2022.03.10

人材育成とは

従業員を企業の経営戦略を実現させるために貢献できる人材を育てることが、企業にとって求められています。仕事ができるようにすることだけが、人材育成ではありません。

そのため企業のビジョンや経営理念などにリンクした人材育成が必要です。

人材育成をする理由とは

人材は企業にとって大きな経営資源です。経営戦略を立てる上で経営理念や企業ビジョンに沿った人材育成が求められます。そのため人材育成が進んでいないと、企業の成長にはつながりません。

生産性向上につながる

昨今少子化の影響により労働者不足が続いています。このため良い人材を迎え入れるのが難しい状況です。そこで企業の成長につなげるためには従業員1人ひとりのスキルアップをすることにより、生産性向上につなげることが大切です。

離職率を抑える

昨今さまざまな働き方がある中、大手企業に勤めても3年以内に退職するケースが増えています。優秀な人材が辞める理由として「社内ではこれ以上自分が成長しない」「もっと自分が成長できる場を求めたい」があげられます。

そのため人材育成をして従業員1人ひとりが成長を感じる環境がなければいけません。従業員が成長を感じることによりモチベーションがあがり、離職率の低下につなげることができます。

離職率の低い企業は求職者にとっても魅力であり、これまで以上に良い人材を雇用する機会が増えます。このように人材育成をすることで企業にとって好循環となります。

企業と従業員の成長

企業における人材育成は、従業員の仕事の能力を高めると同時に、人間力の向上が求められます。具体的には、従業員の自発的なキャリアプランニングを人事部門が支援することが重要です。

経営理念や企業が掲げるビジョンの実現に向け、企業と従業員が共に成長できる関係づくりが人材育成の成功のカギとなります。

人材育成を成功させるために

人材育成を成功させるためには、企業全体で取り組む必要があります。従業員の能力を引き出す環境や、評価制度を作るなど従業員のモチベーションを上げることが大切です。

従業員の能力を引き出す環境

新入社員が指示待ちになり自ら行動しないと悩んでいる上司のほうが多い傾向にあります。しかし新入社員はやる気を持って入社してくるケースが多く、自ら行動しないことには原因があります。

それは企業がルールやこれまでの前例を押し付けて、従業員の能力を引き出す環境を作っていないことがあげられます。無駄に社内ルールが多かったり、失敗を責める風土であったりすると新入社員はどうしても指示待ちになりがちです。

評価制度を作る

従業員の能力を引き出す環境ができれば、次に必要なのは明確に評価をすることです。評価制度は従業員のモチベーションを高めるだけでなく、人材配置の最適化や企業の方針を全ての従業員が共有することにもつながります。

このため評価制度を活用することにより、人事の育成につなげやすくなります。また評価制度が明確な企業は応募者にとっても評価が高く、有能な人材を確保できる可能性が高くなります。

人材育成の手法とは

人材育成においてさまざまな手法が使われていますが、それぞれにメリットやデメリットがあるため人材育成の目的に合わせて導入していくことが大切です。

OJT

OJTとは(OntheJobTraining)の略であり、業務を行いながら経験を積むことができるため多くの企業で導入されています。実戦を積みながらスキルを身につけていく方法であるため、即戦力で活躍できる人材育成につなげることができます。

しかしOJTは従業員1人ひとりに教育担当を1人つけることが一般的であるため、従業員が少ない企業には導入が難しい方法です。また教育担当と従業員が1対1となるため、教育担当者の知識やスキルによって効果が大幅に変わってしまう点がデメリットです。

外部セミナー

外部セミナーを利用することによって、それぞれの項目に応じて専門家から習うことができます。このことによりこれまで企業になかったようなスキルを取り入れることもできます。

デメリットは外部から講師を呼ぶと費用がかかるほか、研修会場の確保をする必要があります。

eラーニング

人手不足で悩んでいる企業にとって、スマートフォンやパソコンを使ってオンラインで講義を見たり業務内容に関する問題を解いたりできるeラーニングは導入しやすい人材育成方法といえます。

教育担当をつける必要がない他eラーニングのサービスは低コストであることが多いため、コスト削減につなげることができます。しかしeラーニングは基本的に個別で勉強することになるため、モチベーションが上がりにくく即座に質問することができません。

そのため定期的に受講者をフォローすることが重要です。

人材育成に関連する助成金とは

人材育成をしていくためには費用がかかります。そこで国や地方自治体などが人材育成に関連するさまざまな助成金を提供しています。国が提供している人材育成に関連する助成金は、主に以下の4点となります。

  • 特定訓練コース
  • 一般訓練コース
  • 教育訓練休暇付与コース
  • 特別育成訓練コース

特定訓練コース

中小企業が助成対象であり、35歳未満の若年労働者への訓練や厚生労働大臣の認定を受けたOJT訓練などさまざまなメニューがあり、これらのメニューに該当した場合は以下のような助成を受けることができます。

一般訓練コース

外部研修やeラーニングが対象となっており、賃金助成と経費助成の2種類があります。それぞれ厚生労働省が指定している生産性要件をクリアすることにより、受給額を増やすことができます。

教育訓練休暇付与コース

労働者が有給休暇中に訓練や研修を受ける場合、生産性要件をクリアすることにより受給額が決まります。サポートするのは主に賃金と訓練の経費です。

特別育成訓練コース

有期契約労働者に対して訓練をおこなった場合に、その訓練にかかった経費の一部と賃金が助成対象となります。訓練は一般職業型訓練、有期実習型訓練、中小企業など担い手育成訓練の3種類が該当します。

人材育成助成金の新しい動き

令和3年12月21日以降より経費助成限度額は引き上げられました。一般職業訓練、有期実習型訓練が対象となります。

経費助成限度額
中小企業 大企業
20時間以上100時間未満 15万円 10万円
100時間以上200時間未満 30万円 20万円
200時間以上 50万円 30万円

参考:厚生労働省:人材開発支援助成金特別育成訓練コースの経費助成限度額を引き上げ、経費助成率を細分化します

キャリアアップ助成金正社員化コース

人材開発支援助成金の特定の訓練を終了した後に、正社員化することにより以下のような助成額を加算します。

対象 一人当たりの助成金
有期雇用労働者を正社員化した場合 95,000円
無期雇用労働者を正社員化した場合 47,500円

参考:厚生労働省:人材開発支援助成金特別育成訓練コースの経費助成限度額を引き上げ、経費助成率を細分化します

人材開発支援助成金特定訓練コースの対象となる訓練の拡充

IT技術の知識や技能を習得するための訓練が、令和3年12月21日より追加されます。経費助成率や賃金助成額は以下のようになっています。

特定訓練コース 一般訓練コース
経費助成率 45% 30%
賃金助成額(1時間) 760円 380円
コース内訓練種別 労働生産性向上訓練・若年人材育成訓練等 特定訓練コース以外の訓練

参考:厚生労働省:人材開発支援助成金特別育成訓練コースの経費助成限度額を引き上げ、経費助成率を細分化します

まとめ

企業が成長をしていくためには、企業のビジョンや経営目標の達成に貢献できるような人材育成をする必要があります。そのため企業全体で人材育成をするためのシステムや環境を作り出す必要があります。従業員とともに、企業も成長していく姿勢が求められます。

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