2023.08.15

IoTの市場規模

IoT(Internet of Things)とは、家電や自動車などさまざまモノにインターネット接続機能を搭載することにより、これまでとは違った機能を生み出すことです。例えば、家電製品がスマートフォンと連携してリモート操作や遠隔監視が可能です。このようにloTは快適性の向上や効率化、安全性の向上など様々な利益をもたらします。

2022年には支出実績が5兆8177億円となっており、2027年には8兆7461億円まで増えると予測されていることからも国内のloTの市場規模は大幅に拡大していることがわかります。

IoTとは

IoT(Internet of Things)とはモノのインターネットのことです。つまり、これまでインターネットにつながっていなかったモノにつなげることにより、モノの情報を取得できるようになります。このことで、利用している人のデータの蓄積や分析などをできるようにすることが可能です。

IoTの仕組み

IoT(Internet of Things)は、モノのインターネット接続を通じて相互に情報をやり取りすることで、人々の生活やビジネスのあり方に革新をもたらす技術です。例えば、家庭ではスマートホームシステムが普及し、家電製品や照明、セキュリティシステムなどがネットワークに接続され、スマートフォンからのリモート操作やセンサーによる自動制御が可能になりました。

IoTが活用されている分野

工業や農業、交通などの分野でもIoTが活用されています。工場では機械や設備にセンサーを搭載し、稼働状況や故障の予兆をリアルタイムで監視し、効率的なメンテナンスの実施が可能です。農業ではセンサーが土壌の状態や気象データを収集し、自動的な灌漑(かんがい)や肥料の調整をおこない、農作物の生育状況を最適化します。交通では車両や交通インフラがインターネットに接続され、渋滞情報の共有や自動運転技術の実現などが進んでいます。

IoTの市場規模

国内IoTの市場規模ですが、2022年の支出実績が5兆8177億円と発表されています。さらに、2022年から2027年のCAGR(Compound Annual Growth Rate、年間平均成長率)は8.5%となり、2027年には8兆7461億円まで伸びるとしています。

この成長の背後には、IoT技術の普及と関連する様々な要因が存在します。まず第一に、スマートホームやスマートシティなどのIoT応用が急速に普及しています。消費者は家庭内でのスマートデバイスの利用や効率的なエネルギー管理に関心を持っており、企業も生産性や効率化の向上を目指してIoTを採用しています。

さらに、産業部門でもIoTの採用が進んでいます。製造業では、スマートファクトリーや自動化システムの導入により、生産ラインの監視や効率化が可能となり、コスト削減や生産性向上につながっています。また、農業や物流業界でもIoT技術が活用され、効率的な作業や資源管理が実現されています。

これらの要因により、国内のIoT市場は着実に成長を続けており、2027年までに8兆7461億円に達する見込みです。

参考:国内IoT市場は産業分野では製造業、技術分野ではソフトウェアを中心に成長(IDC)

ユースケース別の市場規模

2021年の国内IoT市場規模をユースケース別にみると、製造オペレーションが8,000億円以上、製造アセット管理が5,000億円以上と製造関連だけで国内IoT市場規模の大半を占めています。しかし、スマートホーム(オートメーションや電気)、院内クリニカルケアなどCAGRが高いユースケースが多く、今後さらに国内IoT市場規模が拡大することが見込まれている状況です。

国内IoT市場 ユースケース別 2021年の支出額および2021年~2026年の年間平均成長率(CAGR)予測
画像引用:国内IoT市場の産業分野別/テクノロジー別市場予測を発表(IDC)

技術別の市場規模

IoTにはセンサーやコネクティビティ、セキュリティスイッチなどの技術が使われていますが、大きな特徴として導入や運用を含めたサービスが28.7%から32.5%とIoT市場における支出の割合が高くなると予想されています。逆に2021年には45.2%と約半数を占めていたハードウェアが41.1%と割合が減ると予想されており、従来のハードウェアがIoT市場の中心だった状態からの変革があると予想されます。

IoTの普及が進むにつれて、企業や個人がIoTサービスの提供や利用に重点を置くようになっていることを反映しています。IoTサービスには、データの収集や解析、可視化、遠隔モニタリング、予知保全、カスタマーサポートなど、さまざまな付加価値が含まれており、これらのサービスがIoT市場の成長をけん引する要素となっています。

国内IoT市場 技術別の支出額規模予測と支出額割合、2021年と2026年の比較
画像引用:国内IoT市場の産業分野別/テクノロジー別市場予測を発表(IDC)

ハードウェアからサービスへの移行

ハードウェアの割合は減少すると予想されています。2021年におけるハードウェアの割合は45.2%であり、2027年には41.1%にまで減少する見込みです。これは、従来のIoT市場がハードウェア中心であった状況から、IoTサービスの重要性が高まっていることを意味しています。

参考:国内IoT市場の産業分野別/テクノロジー別市場予測を発表(IDC)

IoTサービスは、ハードウェアとソフトウェアの統合によって提供されるため、これらの技術の相対的な重要性の変化が予測されます。このように、IoT市場ではハードウェアからサービスへのシフトが進んでおり、企業はIoTサービスの提供に注力することで市場競争力を維持や向上させることが可能です。

IoT事例

IoTは医療や自動車などさまざまな分野において活用されています。従来の課題を解決したり、新たなサービスが展開されたりするなどさまざまなメリットがあります。

医療分野

医療分野では、医療サービスにloTを加えることで遠隔医療が可能です。そのため、通院できない患者の診断や継続的な監視、カウンセリングなどを進めています。このように、IoTの医療分野への導入により、患者の利便性や医療サービスの効率化が図られています。

参考:医療分野のIoT – IoMT(Internet of Medical Things)とは?(Splunk)

自動車分野

トヨタ自動車北海道では、ヤリスに搭載するための駆動ユニット生産時に必要なシステムにloTシステムを導入しました。IoTシステムを利用することで、生産ライン上の機械や装置の状態や稼働データをリアルタイムに監視し、生産プロセスの最適化やトラブルの早期発見や対応が可能となりました。このことで、2019年12月に稼働開始以降生産量が従来の3倍に増えています。

参考:トヨタ自動車北海道、生産ライン可視化のためのIoTシステムを構築(ZDNET)

まとめ

IoT(Internet of Things)とはモノのインターネットを意味しており、家電や自動車などさまざまなモノにインターネット機能を加えることにより新しいサービスや商品を展開しています。国内のloT市場規模は2022年には支出実績が5兆8177億円と発表され、2027年には8兆7461億円と予測されています。

さまざまなモノがインターネットにつながることにより、モノを遠隔操作したり動きを検知したりできるほか、モノとモノをデータ通信させることも可能です。このため、今後さらに需要が高まることが予想されます。

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