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DX コンサルティング

EXECUTIVE SUMMARY

今後、DXへ取り組まないという選択肢はありません。

DXを活用して何をするかという活用の方向性によって、その効果は大きく異なります。DXをベースに社会や事業基盤が大きく変化しようとしています。

既存業務のDX化による効率化だけで、持続的な競争優位性は確立できるでしょうか。効率化に加え、DX化を機会として事業の再定義、事業の仕組みの刷新までも支援します。 

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)とは、IT技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革させることです。

経済産業省の「DX推進指標とそのガイダンス」では、DXを企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することと定義しています。

DXの市場規模

日本経済新聞WEBサイトの「日本経済新聞サイトの「富士キメラ総研、デジタルトランスフォーメーションの国内市場(投資金額)の調査結果を発表」(2020/10/23)」の記事内容を紹介します。

国内市場の投資金額は、2019年度が7,912億円、2030年度が3兆425億円(2019年度比3.8倍)を予測しています。

交通・運輸のDX市場規模

交通/運輸は、2019年度が2,190億円、2030年度が9,055億円(2019年度比4.1倍)を予測しています。

高齢者による交通事故やあおり運転をはじめとした危険運転による事故未遂が社会的な課題となっており、各事業者がこれらを防止するための取り組みを進めています。危険運転や交通事故を防止し、個人や法人ユーザが安心して利用できる輸送サービスへの積極的な投資が進められています。

金融のDX市場規模

金融は、2019年度が1,510億円、2030年度が5,845億円(2019年度比3.9倍)を予測しています。次世代金融基盤サービスやデジタル審査・予測への投資が中心です。

次世代金融基盤サービスは、2017年度の改正銀行法を契機にAPIの構築が進み、2019年度から2020年度にかけて、API公開などの体制が整い始めました。

今後は複数のサービスが相互に連携することでシームレスな金融サービスの普及が期待されます。デジタル審査・予測は、以前から業務の自動化や省力化を計画していた企業が、新型コロナウイルス感染症の影響により計画を前倒ししていることから伸長しています。

製造のDX市場規模

製造は、2019年度が971億円、2030年度が4,500億円(2019年度比4.6倍)を予測しています。

スマートファクトリーやサービタイゼーションへの投資が中心です。スマートファクトリーの実現に向け、生産設備の稼働状況の可視化を目的とする投資が進められています。

ラズベリーパイをベースとするIoTシステムや安価で実装可能なクラウドサービスの普及により導入のハードルが下がり、幅広いユーザ層で可視化に向けた取り組みが進められています。

また、可視化された情報の分析、AI予測などによる作業効率の改善や予兆保全に向けた取り組みも活発化しています。

流通のDX市場規模

流通は、2019年度が367億円、2030年度が2,375億円(2019年度比6.5倍)を予測しています。

デジタルオペレーションへの投資が中心となっており、在庫の最適化による逸失利益の削減に向けた取り組みが進められています。

また、季節性やイベントなどの外部要因も含めた複雑な判断をシステムが支援することで、業務属人化の防止を目的とした投資も増加しています。今後は人手不足への対策として、業務効率化を目的とした投資が積極的に行われるとみられます。

医療・介護のDX市場規模

医療/介護は、2019年度が585億円、2030年度が1,880億円(2019年度比3.2倍)を予測しています。

医療業界におけるデータ活用のニーズが高いことに加え、政府が注力している医療ビッグデータ分析支援の需要が増加しています。

中でも厚生労働省が主体となり、医療データや健診データの分析を基に保険事業の効率化を図るデータヘルス計画が推進されていることから、健康保険組合向け分析支援が伸びています。今後は病院向け分析支援や二次利用分析支援の需要増加が期待されます。

不動産のDX市場規模

不動産は、2019年度が160億円、2030年度が900億円(2019年度比5.6倍)を予測しています。

特に賃貸管理や仲介業務でICT化が遅れており、属人的で労働生産性が低く、顧客にとっても手続きに手間や時間がかかることが課題です。

これらを解消するための投資が拡大しており、在庫状況のリアルタイム性向上と管理会社における物件確認などの応対の自動化、内覧のWEB予約/管理、スマートロックを利用した内覧時の鍵の受け渡し業務の削減、セキュリティ向上、VR内覧、申込や契約の電子化/ペーパーレス化などが進められています。

