2023.11.10

DEIとは

DEIとはDiversity、Equity、Inclusionの略であり、従業員一人ひとりが持つ個性を最大限発揮することによって、企業の価値を上げることです。DEIを実践することで、組織はさまざまな人材を引き寄せることができます。異なるバックグラウンドや経験を持つ人々が集まることで、創造性やイノベーションが促進され、企業の競争力が高められます。また、平等な機会の提供により、優秀な人材が能力に応じて評価され、成長の機会が均等に与えられることが重要です。

DEIとは

DEIとは、従業員一人ひとりの個性を最大限に活かすことで価値創出につながるといった認識であり、従業員の持つ個性を企業経営に活かすことが目的です。DEIは次の3つの要素から成り立っています。

  1. Diversity
  2. Equity
  3. Inclusion

Diversity(ダイバーシティ)

Diversity(ダイバーシティ)とは、一人ひとりの個性を受け入れることで価値を見出すことです。人種や国籍、性別、家族、学歴などさまざまな要素が含まれます。ダイバーシティは、団結力やチームワークの向上にも寄与し、異なる視点や意見を尊重する社会を築くための重要な概念です。多様性がある組織や社会では、より包括的で公正な環境を構築し、個人の成長と発展を支援できます。

Equity(エクイティ)

Equity(エクイティ)とは、一人ひとりに対して公正に機会を提供することです。一人ひとりの個性に合わせてツールや仕組みなどを活用できるように支援します。Equityは、個人に合った環境を整えることを重要とする考え方です。Equityの実現に向けては、特にマイノリティや弱者の声を重視し、社会的な差別や偏見をなくすための政策や取り組みが重要です。

Inclusion(インクルージョン)

Inclusion(インクルージョン)とは、一人ひとりの個性を活かすことにより組織として成り立たせることです。グローバル化が進むことによって、さまざまな文化背景を持つ従業員が増えるため多様な人材が活躍できるような場を整えることが必要です。インクルージョンでは、異なるバックグラウンドや経験を持つ人々が意見を出し合い、参加しやすい環境を作ります。そのためには、オープンなコミュニケーションや共感のあるリーダーシップが重要です。

DEIが必要な背景

DEIが必要な背景として次の3点が挙げられます。

  1. グローバル化
  2. 価値観の多様化
  3. 労働力の変化

グローバル化

グローバル化が進んだことにより、海外に進出する企業が増えています。グローバル化したことによって、顧客ニーズにあった国際的な競争力の強化が必要です。そのため、国際化に対応できる人材の育成が求められます。

国際化に対応するためには、異なる文化や言語に対する理解や適応力が不可欠です。言語の習得や文化の学習に加えて、異文化コミュニケーションのスキルや国際的なビジネスモデルの理解が重要です。

価値観の多様化

日本ではワークライフバランスをはじめとして働き方に対する価値観が多様化しています。例えば、テレワークの導入が増え、通勤時間の削減や柔軟な勤務時間が認められるようになったことで、仕事と家庭の両立がしやすくなりました。

さらに、終身雇用は崩壊しつつあり、転職をしたりフリーランスとして独立したりする選択をする場合が増えています。価値観が多様になったことによって、一人ひとりのキャリアや考え方、ライフスタイルに合わせた働き方ができる環境作りができるようになりました。

労働力の変化

少子高齢化社会が続くことによって労働人口の減少が深刻化しています。人出不足に対策するためにシニア世代や外国人、女性といった人材が働きやすい環境を整備することが重要です。まず、シニア世代の活用が1つの解決策です。経験豊富なシニア層が、専門知識や労働力を提供することで、労働力不足を部分的に補填することが期待されています。

また、外国人労働者の受け入れも重要な対策の1つです。外国人の技術やスキルを活用することで、産業の競争力を高めることができます。さらに、女性の社会進出を促進することも労働力不足の緩和につながります。女性が働きやすい職場環境や育児と仕事の両立支援などを整備することで、女性の活躍が増えることが期待されます。

DEIを推進するメリット

DEIを推進することによって、次のメリットが挙げられます。

  1. イノベーションを推進しやすい
  2. 職場風土を醸成できる
  3. 人材を確保しやすい

イノベーションを推進しやすい

DEIに取り組むことにより、さまざまなバックグラウンドを持つ人材が集まることから多様な観点からアイデアを生み出しやすくすることが可能です。さらに、それぞれのアイデアを尊重できる環境にあればこれまでにないようなイノベーションにつながる可能性があります。

職場風土を醸成できる

DEIを推進することで、従業員一人ひとりが働きやすい勤務体系を選びやすくなります。豊富な勤務体系を導入することによって、勤務体系を理由とした離職を抑えることが可能です。

人材を確保しやすい

求職者にとって、DEIを導入している企業は魅力的に映る可能性があります。例えば、柔軟に働ける環境つくりをすることで、ワークライフバランスを重視したい人や育児や介護と両立したい人を雇用することが可能です。そのため、DEIを進めている企業は求職者にとって評価が高く人材を確保しやすくなる場合があります。

DEIの導入例

さまざまな企業にて、多様性を尊重し、異なるバックグラウンドや経験を持つ人材が集まる組織を目指しています。多様な視点やアイデアが組織内に広がることで、新しい価値を生み出し、成長を促進していることが特徴です。

日立

日立ではイノベーションの推進や優れたアイデアの創出を目的として、多様性が必要であると考えています。DEIを尊重することによって、すべての従業員が貢献できるような会社にすることが目的です。具体的には、2030年度までに役員層に占める女性と外国人の比率を30%に上げるとしています。

参考:企業からの注目高まる「DEI」とは? わかりやすく解説(日立)

パナソニック

パナソニックの創業者である松下幸之助は、すべての人に異なった能力が与えられていると考えていました。パナソニックでは創業者の思いを引き継いで、従業員一人ひとりが能力を発揮できるような環境つくりを進めています。

ある人は政治家として最もふさわしい天分が与えられているかもしれない、またある人は、学者に、技術者に、商人にといったように、みなそれぞれに異なった使命が与えられ、異なった才能が備えられていると思うのです。
引用:「DEI(Diversity, Equity & Inclusion)」とは?(パナソニック ホールディングス株式会社)

コクヨ

コクヨでは、障がい者が能力を発揮できるような社会の実現を目指す活動であるThe Valuable 500に加盟しています。従業員一人ひとりが本来持つ能力を発揮するための価値観を認め合うとしており、障がい者を含めたダイバーシティやインクルージョンを推進していることが特徴です。

参考:コクヨ、障がい者の活躍推進に取り組む国際ムーブメント「The Valuable 500」に加盟(コクヨ)

まとめ

DEIとはDiversity(ダイバーシティ)やEquity(エクイティ)、Inclusion(インクルージョン)の略で、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出すことが目的です。異なる経験やバックグラウンドを持つ従業員の能力を高めることで、企業の成長につながります。

さらに、グローバル化や価値観の多様化、労働力の変化といった社会の変化に対応できるようになります。グローバル市場では、多様な顧客層に対応するためにも、DEIの取り組みは不可欠です。また、異なるバックグラウンドを持つ従業員が活躍できる環境を整えることで、企業は優秀な人材を獲得しやすくなります。

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