2023.06.13

時系列分析とは

時系列分析とは、時間の経過に伴って変化するデータを統計的な手法で分解し、未来の値を予測する方法です。長期的な傾向や周期的な変動、不規則な変動といった要素を分析して変動の原因を特定します。

一般的な回帰分析では、目的変数と説明変数の関係を分析しますが、時系列分析では現在の値と過去の値の関係を分析することが重要です。例えば、売上や株価、気温や降水量、Webサイトへのアクセス数などが時系列データの例として挙げられます。

時系列分析とは

時系列分析は、将来の需要や売上の予測などビジネスや経済分野で重要な役割を果たしています。例えば、店舗の売上データを分析することで、過去の売上傾向や季節性の変動を分析し、将来の需要を予測することが可能です。時系列分析はビジネスや経済分野で有用な手法として、幅広く利用されています。

時系列分析の目的

時系列分析はビジネスにおいてよく利用されます。需要予測や在庫管理、販売計画など、将来の需要や供給に関する判断に役立ちます。さらに、経済指標の予測や地震、気象などの自然災害の発生予測にも応用することが可能です。ビジネス分野だけでなく、医療や環境、社会学などの分野でも応用されています。過去のデータから将来の予測をおこなうことでより効率的な意思決定が可能となるため、今後ますます重要性が高まっていくことが予想されます。

時系列分析のメリット

時系列予測は未来のデータを予測できます。従来の方法では、担当者の勘や経験に依存してしまうことが多くありました。データに基づかない人間的なものであるため正確な予測ができる保証はなかったのです。特に外部環境の変動が激しい時代では、未来を予測することがますます困難になっています。

そこで、時系列予測にデータを活用することが重要となっています。データに基づいた予測をすることで、正確性が高まり、ビジネスの変化に迅速かつ柔軟に対応できるのです。さらに、自動的に予測することで人為的なミスを減らし、業務の効率化が可能となります。担当者の異動や退職の場合でも、引き継ぎが容易になるため、安定したサービスを提供できます。

時系列予測は精度が高く、ビジネスの変化に対応するために必要な分析手法です。従来の人間一人ひとりに依存する方法ではなく、データを活用することで業務の効率化と安定したサービスの提供を実現できます。

時系列分析のデメリット

時系列分析による将来予測は、必ずしも正確とは限りません。誤った予測がおこわれると企業活動などに悪影響が出るリスクがあることから、ほかの分析や予測手法と組み合わせて利用することが一般的です。

さらに、データの蓄積量が少ない場合は予測の精度が低下することもあります。十分なデータが集められないため、正確な将来予測をおこなうための情報が不足しているためです。そのため、時系列分析をおこなう際には、十分なデータを収集し正確な予測することが重要です。

時系列分析の基本的な手法

時系列分析には次のような手法が挙げられます。

  1. 自己回帰モデル
  2. 移動平均
  3. 自己回帰移動平均
  4. 時系列グラフ
  5. 指数平滑法

自己回帰モデル

時系列分析の手法には、単回帰と重回帰があります。単回帰分析では、1つの説明変数を使用して未来の値を予測する一方、重回帰分析では複数の説明変数を使用して未来の値を予測するのです。

時系列分析の重要なポイントは、過去のデータをどの程度説明変数に含めるかタイムラグをどの程度考慮するかです。適切に説明変数とタイムラグを選択し、適切に分析することでより正確な予測が可能になります。

移動平均

移動平均モデルでは、時間の流れに従って誤差を重視するため、より新しいデータほど重みが大きくなります。移動平均モデルは、自己回帰モデルと同様に、将来の値を予測するために使用されることが一般的です。

自己回帰移動平均

自己回帰移動平均モデルは、過去の値の影響と同時に過去の誤差の影響も考慮して予測をおこなうモデルです。現在の値は、過去の値の重み付き平均値と過去の誤差の重み付き平均値から予測されます。

時系列グラフ

時系列グラフでは、横軸を時間軸とし、縦軸に分析対象としている変数の値を対応させます。そして、生の値や加工指標の値の時間軸上における変化のパターンを解釈することが一般的です。1つの時系列データの自己相関や、2つの時系列データの相互相関をラグを交えて確認することも少なくありません。

時系列グラフでは、次の時系列データを扱います。

変動成分 内容
長期変動 経済成長や下降などの一方向的な傾向を持続する長期的かつ系統的な変動
循環変動 景気変動などの循環的変動で、周期が1年を越す場合が該当
季節変動 季節によって左右される1年を周期とした循環変動
不規則変動 上記以外の変動

指数平滑法

指数平滑法は、過去の実績データをもとに、最新の実績に大きな重みを置いて移動平均を求める手法です。直前の出来事に大きく影響される場合や出来事の変動を把握したい場合など短期を予測する場合に向いています。

指数平滑法の特徴は、以下の2点です。

  1. 重みが指数関数的に減少する
  2. 最新のデータほど重要視する

時系列分析での変動要因

時系列分析において、次のようにさまざまな変動要因があります。

  1. 傾向変動
  2. 季節変動
  3. 循環変動
  4. 不規則変動

傾向変動

傾向変動とは、長い期間にわたって持続的に変化する傾向を指します。例えば、株価の場合、将来的に価格が上がるか下がるかは非常に気になると思いますが、それは傾向変動の一例です。傾向変動は、短期間の細かい変化ではなく、長期的な動向を捉えることが重要です。

季節変動

季節変動とは、1年を通してみると決まった動きが見られる点が特徴であり暦や自然条件などが挙げられます。暦とは例として年末年始や連休が続くことによって生産数が下がることが挙げられます。ほかに、季節の変化やボーナス、歳暮、中元などの要素によって売り上げに影響が出ることがあります。

循環変動

循環変動とは、一定の周期で繰り返される変動のことを指します。例えば、景気が良くなったり悪くなったりすることは循環変動です。一方、傾向変動では長期的な持続的な変化を捉えます。株価が将来的に上昇するか下降するかを判断する場合は、傾向変動の観点であることが多く、循環変動と傾向変動は、時間軸を考慮することでデータの特徴を把握できます。

不規則変動

不規則変動は、前述の3つの変動以外で、短期的に起こる理由の説明ができない変化を指します。自然災害や会社の不祥事による株価の大暴落などが不規則変動の例です。これらの要因は予測することが困難で、予期せぬ影響を企業活動に与えることがあります。

まとめ

時系列分析とは、時間の経過とともに現れる類似の変化パターンを予測するための方法です。例えば、特定の季節や時間帯、天気の変化などが要因となって、ある種の事象が起こることがあります。このような変化パターンを事前に理解し、将来の予測を立てることができるのが、時系列分析の利点です。時系列分析の基本的な手法や変動要因は複数あり、状況ごとに要因を理解して適切な手法を選ぶことが求められます。

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