営業・マーケティングのDX市場規模

営業・マーケティングは、2019年度が1,007億円、2030年度が2,590億円(2019年度比2.6倍)を予測しています。

業務効率化を主としたソリューションが中心です。CRM/SFAはSaaSベンダーを中心に高機能なサービスの開発や提供が進められており、メールやWEB会議との連携、営業業務のテンプレート共有、案件見込み度のスコアリング、最適行動の提案など、ツール間連携や人工知能(AI)による機能拡充などが進められています。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機にオンラインでの営業活動管理の必要性が認識され、高機能なSaaSを導入可能な大手企業を中心に市場は拡大していくとみられます。

カスタマーサービスのDX市場規模

カスタマーサービスは、2019年度が572億円、2030年度が1,190億円(2019年度比2.1倍)を予測しています。

リモート型コンタクトセンターなどへの投資が中心です。コンタクトセンターでは従来オペレーターの管理やセキュリティの懸念から在宅勤務に取り組む企業はわずかであったものの、2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大対策としてクラウドサービスを活用しリモート業務に取り組む企業が急増しました。

今後は感染拡大対策としてだけでなく、人材不足を背景に企業拠点での業務が難しい被雇用者の採用を進めるなどリモート業務に取り組む企業が増加するとみられます。

その他の業界のDX市場規模

その他業界は、2019年度が550億円、2030年度が2,090億円(2019年度比3.8倍)を予測しています。社会インフラ、農業、建設などの投資が中心である。就業者の高齢化や人手不足の解消を図るため、今後も投資が拡大していくとみられます。

社会の変化

DX化を考えるとき、社会環境の変化を捉えることが重要です。ここでは社会の変化として、第4次産業革命、Society5.05Gを紹介します。

第4次産業革命

平成29年版情報通信白書では、第4次産業革命に関して下記の説明をしています。

2016年1月の第46回世界経済フォーラムの年次総会(通称:ダボス会議)の主要テーマとして「第4次産業革命の理解(Mastering the Fourth Industrial Revolution)」が取り上げられました。

翌年2017年1月のダボス会議においても、第4次産業革命の議論が行われ、AIやロボット技術などを軸とする「第4次産業革命」をどう進めるかなどが議論になりました。IoT、AIなどがけん引する第4次産業革命は、世界共通のインフラであるインターネットをエンジンとし、あらゆる社会インフラの在り方を変えていくものとして議論されました。

ダボス会議では、産業革命を次のように定義しています。第1次産業革命は、家畜に頼っていた労力を蒸気機関などの機械で置換しました。第2次産業革命は、内燃機関や電力により大量生産を可能としました。第3次産業革命は、コンピューターの登場でデジタルな世界が開き、IT、コンピューター、産業用ロボットによる生産の自動化、効率化が進展しました。第4次産業革命は、現在進行中で様々な側面を持ち、その一つがデジタルな世界と物理的な世界と人間が融合する環境としています。

具体的には、あらゆるモノがインターネットにつながり、蓄積される様々なデータをAIなどで解析し、新たな製品、サービスの開発につなげるなどとしています。

Society5.0

内閣府は、Society5.0に関して下記の説明をしています。

サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)です。

狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画(平成28年1月22日閣議決定)において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

これまでの情報社会(Society 4.0)では知識や情報が共有されず、分野横断的な連携が不十分であるという問題がありました。人が行う能力に限界があるため、あふれる情報から必要な情報を見つけて分析する作業の負担、年齢や障害などによる労働や行動範囲に制約がありました。

また、少子高齢化や地方の過疎化などの課題に対して様々な制約があり、十分に対応することが困難でした。

Society 5.0で実現する社会は、IoTで全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。

また、AIにより、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります。

5G

令和2年版情報通信白書では、5Gの基本コンセプトとして下記の説明をしています。

4Gまでの移動通信システムは、最大限のスループット(データ処理能力)を確保し、高速・大容量通信の提供を目指したシステムでした。しかしながら、通信速度、遅延時間、カバレッジなどに限界があったことから、全てのユースケースへの対応は困難なベストエフォート型のシステムとならざるを得ませんでした。

