2022.05.24

AI-readyとは

AI-readyとは、内閣府が発表したAI(人工知能)を人間が安全に活用できる状態のことをいい、2018年12月の「人間中心のAI社会原則検討会議」で策定されました。

AI-readyを導入した目的は、国内のスタンダードを設定することによりAIを安全かつ活用状態にあるかどうかの判断材料にすることです。そのため、それぞれの企業が導入しているAIが、基準と比べてどのような状態になるかを確認することができます。

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AI-Readyとは

内閣府が発表したAIを導入している状態に対して、人間がAIを安全にかつ活用できるかどうかを判断する国が設定している1つの指針がAI-Readyです。これまでAIを導入している企業は、社内でしか判断できなかったのが、共通の判断基準を作ることである程度の目安ができました。

また、安全面のおいてAIの導入に不安だった企業も、AI導入においての1つのきっかけとなります。

AI-Readyな企業とは

現状の日本は、データを活用できる状態になっていない、部署ごとのシステムから得たデータの連携ができない状態です。企業が扱う商品が複雑化することにより、事務作業も難しくなっており、AIを活用するところまでいっていません。

AIを導入するためには、それぞれの部署ごとではなく企業で一括して管理ができるシステムが必要になります。今後さらに扱うデータが増えることからシステム管理の重要性が高まっています。

今後企業がAIを十分に活用するために、指針として5段階のレベルを設定しました。それぞれの階層は次のとおりです。

  1. 経営・マネジメント層
  2. 専門家
  3. 従業員
  4. システムレベル

AI Readyのレベル
画像出典:AI活用戦略~AI-Readyな社会の実現に向けて(日本経済団体連合会)
レベル1はAIへの理解がなく活用の議論まで至っていない状態で、レベル5は全従業員がAIを活用しており、領域×AI知識を兼ね備えた専門家がいる状態をいいます。

AI-Readyな個人とは

個人においても、AI研究者獲得競争において、世界的なAI研究者が足りておらずアメリカや中国をはじめとして世界の水準に達していない状態です。また、日本企業に在籍するAI技術者は、ほとんどがIT企業にかたまっており、他の企業においてのAI技術者が不足しています。

AI人材を外注だけに頼るのはむずかしい状況であり、各企業がAI人材を育てていく必要性があります。外注の人間であれば、それぞれの業種に精通しているわけでないことからも事業に精通して、なおかつAIのスキルや知識をもった人材の確保が重要になります。

さらに、AIを利用する人はAIリテラシーを習得する必要性があります。

AI-Readyな社会とは

AIが日常生活において活用されるためには、AIの品質を確保してユーザーから信頼されることが重要です。そのためにも、AIの品質を確保するための環境、論理面においての信頼性、問題があったときの対応などに対する取り組みが求められます。

経済産業省が提案しているAI・データの利用に関する契約ガイドラインは、今後社会状況にあわせて更新していく必要があります。AIを導入している人、検討している人や企業は最新情報を得ることが大切です。

尊重する3つの価値とは

内閣府ではAI-Readyな社会を構築していくためには、次の3つの価値が重要であるとしています。

  • 人間の尊厳が尊重される社会(Dignity)
  • 多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会(Diversity & Inclusion)
  • 持続性ある社会(Sustainability)

人間の尊厳が尊重される社会(Dignity)

AIはあくまで道具として利用することで、人間の能力を発揮しやすい環境であることが大切だとしています。AIに過度に依存するのではなく、人間の尊厳が尊重されるのが大切だとしています。

よくAIが導入されると人間の職が失われるといわれます。AIに過度に依存するとその可能性はありますが、あくまでAIは道具だという認識が重要です。

多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会(Diversity & Inclusion)

さまざまな背景や価値観をもった人が幸せに生きられるように、することが大切だとしています。AIに任せられる仕事は任せて、新たな価値を見出していくことが目的です。文化や趣向、価値観などが違う人を支援する手法の1つがAIであるべきです。

持続性ある社会(Sustainability)

AIを活用することにより、これまでできなかったようなビジネスが生まれています。このことにより、環境問題や気候変動に対しても対応できるような社会を作り上げることを目標としています。一人ひとりがさまざまな社会の変化に対応して安全に暮らし続けるために、AIを活用していきます。

AIを活用する理由とは

内閣府ではAIを活用する理由として、次の5つの項目を挙げています。

  • 人間の対応
  • イノベーションシステム
  • 社会システム
  • 産業構造
  • ガバナンス

人間の対応

あくまでAIを利用するのは人です。そのために、AIを最大限に効率的に使いこなすためにはAIに対応できる人間の力が必要です。AIを理解して、対応できる人材の育成が求められています。

イノベーションシステム

企業や大学、個人などどのような環境の人でも、AIの開発および利用環境を作ることが重要です。このことにより、イノベーションが生まれやすい環境作りをすることができます。

社会システム

金融、エネルギー、医療などさまざまな分野の社会システムが、AIを使うことによりさまざまな状況に対応できるようにする必要があります。効率化をするだけでなく、これまでの格差の拡大をはじめとしたマイナスな部分の改善も目的の1つです。

産業構造

労働条件が雇用環境がこれまで以上に柔軟になり、より国際的になるように進めていく必要があります。さまざまな人が、さまざまなアイデアを実現できるような世の中を目指しています。

ガバナンス

次のすべての項目において、社会の変化に対応してAIの指針を更新をすることが重要です。

  • 人間の対応
  • イノベーションシステム
  • 社会システム
  • 産業構造

また、ほかにもガバナンスに対応する必要があります。AIを導入する管理体制を構築することが求められます。

AIの導入数とは

総務省が2019年に発表したデータによると、65.4%の企業がIoT・AIなどのシステム・サービスを導入していません。また、わからないを含めると76.1%と約3/4を占めています。このように日本において、AI導入が進んでいない、また導入を検討されていない状況であることがわかります。

しかし、導入している企業の79.8%がある程度以上の効果を実感しています。また逆効果であると答えた企業はまったくありません。(参考:令和2年情報通信白書のポイント(総務省))

まだ導入を考えていない企業が多いながらも、導入している企業は効果を実感していることがわかります。

まとめ

AI-readyとは、2018年12月に内閣府が発表したAIを安全かつ効率的に活用できる状態のことをいいます。AIの人間社会に対する影響が大きいことから、人間がAIを活用していくうえでの国が定めた指針です。

また、今後AI導入している企業が、自社のAIがどれくらいのレベルであるのか、また効率的にAIを導入できているのかを判断することができます。情報社会や未来社会の実現に向け、またSDGsへの貢献、魅力ある国づくりをするためにはAIが1つの鍵になることは間違いありません。

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