2023.11.17

人事評価に不満を抱く従業員の退職リスクと解決策

人事評価が原因で従業員が不満を感じることによって、退職につながる可能性があります。少子化、高齢化が進む日本で、人材の確保はむずかしい状況であり優秀な人材が退職すると企業にとって大きな負担です。従業員が不満を感じるのは、人事評価が正当に評価されないことから報酬に反映されないことをはじめさまざまな理由があります。そこで、企業は従業員が不満に感じないような解決策の実施が必要です。

人事評価への不満につながる理由

人事評価に対してさまざまな理由で、従業員が不満を感じる場合があります。人事評価は従業員の成果や日頃の働きぶりなどの基準として設定することから、基準があいまいであれば従業員が不満に感じやすくなることが特徴です。従業員が人事評価に対して不満に感じる主な理由として、次のようなものが挙げられます。

  1. 人事評価が報酬に反映されない
  2. 正当に評価してもらえない
  3. 評価の内容次第でモチベーションが落ちる
  4. 十分なコミュニケーションをとれていない

人事評価が報酬に反映されない

従業員は、報酬に不満を感じると退職を考えることが一般的です。そのため、従業員一人ひとりを正当に評価していても、報酬につながらなければ従業員は納得しません。そのため、企業は評価の高い従業員に対して従業員が納得できるような報酬の反映が必要です。

従業員の報酬が評価に見合わないと感じる場合モチベーションの低下が生じ、最終的には人材流出のリスクが高まります。そのため、企業は報酬体系を従業員の評価と比例させることが必要です。

正当に評価してもらえない

従業員は正当に評価してもらえないと不満がたまり退職を考えます。人事評価が明確でなかったり、的確でなかったりすると従業員が退職する可能性が高まります。従業員が自身の努力が認識されないと感じると、モチベーションが低下し退職の傾向が高まる点に注意が必要です。

従業員の正当な評価が不適切な場合、離職率の増加、モチベーションの低下、部署内の不協和、人材確保など多くの問題が発生する可能性があります。企業は公平かつ適正な評価できる仕組みを確立することで、従業員のモチベーションの向上と企業の成長につなげることが可能です。

評価の内容次第でモチベーションが落ちる

人事評価の内容によっては、従業員のモチベーションが落ちる可能性がある点に注意が必要です。従業員が理解していなかった問題点を指摘されることで、評価されていないと判断する場合があります。

人事評価制度の基準が明確でなければ、どのような根拠があって日頃の業務や取り組み、スキルなどを評価してもらっているのかわからなくなります。わけもわからず低く評価をされるとこのまま仕事を続けても仕方がないと考えてしまうこともあります。

フィードバックの仕方にも注意が必要です。ただ人事評価の内容を伝えるだけでなく、今後どのような行動をすべきかを伝えなければ従業員は納得しづらくなります。このような状況を防ぐためにも、評価内容は明確で公平であることが重要です。従業員が納得できない評価は、転職につながる場合があります。

十分なコミュニケーションをとれていない

人事評価が原因で人間関係に悩みを持つ従業員が退職を決意する場合もあります。十分にコミュニケーションをとれていないと、否定されたと受け取られることは少なくありません。評価内容が適切であってもコミュニケーションが不足していると、評価内容が従業員に伝わりづらくなります。

コミュニケーションの不足は、従業員の不安や疑念を生み出す可能性があります。従業員は評価の根拠や目標を把握できない場合、企業に対する信頼を失うことになり、人間関係に不安を抱くことが少なくありません。人間関係の悩みが深刻になると、従業員は企業を離れる決断をすることがあります。企業内でのストレスやコミュニケーションの不足が、退職意欲を高める要因となる可能性があるため対策が必要です。

人事評価への不満が原因の退職リスク

人事評価への不満が原因の退職には次のようなリスクがあります。

  1. 退職者が増える可能性がある
  2. 従業員の負担が増える
  3. 企業の評価が下がる

退職者が増える可能性がある

優秀な人材が退職することで、連鎖反応が起きほかの従業員も次々と退職する可能性があります。退職者の仕事を他の従業員が引き継ぐ必要が生じ、負担が増加します。この負担が継続的にかかると、モチベーションの低下やストレスが蓄積され、他の従業員も退職を考えるようになることがあります。また、優秀な人材が企業を去ることは、従業員の間で信頼やモラルの低下を招く可能性があるため対策が必要です。

従業員の負担が増える

キャリアを持ち能力が高い従業員が退職した場合は、残った従業員の負担が増えてしまいます。また、残った負担が増えることからモチベーションが下がり、生産性が低下するなど悪循環となる可能性があります。また、高度なスキルや知識を持つ従業員が企業を離れるのは、企業にとって貴重なリソースを失うことです。そのため、企業は従業員の退職リスクを最小限に抑え、従業員の定着を促す方法を模索する必要があります。

企業の評価が下がる

人事評価への不満が原因で退職者が増えることで、企業の評価が下がる可能性があります。離職率が悪いと求職者にとって、働きにくい環境ではないか、十分に評価されないのではないかと印象が悪くなる点に注意が必要です。企業のイメージが悪くなってしまうと、求人広告を掲載しても応募者が集まりにくいケースがあります。

人事評価に関する不満が離職率の増加につながり、それが企業の評価とイメージに悪影響を及ぼします。離職は企業にとってコストがかかり、優秀な人材の獲得と維持が難しくなるため、企業内での評価プロセスの改善は不可欠です。

人事評価への不満が原因の退職リスクを防ぐ方法

人事評価への不満が原因の退職リスクを防ぐためには、適切な人事評価を作り、運用することが挙げられます。

適切に人事評価制度を作る

人事評価が原因で従業員の不満がたまるのは、評価基準が明確でないことが1つの原因です。従業員が評価の根拠を理解できない場合は、不公平を感じ不満をためやすくなります。また、人事評価が不明確であれば、従業員のモチベーションにつながる場合があります。不明確な基準は目標設定をしにくくなり、従業員一人ひとりが成果を向上させるための方向性が欠如する点に注意が必要です。

適切に運用する

人事評価を作っただけでは効果は出ず、適切に運用することが必要です。例えば、人事評価で適切に評価をしても、給与や昇格、賞与などの処遇への反映をルール通りに反映させないと従業員の不満につながります。このため、評価と処遇の一貫性を確保し、評価結果に応じた報酬や昇進の機会を提供することが重要です。

適切な運用には透明性と公平性が不可欠であり、従業員とのコミュニケーションも欠かせません。従業員に対して評価プロセスや評価基準を説明し、フィードバックを提供することが必要です。

まとめ

人事評価は、従業員を成果や勤務態度、スキルなどで評価します。しかし、従業員が人事評価制度に大きな不満がある場合、企業を信頼できない、自分は成長できないと判断し退職する場合があります。企業は適切に人事評価制度を作り運用することが必要です。従業員が納得できるような人事評価制度を運用できれば、モチベーションが上がり生産性向上が見込めます。

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