2022.03.07

人事評価制度の事例

人事評価制度とは、従業員の能力や働きぶりなどを評価することにより報酬や等級に反映させることをいいます。人事評価制度を導入することにより従業員の評価が明確になり、従業員に対するマネージメントがしやすくなります。

また従業員のモチベーションが上がることにより、生産性が高まり企業の成長につながります。さまざまな企業が人事評価制度を導入することにより、それぞれ目標に対して成果につなげています。

自社にあった人事評価制度を導入することにより、従業員の満足度が上がり、さらに生産性を高めることができるため結果的に企業の成長につながります。

参考:人事評価制度構築コンサルティング

GMOインターネット株式会社の事例

1991年設立のGMOインターネット株式会社は、あらゆる部分を明確にすることを経営ポリシーとして掲げています。従業員の評価やそれぞれの等級の給与額も可視化しているなど、オープンにしています。

採用した人事評価制度

GMOインターネット株式会社が掲げているオープン化は、公平に評価されていることから従業員の充実度を高めています。また従業員一人ひとりが、仕事に対する責任感をもちやすくなることから、生産性を高めています。

さらにGMOインターネット株式会社は360°評価を導入しており、従業員一人ひとりがもつ役割を果たせているのか客観的に評価をしています。また評価が変わらないように、360°評価の結果を必ず次年度、等級を決めるときに反映するようにしています。従業員にとっても、これまでの活動が公正に評価され等級に反映することからモチベーションをあげやすい環境となっています。

サイボウズ株式会社の事例

クラウドベースの業務改善関連のサービスを提供しているサイボウズ株式会社は、長年給与と階層が一致しないことから従業員の満足度が高くありませんでした。そこで社外評価を給与に反映させるようになりました。

導入している人事評価制度とは

サイボウズ株式会社が取り入れているのは、社内での評価以外に市場価値を基準に給与を決める評価制度です。まず転職した場合想定できる給与を基準として、社内での評価を算出して給与を決めます。

さらに給与の交渉の内容を、従業員全員がわかるように明確にしたことから従業員の満足度が上がりました。また社外の評価を参考にしたうえで給与を決めることから、離職率低下につなげることもできます。

株式会社メルカリの事例

フリマアプリで有名な株式会社メルカリは、2013年設立以来5年で東証マザーズに上場させるという短期間での実績を残しています。株式会社メルカリは四半期ごとに評価するシステムを導入しています。

株式会社メルカリはまだ日本ではあまり導入例がなかったGoogleやIntelが導入したことで知られていたOKR(Objectives and Key Results)とよばれる定量評価を導入しました。日本では導入例がほとんどなかったため、英語の文献を使って資料集めすることからはじめたほどです。

導入している人事評価制度とは

株式会社メルカリが導入しているのは、OKRとバリュー評価です。3ヶ月ごとに目標達成の度合いを確認します。OKR評価は達成度ではなくプロセスを評価する定量評価することが特徴的です。企業や部署、さらに従業員一人ひとりが目標を設定し、それぞれの目標に対する成果を評価する方法です。

会社全体、部署、また個人の目標を達成するために日々業務を行うため情報共有をしやすいメリットがあります。

この他にもピアボーナスと呼ばれる従業員同士で、フィードバックを送り合う仕組みを導入しています。このフィードバックは成果給といった形であり、それぞれ従業員1人ひとりがバリューに基づいた行動しているか可視化できます。

このため3ヶ月に一度のバリュー評価であっても、リアルタイムでの行動を確認できるので正しい評価が可能です。バリュー評価の基準となるのは、メルカリが掲げているバリューであるAll for One(全ては成功のために)やBe Professional (プロフェッショナルであれ)に対して、貢献できているかどうかの話し合いを上司と担当者で行います。

3か月に一度業務内容を振り返ることにより、従業員に対して企業のバリューを伝えやすくなります。

株式会社ココナラの事例

ココナラとは知識や経験、またスキルを販売、購入できるスキルマーケットです。株式会社は、あいまいな意見による評価を防ぐために、5つの軸をもとに等級を11に分ける制度を導入しています。

導入している人事評価制度とは

株式会社ココナラが基準にしているのは、以下の5つの軸です。

  • 裁量
  • コミット範囲
  • 育成責任
  • 業務レベル
  • ノウハウレベル

これらの軸をそれぞれ11のグレードで評価することで給与に連動させる仕組みです。そのため従業員は評価内容が明確となり、モチベーションをあげることができます。また実力とグレードが比例していない従業員に対しては、定期的にサポートを行います。

株式会社ココナラのように、それぞれ企業独自の評価制度を導入している企業も数多くあります。

カルビー株式会社の事例

洋菓子や駄菓子の老舗であるカルビー株式会社は職能資格制度とスキル評価制度を導入しており、これらの結果次第で昇給するかどうかを決めていました。しかし2009年に赤羽から丸の内に本社が移転したこととCEOが変わったことをきっかけに、成果主義への変更があり新しい人事評価制度が導入されるようになりました。

導入している人事評価制度とは

新しいCEOが就任して導入されたのが、ノーレイティングです。部下と上司が1対1で定期的に話し合いをして現状把握する方法で、目標を自分で設定することが大きな特徴です。
部下とのミーティングで使っているのがC&A(Commitment & Accountability)とよばれるツールで、ミーティングで決めた目標に対して、文書で契約をおこないます。

また上司との話し合いで決めた目標は、イントラネットに公開されるため全従業員が確認できる仕組みとなっています。

話し合いの中で決めた目標に対しての成果によって、賞与や昇進などに大きく影響します。目標を公開していることから全従業員が納得できるため、満足度が高くなり生産性が上がりました。

アドビシステムズ株式会社の事例

グラフィックデザインソフトウェアの市場において、長年シェア率トップを誇っているアドビシステムズ株式会社はこれまでの人事評価制度から2012年に変更しました。これまでは上司が部下の1年間の働きを、3段階にわけて評価していたのですが、従業員の満足度は決して高くありませんでした。

導入している人事評価制度とは

アドビシステムズ株式会社が導入したCheck-inは、上司と部下が面談を重ねてお互いにフィードバックをすることを継続するのが特徴です。それまでは評価シートを使って面談を行っていました。しかし面談後に上司が評価シートを修正をしたものを人事が給与に反映していたため、時間がかかっていたうえに、従業員の満足度は下がる一方でした。

Check-inは上司と従業員が継続的な話し合いを行い、部下が意見を言いやすい環境を作り出すことができ、従業員の満足度をあげることができるようになりました。さらに上司が面談の内容をもとに、予算を与えられて部下の昇給を決める権限を与えられました。

このため従業員がモチベーションをあげる環境を作り出すことができたのです。

まとめ

人事評価制度は企業によってそれぞれ異なり、多くの企業が導入している手法を使っている企業もあれば独自の評価制度のある企業も存在します。そのため従業員の満足度と生産性を高めるためには、自社にあった人事評価制度を選ぶことが大切です。

また従業員が人事評価制度の特徴や導入目的を理解していることも重要です。従業員にとって自社の人事評価制度を理解することが、従業員の満足度をあげ企業の成長につながります。

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