分けることができます。

  1. 革新的イノベーション
  2. 漸進的イノベーション

革新的イノベーション

革新的イノベーションとはすでにある商品やサービスを飛躍的に向上させることによって、競争上の優位を確立していきます。飛躍的に性能やサービスを向上させることにより成功した場合は利益が大きくなりますが、難易度が高いのが特徴です。革新的イノベーションとしてあてはまるのが、これまでのサービスにデジタル技術を加えることによって飛躍的に利便性を高めたものです。

漸進的イノベーション

革新的イノベーションとは対照的に、徐々に機能やサービスを高めることによってユーザーのニーズにマッチさせているのが漸進的イノベーションです。一般的には大企業がおこなうイノベーションの方法で、既存ユーザーの満足度を高めることが大きな目的です。大きな変革がなくても人々の生活に浸透性が高いのが特徴です。

例えば、これまでの家電にデジタル技術を加えたスマート家電は漸進的イノベーションにあてはまります。洗濯機やエアコンなどの家電品にデジタル技術を加えることによって、遠くの場所にいてもスマートフォンを使うことによって操作や管理ができ利便性を高めたものです。

破壊的イノベーション

破壊的イノベーションとは、現在の価値基準とは違う商品やサービスを市場に出すことによって市場の概念を覆していきます。一般的にはこれまでの企業が提供していなかった商品やサービスの魅力をきっかけに、市場のシェアを勝ち取る点が特徴です。すでに市場で成功している企業でも、破壊的イノベーションをする企業によって市場のシェアが大幅に変わる可能性があります。

破壊的イノベーションにも次の2種類が挙げられます。

  1. ローエンド型イノベーション
  2. 新市場型イノベーション

ローエンド型イノベーション

ローエンド型イノベーションとは、機能や定価などを低く設定しておいて市場に出回っている商品やサービスよりも劣った状態で市場に出しておいて、徐々に市場の概念を変革していくことです。最初はニッチなターゲットに絞りユーザーを増やしていき、同時に性能を上げることによって多くの人々に利用してもらう方法です。

新市場型イノベーション

新市場型イノベーションとは既存の商品やサービスと比べてメインとなるべき性能は劣っていますが、新たな性能を加えることによって利便性をはじめとして既存の商品には無かったサービスを提供することです。新たなサービスは初めは一部の人が対象になることもありますが、徐々に多くの人に広まっていく傾向にあります。

例えば、掃除機ロボットは新市場型イノベーションに当てはまります。吸引力は既存の掃除機と比べてはるかに劣りますが、「自動で掃除をしてくれる」というこれまで無かったサービスを加えています。販売当初は実際に購入したのは一部のユーザーでしたが、だんだんとユーザーが増え、今ではさまざまなメーカーが類似品を発表するなど多くの人に認知されている状況です。

デジタルイノベーションとは

デジタルイノベーション(digital innovation)とは、デジタル技術を使ったイノベーションをいいます。社会全体のデジタル化の進展から企業の革新など幅広い意味を持っています。

デジタルイノベーションは次のようなさまざまな産業で活用されています。

  1. 製造系デジタルイノベーション
  2. 農業系デジタルイノベーション
  3. 金融系デジタルイノベーション
  4. バックオフィス系デジタルイノベーション

製造系デジタルイノベーション

製造業においては製造をすることが目的のプロダクトイノベーションや製造プロセスをより効率的にしているプロセスイノベーションなど、さまざまな分野においてデジタルイノベーションが導入されている状況です。生産工程や研究を進めるための設備やデータを分析するためのシステムの開発など、業務効率化や生産性の向上を求めてさまざまな開発が進んでいます。

農業系デジタルイノベーション

農業領域においてもAgriTech(アグリテック)とよばれるデジタル技術を使った動きが進んでいます。AgriTechとはAgriculture(農業)とTechnology(技術)を合わせた言葉です。IoTを活用したドローンによる農薬の自動散布や気温や湿度を計測して一定の数値を超えたらアラートで知らせるなどさまざまなサービスを展開しています。

農業に従事する人手不足や食料問題などを抱えている日本において、農林水産省でもデジタル技術を導入したスマート農業に力を入れています。

金融系デジタルイノベーション

金融を意味するFinanceと技術を意味するTechnologyを組み合わせたものがFinTechであり、従来あった金融サービスにデジタル技術を加えた新しいサービスを展開中です。例えば、LINEで残高確認ができたりペーパーレスを導入したりするなど新しいサービスが誕生しています。

バックオフィス系デジタルイノベーション

人事や総務、経理など企業においてのバックオフィス業務を効率化させるために、デジタル化を導入しているのがBO Techです。BO Techはバックオフィス(Back Office)とテクノロジー(Technology)をかけ合わせており、HR TechやAccounting TechなどもBO Techに含まれます。

まとめ

デジタルイノベーションとは、デジタル技術を使ってビジネスモデルにおいて新たな価値を生み出すことによって社会に変革や革新をもたらすことです。製造業や農業、金融など従来ある業務にデジタル技術を加えることによって、業務効率化や生産率の向上、さらにはこれまでなかったようなサービスを生み出しています。

例えば、農業にデジタル技術を加えたスマート農業をはじめとして、人出不足や担当者の大きな負担など今日本が抱えている問題を解決するために日本政府もデジタルイノベーションに力をいれています。

一覧に戻る

関連コラム