それに対し5Gは、あらゆる利用シナリオでユーザが満足できるエンド・ツー・エンドの品質を提供するものとされており、有線と一体として活用することで、「超高速」、「多数同時接続」、「超低遅延」という3つの異なる要求条件に対応することが可能な優れた柔軟性を持つネットワークです。

しかし、「超高速」、「多数同時接続」、「超低遅延」といった5Gの要求条件を1つのネットワークで全て満たすことは、未だ技術的、コスト的にハードルが高く、また、現実の利用シーンを想定した場合、これらの要求条件を同時に満たさなければならないような状況は多くないと考えられます。

このため、5Gでは、全ての要求条件に対応するネットワークを整備するのではなく、ユースケース、利用シナリオ等に応じて、「超高速」、「多数同時接続」、「超低遅延」のうち必要な機能、品質を提供するネットワークとなります。

経済産業省の活動

経済産業省は、平成30年9月に「DXレポート~ITシステム「2025年の壁」の克服とDXの本格的な展開~」を発表しました。

令和2年12月に「DXレポート2 中間とりまとめ」を発表しています。また、DXを推進すべく「DX銘柄2020」「DX注目企業2020」を選定しています。

DXレポート(平成30年9月)

2025年の崖

多くの経営者が、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変するデジタル・トランスフォーメーション(DX)の必要性について理解しているとしています。

一方、①既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用が困難なこと、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化していること、②経営者がDXを望んでも、現場サイドの抵抗などから実行が困難なこと、が課題であると指摘しています。

この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性(「2025年の壁」)があるとしています。

「2025年の崖」は、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合に想定される国際競争への遅れや我が国の経済の停滞などを指しています。2025年までに予想されるIT人材の退職やサポート終了などが、停滞の要因としています。

大きな要因として、「老朽化や複雑化、ブラックボックス化している既存の基幹システム(レガシーシステム)」の存在を挙げています。レガシーシステムに多くの経営資源、コストや人材が費やされることで、新しいデジタル技術などに投資できず、競争力が低下すると指摘しています。

2025年には、21年以上稼働しているレガシーシステムがシステム全体の6割を占めると予測しています。今後、これらのシステムの刷新が遅れた企業は、多くの機会損失が発生すると指摘しています。

問題の本質は、一般の企業におけるシステムの中身がブラックボックス化していることです。一般の企業は自社のシステムの内部構造が複雑化し、社内では修正できない状況に陥っています。レガシーシステムがブラックボックス化した背景は主に2つです。

1つ目は、日本の多くのITエンジニアがITベンダーに所属していたことです。一般の企業は、ITベンダーにシステム受託開発を依頼する構造でした。平成30年情報通信業基本調査では、ソフトウェア導入のうち88.3%が受託開発で、米国の33.8%とは大きく異なります。一般の企業は、社内にITシステムに関するノウハウを蓄積する構造がありませんでした。

2つ目は、大規模なシステム開発を担ってきた人材が定年退職の時期を迎えています。既存システムに関するノウハウが継承されないことです。その時々のタイミングで変更、追加されてきたシステムはつぎはぎだらけの状態で、システムはブラックボックス化しています。また、昨今のM&Aに伴うITシステムの統合などによって複雑度が増大していることも要因と指摘されています。

DX実現シナリオ

2025年までの間に、複雑化・ブラックボックス化した既存システムについて、廃棄や塩漬けにするものなどに分類し、必要なシステムは、DX化を組み込み、刷新することで、2030年実質GDP130兆円超の押上げを実現するシナリオを示しています。

DXの推進に向けた対応策

DX推進に関して経済産業省が実施する対応策として、①「見える化」指標、中立的な診断スキームの構築、②「DX推進システムガイドライン」の策定、③DX実現に向けたITシステム構築におけるコスト・リスク低減のための対応策、④ユーザ企業・ベンダー企業間の新たな関係、⑤DX人材の育成・確保、の5項目を挙げています。

「見える化」指標、中立的な診断スキームの構築

経営者自らが、ITシステムの現状と問題点を把握し、適切なガバナンスができるよう、「見える化」指標を策定し、中立的で簡易な診断スキームを構築します。「見える化」指標は、技術的負債の度合い、データ活用のしやすさ等の情報資産の実態、既存システム刷新のための体制や実行プロセスの実態などです。

