2022.07.28

ハンズオン型コンサルティングとは

現場に深く入り込んで課題を抽出し、クライアント企業と一緒に課題解決をするコンサルティング手法をハンズオン型コンサルティングといいます。

ハンズオン型コンサルティングのメリットは、問題を明らかにしやすく、順番に問題を解決でき、クライアント企業の社員と良好な関係で問題を解決していけることです。問題を解決するためには、ゴールを明らかに設定したり、従業員と同じ業務をしたり、改革の施作の軌道修正をおこなっていく必要があります。

ハンズオン型コンサルティングとは

ハンズオン型コンサルティングとは、クライアント企業の現場でクライアントの社員とともに働き、問題を見つけ解決していくコンサルティングの手法の1つです。

ハンズオン(hands on、実践の)は英語圏では日常的に使われたり、子育てのシーンで使われたりしますが、日本ではコンサルティングファームや教育現場などフォーマルな場所で使用することが多い傾向があります。

またハンズオン型は伴走型とも表せられ、クライアント企業の社員や経営陣に寄り添いながら、ともにクライアント企業の問題を解決していこうという方法です。仕事を依頼されている顧客の現場に潜入して従業員の生の声を聞くことで、より深く根本的な問題を発見でき、顧客の会社をより良い方向に導くことができます。

また、コンサルティングの種類はハンズオン型だけでなく、ハンズオフ型とオーダーメイド型も存在します。

ハンズオフ型とは

ハンズオフ(hands off)とは、ものごとから手が離れている状態のことです。直訳すると口出ししない、干渉しない、不干渉という意味になります。

ハンズオンの対になる意味をもつハンズオフは、ビジネスシーンにおいて直接手を出さないことを指します。そして、コンサルティングにおいてはクライアントにファームのノウハウや経営プランを渡して、問題解決はクライアントに任せる手法をハンズオフ型コンサルティングと呼びます。

ハンズオフ型コンサルティングは社外から情報を仕入れますが、実際に問題を解決していくのはクライアントのメンバーであるため、自分たちのペースで問題解決にあたることができます。

オーダーメイド型とは

オーダーメイド(order-made)とは、注文を受けてから、注文に応じて商品をつくることです。コンサルティングにおけるオーダーメイド型はしばしばハンズオン型と混同されますが、まったく異なる手法です。

オーダーメイド型コンサルティングはクライアント企業の実情をヒアリングし、その情報をもとに活動していきます。しかし、クライアント企業の現場に深く潜り込むかどうかはコンサルティングファーム次第になってくるため、ハンズオン型とは異なるのです。

ハンズオン型コンサルティングのメリット

ハンズオン型コンサルティングのメリットは、以下の3つです。

  • 問題を明確にしやすい
  • 順序よく問題を解決できる
  • 現場の社員と良好な関係で問題を改善できる

問題を明確にしやすい

ほかのコンサルティング方法と比較して、問題を明確にしやすい手法はハンズオン型です。ハンズオン型は、コンサルティングファームが現場に入って現場の社員とともに業務をおこなっていくため、現場の問題点を明確にしてくれます。

現場社員と一体となって働くため、何気ない一言や経営に対する不満、従業員が感じている改善点などを同じ目線に立って感じることができます。現場社員と同じ目線に立つことで、経営層が予測できていない問題をも見つけ出すことができるのです。

順序よく問題を解決できる

見つけ出すことができた問題を順序よく解決していけることもハンズオン型コンサルティングのメリットといえます。経営層側が抱えている問題と現場社員が抱えている問題を整理して、解決する優先順位を決めることで、スムーズに目標を達成することができます。

経営層の意見だけを優先したり、現場社員の意見だけを優先したりすると偏ったコンサルになり、問題解決ができません。

現場の社員と良好な関係で問題を改善できる

伴走型とも訳されるようにハンズオン型は、現場の社員と一体となって組織改革や業務改革を進めていきます。

行動心理学の1つであるザイアンスの法則(単純接触効果)で提唱されているように、繰り返し接触する機会が多くなることで好印象を与えます。そして、お互いに好印象を与え合うことで、良好な関係を結べる可能性が高まります。

ハンズオン型コンサルティングを成功させるポイント

ハンズオン型コンサルティングを成功させるポイントは、以下の3つです。

  • 明確なゴール設定
  • 事業への参画
  • 改革の軌道修正

明確なゴール設定

ハンズオン型コンサルティングを成功させるためには、明確なゴールを設定することです。達成するゴールを明確にしておくことで、問題を解決するために正しい決断ができているかを常に確認しながら改革をおこなうことができます。

マーケティングの分野でも頻出するKPIやKGI設定の際は、達成すべき数字を明らかにします。最終的なゴールの数字を明確にすることで途中経過も把握しやすくなり、軌道修正もおこないやすくなります。

事業への参画

現場の従業員とともに事業へ参画してこそ、ハンズオン型コンサルティングといえます。コンサルティングをおこなうためには、現場社員の声を聞いたり、実際業務を体験してみたりして実態を把握する前に、まずは業務を理解しなければなりません。

現場の業務内容や実際の業務体験、現場の社員の生の声を理解しておかないと実現性のない判断を下してしまう可能性があります。再現性のない提案をしてしまうと、コンサルティングファームに入ってもらう意味がありません。

ハンズオン型のコンサルを依頼する場合には、経営層の意見だけをコンサルティングファームに伝えるのではなく、実際に現場に入って業務の内容や現場の様子、現場の社員の声を理解してもらうようにしてください。

改革の軌道修正

問題の解決や組織の改革を成功させるためには、おこなっている施策の軌道修正を常にしていく必要があります。

ゴールを達成するために必要なことは、計画を立案して実行し、結果を検証する繰り返しの作業です。計画どおりに施策を実行するだけでも、結果を検証するだけでも成果は現れません。

そして、目標を達成するために間違っていることをしても逆効果です。ゴールを達成するために方向性は合っているのかを常に確認し、軌道修正をおこなっていくことも改革を成功するためには必要不可欠です。

ハンズオン型の事例

ハンズオン型は以下の2つの型に分かれています。

  • 新事業展開型
  • 経営基盤強化型

新事業展開型

新事業を成功させるためにハンズオン型コンサルティングをおこなう方法を新事業展開型といいます。新事業をスタートしても自社だけでは商品やサービスを売るために必要なノウハウや知見が足りない可能性があります。

コンサルティングファームのノウハウや知見、知識を活かすことで、販路拡大やファンやリピーターの獲得、市場開拓などのサポートを受けることができます。

経営基盤強化型

業務改善や組織改革をおこなうためにおこなうハンズオン型のコンサルティングを経営基盤強化型といいます。第三者の視点を取り入れることで、自社だけでは発見することができない隠れている問題を見つけ出すことができます。

隠れている問題を見つけ出したり、自社だけでは解決できない問題をコンサルティング会社が入ることにより、解決できる可能性があります。

まとめ

ハンズオン型コンサルティングとは、クライアントの現場に深く潜り込み、クライアント企業と一体となって改革を進めていく方法です。ハンズオン型は隠れている問題を明確にしやすく、順序よく問題を解決でき、現場の社員と良い人間関係を結んで問題を解決していけるメリットがあります。成功させるポイントとしては、まずは明確なゴールを設定して現場の社員とともに事業をおこない、随時軌道修正することが必要です。

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