2023.08.08

IT業界の市場規模

IT業界の市場規模は2018年度に12兆4,930億円、2021年には13兆5,500億円となっています。今後さらに安定して拡大していくことが見込まれます。この成長の背景には、デジタル化の進展やテクノロジーの進歩による需要の増加があります。特に、クラウドコンピューティング、DX、AIなどの技術の発展により、企業や個人のITニーズが多様化しました。

IT業界は変化の激しい環境であり、常に最新の技術やトレンドに対応する必要があります。そのため、市場規模の拡大が持続するとともに、新たなビジネスチャンスや投資機会も広がることが予測されます。

IT業界の市場規模

2021年度IT市場規模は、13兆5,500億円で前年度比4.5%増です。2020年以降テレワークへの取り組みや事業のEC化を進めている企業も少なくありません。2018年以降徐々にではありますが市場規模は拡大しており、今後さらに拡大することが見込まれています。

国内民間IT市場規模推移予測
画像出典:国内企業のIT投資に関する調査を実施(2022年)(矢野経済研究所)

IT業界の市場規模拡大が進む要素

従来のITインフラがクラウド環境に移行したり、クラウドシフトの需要が高まったりするなど環境の変化がIT業界の成長における要素となっています。従来の物理的なサーバー環境からクラウドベースのインフラへの移行により、企業は柔軟性や拡張性を高めながらコストを削減することが可能です。

さらに、IT業界が成長する要素として、総務省が推進している携帯料金値下げによるスマートフォンの買い替えやサブスクリプションビジネスの需要が高まっていることも挙げられます。これらの要素により、IT業界は成長を続けており、新たなビジネスチャンスや雇用の創出が期待されています。企業はこれらの環境の変化を把握し、迅速に対応することで競争力を維持し、成長を促進することが重要です。

労働者数

新卒IT人材入職数はほぼ変わっていない状況が続いており、IT業界は需要が高まっているにも関わらず、新卒採用の数はあまり変化が見られません。IT業界の急速な成長に対して、教育機関や大学のカリキュラムが追いついていないことが挙げられます。

新卒学生が必要とするスキルや知識が迅速に変化しているため、企業側が求める人材と学生のスキルマッチングがむずかしくなっています。また、IT業界は実力主義が求められるため、経験や実績が重視される傾向もあります。新卒学生がそれを満たすことはむずかしく、採用先が限られてしまうことも要因の1つです。

「情報処理・通信技術者」としての就職者数及びIT人材としての就職割合
画像出典:平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(みずほ情報総研株式会社)

IT業界の種類

年々市場を拡大しているIT業界は、主に次の業界にて形成されています。

  1. Web業界
  2. 通信業界
  3. 情報処理サービス業界
  4. ハードウェア業界
  5. ソフトウェア業界

Web業界

Web業界では、Webサイトの制作以外に関連のサービスにおける開発をおこなっています。制作会社をはじめ企業で担当者として働く以外に、フリーランスとして働きやすい業界でもあります。

GoogleやAmazonをはじめとして世界的に大手のIT企業が含まれています。検索エンジンやオンラインショッピングプラットフォームなど、さまざまなWebサービスを提供中です。これらの企業は、革新的な技術と大規模なインフラストラクチャーを活用して、世界中のユーザーに高度なサービスを提供しています。

通信業界

通信業界では、光ファイバーやインターネット、電話をはじめとした通信インフラが中心であり、IT技術の根幹を支えています。近年では、5Gとよばれる通信システムの需要が高まっています。5Gは、IoTの普及のほかに、VRやARの実用化にも必要です。

通信業界の主な企業として、KDDIやソフトバンクモバイル、NTTなどといった携帯キャリアで有名な企業が挙げられます。検索エンジンやオンラインショッピングプラットフォームなど、さまざまなWebサービスを提供しています。これらの企業は、革新的な技術と大規模なインフラストラクチャーを活用して、世界中のユーザーに高度なサービスを展開中です。

情報処理サービス業界

情報処理サービス業界では、情報システムにおける構築や分析、解析などを含めた運用をおこなうことが一般的です。ビッグデータを活用して課題を解決したり、さまざまな提案をしたりするコンサルティングをおこなうケースが近年では少なくありません。