「DX推進システムガイドライン」の策定

「DX推進システムガイドライン」は、既存システムの刷新や新たなデジタル技術を活用するに当たっての「体制のあり方」、「実行プロセス」などを示しています。経営者、取締役会、株主等は、チェック・リストとして活用できます。コーポレートガバナンスのガイダンスや「攻めのIT経営銘柄(現:DX銘柄)」とも連動しています。

DX実現に向けたITシステム構築におけるコスト・リスク低減のための対応策

具体的な対策は、刷新後のシステムが実現すべきゴールイメージを共有すること、不要なシステムは廃棄し、刷新前に軽量化すること、刷新におけるマイクロサービス等などの活用し、細分化による大規模・長期に伴うリスクを回避すること、協調領域における共通プラットフォームを構築すること、2020年度までコネクテッド・インダストリーズ税制を設けること、の5項目です。

ユーザ企業・ベンダー企業間の新たな関係

新たな関係構築に際し、システム再構築やアジャイル開発に適した契約ガイドラインの見直すこと、アプリケーション提供型への活用など技術研究組合の活用検討すること、モデル契約にトラブル後の対応としてADRの活用を促進すること、の3項目を示しています。

DX人材の育成・確保

既存システムの維持・保守業務から解放し、DX分野に人材シフトさせること、アジャイル開発の実践による事業部門人材のIT人材化を推進すること、スキル標準、講座認定制度により人材を育成すること、の3項目を示しています。

DXレポート2(令和2年12月28日)

検討の背景と議論のスコープ

経済産業省が2018年に公開した「DXレポート」では、老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムがDXを本格的に推進する際の障壁となることに対して警鐘を鳴らすとともに、2025年の完了を目指して計画的にDXを進めるよう促しました。

その後、経済産業省は、企業のDX推進を後押しすべく、DX推進指標による自己診断の促進やベンチマークの提示などの「企業内面への働きかけ」と、デジタルガバナンス・コードやDX認定、DX銘柄によるステークホルダーとの対話の促進、市場からの評価などの「市場環境整備による企業外面からの働きかけ」の両面から政策を展開してきました。

しかし、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)がDX推進指標の自己診断結果をもとに、回答企業約500社(2020年10月時点)のDX推進への取組状況を分析した結果、全体の9割以上の企業がDXにまったく取り組めていない(DX未着手企業)レベルか、散発的な実施に留まっている(DX途上企業)状況であることが明らかになりました。

自己診断に至っていない企業が背後に数多く存在することを考えると、我が国企業全体におけるDXへの取組は全く不十分なレベルにあると認識せざるを得ない状況と指摘しています。

このことは、「DXレポート」のメッセージが正しく伝わっておらず、「DX=レガシーシステム刷新」、あるいは、現時点で競争優位性が確保できていればこれ以上のDXは不要である、などの本質ではない解釈が是となっていたとも考えられます。

2020年に猛威を振るった新型コロナウイルスの影響により、企業は事業継続の危機にさらされました。企業がこの危機に対応するなかで、テレワークをはじめとした社内のITインフラや就業に関するルールを迅速かつ柔軟に変更して環境変化に対応できた企業と、対応できなかった企業の差が拡大しています。

押印、客先常駐、対面販売など、これまで疑問を持たなかった企業文化、商習慣、決済プロセス等の変革に踏み込むことができたか否かが、その分かれ目となっています。デジタル競争における勝者と敗者の明暗がさらに明確になっていくと考えています。

企業の目指すべき方向性

企業が競争上の優位性を確立するには、常に変化する顧客・社会の課題を捉え、「素早く」変革「し続ける」能力を身に付けること、その中ではITシステムのみならず企業文化(固定観念)を変革することが重要としています。

DX銘柄2020、DX注目企業2020

経済産業省は、東京証券取引所と共同で「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」を選定し、「DX銘柄2020」選定企業35社と「DX注目企業2020」21社を発表しています。

これらの企業は、ビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革することにとどまらず、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すべく取り組んでいる企業として選定されており、コロナ禍においてもデジタル技術を最大限に活用した活躍が期待されています。

東京証券取引所に上場している企業の中から、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を「DX銘柄」として、業種区分ごとに選定して紹介するものです。

