2022.07.26

組織文化の4つのタイプとは

組織文化には企業の目的を達成させるために共有されている価値観、規則、ルールなどがあります。組織文化を確立している企業は、すべての従業員がビジョンを共有しておりコミュニケーションを円滑に進めたり、企業の良さを出した商品を開発できるなど企業にとって多くのメリットがあります。

組織文化にはそれぞれのフレームワークによって4つのタイプがあり特色が異なります。

組織文化とは

組織文化は1997年にデービッド・A・ナドラーとマイケル・L・タッシュマンが発表したコングルーエンス・モデルがきっかけとなり、多くの企業において重要であると認識され始めました。コングルーエンス・モデルにおいて、組織が正しく機能するためには組織文化が重要であると定義されています。

このことからも組織文化は組織を成長させるための重要な価値観であると考えられています。

組織風土との違い

組織風土は労働環境においての仕事場の雰囲気や人間関係のことをいいます。組織風土は他人事や社内におけるルール、就業規則など組織文化によって作られたルールや規則に大きく影響されます。さらに、企業内における課題の解決や外部からの影響に対する対策などによって常に変化していきます。

組織文化は仕事に対する価値観に大きく影響します。個人主義であるのか、チームワーク重視であるのか、年功序列なのか、成果主義なのかなどが挙げられます。組織文化には経営理念や人事制度、就業規則などのルールや規則が含まれます。

これらのことから組織風土は人間でいうところの性格にあたり、組織文化は仕事に対する価値観にあたります。

社風との違い

社風とは従業員がそれぞれの企業に対して感じていることすべてが対象になります。そのため、組織文化と組織風土を合わせたものが社風となります。従業員同士が話をしやすく風通しが良いといった雰囲気は社風にあてはまります。風通しが良いような企業を創るためにコミュニケーションを大切にしていることは組織文化にあたります。

組織文化の4つのタイプとは

組織文化には次の4つのタイプが挙げられます。

  • 家族文化
  • 階層文化
  • イノベーション文化
  • マーケット文化

家族文化

家族文化とはコミュニケーション能力やお互いを尊重することをもっとも重要視しており、日本の企業でもっとも多いのがこの家族文化です。共同的な志向性があることが特徴的で、仲間意識や親密性を重んじます。

家族文化のデメリットは、チームで評価されることが多くチームのなかで頑張っている人が実績に対して十分な評価をされない可能性があることです。そのため、個人的に評価されないことがあり、個人的にレベルアップをしたい人にとっては向いていません。

階層文化

階層文化とは組織を安定させることが一番の目的とされます。一貫性や効率、画一性に重きを置いている特徴があります。組織内の役割がはっきりとしており、年功序列を大切にする企業に多いタイプの文化です。ほかの組織文化と比べても連帯感が強く、役所によくある特徴がありますが、一人ひとりの評価は十分でないことがあります。

さらに、個人としてチャレンジできる環境はあまりなく、このため個人のレベルアップを重点的に考えたい人にとっては、不向きである可能性があります。

イノベーション文化

改革を進めることに重点を置く組織文化はイノベーション文化にあたります。イノベーション文化とは、これまでにないような価値を作り出すために新しいことにチャレンジすることに重きを置く文化のことをいいます。日本企業において4つの組織文化の中でもっとも少ないのがこのイノベーション文化です。

技術職が多い分野であり、チャレンジする機会が多いことから自分のスキルを磨いて将来的に起業を考えている人に向いています。

マーケット文化

マーケット文化とは市場において競争に勝つことをもっとも重要とする文化のことをいいます。目標がはっきりとしており競争力が高いことから、4つの文化のなかでもっとも早く結果の出るタイプです。成果主義であることから、一般的に個人主義になりがちです。そのため、個人の力で結果を出していきたい人に向いています。

組織文化を作り上げるのに必要なこと

組織文化を作り上げるためには次の点が必要になります。

  • 創設者の意志
  • 社内評価
  • リーダーの行動
  • 採用活動

創設者の意志

一般的には創業者の意思が組織文化の根幹となります。創業者の意思が企業理念やビジョンに反映していて、事業活動をおこなうことが組織文化につながります。特に創業して間もない企業の場合は、創設者の行動が組織文化につながることが多く、創設者は企業の将来を見据えた行動をしなければいけません。

社内評価

経営者が従業員一人ひとりに、企業が持っているビジョンを効果的に伝えられる方法が社内評価です。社内評価を従業員にすることによって、企業が求めているビジョンや経営理念など把握しやすくなるため共通の価値観を持つことになり組織文化の構築につながります。

従業員一人ひとりに対して管理職がフィードバックをすることも組織文化へとつながります。

リーダーの行動

組織文化を目指すうえでリーダーの行動は大きな影響があります。まだ組織文化に馴染んでいない新入社員に対して、言葉だけでなく模範行動をすることによってそれぞれの企業が掲げている組織文化が伝わりやすくなります。

経営者だけではなくそれぞれの部署のリーダーが率先しておこなうことにより、組織文化がより企業に浸透していくことになります。

採用活動

採用活動も組織文化を作り上げるために重要な要素です。例えば、イノベーション文化を組織文化としている企業であれば、さまざまな業界を経験した人材や国籍にとらわれない人材を採用をすることによって企業に変化をもたらすことができます。このように、採用活動はそれぞれの企業が掲げる組織文化に大きく関わっています。

組織文化を意識するメリット

組織文化を意識した企業経営をすると次のようなメリットがあります。

  • 一体感が出る
  • 離職率が下がる
  • 企業のイメージができる

一体感が出る

従業員が企業が進めていることを理解することによって、一体感が出ます。特に、従業員の多い企業であれば、すべての従業員に会社としての方向性を認知させるのはむずかしいのが現状です。しかし、組織文化が明確であれば企業が目指している方向を理解しやすい環境にあります。

離職率が下がる

組織文化が明確であれば採用時にミスマッチが減り、会社へのロイヤリティが高くなることから離職率が減ります。そのため人材定着率が上がり、安定した経営をすることができます。人材定着率が高いと、求職者からも評価が上がり企業にマッチした人材を採用しやすくなる好循環になります。

企業のイメージができる

組織文化が定着してくると企業内だけでなく、企業外に対しても企業に対するイメージが出来上がります。例えば、ファーストリテイリングのように「従業員全員が経営者」といった組織文化であれば、従業員一人ひとりが経営を意識して普段から業務をしていることがわかります。経営を意識するということは、従業員一人ひとりが経営理念を理解しているということになります。

ファーストリテイリングは、従業員の成長と自己実現を重視しています。従業員全員が、経営者として、世界で一番良い方法でビジネスを実行していく「グローバルワン・全員経営」、また、「現場・現物・現実」という考え方に基づき、常にお客様と現場を最優先に考え、本質的な課題解決ができる人材を育成しています。
出典:教育と育成(ファーストリテイリング)

まとめ

企業が目標を達成するために設定した価値観やルールのことを組織文化といいます。組織文化が強化されている企業は従業員が企業のビジョンを共有できており、円滑に経営が進んでいるのが一般的です。

組織文化はそれぞれ企業によって異なりますが、主に次の4つの組織文化に分けられます。

  • 家族文化
  • 階層文化
  • イノベーション文化
  • マーケット文化

長年年功序列を重点としていた日本において、階層文化がもっとも多い組織文化でした。しかし、近年その流れも変わりつつあり他の組織文化を設定する企業も増えています。

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