コンサルティングをおこなうためにはマーケティングや経営といった幅広い知識が求められます。情報処理サービス業界にはさまざまな大手企業が該当していることが特徴です。

ソフトウェア業界

ソフトウェア業界では、コンピュータやシステムなどに対して命令を出すプログラムの開発や販売などをおこなっています。パソコンやスマートフォンが普及し、ニーズに対応するためにさまざまなソフトウェアが誕生しています。従来の開発方法とは異なり、スピードが重視されているため、高い開発力が必要であるほか、クライアントに対して適格にサポートできる能力が求められます。

ソフトウェア企業は技術革新やニーズの変化に柔軟に対応し、高品質なソフトウェアを提供することで競争力を維持しています。さらに、クライアントとの緊密なコミュニケーションやサポート体制の充実も重要な要素となっています。

IT業界にて市場規模拡大の要因

IT業界の市場規模拡大には次のような要因が挙げられます。

  1. DXの推進
  2. AIの活用拡大
  3. キャッシュレスの需要拡大
  4. 仮想通貨の活用

DXの推進

DX市場規模は2020年度には1兆3,821億円であり、2030年には5兆1,957億円まで拡大すると予測されています。

DXの国内市場(投資金額)
引用:『2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編』まとまる(2022/3/15発表 第22025号)(富士キメラ総研)

DXを導入するにあたって、CRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)やSFA(Sales Force Automation、営業支援システム)、MA(Marketing Automation、マーケティング・オートメーション)などのツールを導入することが一般的です。そのため、DXの導入が進むことでITの市場規模も拡大していきます。

AIの活用拡大

AI(Artificial Intelligence、人工知能)は年々精度が高まっており、ビッグデータとかけ合わせることによって人間では発見できないような規則性が見つかることがあります。Webを利用した顧客行動をはじめさまざまなデータを集められる時代です。AIを活用することで、ビッグデータを累積、分析することで効率的なマーケティングができるようになります。

マーケティング戦略をより精緻化し、顧客のニーズを正確に把握できます。例えば、消費者の思考や購買パターンを分析することで、個別に最適化された広告やオファーを提供することが可能です。AIによるビッグデータの分析は、企業にとって競争力を高めるための重要な戦略となっています。それに加えて、顧客との関係構築や効果的なマーケティング活動においても大きな役割を果たしています。

キャッシュレスの需要拡大

IT技術と金融を組み合わせたフィンテックの1例としてキャッシュレスがあります。クレジットカードのほかに、スマホ決済やQRコード決済、交通系ICカードなどが一般化しており、さまざまな店舗で導入されている傾向です。

キャッシュレス化することで、店舗側の業務効率化や不正防止、利用者にとってもATMにいく必要がないなどさまざまなメリットがあり、今後さらに需要が高まることが見込まれます。さらに、キャッシュレス決済データを活用することで、消費者行動の分析やマーケティング戦略の最適化も可能です。

仮想通貨の活用

仮想通貨はWeb上で利用できる世界通貨であり、さまざまな分野で導入されはじめました。仮想通貨取引サービスにてセキュリティ面に問題があったことから停滞はしていますが、今後技術がレベルアップすることで需要が高まる可能性があります。

さらに、ブロックチェーン技術の進化や規制の整備により、仮想通貨への需要が増加する可能性があります。特に、国際送金やマイクロペイメント、スマートコントラクトなどの領域での活用が期待されています。将来的には仮想通貨が一般的な決済手段として普及する可能性があります。

まとめ

IT業界の市場規模は2018年度に12兆4,930億円、2021年には13兆5,500億円であり、今後さらに需要が高まることが見込まれています。IT市場規模拡大の要因として、DXの推進やキャッシュレスの需要拡大、AIの活用拡大、仮想通貨の活用などが挙げられます。

これらの要素が組み合わさり、IT業界はますます成長し、市場規模は拡大していくと予測されています。企業や個人が技術の進化に対応し、新たなビジネスチャンスを見出すことが重要です。

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