DXを推進している企業は、単に優れた情報システムの導入、データの利活用をするにとどまらず、デジタル技術を前提としたビジネスモデルそのものの変革及び経営の変革に果敢にチャレンジし続けている企業であり、当該企業のさらなる活躍を期待するものです。

選定に当たっては、各社におけるDXの取組実態を評価するため、経済産業省において、東京証券取引所の国内上場会社に対して実施した「デジタルトランスフォーメーション調査2020」の回答内容から、①ビジョン・ビジネスモデル、②戦略、③組織・制度等、④デジタル技術の活用・情報システム、⑤成果と重要な成果指標の共有、⑥ガバナンスの6つの項目と財務指標についてスコアリングした後に、評価委員会の最終選考を経て、最終的に35社を選定しました。

企業のDXに向けた取組を強く推進するため、銘柄選定企業の中から”デジタル時代を先導する企業”として、株式会社小松製作所、トラスコ中山株式会社を「DXグランプリ2020」として発表しました。

ソフトウェアからDXへ(メリット、デメリット)

1990年代半ばに商用ウェブブラウザ市場でNetscape社を創業したMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)は、2011年に「Software is eating the world(ソフトウェアが世界を飲み込みつつある)」という論考の中で「今後、あらゆる産業においてソフトウェアが最も得意な企業が、その産業における勝者になる」と説明し、話題となりました。

現在、ビッグデータ分析やAIに強みを持つシリコンバレーを代表とするベンチャー企業が、産業界の既存プレイヤーの地位を脅かしています。構造変化は、あらゆる産業領域に広がっています。

従来、ソフトウェアは、アルゴリズムとセットで捉えられてきました。2010年代に入り、アルゴリズムだけでは差別化が困難となり、現在では、ソフトウェアは、ソフトウェア、ネットワーク、データ、センサーなどを含めたものとなっています。この流れから、DXという言葉が浸透してきました。

事例の金融業界

2015年、米国の大手金融機関JPモルガン・チェースが、ジェームズ・ダイモンCEO名義で公開した「株主への手紙」の中にある「Silicon Valley is coming(シリコンバレーがやってくる)」というフレーズが話題になりました。シリコンバレーのスタートアップが、金融機関の脅威になり始めていることを表現したものです。

同行は、シリコンバレーのスタートアップの提供する個人/中小企業向けの融資サービスが脅威となると考えました。金融機関のローン審査は数週間かかっていました。シリコンバレーのスタートアップは、この業務をビッグデータ分析により、顧客のリスク算定をわずか数分で実施することができました。

事例)機械翻訳

機械翻訳は、初期の時代、ソフトウェアとアルゴリズムを組み合わせた「ルールをベースとした機械翻訳」でした。

具体的には、原文と訳文の対にした「ルール」が登録され、その中から似ている部分を選び出し、利用します。翻訳の精度は、元となるルールの数に依存していました。

インターネット利活用が拡大し、例示を大量に集めることが可能になり、例示を使った「データをベースとした機械翻訳」が登場しました。2006年に登場したGoogle翻訳は、「データをベースとした」の機械翻訳として、革新的なものでした。「ルールベース」から「データベース」へ、と変更したことで、プログラムのソースコード行数が、2桁削減できたと言われています。

DXの分類

DX化を音楽の事例で考えます。

かつて、音楽を聴くための媒体はレコードでした。その後、技術革新によりCD/MDになり、今ではスマホが主流になっています。購入に関してもレコードやCDの「購入」から「有料音楽配信サービス」へ変化しました。当初、有料音楽配信サービスは、ダウンロード課金型サービスが主流でしたが、最近では動画配信と同様に定額制サービスの売上高が拡大しています。

2016年にダウンロード課金型と定額制の売上高は逆転し、今後も音楽配信市場は、定額制配信型サービスの拡大が市場を牽引すると予想されています。2020年時点での代表例は、Spotify、Apple Music、Google Play Music、YouTube Music、Amazon Musicなどがあります。

DXは、「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」という言葉で分類されることがあります。

デジタイゼーション

デジタイゼーションは、システム化、モノのデジタル化であり、従来のやり方をデジタルで置換したものです。先の音楽の例では、媒体がレコードからCD/MDに変化したことが、デジタイゼーションです。

企業活動では、FAXからメールへ、書類のペーパーレス化があります。顧客接点においても、訪問営業からオンライン商談、店頭販売からEC、電話予約からオンライン予約、決済もキャッシュレスやネットバンキングへ、などがあります。

デジタライゼーション

デジタイゼーションは、ビジネスモデルのデジタル化、デジタル技術を使って新たな社会基盤や様式を構築することです。先の音楽の例では、「購入」から「有料音楽配信サービス」へ変化したことが、デジタライゼーションです。

企業活動では、自動車業界におけるMaaS(Mobility As A Service)、カーシェアリング、サブスクリプション、DtoCなどがあります。

DX化による次代への進化

DX化を、システム化のデジタイゼーションの手段だけでなく、デジタライゼーションの手段と位置付けることが重要です。

デジタライゼーションは、企業が自社の事業を再定義することであり、新たな事業を創出する機会と言えます。

事業創出を推進するために現時点で意識することとして、①経営戦略視点から「事業ポートフォリオ」を意識すること、②事業戦略視点から「メーカー」「商品/サービス」のブランドではなく、「自社ブランディング」を強化すべく、ブランディング、マーケティング、セールスまでの業務活動においてDX化を組み込み再構築すること、③コア資産として、従来の自社視点のセールスのためのCRMから、顧客視点の顧客の幸せ、自己実現をサポートするCRMへと変更すること、の3項目を紹介します。

事業ポートフォリオ(PPM)

既存事業の延長での成長だけでなく次代の事業を創出する必要がある現在では、5年後の事業ポートフォリオを意識していることが重要です。

PPMは、社内の事業を市場成長率と相対シェアの2軸で表し、事業ポートフォリオの特徴を分析するものためのフレームです。事業バランスの確認、将来の投資計画や資金ニーズに役立てることができます。

デジタライゼーションを意識した新たな事業は、市場成長率が高く、相対的市場シェアが低い「問題児」に位置付けられます。「問題児」を「スター」事業にすべく、投資が必要になります。投資資金は、市場成長率が低く、相対的市場シェアが高い「金のなる木」である既存事業から確保します。

既存の事業に対するPDCAやQC活動など改善活動を繰り返してきた企業においても、DX化、特にデジタライゼーションの実行においては、PPMを意識したマネジメントが重要になります。

自社ブランディング

DX化によるツール、手法が多く提供されています。ツールは、既存のリアルの活動をベースに、活動の強化や置換、新たな情報の利活用による機能の追加など、成果を上げる効果的なものです。

DX化は、セールスやマーケティング領域にも大きな変化を与えています。従来、顧客動向を把握するためには、意識に関するアンケートやインタビュー、購買の実績に関するPOS情報などが活用されてきました。DX化により、SNSやWEBなど行動の実績に関する情報を容易に利活用できる環境になっています。

従来のブランディング、マーケティング、セールスという顧客接点に関する機能の枠組みを再構築するタイミングであると考えます。次代の事業基盤として、時間軸、顧客との関係性の深度、経営資源配分などを鑑み、ブランディングからセールス、その後のアフターサービスまでをDX化を組み込み、一貫性を担保した活動の最適化が可能になったと考えます。

活動視点での「営業力」強化から顧客関係性視点での「自社ブランディング」強化へ変化させることで、新たな事業創出の幅が拡がります。

顧客視点CRM

従来、CRMは、主に自社製品の販売拡大を目的に活用されてきました。取得する顧客情報は、既存事業が前提となり、販売促進のために効果な項目でした。

DX化を組み込んだ事業創出を推進する場合、既存事業視点で最適化してきた経営資源が、今後も有効であるかを検証する必要があります。CRMもその対象のひとつです。新たな事業創出を考慮した場合、今後の方向性、ありたい姿に最適なCRM、具体的には蓄積する顧客情報は異なる可能性が高いと考えます。必要な顧客情報は、自社との接点で取得できる情報だけでなく、外部情報も含め、設計することが効果的です。

新たな事業創出は、次代の社会基盤を意識したものになると仮定すると、有効な顧客情報は、企業視点での販売促進ではなく、地域の生活者視点での「不●(不便、不満など)」や活動傾向などを客観的に捉えた項目が有効になると考えます。

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